ガールズ&パンツァー 逸見エリカの苦労日誌   作:まもる

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強化合宿 ぶつかり合う天才?

 

 地獄の強化合宿も四日が過ぎ、今日も午前中の基礎訓練も終わり午後から四対四の紅白戦だった。

 

 チームはみほのあんこうチーム、ダージリン率いる隊長車のメンバー、私のワニさんチームに内法と藤木が混ざる混合チームにそして、楓が率いる隊長車のメンバーだった。対するチームは愛里寿のレオポンチーム、リクリリが乗るセンチュリオンのメンバー、ローズヒップが乗るコメットのメンバー、付属中のメンバーと別れて行ったのだ。

 

 私達がくじ引きで貸し出された戦車はⅣ号戦車G型が四両の編成に対し、愛里寿達はクロムウェル巡航戦車Mk.Ⅲが四両の編成だった。

 

 「エリカさん、ダージリンさんごめんなさい。Ⅳ号戦車しか引けなかった・・・・」

 

 「G型なだけマシよ」

 

 「そうよ。落ち込む事はないわ。昨日の紅白戦はわたくしが引いたくじのせいで、カヴェナンターで試合開始30分で会敵する前に全員が茹で上がったですのよ。Ⅳ号戦車だなんて天国ですわ」

 

 ダージリンの言う通り、昨日の紅白戦は最悪の一言だった。

 

 昨日は、ダージリンがくじ引きを行い巡航戦車カヴェナンターを引いたのだ。愛里寿は運が良いのかT-34/76を引いている。そして、試合開始30分後には全員がラジエーターの配管の廃熱で茹で上がり会敵する前に手動で白旗を上げたのだ。

 

 「それを、あんたが言う!」

 

 「あの・・・・それを言ったら、エリカ先輩もですよね?」

 

 「うぐぅ!?まさか、楓に言われるなんて・・・・」

 

 確かに、一昨日のくじは私が引いたのだが。そして、引き当てたのはⅡ号戦車L型ルクスだった。この時だけは愛里寿はチハ新砲塔を引き当てている。

 

 「でも、Ⅱ号戦車でチハ相手なら20ミリ機関砲でエンジンルームが撃ちぬけます。要は腕と戦術次第でしたが、愛里寿ちゃんを何とかしないとキツイのが現状です」

 

 「でも、西住先輩。実際は負けましたよ?」

 

 「はぅぅぅ」

 

 「楓さん、みほさんを萎縮させるなんておやりになりますわね」

 

 「ダージリン先輩も優雅にやり過ぎです。もっと、アグレッシブに攻めても?」

 

 「楓さん、こんな言葉知ってる?」

 

 「はい?」

 

 「それが、聖グロリアーナ女学院だからよ」

 

 「意味が分かりません」

 

 「うっぐぅ・・・・」

 

 ダージリンをあっさり黙らせるなんて、楓は中々やるようだった。正直、私達が卒業した後の隊長候補の澤が心配になる。本来なら愛里寿に隊長をやってもらうはずだったが、愛里寿は副隊長のままが良いとの事で澤が隊長候補になったのだ。今は戦車道の授業の後にみほや愛里寿が教えていた。

 

 それより・・・・

 

 「みほ、クロムウェルの速度は速いから振り回されない様な作戦はあるの?」

 

 「う~ん、愛里寿ちゃんには作戦が全て看破されてるからね・・・・でも、手はあります。森に逃げ込み、クロムウェルの速度を出させない様にさせるしかないです。後は速度が落ちた所を狙い撃ちましょう」

 

 「浸透戦術も使えなそうですわね。Ⅳ号戦車の装甲ですとクロムウェルの6ポンド砲の餌食になりますわね」

 

 「ダージリンはまた真っ先にやられたい?また、負けてパンターの履帯抱えて走りたい?」

 

 「それは・・・さすがに二日連続は嫌ですわね・・・・・」

 

 事実、二日連続でパンターの履帯を抱えてのランニングコースだった。力の無い麻子は筋肉痛に悩み、内法は「何故、パンターの履帯なのよ!」と半狂乱気味に叫んでいたのだ。

 

 「なら、先輩方。私が囮をやって引き連れるのはどうかな?伊達にタンカスロンで荒稼・・・コホン・・・引っ掻き回すのは得意よ」

 

 「ねぇ、楓?今、荒稼ぎと言わなかった?」

 

 「きっ、気のせいよ!ただ、38(t)A型を後、四両買うためよ!」

 

 「言っているわね?」

 

 「楓ちゃん、付属中に何両在るのかな?」

 

 「今は十二両かな。38(t)A型じゃないと出られないし、黒森峰付属中と黒森峰女学院をこてんぱんに出来ないしさ」

 

 どおりで大洗女子が黒森峰に目の敵にされたかと納得したが、多分、理由は他にも在るんだと思う。それにしても、付属中も黒森峰も学園に迷惑をかけない様に違うチームネームで出ているみたいだが大洗女子付属中にタンカスロンでこてんぱんにやられてるって・・・・・・・

 

 まほさんが知ったら卒倒ものよね。

 

 でも、今のままさんにはそんな事は関係ない。

 

 あるのは、勝つことのみ。

 

 だけど、まほさんは・・・・・・

 

 それよりも今は紅白戦だ。

 

 愛里寿以外は倒せるだろう。

 

 しかし、本当の天才に勝てるのだろうか?

 

 私はただの凡人

 

 出来る事は・・・・・・・

 

 噛み付くのみよ。

 

 鋭く鋭利な牙で噛み付き

 

 ただ、食い散らかすのみ。

 

 そう、狂犬のように・・・・・・

 

 私達はⅣ号戦車に乗り込み紅白戦が始まった。

 

 私達は楓と別れ、一路ポイント568の森林地帯へと急ぎ、三両は草木などで偽装を施して森林に隠れたのだ。そして、無線越しに会話を始めたのだが・・・・・・

 

 「みほ、愛里寿が掛かると思う?」

 

 「分かりませんが、あれをやらせない為には森林地帯しかないです。ですが、こちらも動きが制限されますがやるしかないです」

 

 「そうね。愛里寿さんのあれは、たとえブラックプリンスでもチャーチルでも危険ですわね。今日は優雅にと行きたいですが、久しぶりにアグレッシブに行きましょうか。ペコ、わたくしに一杯貰えるかしら?」

 

 『はい、ダージリン様』

 

 まさか、オレンジペコはあれをやるのだろうか?しかも、紅白戦の最中に・・・・

 

 「えッ?・・・・・頂くわ。ずっ、ズズズ・・・・」

 

 麺を啜る音。

 

 やっぱり、オレンジペコはやったようだった。

 

 「ペコ、鳥ガラと程よく効いた鰹出汁に合わせ醤油の風味・・・・青竹での平打ちのちぢれ麺・・・・ローズポークのバラで丁寧にお作りになったチャーシュー・・・・美味しいラーメン、癖になりますわね」

 

 『えッ!そんな!?』

 

 どうやら、ダージリンが上手だったらしい。無線越しに美味しそうにラーメンを食べるダージリン。オレンジペコに醤油ラーメンを作らされたかいはある。

 

 「ペコ、美味しい醤油ラーメンをありがとう。でも、味付けの癖はエリカさんかしら?」

 

 そして、ダージリンに私がラーメンを作ったのがばれたのだ。

 

 「だったら?」

 

 「後ほど、お代わりをお願いしますわ」

 

 ダージリンからの要求は後でお代わりの要求だった。確かに、今回のラーメンは自信作である。それを聞いたみほからも無線が入る。

 

 「エリカさん、私にもスープの濃い豚骨ラーメンを作ってね?もちろん、紅生姜はたっぷりね」

 

 「合宿が終わったら作ってあげるわ」

 

 やはり、ラーメンは豚骨ラーメンだろう。私もみほも九州の人間だからソウルフードだ。まぁ、豚骨スープ作りは寝不足になることは確定だけど、お店で出せる味付けなのは保障は出来る。だが、ちゃんぽんも捨て難いわね・・・・・小梅には長崎が生まれなだけにちゃんぽんを作ってあげよう。

 

 「エリカさんありがとう!」

 

 ちょうど、楓から無線が入って来たのだ。

 

 『こちら、楓です。連れましたよ!って、ダージリン先輩は無線越しに何、ラーメン食べてるんですか!流川!何としても交わしなさいよ!ちょっと、何なのよ!ペチャパイって叫んだだけでキレるのよ!』

 

 どうやら、愛里寿にペチャパイと言って挑発したらしい。そして、言われた事に激昂した愛里寿が先頭に楓を追い回していたのだ。もちろん、あの歌を歌いながらだと思ってはいたが違っていたようだ。

 

 確かに、同年代の女の子から言われたらキレるお年頃だろう。楓も中学三年だが、ああ見えても胸はみほよりもある。羨ましいが、スタイルも茜叔母さん同様に着痩せするタイプだった。

 

 私やみほは一度も言われた事は無いが・・・・・

 

 そして、楓の無線越しに聞こえて来る愛里寿の叫び声

 

 『おっ、お前なんか、ボコみたくボコボコにしてやる!』

 

 『そんな、涙目でキレなくても!』

 

 『うるさい!ママやお姉ちゃんにもペチャパイって言われた事無いのに!ボコボコにして、その脂肪の塊を揉んでやる!』

 

 『揉まれるのだけは、いっ、イヤァァァァァ!?』

 

 相当、キレているようだった。

 

 「小梅!射撃準備!小山さんは音を絞ってエンジン始動よ!」

 

 私のⅣ号戦車からも胸を押さえながら全力で逃げる楓のⅣ号戦車が見え始め、後ろからは愛里寿のクロムウェルを先頭に四両が釣られたのが分かる。双眼鏡からも愛里寿が涙目で胸を押さえながら怒っているのも確かのようだった。

 

 楓は多分、挑発は言葉だけじゃないだろうな・・・・・

 

 小梅にリクリリが顔を出すクロムウェルに狙いを定めさせ、スピードが落ちる瞬間を待ったのだ。

 

 楓が森林に入り、愛里寿が私のⅣ号戦車を通り過ぎリクリリのクロムウェルが森林に入り込むと同時に速度を落としたのだ。

 

 「後ろががら空きよ!撃て!」

 

 「まっ、待ち伏せ!?」

 

 Ⅳ号戦車に施していた偽装ごと吹き飛ばしながら主砲を放ち、ルクリリのクロムウェルのエンジンルームを貫いたのだ。

 

 「小山さん!急速発進よ!このまま、奥地まで誘導するわよ!」

 

 「任せて~」

 

 私が隠れていた反対側でも、ダージリンがローズヒップのクロムウェルを撃破し同じ様に離脱していた。みほは付属中が乗るクロムウェルを軽く捻り、愛里寿のクロムウェルを楓のⅣ号戦車で包囲するために追撃を始めていた。

 

 ここまでは、同じ展開だ。ここらが大変なのだ。

 

 愛里寿のクロムウェルは、ちょっとでも広いところになるとアンツィオ顔負けのナポリ・ターンでダージリンのⅣ号戦車の履帯を破壊し、木に激突したところで止めを刺していたのだ。

 

 「ごめんなさい。やられましたわ」

 

 クロムウェルを駆る愛里寿の反撃は終わらず、次に主砲を向けたのは楓だった。

 

 『楓の揉んでやる!』

 

 『急停止!だから、謝るから許してぇぇぇ!』

 

 『やだ、泣くまで揉んでやる!』

 

 寸のところで砲弾を交わして、楓は逃亡を図る。しかし、それを許す愛里寿ではない事は分かり切っている。それでも、みほと私が追いつき包囲していた。

 

 だけど、それを愛里寿は怒りながらも分かっていたようで、超信地旋回しながら正確に主砲を撃ち放ち私と楓は忽ち撃破されたのだ。それを見ていたみほも驚きの顔をしながらも離脱を図る。結局は何時ものように、みほ対愛里寿の対決になるのだ。

 

 私は二人の対決に目を奪われた。

 

 極限まで履帯を滑らしてお互いの砲弾を交わす両者と錯綜する砲弾の応酬。

 

 短期間で愛里寿の戦い方を吸収した天才的なみほの頭脳と戦術に、それらを支えるあんこうチームのメンバー達の並ならぬ努力。

 

 それすらも追随を許そうとはしない愛里寿の瞬間的な判断力とその指示に追随していく自動車部のメンバーの技量。

 

 何時までも見ていたくなる対決だった。

 

 でも、悲しい事に必ず終焉は来る。

 

 最終的にお互いは正面を向き合っていた。

 

 ただ、違うのはつばぜり合いのように主砲が錯綜していた事だった。

 

 主砲を撃たせまいと主砲を主砲でぶつけているみほ。

 

 何としても、主砲をウィークポイントに放とうみほのⅣ号戦車の主砲を跳ね退けて放とうとする愛里寿。

 

 そして、主砲は意外にも衝撃に弱いものだったりする。

 

 そう、ちゃんばらの様にぶつかり合っていれば、どうなるか位は分かるだろう。

 

 バッキィ・・・・ゴットン・・・・

 

 「「あっ!?」」

 

 バッシュ

 

 主砲が折れて撃てなくなれば、当然の様に白旗が上がる。

 

 結果は引き分けだったのだ。

 

 当然、引き分けもパンターの履帯を抱えてのランニングは決定だったのだ。

 

 昨日と違うのは全員でパンターの履帯を抱えてランニングをしたのだ。

 

 まぁ、ランニングコースを二周を走れば解放されるのだが・・・・

 

 今日の訓練が終わればお風呂だった。

 

 ここのお風呂は優に200人が入れるほど広くて綺麗だった。私達はいつものメンバーに加え、ダージリンやオレンジペコ、アッサムが輪になって浸かっていた。

 

 愛里寿と楓はと言うと・・・・・

 

 「本当、ペチャパイって言ってすいません!」

 

 綺麗な土下座を決める楓だったが、手をワキワキしながら

 

 「やだ、謝っても許さない!だから、覚悟!」

 

 背中から抱き着かれた楓は抵抗虚しく、愛里寿に胸を揉みくちゃにされていたのだ。

 

 「あっ、イヤァァァァァ!お願いだから直に揉まないでぇぇぇ!」

 

 「こんな胸なんかぁぁぁ!」

 

 「いっ、イャァァァァァ!?」

 

 それをしり目に、ダージリンが話していたのだ。

 

 「アグレッシブに楓さんを責める愛里寿さんも見物ですわね」

 

 仕方なく、自販機で売っていたペットボトルの午後の紅茶を飲みながら話すダージリン。

 

 「ダージリン様、問題はそこでは無いと思いますが?」

 

 顔を真っ赤にしながら、愛里寿と楓のやり取りに困っているオレンジペコ。

 

 「ダージリン、やはり受けですの?それとも、攻めですの?」

 

 「アッサム、わたくしはやはり受けですわね」

 

 「あんた達は何を言っているのよ?」

 

 「「百合よ!」」

 

 急に楓が静かになったのが気になり愛里寿の方を見ると全身をピクピクしながら楓は床に倒れたまま惚けた顔でダウンしていた。

 

 何故か、楓の胸と自分の胸を見比べていた愛里寿の怒りは収まらずに居たのだ。

 

 「あそこにも、浮いてる物がある・・・・・揉んでやる・・・・いや、浮かぶ胸は揉んでやる・・・・」

 

 楓の次に狙われたのはダージリンだった。

 

 私は潜水しながらダージリンに近寄って来る愛里寿が見えた為に、みほと小梅を連れて逃げる事にしたのだ。

 

 「ダージリン、先に上がるわよ。私達で夕飯を作らないといけないから」

 

 「えぇ、夕飯を楽しみにしてますわ」

 

 「みほ、小梅行くわよ」

 

 湯舟から出て、更衣室に入るとダージリンの悲鳴が聞こえてきたのだ。

 

 「ヒャァァァ!?ちょっと、何なさいますの!いっ、イャァァァァァ!?」

 

 「エリカさん、見に行かなくて平気?」

 

 「みほ、気のせいよ」

 

 「そうかな?」

 

 ダージリンの悲鳴をわざと聞き流して夕飯を作りに行ったのだった。

 

 

 

 

 翌日、愛里寿も楓もダージリンも訓練には参加していない。

 

 私が聞いた風の噂では、執務室の前では般若顔の島田師範に正座で座らされ説教を受けていた三人が居たと誰かが呟いていたらしいが定かではない。ただ、夕方には涙目でいる愛里寿と楓の他に淑女らしからぬゲッソリした姿で自室に帰る姿が在ったらしい。

 

 残りの訓練も何事も無く日数を消費して行き無事に強化合宿が終了したのだった。

 

 そして、長かった強化合宿も終わり、私達は飛行艇で大洗へと戻った。

 

 飛行艇の後部座席には付属中の生徒も一緒に乗っていたが、大洗港へ着くとバスに乗り込み付属中へと帰って行った。ただ、楓が帰り際に私に言ったのは

 

 「絶対、黒森峰とプラウダに勝って優勝しなさいよね!来年は15名が大洗女子に行くんだからね。だから・・・・大洗女子を守ってね・・・・・ママの母校なんだから・・・・・・」

 

 デレた表情で私に言うと楓はバスに乗り込み帰ったのだ。

 

 私達も大洗女子学園行きのバスに乗って学園へと戻ったのだ。

 

 学園に着いた私達はそれぞれ寮に帰宅したが、私とみほに小梅は戦車倉庫に向かった。

 

 戦車倉庫では、初めて見る戦車が一両が修理されていた。

 

 「みほ、あれって現物を見るのは初めてだけど、パンターⅡじゃない?」

 

 「そうですね。足回りがティーガーⅡと同じだから間違いです」

 

 「でも、エリカちゃん。付いている砲塔はパンターG型の砲塔だよ?小型砲塔じゃなかった?」

 

 「そうね。確か、黒森峰の戦車博物館にあるパンターⅡは88ミリ砲搭載型の小型砲塔だったわね。でも、あれは完成予想通りに作られた戦車で実際は終戦時にパンターG型の砲塔を載せた物が回収されているわね」

 

 「でも、茜さんから貰った地図を元に探索した時はパンターⅡは無かったよ。どうして?」

 

 「小梅、私に聞かれても知らないわよ」

 

 「エリカさん、なら、あそこで作業している整備員に聞いてみたらどうかな?」

 

 ティーガーⅡを整備していた一人の男性の整備員に聞いたのだが・・・・

 

 「すいません!」

 

 「みほじゃないか」

 

 「えッ?」

 

 みほが聞いた男性を見た途端にみほが固まったのだ。

 

 「久しぶりだな。みほ・・・・」

 

 「えッ?なんで、パパが居るの?」

 

 「島田師範からの仕事の依頼が在ったからね。ここの戦車を全て整備しているんだ。でも、良く整備された戦車ばかりだな。ここの整備班は良い仕事をしているよ」

 

 そう、大洗女子の戦車を合宿中に整備していたのは西住師範の旦那でみほの父親の常夫さんだった。

 

 「あっ、そうだった。パパ、なんでパンターⅡがあるの?」

 

 「あぁ、それかい?島田師範と飛騨さんの頼みで第二次広域探索をしたんだ。そうしたら、体育館のステージ下に隠れていたんだ」

 

 「この学園、戦車を隠し過ぎてない?」

 

 「そうだね・・・・・・」

 

 「仕方無いさ。まともな、戦車道をするようになったのは島田師範達が入学してからだし、その前は角谷学園長の従姉妹や池田流がまだ在った頃は喧嘩上等の戦車道だったらしいからね」

 

 「それは、流石に引くわね・・・・」

 

 「じゃあ、このパンターⅡは?」

 

 「多分、島田師範の前の世代の戦車だろうね。一応、整備に手間取ったのはパンターⅡのトランスミッションや焼けたエンジンの交換だったからね。だから、大会でも使える様に許可は西住流を通して取ったから使えるよ」

 

 「うん、パパありがとう!」

 

 「あれっ?お礼だけ?みほはパパに抱き着いてくれないの?」

 

 「お母さん呼ぶよ?パパがセクハラするってね?」

 

 「みほ、マジでごめんなさい!しほが呼ばれたらパパ泣いちゃうよ?」

 

 「大丈夫だよ。また、ボコボコにされるだけだからね。ボコのライバル猫の着ぐるみ着れば大丈夫だよ?」

 

 ライバル猫って・・・・・

 

 「みほ、ライバル猫ってあの黒くて目つきの悪い奴よね?」

 

 「エリカさん、そうだよ。なんで?」

 

 「ちょっと、お聞きしても良いですか?」

 

 「あっ、逸見さんか。良いよ」

 

 「みほが小さい時にライバル猫の着ぐるみを着て師範にボコられませんでしたか?」

 

 「あっ、懐かしいね。ボコの着ぐるみを着たしほにやられたね。着ぐるみの頭が外壁の外に飛んで行ったのを鮮明に覚えているよ」

 

 やっぱり、そうだったんだ。

 

 私がトラウマになって猫嫌いになった要因に・・・・・・

 

 「うっぐぅ・・・・・えっぐぅ・・・・」

 

 「エリカさん泣き出してどうしたの?」

 

 泣きたくもなるよ。

 

 あんなのが目の前に落ちて来たのよ。

 

 怖くて、その場でお漏らしたのよ。

 

 「えッ?まさか・・・・拾いに行ったら漏らしたまま泣いていた女の子は・・・・」

 

 「悪い、私よ!怖かったんだから!うわぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 私はそのまま、泣き出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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