俺の意見を京楽さんが代弁してくれたお陰で、本当に部隊ごとに演習することになった。斬魄刀の使用は無論禁止、俺の言った通り、八十番台以上の鬼道も禁止となった。どちらかの部隊が全員戦闘不能になる、もしくは隊長か副隊長が降参すれば敗北との事だ。
ま、ここから先俺は関係ない。部隊から10人選抜という時点で、新入りの俺が選ばれる可能性は皆無だ。ここで砕蜂隊長のプライドが粉々になるまで叩き潰されてくれれば、少しは戦術というものの重要さを理解してくれるだろう。
さて、俺は勉強でもしようかな。
「メンバーは私と大前田と……と……と、あと北山でいく」
「おい待てど貧乳」
思わず素でキレかけた。あいつ今何つった?
「なんだ、北山」
「あの、俺って見習いって立場じゃなかったんですか。なんでスターティングメンバーに入ってんの?」
「ふむ、見習いだからこそこういう時に経験を積ませてやろうという、私の心優しい配慮だ」
おい、目が笑ってんぞ。完全に嫌がらせ目的だろこの野郎。
「いやいや、落ち着いてくださいクソチビ……砕蜂隊長。俺なんか出したところで」
「ゴタゴタと御託はいい。出ろ」
うわあ、自分の利益度外視で俺を潰しにきてる……このクソサディストが……。
「はぁ……」
深いため息が出た。
ー
「え?今度の実践型演習に⁉︎」
「2番隊の代表で北山くん出るのかい⁉︎」
「すごーい!さすが飛び級生だね北山くん!」
上から阿散井さん、吉良さん、雛森さんの台詞だ。残念だが、代表なんてそんな聞こえのいいものじゃない。隊長からの嫌がらせなんて言えるわけねー。
「嫌だ……出たくない……」
「? なんで?」
「危ないじゃないですか。怪我とか超怖いですし」
「ヘタレ……」
「お前なんで護廷十三隊に入ったんだよ」
雛森さんと阿散井さんに呆れられたが、怖いものは怖いんだから仕方ない。そもそも、死神になったのだってそんな何かを護りたいとかそんな願望があるからじゃなくて、虚とかいう化け物のいる世の中、他人を頼るより自分を強くした方が安全だと思ったからだ。
ある程度強くなったら、護廷十三隊なんてさっさとやめて流魂街でラーメン屋でも始めてやるぜ。
「ていうか、皆さんは出ないんですか?」
俺が聞くと、吉良さんが呆れたようにため息をついた。
「あのねぇ、隊長達にとって今回の演習は、勝てば他の隊長達より優位に立てて、自分達の部隊が優れていることを表明する良い機会なんだよ。そんなのに新入りの僕たちを出すと思うかい?」
ふむ、確かに。と、なるとうちの隊長は自分の部隊のアピールより部下への嫌がらせに使ったことになるな。本当にバカだなあいつ。
「あー……出たくない」
「なんでお前は出たくねぇんだよ」
「嫌だからですよ。うちのアホな隊長の指揮に従って負けるのが」
「アホって……よく言えるなお前」
「戦闘力が高いのは流石だけど、うちの隊長将棋鬼弱ぇんだよ」
「将棋?」
「というか、頭が全体的に緩い。中学生レベルの勉強も出来ねえんだから本当にヤバいと思う」
「あー……それは、なんつーか……」
「バカだろ?バカだろ?」
「良く自分の隊長をそこまで言えるね……」
「自分の隊長だからこそですよ。ていうか、むしろ俺は皆さんが羨ましいです。みんな一緒に五番隊なんて」
藍染隊長かぁ……羨ましいわ。なんか優し過ぎてちょっと不気味だけど。つーか、良く3人同じ場所に行ったな。一人だけ弾かれるとか最早見えない何かが働いてるのでは、とすら思ってる。
「まぁね。藍染隊長は優しいし、部下一人一人の名前も覚えてくれてるし」
「剣や鬼道の修行つけてくれるし」
「俺たちに付き合ってくれながら、しっかり自分の仕事もこなすし」
おい、待てそれ以上やめろ。すっごく羨ましくなるだろうが。てかもう羨ましくなってるわ。
「うちの隊長と交換しません?」
「いや無理でしょ」
「副隊長もつけるから」
「そういう問題じゃねーよ」
ですよね。
「とにかく、北山くんが演習に出るならあたし達も応援に行くから。頑張ってね」
「…………」
笑顔で言われてしまった。そうなると、こっちも手を抜くわけにもいかなくなる。
「……まぁ、やるだけやってみますよ」
とりあえず、そう言っておいた。
明日、七番隊と演習である。