ガールズ&パンツァー 逸見エリカの苦労日誌   作:まもる

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 難産でした。


壮絶!聖グロリアーナ戦

 

 寄港する残りの一週間は射撃や偵察、距離の測定などを最低レベルでも出来る様に訓練したが問題が起きたのだ。直接照準から曲射による射撃が出来る小梅は問題無いのだが、五十鈴さんが曲射での射撃が合わなかったのだ。

 

 そこでみほは大胆にも作戦を変更したのだ。

 

 レオパルドの速度を生かして掻き回し、ジャンクションなどでティーガーⅡやパンターF型、Ⅲ号突撃砲による待ち伏せで戦力を削る作戦に変えたのだ。生憎、レオパルド用にも高速徹甲弾は大会の為に購入してある。

 

 そして、ある程度撃破したら地の利を生かした市街地戦で決着をつける作戦にしたのだ。

 

 レオパルドの砲塔もパンターF型と同じ造りなのでステレオ式照準器にオートジャイロが付いているので走行間射撃も可能だった。

 

 「とりあえず、当日に相手の戦車を見ないと作戦は選べないわね」

 

 「そうですね」

 

 私とみほの結論は当日にならないと分からないとなり、レオパルド組には更に走行間射撃の訓練を追加したのだった。無論、ティーガーⅡとパンターF、Ⅲ号突撃砲にも射撃訓練や全車まとめての偽装などを徹底的に訓練したのだ。

 

 大洗港帰港当日、みほの携帯から少し遅れると連絡が在った。

 

 私は理由を聴いて少し呆れたのだが、麻子が寝坊して起こすのに三人掛かりでやっと起きたらしい。それも、まず、沙織さんが布団をめくり、秋山さんが起床ラッパを吹き、これでもかと言うかのようにみほ達が迎えに行ったティーガーⅡの空砲でやっと起きたらしい。

 

 みほの空砲は流石にやり過ぎだと思うが隊長が来ないと話にならいし、私がこの面子をまとめ上げる自信はない。

 

 「エリカちゃん、西住ちゃん急いで向かっているってさ」

 

 「杏さん、悪いわね」

 

 通信手の杏さんが通信越しに報告してくる。私達のティーガーⅡを先頭にパンターF型、Ⅲ号突撃砲、レオパルドが二両と一例の隊列を組み学園艦から埠頭に降りる為のバイパスを使っている。キューポラから半身を出すと街の人達が頑張れと手を振っていた。

 

 「「「お~い、頑張れよ!」」」

 

 「これも、悪い気はしないわね・・・」

 

 

 埠頭に降り、みほ達と合流すると演習場へと向かったのだ。

 

 そして、彼女達が乗る戦車を見た時、絶句し絶望したのだ。

 

 「何よ!これ・・・・」

 

 まさか、こんな戦車で来るとは全く思わなかったのだ。

 

 これが本気の聖グロリアーナ女学院なのかと一瞬だが疑ってしまった。優雅に戦うのが売りの聖グロリアーナ女学院では無かったのだ。後ろの三両は情報にあったコメット巡航戦車だったが前を走る三両には全く情報が無かったのだ。それを見た秋山さんが顔を真っ青にしながら呟いたのだ。

 

 「増加試作A41型センチュリオン・・・・・」

 

 隊長車がブラックプリンスでは無かったのだ。だが、一両のセンチュリオンから降りて来たのはあのノーブルシスターズだった。一度だけ、みほが風邪で寝込み、代役で隊長と一緒に聖グロリアーナ女学院の学園艦に行った事があった。その時に見たのがダージリン、アッサム、オレンジペコ達だった。

 

 そして、彼女達はメイドらしき女性からティーカップを貰うと優雅に紅茶を飲んで居たが、私を見つけるとダージリンが私の元にやって来たのだ。それも、挨拶をするために行った生徒会の三人を無視してだ。

 

 「やぁ、忙しいのに練習・・・・あれ?」

 

 「あら、黒森峰の狂犬がこちらにいらしたんですの?」

 

 「悪い?」

 

 「えぇ、とっても悪いですわ。えぇ、とっても・・・・お慕いしていたみほさんが転校する噂を聞いた時に、是非、聖グロリアーナ女学院に転入させるつもりが狂犬と一緒に大洗に行ってしまったのですから。わたくし、みほさんにはとっておきのゴールデンティップという名前を用意してお待ちしていたのに残念でしたわ」

 

 「みほは転校の条件で戦車道がない学校を選んだわ。黒森峰での精神的疲弊から戦車道から離れるためよ。私達が一緒なのは、みほの笑顔を守る為よ!」

 

 「くっ、こんな確言を知ってる?『イギリス人は恋愛と戦争には手段を選ばない』そのために、今日はブラックプリンスではなくセンチュリオンにしたのですから・・・・」

 

 瞳から光の消えたダージリンに睨まれた私は一瞬、その瞳に恐怖したのだ。

 

 その目は、今すぐにでもお前を叩き潰してやるから覚悟しろと訴えているようで、まるで恋をした乙女が恋人を違う相手に取られて、睨むようなそんな目だったのだ。

 

 だが、ダージリンがみほと隊長同士の話している時は少し顔を赤らめ、みほを見る目は間違いなく恋する乙女そのものだった。

 

 何故、ダージリンが私を目の敵にするのかが分からないが、センチュリオン三両にコメット巡航戦車三両の相手をするのはかなりキツイ状況だと理解したのだ。

 

 

 

 

 

 やはり、みほさんと久しぶりに話すのは嬉しくもあり、黒森峰との練習試合以来だった。それでも、決勝戦での勇敢さと優勝より人命を優先した事に体中に稲妻が走る衝撃だった。そう、その衝撃は恋だった。そう、わたくしはみほさんに恋をしたのだ。それ以来、どんなに優れた殿方よりも、西住みほの存在が愛しく思ってしまったのだ。

 

 すぐさま、アッサムを黒森峰に送り調べさせて知ってしまったのだ。

 

 西住流の破門と転校する噂に・・・・

 

 それは、アッサムを通じて直ぐに耳に入った。

 

 生徒会を操り、どんな手を使っても構わないから、みほさんを聖グロリアーナ女学院に編入させようと手を尽くしたが、大洗女子学園に転入を済ませた後だったのだ。

 

 それでも、みほさんが愛しかった。アッサムが戻るまでの間、あまりの愛しさのあまり、入浴後のオレンジペコにみほさんの髪形にして替わりに愛でた事もあった。それが、オレンジペコに何時もと違う髪形だと判ると怒って粉末の紅茶にされる事もあった。

 

 でも、オレンジペコを抱いても心が満たせなかった。

 

 いや、みほさんの替わりにはならなかったのだ。

 

 みほさんが欲しい・・・・

 

 ところが、わたくしの逆鱗に触れる存在がいたのだ。

 

 それは、黒森峰に潜伏するアッサムから、彼女の側にいる二人の存在を知ったのだ。

 

 黒森峰の狂犬、逸見エリカと黒森峰の与一、赤星小梅の存在に・・・・

 

 黒森峰から戻ったアッサムから数枚の写真を渡され、それを見たわたくしはショックでティーカップを落とすほどの衝撃だった。

 

 落ち込み、俯くみほさんをまるで好きな人に懸命に尽くすような優しさで世話をする逸見エリカと赤星小梅だったり、そこまで、詳細に写真を撮る必要は無かったのに寮の寝室で三人で抱き合いながら眠っていたり、逸見エリカがみほさんの抱きまくらにされたりと・・・・・写真を見るだけでキリが無かった。

 

 世話をするだけなら良いかもしれなない。

 

 だけど、みほさんの笑顔は全て二人に向けていたのだ。そして、その笑顔を見て笑顔で返す二人。

 

 許せないと思ったのだ。

 

 わたくしには許せないのが二つ出来たのだ。

 

 一つはみほさんの笑顔を独占する逸見エリカの存在だった。

 

 もう一つはみほさんをイジメ抜いた黒森峰のやり方だった。

 

 それからのわたくしの行動は早かった。隊長だったアールグレイから隊長を任されるとまず、戦力増強を理由にOG会とOB会を説き伏せてチャーチルMkーⅦからブラックプリンスに切り替え、クルセイダー乗りから武装の強化を求められた為に更に強力なコメット巡航戦車に切り替え、マチルダ歩兵戦車から17ポンド砲搭載型のセンチュリオン増加試作A41型を導入に踏み切ったのだから。

 

 乙女のわたくしなら、打倒逸見エリカであり、戦車道のわたくしなら打倒黒森峰なのだと・・・・

 

 

 そして、今日は・・・・

 

 目の前には、逸見エリカがいたのだから。

 

 ティーカップを片手に指示を出す。

 

 「全車、前進。大洗女子学園に敗北の二文字を刻みなさい」

 

 前進する、六両の戦車達。

 

 一糸乱れぬ隊形はある種の美しさを醸し出す。

 

 例えるなら芸術だろうか?

 

 そして、この時だけは美しく優雅に紅茶を・・・・・

 

 ズッドン・・・・・・・・・・・・・・・・・ヒュルルル・・・・ズッガァァァン

 

 「!?」

 

 『ダージリン様、済みません。センチュリオン三号車やられました!』

 

 カッシャン

 

 いきなりの砲撃と砲弾の落下音を聞いたと思った瞬間、エンジンルーム辺りに直撃を受けて行動不能になったセンチュリオン三号車

 

 砲撃の音は遠かった。

 

 一体、何処から?

 

 しかし、降り注いでいるのは等間隔で落下してくる榴弾

 

 その中の一発がセンチュリオンに命中したのだ。

 

 それに驚き、ティーカップを落としてしまったのだ。

 

 「おやりになりますわね・・・」

 

 「ダージリン様、ピンチじゃないですか?」

 

 「ペコ、この言葉知ってる?」

 

 「はい?」

 

 「人間は負けたら終わりなのではない。辞めたら終わりなのだ」

 

 「元アメリカの大統領、リチャード・M・ニクソンですね」

 

 「全車、散開」

 

 これ以上、砲撃に晒されたら・・・・・

 

 全車に榴弾の標的になるのを避けるために散開する様に命令したのだ。

 

 「えっ?ダージリン様、砲撃が・・・・」

 

 「止まったの?」

 

 嫌な予感がして、ぺリススコープを覗くと追撃を掛けるように両脇の崖を疾走して下り二両の戦車が突撃して来たのだ。

 

 「迎撃」

 

 しかし、コメット巡航戦車に砲撃して離脱を図る二両の戦車。

 

 ローズヒップが乗るコメット巡航戦車に砲弾が命中するが弾くだけだった。

 

 しかし、コメット巡航戦車の部隊はローズヒップのコメットを先頭に二両の戦車を追撃したのだ。

 

 「追撃しますわよ!聖グロの韋駄天、ローズヒップの乗る戦車より速いですの!」

 

 「ローズヒップ、罠よ戻りなさい」

 

 聞く耳も持たずに二両の戦車を追撃して追って行ったのだ。

 

 「全車、追撃」

 

 仕方なく、追撃したのだ。

 

 スピードの差が在った為にコメットが見えなくなり、山岳地帯を抜ける頃には塗り忘れがあったのだろうか、一部ピンク色の白旗を上げたレオパルドと側面を撃たれた二両のコメット巡航戦車だったのだ。

 

 「ローズヒップ!」

 

 「ダージリン様、済みませんですわ。まさか、茂みにパンターとⅢ号突撃砲が隠れていたなんて・・・・残りのコメット巡航戦車には先行偵察を命じましたわ」

 

 結局、今の現状はセンチュリオンが一両がやられ、待ち伏せでコメット巡航戦車二両がやられた事になる。そして、こちらはレオパルドを一両だけ。

 

 先行したコメットにより新たな情報がはいる。

 

 「大洗の主力を発見しまた!数は三両、ティーガーⅡとパンターにレオパルドです。向かう方角は市街地です!ただ、Ⅲ号突撃砲とティーガーⅡがいません!」

 

 わたくしは考える。

 

 待ち伏せしているのはティーガーⅡとⅢ号突撃砲のみ。なら、残りの三両で撃破は出来るかもしれない。

 

 キューポラから身を乗りだし周りを見渡す。

 

 雑木林の一部がおかしい事に気付いたのだ。

 

 あそこは雑木林なのに何故、藁が積まれているのだろうかと?

 

 「うふふ、あれは無いですわね。アッサム、3時方向に積まれている藁に砲撃」

 

 「はい、ダージリン様」

 

 「装填完了です」

 

 「撃て」

 

 センチュリオンの主砲が火を噴いたのだ。

 

 藁を吹き飛ばし、直撃したのはⅢ号突撃砲だった。

 

 藁ではなく、枝や葉っぱだったら間違いなく分からないまま待ち伏せされていただろう。

 

 ある意味、相手のミスで助かったとわたくしは思う。

 

 しかし、ティーガーⅡとレオパルドにパンターの三両は市街地に逃げられた事になる。地の利は当然ながら大洗にある。しかし、こちらもセンチュリオン二両に先行偵察しているコメットがいる。確か、レオパルドは50ミリ戦車砲だったはずで、怖いのはティーガーⅡの主砲だけだ。こちらは三両とも17ポンド砲搭載型で・・・・・。

 

 やる事は一つしか無い。

 

 「全車、市街地に進撃。コメットは市街地入口で合流しなさい」

 

 市街地へと進路を変えて追撃したのだ。

 

 ただ、遅れて来るだろう、ティーガーⅡを迎え撃つために・・・・・

 

 

 

 

 

 少し遡る事、ダージリンに睨まれ後は全身から汗が一気に滲むような感覚だった。

 

 私はダージリンに何かしたのだろうか?

 

 いや、それよりも聖グロリアーナ女学院の戦車の編成に対処しないといけない。普通ならチャーチルとマチルダだが、今回はセンチュリオンとコメットの編成だ。両方とも硬い上にコメットに至っては足が速い。とにかく、最終的には市街地戦で決着を付けられるようにしないといけない。

 

 「みほ、どうするの?」

 

 「う~ん、作戦通りに榴弾による長距離射撃で足止めして、各ポイントでの待ち伏せして数を減らして行きます」

 

 「作戦名はどうする?」

 

 「正面から戦わないでコソコソしながら戦うので『コソコソ作戦』です」

 

 「全く、相変わらずのネーミングセンスね」

 

 「いま説明した通りです!私とエリカさんで射撃ポイント102ポイントに展開しますので、内法さん、澤さんのレオパルドは観測ポイント303と403ポイントへ急いで急行して観測を開始して下さい。残りは格待ち伏せポイントまで急行します!全車、パンツァーフォー!」

 

 全車が散開して格ポイントへと急いだのだ。

 

 私のティーガーⅡとみほのティーガーⅡは射撃ポイントへと急いだのだ。そこは、榴弾を射撃する上で足りない射角を確保できる法面があるからだ。

 

 『こちら、内法です。ポイントへ到着しました。観測開始します』

 

 『こちら、澤です。ポイントへ到着しました。観測を始めます』

 

 『了解しまた。まず、ポイント五番へと砲撃をしますので観測距離報告お願いします』

 

 二三分しないで二人から通信が入ったのだ。

 

 『観測完了しました。距離2250』

 

 『こちらも完了です。距離2210』

 

 「小梅、40mほどズレがあるけど大丈夫なの?」

 

 「散布界の範囲だから大丈夫だよ。だだ、相手に散開されたら厄介かも」

 

 「そうなったら、みほの作戦の第二段階ね。レオパルドが走行間射撃しながらコメットに突撃して本隊から切り離すわ。まぁ、上手く行けば良いけどね」

 

 「エリカちゃん、来たようだよ」

 

 『センチュリオンがポイントに入りました。四秒間隔で射撃します。エリカさん、射撃準備」

 

 「みほ、準備できてるわよ」

 

 『砲撃始め!』

 

 ティーガーⅡ二両よる、榴弾射撃が始まったのだ。レオパルドからの無線は小梅に直に入るようにしてある。レオパルドから修正補正が無線から滞りなく入ってくる。

 

 「おっ、重い~」

 

 ただ、河嶋さんの力の無さに呆れてはいるが・・・・

 

 88ミリや75ミリの砲弾ならまだ優しいと私は思う。私が装填手だったときはヤークトティーガーやマウスの128ミリ戦車砲の砲弾を毎日を装填していたのだ。それと比べたらまだ優しいと思う。

 

 今更、嘆いてはいられない。

 

 「河嶋さん、代わるわよ!」

 

 「済まない・・・」

 

 「少し休んで、腕を冷やしなさい」

 

 革手袋を嵌めて、砲弾の装填に勤しんだのだ。

 

 「あれ?装填が速い・・・・あっ、エリカちゃんだったの?」

 

 「河嶋さんが今さっきダウンしたわよ。今、休ましているわ」

 

 「あっ、エリカちゃん、みほちゃんから通信だよ」

 

 「センチュリオンを一両撃破してポイントは通過されました。内法さん、澤さんは作戦の第二段階です。『おちょくり作戦』開始です。コメットに砲撃して本隊から引き離して、待ち伏せポイントまで誘導して下さい」

 

 「「「「了解」」」」

 

 じゃあ、私達は次のポイントへ移動ね。

 

 「途中、Ⅲ号突撃砲と合流したら市街地入口まで移動するわよ」

 

 私達が移動する間に、レオパルドの内法と澤さんは本隊からのコメットの引き離しに成功してパンターとⅢ号突撃砲が待ち伏せしている所に誘導して二両を撃破したが澤さんのレオパルドが残りのコメットに追われて砲撃され撃破されたのだ。残った、コメットは全速で逃げられ、逃げたコメットの方向によって、みほの本隊が市街地入口付近で見つかってしまった。

 

 悪い事は続き、雑木林で待ち伏せしていたⅢ号突撃砲が撃破された事がわかり、センチュリオンを追う形で私のティーガーⅡは市街地に向かい、途中の雑木林にはⅢ号突撃砲が偽装を間違えて撃破されたが判ったのだ。

 

 結局、私と後ろから挟撃する予定のⅢ号突撃砲とレオパルドが撃破され、単独で市街地に向かったのだ。

 

 市街地に通じる県道には、コメットとセンチュリオンの三両が合流していた。距離に換算さして約2000mほどだ。キューポラから身を乗りだし、足の速いコメットに狙いを定めたのだ。

 

 「小梅、コメットを狙うわよ。射撃準備して、小山さんは戦車停車・・・・」

 

 「おっ、重い!装填よし」

 

 「エリカちゃん、照準いいよ」

 

 「撃て!」

 

 しかし、それは罠だった。命中したのはコメットではなくセンチュリオンだったのだ。コメットが下がる事でセンチュリオンの正面装甲で弾かれたのだ。

 

 距離、2000mでは遠かったのだ。

 

 「チィ!戦車前進!一両破壊したら離脱するわよ!装填、急ぎなさい!」

 

 気付かれていたのだ。

 

 いや、最初からダージリンは私が出て来るのを狙っていたのだ。

 

 そう、試合前に言った事を有言実行するために・・・・

 

 「小山さん、車両を1時方向へ、小梅、12時方向に向けて!」

 

 「まさか・・・・・・エリカちゃん?」

 

 「久しぶりに狂犬らしく、殴り合うわよ。角谷さん、みほに無線で合流は出来ない。と入れて!」

 

 「任せて~」

 

 「じゃあ、行くわよ!」

 

 ティーガーⅡ一両でセンチュリオン二両とコメット一両の三両と殴り合いをしたのだ。

 

 無謀だろう。

 

 だが、みほならその意味を理解して逆に挟み撃ちができるはずだ。

 

 たけど、こちらが一発撃つ間に何度も砲弾がノックしていくのだ。コメットを狙うにしてもコメットはセンチュリオンを背に隠れて砲撃して来るために狙いはセンチュリオンになってしまうのだ。

 

 「きりが無いわね-・・・」

 

 ガッン、ガッン、ガッン

 

 「ティーガーⅡの正面装甲は抜けないわよ!小梅、何とかセンチュリオンを一両を黙らせられない?」

 

 「この距離だと弾かれるかも」

 

 「なら、正面向けて進んでみたら?」

 

 「角谷さん、それこそ危険だよ」

 

 「なんで?」

 

 「正面に砲塔を向けたらショットトラップを狙われます。それに、ノーブルシスターズのアッサムは砲手の腕は確かだから、確実にショットトラップを利用してくるよ」

 

 「小梅の言う通りよ」

 

 「でもさ、今の状況にラチが開かないよ?」

 

 確かに、小山さんの言う通りでもある。

 

 どうする?

 

 そんな時だった。

 

 「えっ?コメットがやられた?」

 

 コメットの側面が撃たれ、白旗が上がったのだ。しかし、センチュリオンはその方向に反撃しているのだ。

 

 一体どこから?

 

 『エリカさん、お待たせしました』

 

 「みほ、ゴメン!」

 

 しかし、みほの挟撃にも対応してレオパルドが真っ先に撃破され、バレー部のパンターも履帯を狙われ、履帯を破壊するともう一両のセンチュリオンでパンターまでもやれたのだ。本気のダージリンの指揮の高さに舌を巻いたのだ。

 

 残りは二対二

 

 なら、私はみほの作戦に従うだけよ。

 

 

 先に動いたのはセンチュリオンだった。

 

 私を狙うあたり、ダージリンだと判る。

 

 正面から突っ込んで来たのだ。

 

 「ダージリン、正気なの!」

 

 ティーガーⅡの正面にぶつけると、主砲をティーガーⅡの主砲の防楯の下にねじ込んだのだ。

 

 これはで、嫌でもショットトラップが起きる。

 

 私は叫んだ。

 

 「小梅!」

 

 ティーガーⅡの主砲もセンチュリオンの主砲の下に入り込んでいたのだ。

 

 二両の戦車の主砲が同時に火を噴いたのだ。

 

 爆煙につつまれた。

 

 白いはたが立ったのは私のティーガーⅡとダージリンのセンチュリオンだった。

 

 そして、みほもセンチュリオンの側面に体当たりしてゼロ距離から主砲を放ち撃破したのだ。

 

 

 『聖グロリアーナ女学院全車戦闘不能!よって、勝者県立大洗女子学園!』

 

 私達は聖グロリアーナ女学院に勝ったのだ。

 

 そして、通信手にして生徒会長の角谷杏さんが黒い笑みを浮かべていたのだった。

 

 「さて、聖グロリアーナ女学院にも罰ゲームを受けて貰おうかな?」

 

 今の呟きに私は聞かなかった事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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