奉納試合です。
はじめてタンカスロンを経験するエリカはいかに・・・
何故、私はこうなるのよ?
何故、私の作戦が簡単に読まれるの?
私は止まらない動揺と悔しさの中、小梅に予測射撃をさせながら37ミリ機関砲を住宅の隙間を縫う様に乱射していく。
しかし、弾丸は急ブレーキや急加速を巧に使い使って交わされていき、虚しく向こう側のブロックを白く染めるだけだった。
そして、味方だった楓と時雨は向かい合ったまま白旗を靡かせてキューポラに半身を出したまま、顔や体をペイント弾で白く染まり気絶していた。でも、私は歩を止めるわけにはいかない。
みほの隣を歩むと決めた時から・・・・・・・
夏休みに入り、エキシビションマッチだけでなく奉納祭の準備の真っ最中だった。
夏休み前に私はみほから奉納祭に出るように言われた。
別に嫌ではない。
始めて、経験するタンカスロンに戸惑っただけだ。一応、サポートに副隊長に楓が付いてくれている。楯無高校は一両だけと聞いていたから、こちらは三両の小隊編成で挑む事になった。
だが、大洗女子学園仕様に戻され、帰って来た38(t)C型カスタムを乗りこなすには黒森峰時代に乗り回していただけに充分だった。
学園の演習場は午前はエキシビションマッチに向けた訓練に費やし、午前からは私と楓、時雨の奉納祭に向けた訓練に当てたのだ。
もちろん、相手をするのはエミ、ツィスカ、レイラに何故かノリノリで38(t)C型を操縦して乗り回す愛里寿だった。もちろん、砲手に華、装填手に優花里、車長にみほをもれなく添えて・・・・・・
結果から言えば、ノリノリの愛里寿の蹂躙劇だった。
それも、終始の様子は
「♪♪♪」
だった。
愛里寿の操縦技術に加え、華の正確無慈悲の射撃で回避不可の近距離からの機関砲の乱射は交わせと言うのが無理だ。さらに、追い討ちを掛けるべくみほの作戦指揮能力が加わるのだ。
最早、悪夢以外何でもないのだ。
だけど、愛里寿とみほに言われたのは当たっていた。
「エリカ、もっと頭を柔軟にしろ」
「うん、エリカさんを見ていると頭がガチガチだよ。それだと、足元をいつか掬われるよ」
確かにそうだ。
みほの立てる作戦は全て理解出来ると言えば、NOだ。
今までも、ほとんどが力押しで全てをやってきた。
柔のみほに剛の私・・・・・
そして、相反する二人だから惹かれ合ったのも事実だ。
今までの試合の中、変わらなければいけないのは分かっていた。だから、奉納祭に私を指名したのも理解していた。
今のままでは、みほの隣を立てなくなることぐらいに・・・・・・・・・・
エリカさんとの訓練が終わると私は詩織と時雨を連れて、大洗の街中に来ていた。
理由はもちろん奉納祭の下見だ。
「時雨、楯無高校がタンカスロンで使用する戦車は何だか知ってる?」
「僕は、知らないかな。多分だけど、大洗騒乱の前後に出て来たからだと思うよ」
「詩織は?」
「さつきちゃんには悪かったけど、副隊長権限で富士演習場と黒森峰第四演習場に行って貰ったよ。楯無高校の戦車はテケ車だった。数は一両だけだけどね」
「あのディスクはさつきが撮影した映像だったんだ」
「うん、そうだね。でも、あれは私達にやられたらと思うと背筋が凍るね」
確かに、総隊長に映像を焼いたディスクを渡す前に映像を確認している。サンダース戦は完全に損傷箇所を確認しなかった凡ミスだったが、一両を倒す為に二両を撃破されていた。自分達ならC型で高速を活かした一撃離脱を優先させるだろ。その後のB型による仕上げで決まるだろう。
しかし、黒森峰戦ではそれを否定された。
タンカスロンでは近距離まで観客が来る事が多い。それを彼女は利用したのだ。
煙と炎から逃げる様に仕向け、そこを突いて黒森峰を撃滅したのだ。
そして、士気上げる為に自ら犠牲になったBC自由学園の元隊長であるアスパラガスの犠牲で・・・・
私も総隊長も同じ意見だが、犠牲が在ってこその勝利には勝利とは呼べないことを思っている。あれを見た、総隊長はどう取るかわからないが彼女を見るために大洗に呼んだのだろう。
「楓ちゃん、それにしても地元とは言ってもバラバラにされたら個別に撃破されるね」
「うん、私でも個別撃破を狙うね」
「でも、逆に狙われたら?」
「時雨、不吉な事言わないでよ!」
「今回の隊長は誰かな?」
「エリカさんだね・・・」
「うん、そうだよ。僕が言いたいのは、付属中だけの編成なら地元らしい戦い方が出来る。でも、エリカさんは大洗に来て一年も満たない。なら、地元ならではの戦い方は出来ないよ」
「だから、私達が選ばれたんでしょ!」
「楓ちゃん、エリカさんと親類だからって言っても、僕は付属中ならではのやり方は崩すつもりはないよ」
「うん、分かっているわ。最悪、エリカさんには囮になって貰う。奉納祭で地元が負ける訳にはいかないから」
だけど、これが足元掬われる要因になったのは誰も気付かなかったのだ。
奉納祭、当日になり私は愛里寿ちゃんにエミちゃん、瞳ちゃんの三人を連れて大洗の街中に来ていた。彼女達を探していたら、小腹が減り久しぶりに大洗ならではの食べ物がないか探し回ると誘導先である『うすや肉店』から香ばしい揚げ物の臭いが私の鼻孔を刺激する。
ぐぅぅぅ
「みほ、まさかお腹減ったって思ってないわよね?」
エミちゃんに言われてもお腹が鳴った事は隠せない。
「エミちゃん、ちょっと食べない?」
「あっ、あぁぁぁ!ここの串かつ、凄く美味しいんだよ!」
「瞳ちゃん、そうなの?」
「うん、やみつきになるよ」
「みほ、私も食べたい」
「じゃあ、みんなで食べようよ」
そんな時、後ろの方から履帯に統制式エンジン独特の奏でる音が私に聴こえて来る。そして、三人の女性の声も・・・・・
「フライのいい臭い・・・・姫!寄ってっていい?」
「なんだ、まだ食べるのか?」
「だって、おいしそーなんだもん。でも、停められるかな?」
私は愛里寿ちゃんが抱いているボコのチャックからこっそり出した写真であの子達だと判る。
「みほ、来た・・・」
「うん、だね・・・」
そして、大洗駅に軽戦車が降りて来た段階でここまで誘導する様に商店街の各出店には協力を彼女達を呼ぶ段階から求めていた。
つまり、商店街が彼女達の誘導に成功した事になる。
作戦名は名付けて『茨城の名産をあげちゃおう作戦』だね。
私は早速、接触を図る事にしたのだ。
「エミちゃん、ちょっと誘導して来るね」
「分かったわ」
早速、彼女達を隣の駐車場に誘導する事にしたのだ。
私は彼女達の戦車の前に出て誘導する。
「オーライ!オーライ!こっちに戦車スペース空いてますよ!」
彼女達が降りて来るまでの間に私達と彼女達の分の串かつを注文しておくのだ。
「みほちゃん、いつも悪いね」
「ありがとうございます。でも、今は名前を伏せて貰いますか?」
「おっと、悪かったね。お代はおまけしておくよ」
ニッコリ笑い笑顔で返事をしたのだ。
そして、彼女達が降りて来る頃には串かつは揚げたてホヤホヤが来るのだ
「はい!串かつおまちどう!」
先に彼女達から食べて貰った。
「「「おいしいっ!」」」
私達も串かつを貰い、ウースターソースをかけて早速頬張る。ジューシーな豚肉にサクサクの衣が堪らなく美味しい。だって、彼女達も
「この、揚げたてのホクホク感が・・・・」
「おいしいよね♪」
「あっ・・・・!さっきは誘導ありがとうね!」
「どういたしまして!」
そして、私達は駐車場で彼女達の戦車に気付く。
「珍しい!九七式軽装甲車なんて」
「うん、確かに珍しい・・・」
「そうね」
「えへへ、ありがとうございます」
私は食べ終えた串をごみ箱へ入れ、この場から離れる事にしたのだ。
「じゃあ、よい夏祭りを!」
だけど、ロングヘアーの女の子に呼び止められる。
まさか、正体がばれたかな?
「あの!」
「はい?」
「お口にソースがついてますよ・・・・・?」
「あわわ」
私としたことがここでソースがついていたなんて・・・・
私は彼女達から離れたのだ。
栗毛に白いワンピースを着た女性と熊の人形を抱いた銀髪にブラウスに黒いロングスカート、赤髪にツインテールでホットパンツにTシャツの女の子達・・・・
まさか・・・
「どうしたの姫?」
「う~む、あの御仁まさか・・・いや、人違いだろう・・・・」
「でも、一人は判るよ。島田愛里寿じゃないかな?」
「いや、気のせいだろう。あの、西住みほ殿があんなにのどかな訳がない」
「そっちじゃなくて、銀髪の女の子だよ」
「小動物のように島田愛里寿が、あんなに可愛い訳がない!」
私は心の整理が付かないまま、商店街が用意した近所にある旅館肴屋本店に泊まる事になったのだ。
ただ、外では綺麗な花火が大輪を咲かせており、彼女達も学園艦から見ているのだろうか?
そして、大洗女子学園の数は三両と商店街から聴いている。
警戒されているのだろか?
正直、分からない。
いや、私達が生徒会を通じて大洗に呼ばれたのは・・・・・・・
ブッルル・・・・
考えた矢先、震えが止まらなくなった。
未知への恐怖と西見みほへの恐怖に・・・・・・・
「Zzzz・・・」
鈴は気持ち良さそうに夢の中に旅だっている。
私も考えるのを辞めて眠ろう・・・・・
翌日、私はみほに言われた意味が分からないまま大洗文化センター前に集合している。
『ワァァァァァァ!?』
いつもと変わらない歓声
いつもと変わらない応援してくれる町の人達
私には変わらない光景だった。
私はいつものパンツァージャケットを着込み、対戦相手を睨む。
「隊長、落ち着きましょう」
「楓、落ち着いているわ。大洗の地理には疎いから頼むわ」
「僕を失望させないでね」
「時雨、きつい事言わないでよ」
そうしている間に二人組が私の前にやって来る。
「御主らが相手か?」
「そうね。私は大洗女子学園戦車道の副隊長の逸見エリカよ」
「同じく、大洗女子学園付属中、戦車道隊長の飛騨楓」
「ひっ、飛騨楓!?」
どうやら、鈴と呼ばれる生徒は私ではなく楓に反応したのだ。
意味は判る。
タンカスロンでは楓の方が一日の長があるし、中高関係なく資金稼ぎで暴れ回る隊長だ。そして、最近知った事だが公式戦でも黒森峰女学院付属中に大激戦を繰り出した猛者だ。
結果は負けて、準優勝だったが・・・・・
「だが、御主らは似ておるが姉妹か?」
「いとこよ」
「私ら弱輩には隊長は要らぬのかな?」
「何が言いたいのよ?」
「もし、勝てたなら西住みほ殿との一騎討ちを所望すると言っておる」
獰猛な笑みで私を見つめる。
良い目をしているわね。
だけど、みほをやらせない。
だから・・・・・
私も久しぶりにあの目付きになり、二人を睨む。
「「ひっぃ!?」」
「大洗女子学園の狂犬逸見エリカと知ってかしら?」
商店街から放送が流れる。
『奉納戦車試合、5分後に始めます!』
それを聞き、私は彼女達に挨拶をする
「「「お願いします!」」」
彼女達も私達に習うように挨拶を返す。
「「お願いします」」
そして、私達は自分達の戦車へと向かう。
大洗ホテルの屋上、私達はそこから全体を見渡していた。
「みほ、エリカは勝てると思う?」
エミちゃんは意図が分かっていながら意地悪な質問して来る。
「多分、エリカさんは負けるよ」
「「「「えっ?」」」」
まだ、あんこうチームのメンバーには意図を説明していない。
だから、驚くのも無理はないと思う。
「西住殿、逸見殿が負けるってどういう事ですか?」
「そうだよ、みぽりん!エリリンは学園で一番の撃破数を持っているのに?」
「優花里、沙織、私が説明する」
「えっ?島田殿?」
「愛里寿ちゃん?」
「愛里寿ちゃんがお話しする前にわたくしが宜しいでしょうか?」
「華は気付いた?」
愛里寿ちゃんの質問に華さんは無言で頷く。
「はい、逸見様は今までは全て力押しだけで撃破しています。ですが、逆に搦め手で撃破されている事が幾度か在ったからですか?」
「華さん、正解だね」
「このままでは、エリカは搦め手に弱くなる。なら、搦め手を使う相手と戦わせて経験を積ませる。それは、私とみほが話し合って決めた。エリカには来年からは重戦車の小隊の指揮を執らせたい。でも、こんな不安な状態ではみほが立ち上げようとする小隊に不安が残る形なる」
「西住殿は新しい戦術を考えてるんですか?」
「うん、今までは島田流を元に作戦を組んでいたけどね、私ならではの作戦に移行しようって思うんだ。でも・・・・・」
「エリカね。私もみほから聞いた時は驚いたわ。まぁ、私も人のことは言えないけどね」
「ねぇ、みぽりん!試合が始まったよ!」
沙織さんの一言で注目する私達だった。
ただ、エリカさんには頑張って欲しい。
私の隣に居るのはエリカさんしか居ないのだから・・・・・・
試合始まって早々、時雨には計画通りに消防署に向かって貰う。それは、大洗の市街地を一望出来るのは神社よりも消防署の方が直ぐに合流が出来る利点があるからだ。
私は楓を護衛に市街地を進む。
『時雨です。テケ車を発見!場所は大洗カントリークラブ方面から市街地方面に進行』
「了解、時雨はその場から合流して楓とペアを組みなさい」
『了解、合流します』
私達は役場入口の信号で合流した矢先にテケ車を発見して追撃する。
「追い詰めるわよ!」
発見された事に慌てるテケ車は急に旋回して路地に入り込む。
私も追撃、楓達と別れ私も一本手前の路地をドリフトしながら高速で曲がる。
私は壁伝いに見える彼女を見ながら主砲をむける。
彼女達を追い詰めたのだ。
一本向こう側を疾走するテケ車に隣の路地を走りながら、さらに追い詰めて行く。
「小梅!射撃用意!」
「楓、時雨は次の路地で挟み込むわよ!」
「「了解!」」
私だって、大洗女子学園の生徒だ。
みほ同様、大洗の地形を把握する為の努力を怠ってはいない。
それに、ティーガーⅡでは無理だがこの38(t)なら狭い道をいくらでも行ける。
だけど、仕掛けさせてもらうわ。
ちょうど、平屋の民家があり窓も全開なら出来るはずだ。
「小梅、早いけど仕掛けるわよ!」
「エリカちゃん、まだ、早いよ!」
「いえ、民家の開いた窓に四連射するわよ!」
「行くよ!」
ガッガガガガガ
小梅は言われた様に窓に機関砲を連射していく。
「!?」
キッィキィィィ
しかし、相手は殺気を感じたのか急ブレーキで交わす。
「ハッギャ!?」
「やだもぅ!ペイント弾でベトベトよ!」
ただ、虚しくギャラリーとブロック塀を白く染めただけだった。
何故、ギャラリーが居るのかは競技用の砲弾ではなく、ペイント弾で試合をするからギャラリーに当たっても問題ないらしい。
しかし、みほは学園の38(t)C型カスタムのスペックを説明したがペイント弾だし問題ないとの事だった。
そして、タンカスロンの一番の醍醐味だからエリア内の立入禁止をしなかったのだ。
いや、できなかったのだ。
「全く、良く交わすわね!」
悪態を付きながらも、追撃は辞めない。
「こちら、楓。路地の出口で待ち伏せ完了」
「了解、出て来たらぶっ放しなさい!」
楓達が待ち伏せを完了している。
最早、袋の鼠だ。
私も楓達に合流すべく速度を上げる。
私があることを見落としていたとも知らずに・・・・・
待ち伏せを完了し、テケ車が出て来るのを待つだけだ。
「楓ちゃん、なんか嫌な予感がする・・・・」
「詩織、どうしたのよ?」
「なんか、作戦がすんなり行き過ぎるよ」
詩織の一言で意味を理解したが、既に遅かった。
「時雨、撃つな!」
私の咽喉マイクで叫ぶけど遅かった。
時雨の38(t)B型改の主砲と私の38(t)C型カスタムの37ミリ機関砲が火を噴いていた。
出て来る者を確認せずに・・・・
真っ白に代わっていく何か
「射撃中止!」
真っ白になり果てたのは無人のパワーショベルだった。
操縦席にはアクセルにはブロックが置かれており、テケ車が出て来なかったのだ。
「なっ、何でパワーショベルなのよ!」
「嵌められた!?」
「マズイ!?」
もうすぐ、エリカさんも追い付く。
「時雨、下がりなさい!狙われてるわよ!」
「!?」
時雨は急発進して後退する。
時雨が居た場所に砲弾が着弾する。
時雨が下がった路地から凄いスピードでテケ車が飛び出して逃走を計る。
私の心は掻き乱され、ワナワナとしていた。
「良くも、私をコケにしてくれたわね」
最早、エリカさんと合流はどうでも良くなったのだ。
怒りに燃える私。
直ぐに、時雨に命令を出す。
走り出す、私の38(t)C型カスタムと時雨の38(t)B型改がテケ車を追走する。しかし、ハッチから半身を出している彼女は私を見るなりニヤリと笑い、再び路地を入り込んでいく。
「時雨!エリカさんを待たずにやるわよ!次の路地を左折!私は右折して彼女を追い込むわ!あの先はここをグルグル回るしかない道よ!挟みこんで、蜂の巣にしてやるわ!」
彼女を追い、38(t)C型カスタムの最高速度である56㎞/hで全力で走る。
私と葵なら出来る芸当だ。
私の指示と葵の操縦技術。
さらに、葵は麻子さんから操縦技術を学んで腕をさらに上げている。
不可能ではない高速移動。
「見付けたわよ!」
「!?」
「詩織、撃て!」
機関砲が火を噴いてテケ車を襲うが右にハンドルを切り交わす。
「ッツ!?アレを交わすの!」
やっぱり、愛里寿ちゃんと同じだ。
彼女は操縦手に一言も発していない。
なら、考えられるのは足による指示だ。
まるで馬を扱う様に・・・・・
テケ車の正面から、時雨が乗る38(t)B型改がやって来る。
ハンドサインで私が右側を時雨が左側を狙うように指示する。
しかし、彼女はこれすらも交わす。
交わされたって事は・・・・
「ヤバイ!?」
彼女が交わすと同時に住宅の中に入り込んで逃げる。
最高速度が出ていた私と時雨は相対する意味と正面同士で撃った意味は
お互いに撃った砲弾が・・・・
「「ギャァァァァァ!?」」
私の顔面と上半身に38(t)Cは真っ白に染まる。そして、時雨も私と同じ様に・・・・・
薄らいで行く意識の中、私は彼女にフレンドリーファイヤーを誘われた事に気付いたのだ。
二人がやられた事を知らないまま、テケ車を探していた。
そして、機関砲特有の射撃音に私は音がする方へと向かう。
路地を進むに連れて見えたのは、白旗を掲げた二両の38(t)だった。
まさかだと信じたい。
あの、楓がやられたのだ。
よく見れば、二人とも半身を出したまま気絶している。
車両に何発も受けている状況を見て理解したのだ。
テケ車には速射能力はない。
考えられるのはフレンドリーファイヤーをやった事だった。
彼女が曲がっただろう、民家を曲がり追跡する。
案の定、彼女は直ぐに見つかる。
彼女は神社に逃げ込んでいたのだ。
その前に視線を感じ、見上げると大洗ホテルの屋上でみほが見ていたのだ。
このままでは、みほに顔向け出来ない。
そして、彼女は私を見るなり、境内の階段を戦車で降りたのだ。
「ハァァァ!?戦車で階段を降るなんてどんな神経してるのよ!」
戦車に通れない道はない。
正にそうね。
なら、彼女らが出来るなら私に出来ない訳がない!
「内法、階段を降るわよ!」
「えっ!?逸見さん、危ない!」
「大丈夫よ!戦車に通れない道はないわよ!」
私も彼女を追撃すべく、階段を降る。
彼女が降りた先は浜辺だった。
半身を乗り出す彼女は観戦客に叫ぶ。
「遠からん者は音に聞け!近からん者は目にも見よ!我等こそは百足組(ムカデさんチーム)也!此度、故あって大洗磯前神社祭神に射撃奉納する也!互いを的にいざ一射とくとご覧じよ!」
これは・・・・
「エリカちゃん、平家物語の那須与一の扇の的だね」
「小梅、あんたまさか?」
「ゴメンね。エリカちゃん、機関砲をフルオートからシングルに変更して」
「まさか、やるつもり?」
「エリカちゃん、元黒森峰の与一は伊達ではない事を見せてやる。だから、装填をマガジン式から手動装填に変更。弾種、高速徹甲弾装填」
小梅から言われる様にしていく。
砲弾ラックから高速徹甲弾を手動で装填する。
「小梅、良いわよ」
ここまで、集中した小梅は見た事がない。
「スゥーハァー・・・・・・」
私は自由射撃を認める様に手を肩に乗せる。
とても、長く感じる瞬間。
小梅が引き金を引く。
お互いが放つ砲撃。
砲弾はテケ車の砲弾を砕き、空中で砲弾が爆発する。
しかし、時間になりアナウンスが流れる。
『時間切れにより、ただいまの奉納試合は両者引き分け!繰り返す、両者引き分け・・・・』
しかし、引き分けでも私は負けていた事に気付く。
込み上げて来る悔しさ。
終始、彼女に振り回された事実。
私は・・・・・・
「みほ、ゴメン・・・・・」
グッシャ
「エリカちゃん!?」
被っていたベレー帽を握り潰し、みほに謝りながら砲塔の中で膝を抱えて縮こまり、私は悔しくて声を殺す様に静かに泣いたのだ。
感想をお待ちしています。