ガールズ&パンツァー 逸見エリカの苦労日誌   作:まもる

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サンダース戦 淡く儚い夢の続き

 

 一回戦の準備が終えた翌日、私は師範代モードの愛里寿がティーガーⅡに一緒に乗り込みワニさんチームの強化訓練を受けていたのだ。

 

 「小山さん、もっと履帯を滑らして!雪上だからまだ滑るわよ!」

 

 「はい!やってみます!」

 

 「河嶋さん、連続射撃行くわよ!装填急ぎなさい!」

 

 「装填が遅い・・・」

 

 やはり、凡人である私に島田流の技であるバミューダトライアングルや辻斬り、忍者殺法は難しいのだろうか?

 

 既に、みほのあんこうチームと愛里寿のレオポンチームは辻斬りや愛里寿の忍者殺法を修得していた。

 

 それは、麻子の天才的なドライビングセンスに、華さんの高い集中力から来る小梅並の命中率、それを地で支える沙織の素人離れした通信能力と連続射撃が可能な優花里の高い装填手としての腕前らが上手く合わさり、みほの高い指揮能力が存分に発揮できる環境だった。

 

 正に、天才には天才が集まるのを具現化したチームだった。

 

 でも、私はみほには負けない物がある。

 

 いくら、打ちのめされても立ち上がる雑草魂と、ただ、ひたすらに努力を続けて、使える物はどんな物でも自分の物にできる器用さだった。小梅は逆に目の良さと計算能力の高さから高い命中率を叩き出している。

 

 だけど、愛里寿はこのワニさんチームには懐疑的だった。

 

 今日の訓練後にとうとう言われたのだ。

 

 「角谷さん、河嶋さん二人とも適性検査で高い砲手の適性があるのに何故、砲手をしないの?」

 

 杏さんは笑いながら答える。それを、聴いて開いた口が塞がらない愛里寿。

 

 「だって、面倒じゃん」

 

 「なっ・・・・」

 

 河嶋さんの場合は違った。

 

 「それと、その眼鏡はふざけてる?適性が高いのにそんな眼鏡のせいで当たらないのはもったいないし、装填手の才能は皆無。今からでも砲手に転向して」

 

 「こっ、これは参謀に見えるから・・・・」

 

 「参謀役は既にエリカと私がいるから必要ない。河嶋さんには師範代として言うけど、自分の目に合った眼鏡を新調してきて」

 

 何故、愛里寿の立場が高いのかは元西住流だった私とみほに小梅の三人は答えを出していないが他の戦車道の生徒は島田流の門下生扱いになっているのだ。それは、杏さんが強権発動(生徒会権限)を連発している事と学園長が娘のやり方に困っていることを聞いた島田師範の計らいで、家元から娘への資金援助を理由の他に島田流家元が後ろ盾になる条件が大洗の戦車道の生徒は島田流の門下生になる事だった。

 

 そんな好条件に強力な後ろ盾を喉から欲していた杏会長は承諾したのだ。

 

 それを機に愛里寿は正式に家元の島田師範から師範代を言い渡されたのだ。

 

 「桃ちゃん仕方ないよ」

 

 と小山さんが慰めるが、結局、人数の関係からこの件はうやむやになる。

 

 

 今、学園艦は北緯50度を過ぎており、試合会場へは港から直通の鉄道で内陸に入ったところにある。

 

 そのために、ティーガーⅡを使用しているから急がないといけない。サイドアーマーを外して履帯を鉄道輸送用に換えて会場に輸送をしないといけない。そして、会場では逆の作業があるのだ。

 

 そして、会場へ着くと貨物列車からティーガーⅡを二両、パンターF型を三両、Ⅳ号戦車F2型、ヘッツァー、Ⅲ号突撃砲が順次に降りて行き、ティーガーⅡ二両をガレージに入れて履帯の交換作業を板野達率いる整備班と作業していたのだ。

 

 「へぇ、初出場の大洗にしてはパンターが三両にオンボロ戦車が三両の六両でサンダースとやり合うの?金持ちのこちらにはパーシングがあるのよ!直ぐに、潰してやるわ!」

 

 どうやら、騒いで挑発しているサンダースの生徒はガレージの外にある車両が全部だと思っているらしい。

 

 「西住隊長、逸見副隊長、ティーガーⅡの履帯の交換作業が終わりました!」

 

 「板野、悪いわね」

 

 「板野さん、ありがとう」

 

 「いえ、いえ。みんなぁ!戦車がガレージから出るよ!」

 

 ティーガーⅡの周りに置かれた工具が片付けられティーガーⅡをガレージから出したのだ。

 

 「そこのあんた、誰が六両だけと言ったのかな?」

 

 「えっ?きっ、キングタイガー!?しかも、二両も!?サンダースにそんな情報はないわよ!」

 

 私の一言に慌てふためく、サンダースの生徒だった。そして、もう一人は杏さんに挨拶に来ていたのだ。

 

 「Hey!アンジー!」

 

 「やぁ、ケイじゃないか」

 

 「大洗との試合前に挨拶に来たわよ。親睦会を含めて暖かい物あるわ。みんなも楽しんでね。これも、レッツ、戦車道!じゃあ、試合で会いましょ」

 

 ケイは手を振りながらアリサを連れて自分達のガレージに戻ったのだ。

 

 私達は試合前のミーティングで会場を見ながら地図を確認すると、私もみほ、愛里寿も絶句したのだ。

 

 「なっ、何よ!この会場!」

 

 「これ・・・」

 

 「厳しい戦いになる・・・・」

 

 私が見た地図は、中央には町を囲む様に川もあり、町の周りには針葉樹林や雪原が広がるマップだったのだ。

 

 それは、実史でのレーニングラードの戦いを思わせる様な試合会場だったのだ。

 

 町を取り、守備陣地を構築すれば要塞になるが、逆に包囲されたら非常に危険である。しかし、相手に町を取られれば逆も有り得る。高い戦略眼がないと苦戦する会場だったのだ。

 

 「こんなの、プロリーグで使う様な会場・・・・なんで?」

 

 愛里寿が呟いていたのだ

 

 こんな事なら、シュトルムティーガーかブルムベアーを持って来れば良かったが後の祭りだった。でも、今は後悔よりもサンダースにどう勝つかだった。

 

 「みほ、どうする?私なら町を取りたいけど包囲されたら・・・・」

 

 「逆に針葉樹林を抜けながら町を迂回して奇襲する手もある」

 

 私と愛里寿の提案に考えるみほはまさかの判断をしたのだ。

 

 「なら、二つとも取りに行きましょう。フラッグ車のあひるさんチームはレオポンチーム、うさぎさんチームのパンター中心のチームとかばさんチーム、へびさんチームは町に向かい、奇襲をかける私のあんこうチーム、ワニさんチーム、かめさんチームに別れます。慣れない雪上での戦闘となりますが頑張りましょう」

 

 確かに、フラッグ車は町に隠れながら守ればやれるし、町の周りは川もある。しかも、町に入るには二つの石橋をどちらかを渡らないといけない。最悪、片方の石橋を落とせば強固な要塞になる。愛里寿を向かわせたのは変幻自在の戦いができるからこその人選だったし、孤立しても愛里寿の指揮なら大丈夫とのみほの判断だった。それに、師範代での愛里寿の姿はテレビで見る姿は凛とした姿そのものだったからだろう。

 

 

 ミーティングも終わり、私と隊長のみほは試合の挨拶の為、審判を挟みサンダースの隊長ケイが来ていた。

 

 「あなたは、確か西住流の・・・・」

 

 「はい、西住みほです」

 

 「私も入れて、元だけどね」

 

 「あなたは・・・えっ?黒森峰の・・・・」

 

 「今は、大洗女子学園戦車道の副隊長、逸見エリカよ」

 

 「じゃあ、正々堂々とやりましょ」

 

 「一同、礼」

 

 「「「「お願いします」」」」

 

 こうして、サンダース戦が始まったのだ。

 

 私達がスタート地点に戻り、戦車に乗り込むとみほが一斉に指示を出したのだ。

 

 『これでは、ミーティング通りにお願いします。パンツァーフォー!』

 

 

 愛里寿達のパンター三両とヘッツァー、Ⅲ号突撃砲の五両は町に向かい、私達のティーガーⅡ二両とⅣ号戦車は針葉樹林を抜けて奇襲する為に町を迂回して針葉樹林へと向かったのだ。

 

 そして、私は聴いてしまったのだ。

 

 その歌声は久しぶりに聞くかもしれないが、歌う姿が雪と木漏れ日の光に照らされて、何とも言えない美しさを出していたのだ。

 

 「嵐も雪も 太陽蝶々たる 灼熱の日も 身を切る極寒の夜も 顔が埃に塗れようとも・・・・」

 

 「美しい・・・」

 

 思わず呟いてしまったが、それは黒森峰でよく歌われたパンツァーリートだった。

 

 私もみほにつられる様に口ずさんでいたのだ。

 

 「「陽気なる我等が心・・・」」

 

 気付けば、小梅も内法も藤木も歌っていたのだ。

 

 「「「「「然り、我等が心・・・・・」」」」」

 

 私は今まで、想像してはいけないと思っていたが想像していたのだ。

 

 

 黒森峰のパンツァージャケットを纏い、副隊長であるみほのティーガーに一緒に乗員として乗り込み勝利を掴む、叶えられない儚い夢を・・・・・

 

 もちろん、砲手は小梅で操縦手は内法、無線手は藤木、装填手は私でだ。

 

 そして、みほのパンツァーリートを聞くと、楽しかったあの頃を思い出して心が踊るのだ。

 

 勝利を掴めと・・・・

 

 

 奇襲予定地点に着いたが主力も居なくなっており、履帯の跡だけが残っていた。愛里寿から無線で町の奪取に成功しており、防御陣地を構築して待ち伏せの準備をさせていたのだ。

 

 『全車、停止!』

 

 みほが何かに気づき、停止命令に私のティーガーⅡも足を止める。

 

 私はキュポラーから身を乗りだし、手合い図でみほに聞く。

 

 (どうしたのよ?)

 

 (エリカさん、空を見上げて下さい)

 

 私が見たのは無線傍受の気球だった。かつてのサンダースの常套手段で直線距離で約3500mはある、だが、ケイが隊長になってからは見なくなったが。後ろの内法にも手合い図で内法だけ来るように送り、みほのティーガーⅡに行ったのだ。

 

 「あれは、無線傍受機じゃないですか」

 

 驚きを隠せない内法。

 

 「はい、無線傍受機です。まさかと思いましたが沙織さんが愛里寿ちゃんのパンターにメールで確認したら町の方に主力が集まっているようです」

 

 「えっ?メールって、まさか・・・・」

 

 「通話はダメですが、メールなら大丈夫です」

 

 「みほどうすんの?」

 

 「一応、町の正面の橋は愛里寿ちゃんが落としたのでしばらくは大丈夫です。回り込もうとしているサンダースの小隊を側面から攻撃して撃滅します」

 

 「わかったわ。でも、私はあの無線傍受機の車両だけは血祭りに上げて来るわ。内法はみほの護衛を頼んだわよ」

 

 「逸見さんに任されたよ」

 

 「それでは、内法さん行きましょう」

 

 私はみほと別れ、無線傍受をしている車両を血祭りに上げに向かったのだ。

 

 

 

 

 

 私も今日だけはケイの車両の砲手として一緒にパーシングに乗り込み、アリサの無線を聴き主力を引き連れて町に向かったが既に大洗に制圧されていたが、異様な空気に勘が働いていたのだ。

 

 「ケイ、あの町からなんかヤバイ空気を感じるが気のせいか?」

 

 「ナオミ、気のせいじゃないの?」

 

 「町を制圧のやり方は流石は西住流の電撃戦だが、うちらが来るのがわかった途端に守備に転換した。その意味わかるかケイ?」

 

 「No.way!」

 

 『こちら、六号車です。町、正面の石橋がパンターに落とされました!えっ、なんで?あの生徒、歌いながら・・・・ジーザス!?砲がこっちに向いた!?キャァァァァ!?やられました』

 

 どうやら、町にはとんでもない化け物がいるらしい。射程外から双眼鏡で覗くとパンターから身を乗りだし周りを見渡す生徒がいたのだ。

 

 「ケイ、パンターの車長の顔に見覚えない?私、テレビで見覚えがあるわね・・・・」

 

 「歌いながらで何となく・・・・」

 

 私とケイは同時に言って見たのだ。

 

 「「島田流の島田愛里寿」」

 

 島田流の島田愛里寿が大洗に居たのだ。だが、普通は有り得ないのだ。島田流の島田愛里寿が西住流の電撃戦を使って来る事自体が・・・・・

 

 まさか・・・・・

 

 そんな時だった。

 

 『フラッグ車のアリサです!見つかりました!』

 

 「「はっ、はぁぁぁぁ!?」」

 

 ハモり、驚く私とケイの二人。

 

 アリサのパーシングが見つかった?

 

 何故?

 

 ケイはアリサに聞き出さしたのだ。

 

 「アリサ、どうして見付かったの?」

 

 「どうやら、無線傍受機を上げていたらそれを目印にされた様で・・・・」

 

 無線傍受機!?

 

 「Shut up!お説教は後よ!さっさと逃げなさい!」

 

 『イエスマ厶!』

 

 私はアリサに半分呆れながらもアリサを助けに向かう事になったのだ。

 

 

 

 

 

 私は試合開始と同時に針葉樹林に隠れながら、大洗の無線傍受をしてた。

 

 「なんで、無線傍受できないのよ?」

 

 「知りませんよ!」

 

 「っん?ちょっと、待ちなさい?」

 

 『ザッ・・・ザザ・・・・こちら、かめさんチーム南石橋に配置・・・・』

 

 どうやら、大洗は町に入ったらしい。

 

 「隊長、大洗が町に入ったようです」

 

 『アリサ、わかったわ。包囲して叩くわよ!」

 

 だけど、それを最後に大洗からの無線が聞こえなくなったのだ。

 

 あれから、30分が過ぎただろうか?

 

 バッキィ・・・バキィバキィ・・・・

 

 「うるさいわね・・・・」

 

 しばらくして、外が騒がしくなったのに気付き、キュポラーから頭を出すと私は一番見たくない物を見てしまったのだ。

 

 昔のご先祖様も戦場では同じ気持ちだっただろうか?

 

 そう、私が見たのはキングタイガーのキューポラから身を乗りだした白銀の髪の生徒。

 

 朝、私をコケにした大洗の副隊長の逸見エリカだった。

 

 「見付けたわよ!この、盗聴魔!」

 

 「見付かったわよ!急いで前進!」

 

 「イエッサー!」

 

 「誰が盗聴魔よ!」

 

 パーシングは全速力でキングタイガーから逃げ出したのだ。運よく急発進した事でキングタイガーからの砲撃を交わしたのだ。私達がいた場所は虚しく雪が爆炎で舞い、キングタイガーも私達を追撃して来たのだ。

 

 向こうからも、叫び声が聞こえてくる。

 

 「あなた以外誰がいるのよ!」

 

 私は逸見の叫び声を無視しつつ、直ぐに隊長のケイ隊長に無線を入れたのだ。

 

 「フラッグ車のアリサです。見つかりました!」

 

 『どうして、見つかったの?』

 

 正直、言いたくなかった。

 

 フェアプレーを好むケイ隊長は多分、いや、絶対に怒るだろう。

 

 「どうやら、無線傍受機を上げていたらそれを目印に・・・・・」

 

 『Shut up!お説教は後よ!さっさと逃げなさい!』

 

 「イエスマ厶!」

 

 ケイ隊長から無線を切られるとキングタイガーからの砲撃が激化していた。

 

 「さっさと、反撃しなさいよ!パーシングは大丈夫よ!なにせ、虎を狩るために作られたのよ!シャーマンの強化版なのよ!シャーマンより強力な90ミリ砲搭載なのよ!」

 

 「90ミリ砲が弾かれてる段階で効いてないですよ!」

 

 「うるさい、うるさい!効いてないならジグザグに逃げるわよ!」

 

 何故か、積んで在ったハンドスピーカーが在ったのだ。多分、訓練で使ったままだったのだろう。こうなったら、あいつに八つ当たりしてやる・・・・

 

 私は再び、キューポラから身を乗り出すと叫んでやったのだ。

 

 「さっきから、盗聴魔ってうるさいわよ!この、金魚のふんが!」

 

 だけど、逸見エリカは地声で叫んでいたのだ。

 

 「別に気にしてないわよ!まさかだと思いたいけど、彼氏にも盗聴しているんじゃないの?」

 

 何故、タカシの事を?

 

 「告白してないのに出来ないわよ!あんたなんかにタカシの事知らないくせに!」

 

 

 

 口撃と砲撃の応酬にパーシングとキングタイガーとの追いかけっこ。

 

 誰がこんな展開を予想するだろうか?

 

 エリカはアリサを罵りつつみほを自慢し、アリサは悔しがるようにタカシの事で叫び、小梅とパーシングの砲手は主砲を撃ち合ったのだ。

 

 この試合を見ていた、ある人物はエリカのみほの自慢話しを聞き、妹に未だにやって貰った事のないシチュエーション(内容は伏せます)だっただけに隊長室で荒れ狂って

 

 「ラーテを使わせろ!今すぐ、エリカを消し炭にしてやる!」

 

 「誰か!隊長をとめろ!ラーテは駄目です!レギュレーション違反で使えませんよ!」

 

 「いや、その前にラーテは持ってないですよ!」

 

 と荒れたらしい。

 

 あと、もう一人はダージリンだった。

 

 ダージリンはこの鬼ごっこの終始を見ており、お腹を抱えて笑っていたらしい。

 

 

 試合はエリカさんのティーガーⅡとパーシングとの長い鬼ごっこの途中で、パーシングがスリップして針葉樹に激突して雪に埋もれたところを撃破したのだ。

 

 『フラッグ車、走行不能!よって、県立大洗女子学園の勝利!』

 

 この試合終了後に両校の隊長は握手しながら大爆笑したのだった。

 

 この珍試合は違う意味で記録に残ったのだ。

 

 

 

 試合が終わり、部屋に戻ると疲れたのかみほも小梅も愛里寿、そして私も眠るのが早かった。

 

 久しぶりに夢を見たのだ。

 

 目の前にあるのはダークイエローで塗装された黒森峰のティーガーⅡだった。私の服装も黒森峰のパンツァージャケットを纏い、誰かを待って居たのだ。

 

 ティーガーⅡを撫でながら待つと後ろから来たのは黒森峰のパンツァージャケット姿のみほだった。

 

 「エリカさんお待たせしました。さぁ、行きましょう」

 

 「えっ?何処に行くのよ?」

 

 「エリカさんこれから試合ですよ。私の副隊長車の装填手なんですから」

 

 そうか。

 

 私は試合中に想像していたあの夢の続きだった。

 

 ティーガーⅡの中には操縦席に内法が座り、無線席に藤木が、砲手に小梅が居たのだ。

 

 「ちょっと、待ちなさいよ!私達、事故で・・・・」

 

 「事故?そうだったね。私達は転校したんだよね?」

 

 風景が代わり、黒森峰のティーガーⅡは大洗のティーガーⅡポルシェ砲塔に代わっていたのだ。

 

 みほも黒森峰のパンツァージャケットから大洗のパンツァージャケットに代わっていたのだ。

 

 もちろん、私もだ。

 

 「全く、二人揃って学校を間違えているんじゃないわよ」

 

 「そうですね。私は今が大洗の隊長で」

 

 「私は副隊長よ」

 

 それがとても可笑しくて、悲しくて、なんて表現しらたら良いのかわからない気持ち。

 

 でも、今は二人揃って笑っていたのだ。

 

 「全く、私まで間違えたじゃない!」

 

 みほ顔が近づき、みほは言ったのだ。

 

 「だって、エリカさんは私の側にいてくれるんだよね?」

 

 その距離はキスが出来るほど近かった。

 

 「当たり前でしょ!」

 

 「エリカさん大好き!」

 

 みほは私にそう、言った後に・・・・

 

 

 

 目が覚めたのだ。

 

 隣ではみほも起きたようだった。

 

 「エリカさん、久しぶりに夢を見たら目が覚めちゃった・・・」

 

 どんな夢だったんだろう

 

 「どんな夢を見たのよ?」

 

 「あのね、実はあの事故が起きなくて、二年生になった私が黒森峰に居て、車両もティーガーⅡでメンバーも小梅ちゃんや内法さん、藤木さん、エリカさんが居たの。隊長はお姉ちゃんで私が副隊長のままだったんだ。。それで、エリカさんも私も学校を間違えているのに気付いたらね、ティーガーⅡが私が使っている大洗のパンツァージャケットに代わっていたんだ。二人で笑っていたの。不安になって、私はエリカさんに聞いたの。側に居てくれるだよねって。そうしたら、当たり前だって怒られたけど・・・・・」

 

 全く同じ夢を見ていたのだ。

 

 「ねぇ、エリカさんは私の側に居てくれるよね?」

 

 みほは私に近付き、顔と顔の距離は10センチも無かった。

 

 私も正直になろう。

 

 ツンツンして隠すのは辞めよう。

 

 「当たり前でしょ。だって、私が大好きなみほから離れるわけがないわよ。だから・・・・っん-・・・」

 

 私からみほにキスをしたのだ。

 

 みほの唇は柔らかくて、暖かくて・・・・・

 

 その唇の味は甘酸っぱくて・・・・・

 

 唇を離すとみほはニッコリと顔を紅くしながら笑っていた。

 

 「エリカさん・・・・私もエリカさんが大好き・・・・・」

 

 そのまま、抱き合う様に眠りに着いたのだ。

 

 そして、小梅が起こしに来るまで眠って居たのは、別の話・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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