Fate/SN GO【本編完結】   作:ひとりのリク

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五節 泥まみれの刀

 

 

「あ〜あぁ言わんこっちゃない」

 

竹刀に滅多打ちにされて倒れたのに、意識は微睡んでいて心地良く感じる。朝食を食べたあとの修行を開始して1時間後のことだった。

 

「力んだら叩き落とされる。何かするぞって言ってんだ、そりゃ先に潰すさ。起こりを起こすな」

「そーは言うけどさ。どんだけ意識してもしなくても堅くなっちまうんだよ。似蔵は速ぇんだ…ヤツをイメージすると早く振らなきゃって…」

「見られても先手を打ちゃいい。無理無理言うな、坂張りして相手を捩じ伏せにいけ。こいつぁ型に嵌まるために振るんじゃない、己の魂を納める刃を磨くために振るんだ」

 

剣は励ましてくる時、いつも心の在り方を説いてくれた。身体が強くなっても腹を斬られた恐怖は拭えない。強い身体でも、錆びていれば鉄屑と何も変わらないんだって、心の在り方の大切さを教えてくれる。

おかげで似蔵を追い詰められた。本物を引きずりだすことが出来たんだ。

 

(ごめん…)

 

 

「ほら、おにぎり作ったから食べよう。あっ、また手のマメから血が出てるじゃないか。

マメを潰しても努力したとは言えないぞ。自分を顧みない行動は他人も守れないんだ」

「……半年しかないんだ。江戸に残された時間も、オイラが修行できる時間もさ。弱いのは分かってる、足手纏いになるのも…オイラが給仕するべきなのも」

「俺はこんなにマメが出来るまで竹刀を握ったことはないな。投影やりすぎて肌が焦げたくらいだ。

焦って準備したはいいけど、結局は半年以上も時間が余っちまってさ」

「そりゃ師匠とオイラじゃ違いすぎるって。オイラ魔術使えないし、銀さんみたいに岩砕けねえもん」

「あぁ、アイツと比べちまうか。そら急いでも追いつくのはずっと先になるなぁ。

ほら。銀時が喜んでくれたおにぎり」

 

道端で倒れていたオイラを拾って、ここで稽古を付けてくれる師匠、衛宮 士郎。半年後の準備に奔走しているのに、暇を見つけてはオイラに声をかけてくれる。最初の1週間はつきっきりで稽古を付けてくれたくらい面倒見がいい。

師匠に剣を教わったのが正しかったって確信してる。

 

(師匠、ごめん…)

 

 

「空を飛ぶことが美しい鳥がいれば、斬ることしか能のない侍がいる。お主は、そうさな。息も切れ切れだった最中で振り下ろした先ほどの刃。あれが1番力強く、拙者の芯に届く一振りであった。

ここにお主の真価を見たぞ」

「回りくどいよ、小次郎。

オイラうんこ行ってきていい?」

「………晴太。太刀筋は言葉を聞けば分かる。下品な言葉遣いで強い侍にはなれんぞ」

「銀さんかなり汚いと思うけど」

「はて。銀時の言葉は群青であり真剣そのもの。アレめは戦いも舌戦も侍の見本であろう」

「銀さん美化されすぎだろ。

ならさ、真価を発揮するにはどーやればいい?」

「おもいのままに」

「……えっ? それだけ?」

「それだけ覚えておけばいい。初心こそ大切だ」

 

佐々木小次郎は時折訪れては気の向くままに稽古を見ていた。話を聞けば銀さんと殺し合った仲だという。あと一歩のところまで追い詰めて、惜敗したとか。本当にござるかぁ?

色々なことを教わった。あの剣筋がオイラの肩の力を抜いてくれた。

 

(………死んだら、誰に謝ればいいんだ)

 

 

「シンジと似た泥っ子だぞ。我が手を加えることの何が不服と言う!」

「おじさん誰?」

「おじさんではない。師匠と呼べ」

「オイラの師匠はもう2人いるんで結構です」

「なぬっ!? 我を前に淡々と断りを入れる度胸、シドュリと同じセンス持ちと見た。貴様、我の荷物持ちにならぬか」

「断ったよね。なんで扱いダウンしてまた誘ってくるの、普通に怖いんだけど!!」

 

コイツは不審者。遊び相手。

よく遊びに来ていたけど、実践稽古には付き合ってくれなかった。だけど楽しかった、アイツの語る世界は胸踊るものだった。銀さんを敵視してたけど良いやつだ。

 

(……………………………………………)

 

 

悔いる最中で過ぎる記憶は走馬灯と呼ぶには浅く、然し現実というには痛みが見当たらない。夢か、空想か、ただの勘違いなのか。もう死んだのかさえ分からない。

 

『俺は子供は殺さない主義なんだ。

だって子供は、強くなるかもしれないだろ』

「────────なんで居る」

 

混乱する頭を覚醒させたのは、稽古場では1度として会うことのなかった夜の兎、神威だった。

 

「いやいや、よく見なよ。あれは君の頭の中の俺だ。本物はこっち」

「っ……!? ほあ? 神威がもう1人…!!?!」

「そう構えるなよ〜。せっかく育ってる主菜なんだから、出来上がるまでは俺も席に着いて待てるって。ほんと、心外だなぁ」

 

目の前の神威が宙空に消えて、背後から肩を叩いてきた神威に呆れ顔をされる。彼に笑顔を向けられて刀に手を伸ばすが、神威にとっては猫の甘噛みのようなもの。警戒するだけ戦意を掻き立てるだけと思いつつ、飲み込めない状況では刀を握るしかなかった。

 

「オイラ、死んだのか」

「俺に聞く? 生きてたら殺すけど」

「こ……っ。さっきのイマジナリー神威はなんだよ。走馬灯じゃないのか」

「なにそれ、負けて引き下がるの? 殺すよ?」

「っ………。負けたよ、もう格好悪くぶった斬られた。リベンジしなくっちゃなんねえんだ、お前とはその後で相手してやる。負けた数じゃお前に負けねえかんな」

「ん〜、負け犬の遠吠えって間近で聞くと耳障りだよね。殺そうか?」

「なに言っても殺されるじゃねえか!!」

 

殺すの二文字に殺意が凝縮されてる、聞いただけで死んだと錯覚しちまう。

 

「そりゃ俺は地球の強いヤツ皆んな殺すからね。これは俺の殺意だ、お前が恐怖した時に蘇る記憶の一部分さ。だから殺せるよ」

「な、何が言いたい。訳わかんねェよ。お前、地球に居ないクセに…神楽のほうを見守ってりゃだろ」

「白詛だっけ。あいつのせいで俺たち天人は地球には入れないんだ。だからケツを蹴り砕きにきた」

 

言い終える頃には晴太へと接近し、脚を踏みしめていた。身構える余裕はなく、呆気なく背後から剛速の蹴りがケツをしばいた。

 

「強くあれ、俺に殺されるまでは誰も死なせるな。じゃなきゃ、やり甲斐がないだろ」

 

なんて巫山戯た激励だろう。

無理やり神威という脅威を身体に思い出させて、現実に蹴り戻すなんて。

だけど神威の言う通りだ。母ちゃんを助けに吉原へと潜り、鳳仙に殺意を向けられた時の危機感に比べたら、今の状況は生温いもんだ。

 

 

 

 

 

───

 

 

──

 

 

 

 

 

 

 

刀匠、村田 仁鉄最期の作品『紅桜』。

彼は紅桜を“幼体”と言った。戦闘データを蓄積、学習する刃は発展途上にあり、あの似蔵ですら成体ではないと暗示した。彼がどこを目指してこんな化け物を造ったかは知らないが、分かることもある。

 

岡田 似蔵が成体へと至る前に越えて、斬り伏せなければならない。

 

「どうして生きて……」

 

床に散らばる血の音で気づいた似蔵は、五体満足のままギンギラに輝く魂を見て呼吸を忘れる。逡巡、過った記憶が答えを示す。

 

「コイツぁ、やってくれたね」

 

刃毀れした紅桜。

刀身も見せない神速の居合いを持ち味としていた似蔵は、銀時にその特徴を逆手に取られて敗北した。

今回は刃は剥き出し、ただの名刀ではなく紅桜。易々と毀れる訳がない。その理由を似蔵は知らない。

 

(覚えてないけど…。この刀が守ってくれたんだ)

 

無意識のうちに割り込ませた刀は宝具。

『人を護る刃』は使い手の補助が主な役割となるが、紅桜に対しては最も心強い味方となる。仁鉄が使用する紅桜は、銀時に破れた際の紅桜を元に設計し直したもの。この刀は銀時に恐怖心を抱き、村田鉄子が打つ刀に苦手意識がある。強張りすぎるあまり、『人を護る刀』との接触で紅桜は壊れやすくなっていた。

 

その恐怖心を感じ取れてこその主人だが……。

 

「あぁ、そういえば英霊ってのは相性があるらしいね。じゃんけんのような覆せないものもあれば、ポケモ○みたいに工夫で覆せるものもあると。

こいつァ、後者らしいね。その刀、俺が負けたから相性悪いみたいだ」

「あんたが見ているのはこの刀だけかい?

そんなんだから仁鉄に魂持ってかれちまうんだぜ」

 

似蔵はもう、愛刀との会話が成立していない。

骸のようだと思っていたが、本当に骸と成り果てている。正体は分かった、もう恐れはしない。

 

「見てるか、人斬り。

何度も殺し損ねたドブネズミの姿が」

「今から死ぬよ。俺が斬り損ねたヤツは桂と白夜叉だけになる。並べると思ったら大間違いさ」

 

ケタケタと嗤う姿には人間味というものを感じない。無機質、あれは鉄と言うべき冷たさだ。

似蔵は捨ててしまったのだ、人として大切なものを。それは感情などではない。もっと根本的に、人間の生命の源でなければならないもの。人間の矜持を。

 

「ボウヤのデータは要らない。腹の足しにもならない、この先に弱者は要らないんだよ」

 

求められるものは多くない。一振りたりとも無駄にせず、半年間で磨き上げた己の全てを信じるのみ。

しかし、相手は坂田 銀時を一度は絶命に追い込んだ男。

半年前の記憶がちらつく。腹を斬られ、屈辱の血を浴び、ただただ無力な自分。

 

「お前は紅桜の試し斬りにしかなれない」

 

思い出すたびに視界がボヤける。

だが立ち止まる理由には足りない。

死ぬわけにはいかない。

敗北、以下道連れも選択肢からは外れる。

ならば───。

 

「───邪魔だ」

 

常識を蓄えた理性を思考から取っ払う。

死を覚悟し足りなかった。だからあと一歩が踏み込めなかった。結局、ここまで来て不安で胸がいっぱいだったんだ。

その重荷もここまで。その証拠を、稽古の成果を見せるために飛び出した。

 

(弱気になるな)

 

似蔵の必殺の一刀、下手なサーヴァントすら殺せる異形の業。

 

達人が繰り出す絶望を、一秒後の生存を、まともに死合えば勝ちはない生命が。

 

(弱者になるから!)

 

────極限の鍛錬で相殺する。

死が頬を削り、皮膚を裂き、髪を払う。

 

「!?こいつッ」

 

『人を護る刀』が晴太に教える。岡田 似蔵との斬り合い、最適の立ち回り、決着への道筋。

想いの数だけ使い手を鼓舞し、使い手の信念の強さに応じて銀色の魂が使い手に勇気を送る。

 

「うおお────っオオオオオ!!」

 

士郎が言っていた。

『報われない努力はある。

でも、報われない努力が誰かの努力に報いることもある』

強くなることに限界を感じていたとき、士郎は色んな角度で立ち直らせてくれた。

『そんで、報いた分はいつか自分に返ってくる。

例えば、絶対に負けられない戦いの時にさ』

ここで刀を手放したら、師匠の努力を棄てたことになる。それは嫌だ、オイラが死んでも死にきれない。師匠が自分にも報いれる人であるように、オイラは勝って…生きて帰って師匠の教えに報いたいんだ。

 

「ガキ、なんぞに」

 

そうすれば、あの頃を。

誰もが笑っていた、ありきたりな日常を。

 

「取り戻してェんだよ‼︎」

「!?」

 

晴太の全ての努力が集結し、ついに岡田 似蔵の懐にたどり着く。刹那、似蔵の目蓋に刀身が赤を描く。

 

「ギぃぃぃぃぃぃ!!?!」

 

人の身などと侮る時間はとうに終わった。

散弾銃に警戒していた似蔵は後手に回る。晴太は散弾銃に手を伸ばす動作を囮にして、更に似蔵を攻め立てる。

 

「うお、おおお!!」

 

ざくり、刀を振った音とは思えないエフェクト。

失敗だ、斬れてはいない。紅桜は、生身の人間が斬るには想像以上の強度を誇っていたのだ。だが、どうした。目の前には血に濡れた鉄屑。あぁ、これを斬り伏せるまで死んででも刀を振り続けるしかないんだ。

 

「いぎ、こんのガキ!」

 

返す刀で一文字。ヤツの横腹に1センチだけ刀身が食い込んだ。紅桜の腹が護りを優先して両断出来なかった。

ここに研鑽した技が介入する余地は土台のみ。判断力だ、精神と肉体を同化させろ。刀身に神経が巡るように、稽古の苦労を安心感に変えながら、似蔵に踏み込むことは師匠を相手にするよりも怖くないと言い聞かせるんだ。

 

「───は!」

 

紙一重の閃きが鮮血を撒き散らす。袈裟斬りを果たした晴太の刃が高らかに勝利宣言を果たし、似蔵の意識が現実から一歩遠退く。死をかなぐり捨てた怪物と、勇気と稽古に後押しされた泥んこ小僧、この世界が好む勝者が何方かは語るまでもなかった。

 

「べっ…紅桜、もっと俺を取り込め!!!」

 

岡田 似蔵、否。

真名、紅桜は寄生体の四肢に霊格を叩き込んだ。

己の敗北を悟り、世界の理りに抗うためだけに。

 

「────────────」

 

かつてない緊張が走る。

紅桜が巨大化したら最期だ。

あれは横切っただけでこの身体を飲み込む。

 

想定が甘かった。易々と紅桜に魂を売るはずが無いと思っていた自分がいる。似蔵の最期は紅桜の侵食という、なら普通は避けるだろ…!

 

『晴太、難しく考えすぎだ。そんなに頭が固いと刀が折れちまう』

 

「……そうだったな、剣」

 

身体の強張りを志村 剣の言葉がほぐす。

少しでも立ち止まったら誰かが手を差し伸べてくれる、この素晴らしい環境に感謝を示した。

 

「オオオオオオ……アアアアアッッ────」

 

醜い骸が天井を突く。その身長は3メートルを越え、紅桜は通常の4倍ほども肥大化していた。城内を崩し、肉体を手放し、鉄屑に身を投じてまでするほどの戦いだろうか。

少なくとも、オイラ相手には必要ない。過剰戦力だ、似蔵の理性は既にそれも分からないんだ。

 

なら、ここからはたった一秒で決着となる。

銀色の光に輝く魂に狂い、魂が剣に喰われているのなら、オイラが見誤っていたことがもう1つ。

 

「母ちゃんは、街のみんなは」

 

似蔵に寄生した紅桜を砕いたところで、紅桜は消滅しない。なぜなら岡田 似蔵そのものが紅桜となり、一本の木となり果てていたのだ。桜の木の正体は似蔵の嫉妬、坂田 銀時への逆恨みだ。

 

それを消す方法がここにある。

師匠から貰った宝具、人を護る刀。

想いが消えぬ限り、信念を貫き通す刃。心を喰われた怪物への一撃は、この刀で似蔵の心を取り戻すことでしか叶わない。

 

「オイラが守る! 守るんだ────」

 

蠕動する鉄屑へと向けて、空を斬り裂くように刀を振り抜いた。盲目の似蔵は血反吐を撒き散らしながら、晴太渾身の一振りで霊気にヒビが入ったことを感じ取る。

肥大化した紅桜は空振り、床面を荒々しい大地へと変えるのみ。剣の技量において、数多の英霊の宝具の補助込みとはいえど、晴太がこの一瞬で自身を上回った。

即ち敗北。返す刀で決着がついてしまう。その前に、

 

「クソガキアアアアアアア!!」

 

物量を活かした肉体…紅桜が更に膨れ上がる。

霊気が崩れたことによる崩壊かと晴太は見るが、すぐに考えを改めた。それは呆気なさすぎる、この生命力は醜悪だと本能が警鐘を鳴らす。

紅桜を爆散させて、全方位を埋め尽くす肉片をぶつけての道連れ。予兆は瞬き程の収縮。離れる猶予は与えず、霊気の安全を確保して勝利する。似蔵が勝利を確信して収縮した瞬間、2人の視線が交差した。

 

「そうすると思ってたよ!!」

 

似蔵の胸元に晴太の右腕が突き出される。

 

「刀を刺したところで届かないさ!!

俺の霊気はもっと奥の奥に隠してあ────」

「にひっ」

 

敗者を嘲笑うための咆哮を一笑。

その笑みに、銀色の…煩わしい…この世で最も嫌悪する侍の顔を重ねてしまい、右手に握られた物の正体に気づくのが遅れた。

 

────爆ぜる。

 

爆散した。生命を弾く独特の音が鳴る。大雨の舗装路を駆け回る子供の笑い声のような、若しくは雷雨をも矮小にする母親の怒りの如き、立場によって変化する決着の合図。

 

────吹き飛んだ。

 

2人とも後方に弾かれ飛んだ。

晴太は紅桜の爆散による勢いを受けて。

似蔵は晴太の散弾銃“雁之間”を受けて。

 

────同時に。

 

晴太が突っ込んだ雁之間の発射と、似蔵の爆散は全くの同時だった。爆散した紅桜の肉片は、雁之間によって片っ端から吹き飛ばされた。全方位に弾け散る肉片に伝播したダメージによって似蔵は倒れ、肉片を吹き飛ばす衝撃によって晴太は負傷した。

 

「は、はは……」

 

晴色(せいしょく)、天を染める。

 

仰向けになって、痛みに涙を流しながら、呼吸音の聞こえない化け物を確認して。

漸く役目を果せたことを知った。

 

ここに勝敗が決した。

 

「やった、やったよ、師匠………銀、さん」

 

泥まみれの青年は、紅桜から執念の勝利を収めた。

限界まで酷使した身体は蓄積した疲労と緊張感によって、意識の重さに耐えられずに糸が切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒ、ヒ………い────」

 

似蔵は死んでいない。

 

霊気を弄られて、魂を増殖されて、予備を準備されて、下地作りに多大なる貢献をした似蔵を、紅桜が易々と逝かせる筈がないのだ。

仁鉄は“永久機関”をテーマに紅桜を似蔵に転用した。戦闘データが蓄積される時に発生する電気信号で魔力を生成、それを最初に数百体作って解き放つことで初期投資とする。そこから増幅装置を模した心臓、制御装置を応用した脳、無駄な魔力消費を抑えるケーブル代わりの血管、諸々の技術によって安価で似蔵の大量生産を実現した。

ある意味では似蔵も死徒に片足を踏み入れている。歳月さえ経れば、江戸に巣食う最悪の人斬りとして復活することだろう。

 

そんな未来を手にするため、似蔵は紅桜の力を暴走させて、憎き銀の光を葬らんと起き上がり。

 

「誰が顔を上げろを言った」

「ぁ…?───は、、ぇ、」

 

内側の一切合切を捻り潰されていた。

 

光を辿る。だが、何も見えない。当然だ、似蔵は心の眼すらも、黄金の王気(オーラ)を直視して失った。

 

「我を見透かそうとした罰だ。良い、先ほどまでの無礼はこれにて赦そう。だが」

「あ、ぁ、、ぇ、、、あ、、、、」

「自らを増やした責任はまだ果たしていないぞ。我の嫌悪するモノの(かしら)として、その首は落とせ」

 

何が起きたのか。何を見ようとしたのか。似蔵は何もかも分からないまま、1つのセリフを思い出した。

『勝手に覗くなよ、屑鉄野郎。死にたいの』

自分は言った。

『さっきの太刀筋といい、お前さん人が違うみてェだ。魂の色は同じ、だが()()()()が見える』と、確かに言った、見抜いていた。それなのに警戒を解いてしまっていた。

 

「嘘じゃ…なかっ───」

「母を侮辱され、急死に一生を得た“ヤツの身内”がどう立ち上がるかを見据えなかった貴様の落ち度だ。

その末路は、摂理に反して増えれば駆除される害虫と同じよ。銀色の魂を理解出来たか?」

 

王の一瞥を浴びた似蔵の魂が爆ぜる。

銀色の魂に大敗を喫した盲目の人斬りは、黄金の眼差しによって霊気ごと消滅した。

 

岡田 似蔵、紅桜、二騎退去。

同時刻、桜の木を鳳仙が伐採する。

 

 

 

 

 







本編の補足を入れさせてください。
テンポ悪くて省いた説明があります。

補足①
神威が「地球には入れない」と発言したのは、星崩しが全宇宙の超危険天人として周知されているせい。
宇宙戦艦には星崩しが活発化した惑星への上陸を阻止する安全機能が備わっており、星崩しが活発化した惑星に船が近づくと自動操縦に切り替わって離脱!
そんな設定です、幣作オリジナルです。

補足②
正鬼の空想具現化『銀の大地』は任意の生命体以外を弾くことができる。天人は漏れなく地球の外に追放されました。宇宙空間は酷すぎるので、各々の故郷、故郷がない天人は近隣の惑星に飛ばされています。なお魘魅は弾けなかった。

補足③
Q.どうして晴太は仁鉄の発言を知ってるの?
A.とある人物から聞いていたからです。
紅桜が幼体ということを知る経緯については、あとのお話で明かす場面がくると思うのでお待ちを。
本当ならこの場面を既に書いていたんですが、執筆の進捗を見て省略しました。遠坂たちが来る経緯含めて省略しているので、なんやかんやで一節分は飛ばしちゃってます。



【オマケ】

岡田 似蔵のプロフィール

基本的なプロフィールは原作に同じため省略

ステータス(村田 仁鉄ver)
筋力:E〜A 耐久:D+ 敏捷:D++ 魔力:E 幸運:E 宝具:E+

保有スキル(村田 仁鉄ver)
精神異常:E
他者の痛みを理解しない。
仁鉄の改造によってランクが緩和されている。
彼は既に銀色の光に眼を焼かれていた。

直感:E
戦闘時、つねに自身にとって有利な展開を”感じ取る”能力。
格下の攻撃を予見することができる。


宝具(村田 仁鉄ver)
無し
正鬼の怒りに触れたため悪辣な宝具が剥奪された。


その他①
幣作似蔵の産みの親は村田 仁鉄。
正規の岡田 似蔵は既に仁鉄が葬っている。
銀の大地によって表と裏がひっくり返った直後に似蔵は召喚された。混乱する吉原の住人たちを辻斬りしていたところ、晴太が横槍を入れて似蔵を引きつけて、一節冒頭の流れとなった。
その後、民衆を殺す者は不要だという正鬼の指示で仁鉄が処分した。

その他②
仁鉄の提案で似蔵の霊気は実験体となる。なぜ似蔵を量産する必要があるのかは六節で語られる。
仁鉄の鍛った似蔵は条件下の民衆を殺さない。
正鬼の意思に反する者を殺し、それ以外は江戸城に連れてくるように設定してある。

その他③
月姫でいうところの夜魔に分類される。彼が日中動けているのは後々に語られるため省略する。なぜ晴太でも倒せる身体能力値なのか、渇きなどの症状が無いのかは、仁鉄が人類に近づけたためである。仁鉄は殺戮兵器の量産を目的としておらず、正鬼もそれを望まなかった。
型月でいうところの死徒よりもマイルドであり、圧倒的に弱いが人類に寄り添える何かを目指して造られた。
無論、霊長類ではない。



晴太のプロフィール

基本的なプロフィールは原作に同じため省略。
英霊ではないのでステータス、保有スキル、宝具も省略とする。
色々な武器、宝具を授かっているので、これを公開。


所持武器
『人を護る刀』
エミヤが投影してくれた。
身体能力の底上げに貢献してくれている。

『対死徒用全方位散弾銃“雁之間(かりのま)”』
源外が将軍暗殺を計画していた時、江戸城を破壊するために設計された機械用主砲を小型化させたもの。他にも江戸城をぶっ壊すための機械を設計しており、其々に江戸城敷地内に割り振られた名前を命名している。殺意が高い。
これをとある“弓”の人の助言で改造して死徒用(ほぼ似蔵対策)の武器にした。
発射した弾は着弾した死徒の情報を取得、半径30メートルにいる同条件の死徒や肉片、条件に該当するものに跳弾する。
その着弾点をマーキングし、源外の元に情報が送られる仕組みもある。

『六瓢の御守り』
志村 剣から貰った。
晴太が斬られた時、致命傷を避けたのは御守りのお陰でもある。

『謎ポケット』
エリザベスの宝具。
天人だからと江戸から弾かれたエリザベスが、正鬼への復讐のために渡した。
雁之間はここに収容している。左袖をこの宝具に適用している。

『英雄王』
空想世界の座に暇つぶしにきた態度がデカい人。
銀魂世界に来たら『態度がデカい人』と紹介される。
作画も描写コストも高いのでキャストオフされる。
生意気な態度で接してくる晴太を気に入った。
晴太が負けても傍観するつもりだったが、似蔵が最後まで紅桜に頼ったのでウキウキで緊急参戦。

ロボット「似蔵は、自分で刀を握っていたら勝てた場面なのに…」


その他①
似蔵に腹を裂かれたあと、士郎(アーチャー)に助けられた。
そこで士郎(士郎)と供に座で全力修行に明け暮れる。色々な英霊の趣味趣向も重なり、どこかの抜刀歳みたいな風貌となって送り出される。本人も厨二病を発症しかけているのでノリノリだった。

その他②
未来新八に良い勝負出来るくらいの強さで設定した。そこに英霊たちの武器宝具でバックアップを貰い、ギリギリ似蔵に届くようになった。
執筆前は爆弾やガトリングガンを多様し、似蔵を蜂の巣にするアメリカ仕様だったが、似蔵が最後まで不憫だったのでボツに。



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