『俺は絶対に強くなってやる!』
「………。」
朝だ。何時ものようにあの過去の悪夢から目が覚めて、起き上がろうとするが、自分の体の上に何かが乗っている。赤い髪の少女だ。もしこれがいつも通りなら左右にもいるだろう。
首を動かして左右を見ると案の定右には青い髪の少女、左には黄の髪の少女が張り付いている。これもいつもの光景だ。この三つ子の姉妹は気がついたら自分の布団に潜り込んでいた。やめろと言ってもやめないので部屋に鍵をしても解錠され潜り込んでくる。案外
そんなことを考えながら無理やり起き上がる。レイの上に乗っていた赤髮の少女は転げ落ちて顔面を床に強打する。
「ふぎゅっ!?」
「んあ?」
「ん、んん。」
横にいた少女達もどうやら起きたようだ。正直アイザックらへんに見つかるとめんどくさいので早めに退いてほしい。まだ寝ぼけ眼の彼女達をどけて立ち上がろうとする。そのとき、いつも見てしまう。自分の左腕と右腕を。
自分の目に映ったのはただの自分の右腕とまるで
自分の部屋から出て、(あの馬鹿三人娘達は勿論置いてきた)食堂へと向かうとこの派閥の古参のメンバーであり、幼い頃から一緒だった赤髮で長身の青年、アイザックに声をかけられる。
「よお。レイ、ちゃんと寝られたか?」
アイザックはニヤニヤしながらそんなことを聞いてきた。
「あ?そんなの勿論どっかの馬鹿三人娘達のせいで浅くしか眠れなかったわ。」
「クックックッ。やーーーっぱりか。好かれたもんだなぁ。お?」
「あんな求愛行動いろんな意味で重すぎるわ。」
極当たり前になっているアイザックとの朝の会話をしていると後ろから先程の三人の少女達がぬ~~っと出てくる。
「む~~。それって体がって事ですか?」
「ん?そうだけど?何か?」
「「「ぐふうぅっ」」」
レイの発言に三人は体をくの字に曲げて大ダメージを受ける。
「はぁ。よーしゃねえな。」
「は?体が重いのは当たり前だろう?」
「「「グハァッ!?」」」
重たいと言われるのは年頃の女子にはなかなかにクるものがあるのだ。痛恨の大ダメージを受けた三人娘は川の字になりながらビクンビクンと震えている。まあ、今はどうでもいいので無視をする。
『やっぱり団長は団長だ。』
この食堂にいる十数人の心がひとつになる。これも毎朝のことなのだ、やっていてよくもまあ飽きないものだ。これが元貧民層、北の街ノーステイアにある、とある訳あり派閥の毎朝だ。
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朝食を食べ終わった後、レイとアイザックは二人で街を歩いていた。
といっても歩いている場所はノーステイアではなく、東の街、イーストテイアだが。
「あっ!アイザック!レイ!こっちだよ!」
そう言って遠くから話しかけてくる女の人の声が聞こえたためレイとアイザックはそちらへと向き、その声の発生源である女性のすがたを確認すると、そちらへと向かう。
「ヒィアナ、悪い。朝早くから。」
「ううん。いいよ、別に。どうせレイが朝に弱いのは分かってるし。」
「だってよ。」
「なんも言えねぇ。」
そう言って三人で喋りながら目の前にある巨大な建物、<東領派閥統合機関>へと入っていく。
少し進んで一般人立ち入り禁止と書かれた文字盤と上級冒険者と思わしき衛兵が立っている場所へとたどり着く。
「ここから先は立ち入り禁止エリアです。通行許可書を提示してください。」
「レイ、ちゃんと持ってきてる?」
「分かってるヒィアナ。ほら、これでいいか?」
そう言い、レイが提示した許可書を見ると衛兵は青白く光る文字盤に軽く当てる。そうすると、文字盤が赤くなりその光が許可書に当たると許可書の空いているすみに『三』と刻まれた。
「<東領派閥統合機関>発行の立ち入り禁止エリアへの通行許可書を承りました。三番の会議室でございます。」
「ありがとう。」
ヒィアナが微笑みながら言うと衛兵は照れ隠しするかの様に頭を掻く。ヒィアナはかなりの美女で男性冒険者に人気であり、ファンクラブまである。らしい。この衛兵もヒィアナのことを知っているのだろうか。まあ自分達を知らない人間の方が少ないと思うが。
「はぁ、これまた面倒な依頼だよなぁ。」
「まあ統合機関直々の依頼だからね。断るに断れないよ。」
少し歩いて三番の会議室に入ると周りから奇異の視線が殺到する。彼らをみた召集されていた上級冒険者はガヤガヤと先程訪れた一瞬の静寂が忘れ去られ、うるさいぐらいに騒ぎ出す。
まあこれもいつものことだ。ここに来るまでにも同じような視線を送られていたため正直どうでもいい。いっそのことここで黙らせてもいいのだがそんなことをすれば罰金になるのでやりはしない。
<東領派閥統合機関>に集められた腕利きの冒険者。もう少しで訪れるこの街の崩壊を防ぐため、彼らは結託する。かもしれない。
要望があれば教えてください