ガールズ&パンツァー 逸見エリカの苦労日誌   作:まもる

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戦車乗ります!(前編)

 

 翌日、私は急遽自動車部から呼び出されたのだ。

 

 急ぎ、学園に向かい戦車倉庫の前に私は思わず叫んでしまった。

 

 「叔母さん、戦車を隠しすぎよ!」

 

 私の目の前には船倉から出した戦車だけでなく、Ⅳ号戦車D型、M3リー戦車、Ⅲ号突撃砲F型、ルノーB1bis、八九式中戦車、三式中戦車、38(t)軽戦車の他に砲塔のないパンターG型や砲塔だけのパンターF型、車体だけのE-100超重戦車、Ⅳ号戦車F2型の砲身などがずらりと並んでいたのだ。

 

 理由は見て直ぐ判る。

 

 徹夜して車両を全て回収し稼動可能な所まで整備したのだろう、四人仲良く戦車に寄り掛かって眠っていたのだ。

 

 私は眠っている自動車部のそばに人数分の弁当とジュースを買って置くと生徒会室へと向かったのだった。

 

 「入るわよ」

 

 「おっ、お前は■■エリカ!?」

 

 「河嶋さん、逸見エリカです。あと、人の名前を勝手に間違えないでくれるかしら?それに、私、あのツンデレ女優じゃないわよ!」

 

 全く、河嶋さんは私をあのツンデレ女優と一緒にしないで欲しい。確かに、黒森峰に居たときはみほに対してはツンデレだったのは認めるけど・・・・

 

 「済まない。で、何の用だ?」

 

 「この4台を売却して、ヘッツァー改造キットと三式中戦車の長砲身キット、Ⅳ号戦車H型改造キットを買えないかしら?」

 

 「えっと、E-100超重戦車、M3リー戦車、八九式中戦車、ルノーB1bisか・・・・多分、買えるぞ。」

 

 「そう?なら、よかったわ。あと、余ったら高速撤甲弾もお願いするわ。特に三号突撃砲と改装したらヘッツァーとⅣ号戦車H型などの75ミリ戦車砲搭載型に数発だけでも載せるから頼んだわよ」

 

 「あぁ、何とかやってみる」

 

 河嶋さんに頼んだ私は、再び戦車倉庫に向かった。

 

 戦車倉庫では、目覚めたらしく弁当を食べながら休憩する自動車部の部員達がいたのだ。

 

 「少ない人数で整備させて済まないわね」

 

 「気にしないっすよ。あっ、弁当とジュースありがとう」

 

 「戦車はどうにか使える?」

 

 「う~ん、そうだね。ルールブックとパソコンで確認したけどレギュレーション違反の可能性から、パンターF型88ミリ戦車砲搭載型、ティーガーIIヘンシェル砲塔105ミリ戦車砲搭載型、Ⅶ号戦車レ-ヴェは使えないかもね。ただ、パンターとティーガーはノーマルの75ミリ戦車砲と88ミリ戦車砲に取り替えれば大丈夫かも。まぁ、運良くパンターF型に付いていた88ミリ戦車砲はティーガーIIに使えるから大丈夫だね。レ-ヴェは完全にレギュレーション違反だから売却だね。だから、今使える車両はティーガーIIポルシェ砲塔タイプが一両、レオパルド偵察戦車が二両、三式中戦車が一両、Ⅲ号突撃砲が一両の五両だけ。後は、足回りやらエンジン周りをオーバーホールしないと使えないし、Ⅳ号戦車と38(t)は改装する予定で使えないからひとまずはその五両かな」

 

 「分かったわ。悪いけど、あとⅣ号戦車D型も追加して、その六両を優先して整備をお願いするわ」

 

 「任されたわ。だけど、シュトルムティーガーはいくらモスボール状態だったからって言っても完全にオーバーホールものだから何時、使えるかは分からないよ」

 

 「判ったわ」

 

 私は戦車倉庫から離れ、みほと小梅に携帯で少し遅れて学校に行く事を話すと叔母さんの所に向かった。理由は何故、こんなにもレギュレーション違反の戦車があったか知りたかったのだ。

 

 途中、みほと小梅の二人とすれ違ったが、黒髪の生徒は半分ほど眠っておりみほと小梅に担がれているのは確か学年トップの普通Ⅰ科2年A組の冷泉麻子だった気がする。

 

 叔母さん家に着き、チャイムを押すとテレビや雑誌で見慣れた女性が出て来たのだ。

 

 「あら、いらっしゃい。あなたは確か、黒森峰女学園の・・・・」

 

 「いえ、元です。なぜ、島田流の島田師範が叔母さんの家に?」

 

 「えっ、私? そうね、茜に急に呼び出された事とそれを文句を言いに来たが正解よ」

 

 「お待たせ!って、エリカも来ていたの?」

 

 「叔母さん、来て悪いですか?」

 

 「悪くないけど、どうしたの?」

 

 「なぜ、レギュレーション違反の戦車を隠したのですか?」

 

 「えっ?茜、まさかあそこを開けさせたのかしら?」

 

 どうやら、島田師範も戦車が隠されてた事実を知っている様な素振りに見えたのは私の気のせいだろうか?

 

 いや、違う。

 

 だって、現に

 

 「えぇ、開けさせたわよ。最低でも、ティーガーIIとシュトルムティーガーの他にOB会が戦車道協会と役人に無理矢理だけど承認させた偵察戦車レオパルドは戦力になるもの。何せ、また、糞眼鏡の役人が噛んでるとなると私達だと大会には無理だけど後輩達ならギャフンと言わせられるしね。後は売るなりして貰えば、戦力の増強に充てられるだけの当面の資金にはなるでしょ?」

 

 「ちょっと、待ちなさい!また、私達を嵌めたあの役人が噛んでるって本当なの?」

 

 「弘子の情報だから間違いないわ。それに、弘子の娘の杏ちゃんがその役人に廃校だと言われた事も弘子から聴いたわよ。あの時はあの役人に嵌められて大洗女子学園の戦車道を廃止にされたけど、飽き足らずに今度は私達の母校が廃校だなんて酷い話よね」

 

 「すいませんが、叔母さんも島田師範も私を無視しないでくれますか?」

 

 「「あら、居たの?」」

 

 「目の前に居たじゃないですか!その事について全て話して貰うわよ」

 

 「千代ちゃん、エリカに話して上げてね。私、お茶を持って来るから」

  

 「ちょっと、茜!一応、私も家元なんだから、あなたが話しなさいよね!って、また逃げる!ハァー仕方ないわ。まずは、私は元大洗女子学園の戦車道で隊長車の操縦手をしていた島田千代よ。それよりは島田流の家元の師範の方が有名かしらね。あの当時は西は黒森峰女学園、東は大洗女子学園の二強だったわ。黒森峰が優勝すれば、大洗が準優勝していたし逆もあったわ。43回戦車道大会前に、大洗女子学園は大々的に戦車の入れ替えをしたの。今は、私の家元にある車両と娘が使っているセンチュリオンの他にⅢ号突撃砲や三式中戦車などを練習用にしたり売却して、船倉にあった戦車をOB会の了承を得て一気に購入したのよ。ところが、戦車を購入する際にあの役人が嵌めたのよ。何時までも続く二強時代を終わらせる為に・・・・レオパルドを含む一部の車両はOB会が戦車道協会と役人に認めさせたけど、役人から紹介されて売り付けた業者の戦車のほとんどはレギュレーション違反の車両だった。当時の私達はそうとは知らずに使用することになったの。ところが、大会直前にレギュレーション違反が発覚して私達、大洗女子学園は失格になり責任を取らせる形で戦車道も廃止になったのよ。だけど、当時の生徒会長で副隊長の角谷弘子は購入した戦車を全て紛失した事にして船倉に隠したの・・・・・・私のその後は、聖グロリアーナ学園に家元である親の都合で転校する事になったけどね・・・・」

 

 島田師範の話は長かったが、これで話の合点が合った瞬間だった。

 

 何故、叔母さんが学園がきな臭い事を私に言ったのか、何故、生徒会長の角谷杏が懸命に戦車道を復活させたのか全てが分かってしまった。

 

 逆に私はなんて愚かな事をみほに頼んでしまったのだろうと後悔したのだ。

 

 みほには笑顔のまま学生生活を満喫して、私が世話を焼かなくても良いような彼氏を作り普通の高校生活を送って欲しかったのに・・・・・・

 

 これでは、みほはまた苦しむのでは?

 

 もし、みほが知ってしまったら萎縮するでは?

 

 多分、このことは生徒会長は絶対に隠し通すはずだと思ったのだ。

 

 「だからなのね・・・・生徒会長が腹黒いやり方だったのは・・・・・」

 

 「えっ?どうしたの?」

 

 叔母さんと島田師範が心配そうに私を見ていた。

 

 私は気を引締めると、島田師範と叔母さんに頼んだのだ。

 

 「叔母さん、島田師範にお願いがあります。今の大洗女子学園が優勝するために指導をお願いします」

 

 だが、二人には断られたのだ。

  

 「無理よ」

 

 「エリカ、あなたの流派は破門されようがどう転んでも西住流よ。それに、みほちゃんや小梅ちゃんもね。千代ちゃんはあくまで島田流よ。もし、指導したとしてもエリカが思っている以上に現実は厳しいわよ。それに、千代ちゃんは大学選抜の指導もあるし、私は戦車道から離れすぎたから指導はとてもじゃないけど出来ないわ」

 

 「なら、どうしたら?」

 

 「担当の教官次第ね。その後は、私と千代ちゃんで考えるわ」

 

 「わかりました。私は学校に戻ります」

 

 私が叔母さんの家を出ると学校に戻るのだった。

 

 

 

 

 同じ頃、黒森峰では大変な事が起きていた。

 

 戦車道の部員が立て続けに辞める人が増えていたのだ。

 

 副隊長の席も空いており、副隊長の座を賭けて身内同士の骨肉の争いが起きていたのだ。

 

 理由はともあれ、今の隊長のまほが副隊長を指名しなかったのもあるが、副隊長を担える人材が一気に抜けたのが酷く響いたのも一連していた。

 

 副隊長になるためなら、実力者を陰湿ないじめで蹴落とし、時には事故に見せかけて怪我をさせて辞めさせたりと最早、隊長のまほでも手に負えない状況にまでなっていたのだ。

 

 ここは、黒森峰の隊長が使用する隊長室には西住まほが一人憔悴していた。机の上に山盛りで置かれているのは戦車道をしていた生徒の退部届けだった。

 

 「私はどうしたら良いのだ?みほはもう居ないし、エリカも小梅も居ない。そして、今年からティーガーIIの車長にする予定だった、内法や藤木もあの事故の当事者だっただけにいじめられ、それが原因でみほが居る大洗女子学園に転校してしまった・・・・・私に隊長である資格は在るのだろうか?みほ、私が悪いなら悪いと言ってくれ!私がみほもエリカも小梅を一切、庇わないで現実から逃げたから・・・・逃げたからなのだろ?誰でも良い、教えてくれ!」

 

 私が叫ぶが虚しく響く隊長室。

 

 私は鏡を見るとあまりにも酷い顔だった。

 

 髪はボサボサで、目の下には数日ほど全く寝ていないのもあり隈が出来ていたのだ。

 

 無理もない。

 

 頼れる副隊長も隊員もいないのだから、書類整理や書類作成だけでなく訓練メニューや配車などを私一人でこなしていたのだから寝ている暇は一切無かったのだ。

 

 そんな中、隊長室に入って来た生徒がいた。

 

 「隊長、失礼します」

 

 「レイラか・・・入ってくれ」

 

 楼レイラはパンターの車長を勤める生徒だった。レイラは退部した生徒を説得するために奔走しており、今日も説得の為に奔走していたのだ。

 

 「隊長、五名ほど説得したら戻ってくれるそうです。私は退部した生徒の説得に行きますので無理はしないで下さい。今、隊長が倒れられたら間違いなく黒森峰の戦車道は崩壊します。あと、お気に召したらですが、辛子レンコンを挟んで作ったハンバーガーです。少しでも食べて休んで下さい」

 

 レイラは気を使い、辛子レンコンを挟んだハンバーガーを持って来たのだ。

 

 私は嬉しかった。

 

 気付かないでいたのだ。

 

 まだ、頼れる人材が居たことに・・・・・

 

 私は気付かされたのだ。

 

 歴史の人物は曰く、人は石垣。石垣無くして城は建たん

 

 そんな大切なことを忘れていたのだ。

 

 私は副隊長を任命する書類に楼レイラの名前を書き、レイラを副隊長に任命したのだ。

 

 私も人の大切さに気づき、今まで以上に接する様にしたのだ。みほに対して漸く振り向きいつかは謝れるように私も代わる決意をしたのだから。

 

 そして、副隊長をレイラに任命した事もあり、黒森峰の戦車道に纏まりを見せ始めたのだ。

 

 それでも、戻って来た生徒を含めても参加する生徒の数が昨年の決勝の時の半数だった。

 

 

 

 

 叔母さんの家から学校に戻った私は丁度、生徒達が昼休みに入る所だった。職員室で担任に今来た事を伝えて食堂に向かったのだ。

 

 「なによ、これ・・・」

 

 それを見て絶句する私。

 

 「「西住みほ副隊長!あの時は本当にすみませんでした!うわぁぁぁぁん!?」」

 

 「えっ?ちょっと、内法さんに藤木さん!?泣かないで下さい。私、気にしてませんから」

 

 「ヒックゥ、それでも、副隊長には・・・・」

 

 「命を救われたのですから!」

 

 「華、これが修羅場なの?」

 

 「沙織さん、意味が違うかと・・・・」

 

 私が見た光景はみほに泣いて謝りながら抱き着き、泣き喚くのは今日から学園に転入した内法と藤木の二人だった。みほはアタフタしながら二人を慰め、一緒にいた武部さんと五十鈴さんは困惑していた。それも、そうだろう。二人には戦車道をしていた事は話してあるが、黒森峰で副隊長をしていた事は話していない。

 

 「ほら、内法、藤木は何時まで泣いている気なのよ。みほを見せ物にする気?」

 

 「「あっ、逸見さん」」

 

 「みほは気にしてないわよ。それに、謝るのは私よ。向こうで辛い思いをさせてゴメン」

 

 私は二人に言葉を掛けずに引っ越した事に後悔していたのだ。

 

 「逸見さんも悪くないです。逸見さんは小梅さんとみほさんを守る為に奔走したのに私達は何も出来なかった。いえ、逃げてました。だから、謝るのは私達です」

 

 内法がそう言い切ると藤木と一緒に頭を下げたのだ。

 

 「全く、いつまで頭を下げてる気?私もみほも小梅も気にしてないわよ。午後から選択授業なんだから、早くご飯を食べるわよ。ほら、二人もご飯を貰って来なさい。ご飯を食べながら、積もる話を聞くわよ」

 

 「わかりました。逸見さん達は選択授業は何を選択したのですか?」

 

 「私達は生徒会に頼まれて戦車道よ」

 

 「「私達も戦車道に参加します!みほさんの為なら・・・・」」

 

 「分かったわ。ほら、早く行きましょ」

 

 昼食を食べていて気付いたが、私と小梅に内法、藤木と事故当時の三号戦車のメンバーが全員揃った事に気付いたのだ。みほもそれには気付いており、私達、四人を見て困惑していた。それでも、みほに命を助けられた事に私は感謝していたのだから。

 

 午後の戦車道の授業になると、戦車倉庫の戦車は既に授業前に自動車部によって片付けられていた。戦車道を選んだ生徒は全部で25人ほどだった。

 

 「さて、戦車道の授業を始めるよ!」

 

 杏さんの一言に注目する生徒達。

 

 「あの、使用する戦車はティーガーですか?それとも、パンターですか?」

 

 一人の生徒が質問して来る。確か、生徒の名前は秋山優花里だったと思う。茜叔母さんの家に在った、写真に写っていた五人の中に似た生徒が居たような気がした。

 

 「それに付いては、隊長を努める西住みほと副隊長の逸見エリカに任せる。二人共、任せる」

 

 私とみほは前に出たのだ。

 

 「今日から隊長を努める事になりました。西住みほです」

 

 「同じく、副隊長を努める事になった、逸見エリカよ。さっきの質問だけど、大会で使用する戦車は劣化が酷くてオーバーホール中よ。これから、訓練で使用するのは戦車倉庫にあるわよ」

 

 私は戦車倉庫を開けたのだ。

 

 「「「「戦車が一杯ある~」」」」

 

 倉庫の中で並ぶ六両の戦車に瞳をきらつかせる生徒達。

 

 「でも、なんか汚い・・・・」

 

 「うっわぁ、ベトベトする・・・・」

 

 確かに戦車は整備はしたが、汚れが酷く汚いままだ。

 

 「全員、注目!戦車は整備してあるから使用可能よ。ただ、明日に教官が来るから戦車を掃除するわよ!あと、五チームに別れて貰うわよ!四チームには経験者を付けるから質問して!」

 

 すぐに全員が別れた。

 

 みほの所には武部さん、五十鈴さんの他にみほが声を掛けたらしく、秋山さんだった。バレー部はバレー部で固まり、歴女が集まるメンバーだったり、一年生は一年で集まったり、生徒会も生徒会で纏まったのだ。そして、私達四人は小梅がバレー部の行き、私が生徒会へ行き、内法は歴女の集まりへ、藤木は一年生の所へ行ったのだ。本格的な車両の振り分けは後でも良かったので配車して行ったのだ。

 

 みほが選んだのはⅣ号戦車だった。私が選んだのはレオパルド、小梅も同じくレオパルド、内法はⅢ号突撃砲、藤木は三式中戦車だった。それぞれ、選んだ戦車を倉庫から出している間に体操服に着替えるよう指示を出し、着替えて掃除を始めたが

 

 「なんで、水遊びになるのよ・・・・」

 

 私が担当したレオパルドは何故か白いビキニに着替えた小山さんが洗車していた。制服からでも判る巨大な胸が水着で強調されて私は目のやり場に困っていた。

 

 「逸見さん、どうしたの?」

 

 「どうしたのって、小山さんの水着姿に目のやり場に困っているのよ!」

 

 「別に大丈夫じゃない?女の子同士だし、ねっ」

 

 「ねっ、じゃないわよ!もう、私は中の掃除をするわ」

 

 レオパルドに乗り周りを見るとやはり、水遊びになっていたのだ。怒りたくなるが、私は内部を掃除しようとハッチに手を掛けた時だった。

 

 バッシャ

 

 「冷た!?」

 

 誰だろうか?

 

 私に水を掛けた阿保は・・・・

 

 私は全身ずぶ濡れだった。

 

 仁王立ちで立った為に体操服は透けて体に張り付き、下着が透けて見えていた事に私は気付かないでいたのだ。

 

 「今のだれよ!」

 

 「黒いブラ・・・・色っぽい大人のブラだね・・・・」

 

 「嘘、逸見さんは下着が黒だったの?」

 

 何故、下着の話になる?

 

 下を見ると体操服は濡れた事で体に張り付き、下着が透けて見えていたのだ。一瞬で私は顔が熱くなるのがわかる。

 

 「なっ・・・・・」

 

 そして、水を掛けたのは隣で洗車する小梅だった。

 

 「ゴメン!エリカちゃん!って、下着が黒!?」

 

 私は小山さんからホースを奪い取り、小梅に仕返しをしたのだ。

 

 「小梅、下着の色が黒で悪い!仕返しよ!」

 

 バッシャ

 

 小梅も全身がずぶ濡れになり、下着が透けたのだ。

 

 小梅の体操服が張り付き透けて見えた下着は白に赤いリボンが付いた可愛いブラだった。小梅は胸を抑えて顔が真っ赤にして、目尻に涙を溜めながら私を睨んだのだ。

 

 「う~エリカちゃん酷いよ。良いもん!エリカちゃんのパジャマをばらしてやるから!」

 

 「「「えっ?逸見さんのパジャマ?」」」

 

 「えっ?どんなパジャマ?」

 

 まさか、私がフリフリのロリータファッションのパジャマを使っていることをばらすと言うのか?

 

 辞めてくれ!

 

 それは、死刑宣告に等しい。

 

 私は小梅に対して二択しか無い。

 

 素直に謝るか、バラされるかだった。

 

 「小梅、ごめんなさい!」

 

 バラされたくないから素直に謝ったのだ。しかし、半泣きで怒った小梅が許す訳が無かった。

 

 「許さないもん!言ってやる!」

 

 「辞めてくれ!私がフリフリのロリータファッションのパジャマを使っているのを知られたら・・・・」

 

 完全な自爆だった。

 

 「「「「「えっ、えぇぇぇ!?」」」」」

 

 気付いた時には手遅れだった。

 

 「あっ・・・・・」

 

 まさかだろう。

 

 私がフリフリの様なロリータファッションのような可愛い服が好きだったのは・・・・

 

 だが、周りの反応は違っていた。

 

 「エリカさん、マジ可愛い!」

 

 「うん、エリカさんは可愛いんだよ」

 

 みほの擁護なのか止めなのか分からないが、怖そうに見えるが実は可愛いエリカと印象付けた瞬間だった。後日、みほや小梅、内法、藤木の元黒森峰組と沙織さんや華さん、麻子、優花里達を加えた九人でパジャマパーティーをすることになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 




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