ヴェンデッタの蟲   作:あーーaaa

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初回なんで短いです。すいません


第一章 死に逝くものを背負う者

…いくつもの声が聞こえてくる。何十人、いや何百何千の人間の悲鳴が。

子供を授かった女性は悲鳴を上げる。曰く『死にたくない』と。

 

成す術もなく逃げ出す子供は泣き叫ぶ。曰く『死にたくない』と。

 

満身創痍の男は叫ぶ。曰く『お前達だけでも逃げろ』と。

 

死んでいく、皆。数時間前まで笑っていた者が血を流し、あるものは原型を留めていないものもある。

 

彼らに逃げ場はない。彼らの暮らす場所は貧民層と呼ばれている。その貧民層は富裕層との間に巨大な壁がある。

 

街の貴族達は自分だけでも助かろうと貧民層と富裕層の間にある門を閉めたのだ。そう、貧民層の人達は見捨てられたのだ。この都市は今大量のモンスター(・・・・・)が流れ込んでいるのだ。引き裂かれ、食いちぎられ、泣き叫ぶ者たちを自分達から隔離した。

 

後に語られるモンスターの大行進、<大災害>は凡そ二十万人の死者を出した。

 

そもそも高レベルの衛兵を殺せるほどの戦闘能力を持つモンスターに一般市民が勝てるわけがない。

 

彼らはそれを理解した。した上で貧民層の人々を犠牲にした。

 

約二十万人の死者を出した<大災害>で生き延びた者はいないとされていた。だがそれは間違いだ生き延びた者はいる。片手でたるほど極僅かだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一章 【死に逝くものを背負う者】

 

幼い少年は走り続ける。自分と同じほどの少女の手を引いて。少年の左腕は肘から下はない。すでにモンスターに食いちぎられた。

 

だが自分の腕一本よりも隣を走る少女のほうが大切だ。守らなければならない。そう心に決めながら走り続ける。

 

「レイ!アイザックとヒィアナは!?」

 

「わからない。でもあいつらは恐らく生きてる。多分だけど地下にいると思う。だから生きるんだよ!生きてかえるためにも早く逃げろ!」

 

「で、でも、もう足が…」

 

「…っ!!(どうすればいい。どうしたら逃げ切れーーーー

 

少年の不注意だった。今や貧民層はモンスターで埋もれている。故にモンスターが後ろからだけではなく横や前、上からや下からなどから攻撃してくることもあり得る。だが、まだ幼い少年には気付けなかった。

 

突然地面が割れ、横からモンスターが出てくる。

 

「っ!?」

 

「レイ!」

 

「っち!…エメラダ、あの二人をーーーーーーーー

 

少年が言い切る前に地面から表れたモンスター<トロゴ・ワーム>はその細長いまるで花弁の様な口を開けてレイと呼ばれた少年を飲み込もうとする。が

 

「だめぇっ!」

 

少女に押し飛ばされ少年()助かる。だが、押し飛ばした少女は別だ。<トロゴ・ワーム>は少女を飲み込む。

 

「レイ……。」

 

口からエメラダの血が吹き出る。そしてその口からもれていた少女の肘から下の左腕が地面に落ちる。

 

「あ、ああ、」

 

ボトリと落ちたエメラダの左腕を見てレイは呆然となる。

 

(なんで。なんで!僕のせいで、僕が弱いから!何も出来ないから!死んだ?死んだんだ。エメラダは、僕のせいで!)

 

落ちたエメラダの手を掴み、モンスターに背を向けて走り出す。

 

(僕が弱いから!何も出来なかった。僕は弱い。だから、)

 

()は絶対に強くなってやる!」

 

死んだ者の骸を背負い、少年は涙を流しながら走り出した。

 

もう、何も失わないために。

 

 

 

 

 




質問や要望があればお知らせ下さい。
後、魔道具や武器、モンスター名など思いついたものがあればお送り下さい。
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