Fate/SN GO【本編完結】   作:ひとりのリク

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八節 ここから、完結す(はじま)

 

暗闇に浮かぶ赤い雫は、間もなく宙空に消えた。空想具現の彼方に希釈されて、存在ごと無害化された。

城の向こうに広がる景色は、日向ぼっこ日和の正午。土手に寝そべって空を仰ぐのが江戸っ子とばかりに、川沿いの草が早く来てと風を戦がせる。彼らの睡眠にちょっかいを掛ける飴売り、川沿いを走る子供達、土手の上を忙しなく走る飛脚、そしてそれらを眺めるのが日課の老夫婦。

喧嘩を始めるバカ、物を盗んで逃走するバカ、賭博で有金をもっていかれてベソかくバカ、バカばかり。

 

「間違いねぇ。ここは、俺の好きな町だ」

「うん。光々の愛した国だよ」

 

ありきたりな日常を2人して幻視する。

こうあれという願いが目前に迫っている証拠だと思うことにした。なにせ、説得力がある。

残るは実現すること、その一点のみだ。

 

「人理焼却に焼かれ続けて、吾は日々弱体化していた。そこを狙われて魔王化の伝令に抗えず、抑えてた吸血衝動が暴走させられた。

魘魅は狡猾すぎた、自力じゃ戻れなかったよ」

「中学生が考えそうな設定で国を滅ぼしかけたの? ほんっと相性最悪がすぎんだろ。俺たちどんだけ不運が重なったよ、スタンド温泉描いてる時のゴリラより酷いんじゃねーの」

 

アダムの見上げた横顔を見て巫山戯てみせたのは、アダムが最後の寄り道を望んでいたから。この世界を炎から守り抜いた始祖に付き合うのなら、もう少しだけ笑っていられる。

意図を見抜いて、ここだと会話に混ざりに来たアーチャーと士郎。

 

「同意だな。魔術王と魘魅、よくもまあ2つの脅威を呼び込んだものだ。もう話もしたくないよ」

「あぁ、間違っても2度と勝てる気がしない。敵も味方も規格外すぎて今頃になって頭が痛くなってきた」

「…結局、魔術王の野郎とはケリ着けられなかったか。あいつ引き篭もりっぽいし、埃臭かったし、ありゃ相当な本の虫と見たね。○ガジン派だぜ、ウマが合わねえ」

「魔神柱など使役するやつがジャン○やサ○デー派な訳がないからな。あれはマガジンの読みすぎで顕現した心の内側とみた」

「あんな化け物を生み出したらマガジ○廃刊しちまうぞ。いいのかそれで、ライバルだから成り立つ関係性じゃなかったのかアイツら」

「少年誌が廃刊した怨念で魔術王倒せるかもしれん。マ○ジン派にはここで倒れてもらおう」

「俺たちのアイデンティティ全部投げ捨てることになるけど!?」

 

快活な笑いが飛び交うのに、意識の隅で秒針の音が鳴り止まない。彼方の空が照明を落としたように暗くなるのを視界で捉えた。時間は、残りわずかと。締めなければ…。

 

「ここまで来たら、立香たちを手伝って魔術王を叩きたい…ところなんだけど」

 

先ず、立香たちの話から切り出した。

士郎にとっては人理焼却が未来の話か、別世界なのか定かではない。アーチャーも同様だ。

銀時は言うまでもなく、ここは空想世界。正史たるカルデアとの縁は限りなく離れなければ歴史に齟齬が生まれる。この出会いは一期一会の夢物語だった。

 

「其々でやるべき事が残っている。何よりも、君たちなら俺たちの手がなくとも成し遂げるさ」

 

振り向く。

立香とマシュは、アーチャー達の期待を迷いなく受け止めた。未来へと邁進することを覚悟している顔だ。同じ言葉を何度も、何人もの英雄達に託されて、歴史を正すたび、被害者から人類最後のマスターへと立場を改めたに違いない。

その旅路が空想具現を生き残る勇気となり、きっと未来をも掴める自信となる。

 

「こっちはバッチリやるよ。特異点もあと1つだし、真祖や死徒を越える敵ってば早々居ないと思う」

「はい。私たちはこの旅で大幅に成長できました。

…ただ、カルデアとの通信が繋がらないので、人理定礎が終わったのかが定かではなくて。まだ聖杯を回収していませんし」

「──ああ! 聖杯ってこれのことだね」

 

人類最後のマスターとそのサーヴァントにも、顔が緩む瞬間があった。ご褒美である。

 

「そ、それー!!」

「どこにあったんですか!?」

「最初に魔神柱を殺した時、引き抜いたんだ。ずっと城の中に保管してたよ。はい、あげる」

「うおーっ!? えっ本命の筈なのに一番最初に倒されてたんだ…。オケアノスを思い出すね」

「欲しいの? もいっこ作ったからあげる」

「うおっー!」

「………オマケにドーン」

「えっウェい!? やった…本当にいいの!?」

「地球に手を出した魘魅が蓄えてたやつ。持ってても吾は使わないし、これで魔術王をぶっ倒してね」

「先輩の顔が!見せられません!!」

 

3つの聖杯、3倍の喜び、アホな顔。

今日はコレを抱いて寝よう。決心新たにした立香から聖杯を預かったマシュが大盾に仕舞う。

 

「なに、やってんのよアンタら。

揃いも揃って、話進める気、あるの」

「神楽! もう動いて大丈夫なの!?」

 

その様子を見ながら呆れて声をかけたのは神楽。外傷は殆ど見当たらず、目元が暗くて疲労に引き摺られている様子だ。

 

「あの野郎、魂に取り憑くだけあって、身体に傷は付けずに出ていったから大丈夫ネ。ごっそり体力持っていかれたけど、酢昆布食べて回復したアル」

「それはそれで凄いけどね」

「あの、アダムさん。いまもカルデアからの応答がないのですが、どうにか繋げられたりしませんか」

「ごめんね、カルデアとの通信は不可能なの。魔術王の探知を避けるために強めの妨害をしたからね。

特異点はカルデアが人理焼却を打ち払った時点から、徐々に収束していくから安心して」

 

アダムが空想具現化の維持に拘らなくなったのは、坂田銀時の過去改変に全てを託すからだ。

人理焼却を退けている銀の大地はこれより、カルデアからも切り離されることで独自の磁場を形成し、一時的に時間の概念から離れる。カルデアが人理焼却を阻止し、焼却式が消えた瞬間から時間は再始動、坂田銀時の旅路(かんけつへん)が始まるのだ。

 

「そうだ、それだよ。過去に戻るには、たまの時間旅行が必要だ。けど、たまはもう…」

「……………」

 

士郎の声量が段々と小さくなる。なにを言いたいのかは誰もが把握していた。

神楽でさえ何も言わない。魘魅を通して知ってしまったせいだ。

新八は目を伏せた。正鬼から指示を受けていたからだ。

 

坂田銀時は過去に戻らなくてはならない。戻ることで本来の最初の一歩が始まり、魘魅との因縁を断つための物語が幕を開ける。

アダムでさえ時間旅行は不可能だ。彼女が居なければ、この国は永遠に元に戻らない。

 

「まあ、取り敢えずあそこで寝っ転がってる金時にでも聞いてみるしか───」

「───大丈夫ですよ。最後まで取っておいた未来行きチケットが、ここに1枚あります」

 

こんなにも大事な場面で横槍を入れるのは。

誰も気を張らず、気に触れずに近づく者は。

 

「お前、まさか……!!」

 

 

 

 

 

───

 

──

 

 

 

 

 

 

冷えた地面に転がる鉄の塊。

価値のない傷に屈する姿はガラクタ。

 

衛宮士郎の活躍によって坂田銀時の未来は繋がったのに、別世界の私から託されたものを呆気なく潰されてしまった。最も警戒していた存在なのに、考察出来る筈なのに、神楽のなかに潜んでいることを考慮できなかった。

 

『────しなさい』

 

ボディは無いのに目元が寒い。

取り返しのつかない過ちが行き場を失って、冷えたオイルが故障して目元から漏れ出ている。視力は機能停止したのに、どうしてだろうか。それに…。

 

どのセーブデータだったか。

遠くから呼ぶ声はどこか懐かしい。

きっとこれは走馬灯だ、カラクリに宿った魂が見せる、生前の頃の記憶だろう。けれど残念なことに、この電気信号は走馬灯を読み込む力さえない。

冒険の書は、間もなく消えてしまう。

こればっかりは……。

もう、博士の笑顔は…。

 

『目を覚ましなさい』

 

「…………? …………こえ」

 

意識が上に。

魂が引っ張られる。

経産婦が赤子を抱き抱えるように、私の魂を優しく包み込む両手は、その逞しい笑顔は。

 

『芙蓉。まだ眠いのか?』

 

「…………………お、、、と」

 

『カラクリとはいえ、生身の人間と同じで治療には時間を要するか。無理に話さなくていい、今は脳内に回線を繋いで直接送り届けている。私の声をあとで聞き返しておくように。いいね?』

 

早口に捲し立てる。

薄く瞼を開けると、両手や笑顔に見合わないほど機敏に動き回り、何処かの工房で魂を繋ぎ止める作業に没頭する伍丸弐號の姿を捉えた。

音声出力がろくに機能していないのは、よく自己分析をすれば声帯にあたる部品が無いせいで。手足や顔の修復を同時進行しているわりに、声帯部分には着手する気配がない。意図的なものを感じる。眼差しで抗議したが、優先度が低いと返された。

 

話したいことはあったのに、伍丸弐號の一方的な話ししか聞けない。治療に励む傍ら、この半年間の出来事を話している。距離は近いのに、会話ではないことが喧嘩中のように思えて。或いは、思春期の親子にも見えて、少しだけおかしかった。

 

『……坂田銀時に倒される直前に思い出したんだ。林博士が生前、胸に抱いていた家族への愛を』

 

何時間か経って、一瞬の虚無を誤魔化すように、つっかえた言葉をぽつりと吐き出した。

なぜ急に林博士のことを、と目で問いかける。

 

『初心だ。技術者は、特に魂に触れる者は初心が大事なんだ。林博士という初心を忘れてはならない。

君はたまだ。そして、芙蓉の意志を受け継ぎ、2つの霊気を以って空想具現への時間旅行を実現した。

結果がどうこうは大事だが、それでは林博士のようになる。親の過ちを継がせるなど言語道断。

私達は、林博士の娘を想う気持ちを、捻じ曲がる前の彼の願いを未来へと繋げなければならない』

 

彼は、私の自己嫌悪する信号を読み取った。

最初から早口であれこれと語りかけていたのは、娘の身を感じる親心からくるもので。正解が分からなくて右往左往していたから、答えを出すのに時間を稼いでいたらしくて、微笑ましい感情が思わず漏れていた。

 

『だから君のしたことは間違ってはいない。神楽はいずれ彼らが助け出す。安心しなさい、その頑張りは必ず報われる。それまでは、暫く回復に努めなさい』

 

その反応に満足したのだろう。

とっくに終わっていた治療を切り上げると、ゆっくりと頭を撫でてくれた。冷たい温もりに包まれながら、魂のデータ修復のために意識が落ちていく。きっと、次に目覚めたときは、役目を果たせると信じて。

 

『娘に与えられるのは、これくらいだからな』

 

…悔しい。

このデータが元に戻る頃には、博士に会うことは叶わない。合わせる顔がない、とでも考えているらしいので胸ぐらを掴んで訂正を入れたいのに。

ありったけの感謝を、最後に込めて。

ありがとう、と信号を、涙に流した。

 

 

 

 

 

 

──

 

───

 

 

 

 

 

「………たま」

 

ビデオカメラを胸に抱えながら、1人の技術者の奮闘を詳らかにして、その魂を(いた)む。

恩義を忘れず、勇姿を讃え、心を痛める機械(カラクリ)

万事屋が歓喜し、士郎たちが安堵するのは、どうあっても江戸に帰ってきて、彼らを家族として扱う彼女だからだ。

 

「魘魅に書き換えられた私のマイクロチップには、私の種子の一部分が使われていることに博士は気づいてくれました。もしかすれば、他にも種子を切り分けた部分があるのでは、と。

マイクロチップを握る手が種子だとは、ナノマシンウィルスも見抜けなかったようで」

 

奇策が決まったことを、悪戯のバレた子供のように喜び、深窓の令嬢の如く淑やかに笑う。ボロボロになったあとの筈なのに、誰かさんのように平然としている姿に堪らず咽せたのは少女だ。

 

「たまぁ…! たまぁぁ!!」

「大丈夫ですよ、神楽様。もう魘魅は、誰のことも寄生することはありません。私たちで勝ち取ったいまです、それだけで私は幸せです」

 

彼女を粉砕した手は、蘇った彼女に撫でられる。泣きじゃくる皺だらけの顔を抱き寄せて、さり気なく録画を回すのは悪いことだろうか。しっかりと悪戯も実行しつつ、再会の喜びに笑顔を咲かせる。

 

「ふふっ、お待たせしました皆さま。

時間泥棒もとい、たま。ここに到着です」

 

それが彼女、たま。

時間旅行による存外からの支援で、凡ゆる場面に希望を灯したカラクリ。未来を取り戻すために必要な最後の協力者だ。

 

「あとの事は任せるね、子ども達。

もう、吾が介入する必要はなくなった」

「最後まで見ていかないのか?」

「──大事な人を待たせてるんだ。さっきから凄い勢いで呼ばれてるの。

あぁ、暫くは行き来出来るから、異郷の子たち。用事が無くても遊びにおいで」

 

たまの帰還を見届けたアダムは、最後の役目を終えたことを自覚して背を向ける。人類始祖の過ちに向き合うための背中は、半年前よりも傷だらけで、血色は太陽よりも輝いて見えた。

 

『坂田銀時。君は酷い人間だよ』

 

感情の発露が薄いアダムはここで、少しばかり人類始祖の看板を隠すことにした。大切な人が絆されたことへの仕返しであり、光々という信頼する人物に及ばない程度の親しみを込めて。

 

「最後に罵倒!?

もっとましなセリフ吐けないのか!」

「銀ちゃん、急に叫んでどうしたの」

 

神楽の疑問符に慌てて周りを見回す。誰もが不思議そうに銀時を見るものだから、本人も空耳かと疑ってアダムに視線を向けると、楽しそうな笑い声で答えてきた。

 

『これは念話! 喋らなくても聞こえるから、ほら思ってみなよ。汲み取って聞いてあげる』

『…ややこしいんだよ。なんで今更』

『子ども達に黙って行くんでしょ?』

『ま、ぁな。こいつらだって薄々は分かってんだ。最後は綺麗に終いたいしよ』

『それで良いのか、再確認。

嘘つきな悪い子どもは、滅ってするよ』

 

アダムなら本当にやりかねない。

そうまでして暴威をチラつかせたのは、直球すぎる恩義がゆえだとは分かっていた。

ここで肯定すれば、今から過去へ行って自分を討つことを変えられるかもしれない。意図としてはそうなのだろう。否定すれば永遠に、さよならを告げられない末路に踏み入る。

 

『正しいとは言えねえが、正解は一度っきりでもない。信じてるよ俺ぁ、俺が間違えたらコイツらがまた正解にしてくれるって』

 

迷いはない。憂いはある。だが、それがいい。そうでなくては足が止まる。過去は振り返るためではなく、背中を押してくれるためにあるのだから。

 

「銀さん……」「銀ちゃん………」

 

堂々たる宣言に、違和感が混ざる。

後ろの各所から、銀時を呼ぶ声に疑問符。

 

「……ん? なんか、念話聞こえてる?」

「あ〜、銀時。俺にも聞こえてるぞ」

「────お〜い、アダムくぅん」

 

頬を掻く士郎の表情は、苦笑い。

その意味が分からない銀時ではなかった。

グリスの切れたバルブのように、ぎこちなく重い首を回してアダムを睨むと、舌を出した無表情が1つ。

 

「あっごめーん、間違って思考を皆んなに共有しちゃってた。…でも、キッカケはできたね!」

 

故意の事故、発生。

シミ臭い別れ嫌いの銀時を憂いたアダムは、銀時に散々っぱら痛い目に会わされたことを思い出して、そんな言い訳を並べて心情の全線放映という暴挙に出た。

やっちまった、とも。思わず握り拳を作って抗議しようとも、アダムは親指を立てた次の瞬間には江戸城の向こうへと姿を眩ますのだ。

 

「テメッやりやがったな!ふざけ…」

「それはこっちのセリフですよ」

 

再び、未来を取り戻すための旅に発とうとしていた銀時へ、罵声に近い想いを込めたのは誰いうまでもなく。あっという間の別離に駄々を捏ねるのは、士郎以上の付き合いある2人だ。

 

「やっと再会したってのに、もう行くアルか?

私たちを置いて、今度は本当に────」

「成長した姿を、褒めてもらってもいない。揶揄いもせずに、アンタは…。僕たちに一言も何も言わずに、勝手に死にに行くっていうんですか」

 

蔑むように、懇願するように、そして己の強さを誇示しようと踏み出した。襲いかかってでも止めんという姿勢は、銀時の返事を知っているからで。

 

「新八、神楽」

 

その堂々たる仁王立ちは、決して道を譲らないという意思表示で、5年前の坂田銀時の決意そのままだ。

2人が何も出来なかった、あの頃の坂田銀時がいる。大きな違いは、2人が強くなったこと。そして、手の届く位置に居てくれて言葉を待っている。

 

「……今からアンタをぶん殴ります。死んでも治らないバカっぷりを僕たちが矯正してやる」

「そーゆーこと。貯まった家賃、私が払ってやってたんだから、利子も合わせて覚悟するヨロシ」

「銀時様、私も家政します。福利厚生の一環だと思ってください」

 

加勢の間違いだよね? 俺を掃除しようとしてない? なんて巫山戯た事を吐かす銀時と、銀時に対する鬱憤が爆発した新八神楽たまの喧嘩が勃発した。

 

一瞬の拳の交差、木刀と竹刀の打ち合い、機械の暴力に逃げ惑う侍。永遠に続けたいと願うほど過ぎていく時間を惜しみなく使い、魂に焼き付けんと力一杯に暴れる。

江戸のど真ん中で、おもちゃ箱のように騒がしく暴れるのは彼らくらいなものだ。

 

「止めなくていいの?」

「いいんだ。アレが、俺たちが見たかった景色なんだから」

「殴って殴られて、笑って泣いて、最後はケロッとしてる。万事屋って組織はどこよりも単純で、簡単に解れない絆で結ばれた、この国の象徴さ」

「…じゃあ、私たちが止めることは出来ませんね。殴り合っているのに、とても楽しそうに笑って」

 

羨ましいなぁ、なんて続きそうになる言葉をマシュは慌てて止める。それを横目に士郎は笑った。

 

「銀時の戦いはこれから、なんだよな」

「………そうだ。アイツは記憶を消されて元の江戸に戻り、映画泥棒と出会うところからやり直す」

「そうか…。そっかぁ、俺たちのことを覚えてちゃ、また特異点が生まれかねないし。

俺たちは覚えてるってのに、勝手だよ」

「今更か。女々しいぞ、衛宮士郎。過干渉しようとも変えられないものがあると、そう教えた筈だ。

在るべき世界の、成すべき事には限度がある。銀時になら託せるから、ここまで俺たちは来れた」

 

そう、本当は納得しかねる事だが。俺たちの干渉は、銀時を5年前に送る直前までと決めていた。非情な決断と罵られるかもしれないし、なんだったら俺が言ったことだ。

ひとりで抱え込ませることは出来ない、と。

…忘れちゃいけない。俺の決意は、聖杯戦争までに留まらなければいけなかった。当人を蔑ろにして変わる運命なら、俺はその初期から関わっていなくちゃおかしい。そこに何も無いなら、正義の味方としても、1人の人間としても関わることは不可能だ。やってしまえば、特異点と何も変わらなくなってしまう。

 

最後に、泣いて笑い合う万事屋を見届けられた。

 

「────あぁ、これでいい」

「────ふん、それでいい」

 

地面に寝っ転がり、いつの間にか仲直りして、勝手に吹っ切れてやがる。

もういいのか、って聞いたら、全然って答えた。こりゃ何時間あっても足りゃしないな。

 

過去を取り戻す物語はこれにて終わり。

ここからは、二手に分かれなきゃいけない。

 

「僕たちも戻れるみたい。……銀時、頑張って。絶対に未来を取り戻して」

「皆さん、ありがとうございました。きっと、また何処かでお会いできます。お元気で」

 

ひと組は未来を取り戻すために。

 

「ここまで、だな。私たちも正史に引っ張られる。……さらばだ、銀時。全部終わったら顔を出せ」

「サヨナラ…はやめとくよ。何もかもを取り戻したら、俺たちはまた会える。だから、またな銀時」

「あぁ、必ず結末を伝えるさ。どんな手段を使ってでも、また会いに行く。なぁに、令呪が無くても大丈夫だ。一度交わした約束は死んでも守る、それが俺たち侍って生き物だからな」

「心配しなくても、この恩は必ず返すアル!」

「えぇ、この人が忘れても僕たちが覚えています。

別世界だろうと、引っ張って連れていきますから」

 

俺たちは、彼の帰る場所として在り続ける。

 

「ちょっくら原作に合流してくらあ」

 

そして坂田銀時は、いまを切り拓きに。

 

「次に会う時は、全部終わってからだ」

「────ああ!」

 

坂田銀時の宿した蠱毒は消えてはいない。英霊としての坂田銀時が決着をつけようとも、それは英霊の座に刻まれた坂田銀時の召喚にしか反映されないのだ。

これから、たまが坂田銀時を過去に送ることと、特異点の修復が同時に起こることで歴史が修正される。

 

正史との繋がりをアダムが断ち、人理焼却の無い世界へと戻り、そして銀時の本当の終わりが始まるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続きはこちらから

 

 

劇場版銀魂

完結篇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ、なんか出てきた。あれ、まだ終わってないみたいですよ皆さん」

「なにアルか。私そろそろ部屋着に着替えたいネ。新八あとやっとけヨ」

「そーだぞ新八。あんな終わり方しといて、あっそうですかって戻りに行けるかバカヤロウ」

 

「い、いやいやいや!!

「ほら、これ。万事屋よ永遠なれ

ちょっ銀さん、このリンクどこに繋がってるんですか。怖くて誰も押したがりませんよ」

「…ANI○LEXの公式サイトだな」

「なんでだよ。どうして場末の二次創作がA○IPLEXに媚び売ってるんですか。何も貰えませんよ?」

「FA○BOX然り、アフィリエイトの記事然り、こういうのは最後にな、原作の売り上げに繋げていくもんなんだよ。ほら、pi○ivで大人なもん見てっと、良い感じのところでラーメンマンがラーメン啜って邪魔してくんだろ。あれあれ。…はい、今ラーメンマンでムカついた心当たりのあるお前、もう作者の術中にハマりました。お前はもう立派な続編待機列に並ぶオタクです。これからも創作活動の活力を投げてあげなさい。

最初は渋々と支援して、次第に供給が増えていって、ドストライクな絵を拝む。そうして創作の有り難みを感じて俺たちは大人になるんだよ。分かったか」

「いやどんなダイマだアアアアアア‼︎‼︎‼︎」

「途中からFANB○Xのことしか語ってないネ。解約面倒だからダラダラ支援してる名誉ファンの代弁して映画の告知からズレてるアル。万事屋よ永遠なれのBlu-rayなんて今更誰も買わないネ、あんなんネトフリで330Pだし」

「そーだよ。完結篇観まくってるやつとか今じゃ殆ど居ないよ。作者だって1週間レンタルしたっきりだからね、魘魅同じセリフしか言ってないなってめっちゃ思ってるからね、書きにくいって愚痴ってたよ」

「結局お前もBlu-ray買ってないんかい!

ちょっとぉ!どうするんですか!? もう映画上映から10年以上経ってますよ、中途半端すぎてアピールするこじ付けもできないのに……。ちょっと、あれ、誰もいない?

えっ、嘘でしょ。皆んな先に帰っちゃった……。

 

お前らこんな最後でいいのかアアアアアアアアアアアア!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









「fate/SN GO」の連載開始から8年が経ちました。長編物語を完結まで書きたいと思い立ってから過ぎた年月で、この思いを叶えるのに必要な時間でした。
stay night編では59話、Grand Order編では66話も書いたんだよって。後者には真祖や死徒を織り交ぜて話を纏めたんだよって、8年前の私に言っても信じないでしょう。最初期はアーチャー側の冬木聖杯を壊す展開にするか、くらいに考えていましたから。
どっちもラスボスは魘魅ということで、完結篇を題材とした作品としてはこれ以上にない悪役です。ここだけは徹底しました、こいつはどんだけ殴ってもいい。
このあと、銀さんはもう一回魘魅を倒しに行くわけですが。そちらは映画を観返しましょうね。

他の連載が落ち着いた頃に、この作品をリメイクしたいなあと思ってましたが、ちょっと難しい問題です。作品を書くにあたって、都合よくキャラを改変したり、描写を用意出来なかった、若しくは用意する勇気がなかったものが多数あります。これらの問題、少しでも解消したいなぁという思いがありました。
どんな問題かと言いますと────
アーチャーの過去描写、圧倒的に少ない問題。設置した伏線未回収問題。イリヤがヒロインなのにイチャイチャ足りない問題。士郎もっとボケろ問題。慎二が綺麗すぎる問題。もっとレアルタ・ヌアっぽい文章にしたい問題。BAD END、DEAD ENDを公開出来なかった問題。士郎お前ヘラクレスの心臓適応しすぎ問題。冬木市の住民の被害が少ない気がする問題。
────などですね。
書き込めなかったことが申し訳ないです。

色々と書きたいことがあった気もしますが、各節ごとに後書きコメントをしていなかったので各節ごとの裏話諸々は忘れました。

fate風を吹かしてる文章でも、稚拙な構成でも、ここまで読んでくださった読者さま。
アナタに感謝を申し上げます。
幣作はこれで完結となります。
ただ、今は本編完結とします。
まだ設定集の投稿がぜんっぜん終わっていません。仁鉄すら間に合わない始末です。設定集を後書きに置きつつ、本文では衛宮士郎、藤丸立香のその後を1話ずつ投稿するつもりで、このあとにギャグ回を気が向いた時に更新していきますね。
設定集を出し切った時点で本当の完結です。

ですが!ひとまずは!本編完結!
ここまで来ることができたのは、読者の方々の感想や評価、お気に入り登録あってこそでした。長らくのご愛読、本当の本当に、心より感謝します。
また機会がありましたら、私の作品を読んでくださると幸いです。
8年間ものご愛読、ありがとうございました!


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