blaine・stop   作:cl.

8 / 8
攻略-Capture-

獣の咆哮が空気を震わし、それを止めるように獣の背中に大剣を叩き込む。

 

クラがダンジョンに入ってから加速世界では数日が経過した。

 

このダンジョンに存在するエネミーは今のところは小獣(レッサー)級のみを確認している。数も少ないが、クラはまだ最初の階層を突破出来ていない。

 

そもそもエネミーには例え小獣級であっても単独で討伐するのが難しい位には強い。

 

一般的にはレベル7の上位リンカーがようやく一人で小獣級を狩れるという位のモノで、クラリネット・クロックはレベル5で経験も上位ランカークラスにはまだまだ届かない。

 

そもそも何故時間停止アビリティ持ちの彼がエネミーと直接対決をしているのかと言うと、今戦闘しているのは次の階層への扉を守っているエネミーで、その他ダンジョン内で遭遇するエネミーは全て時間停止で無視できる彼も、扉を守られていては素通りが出来ない。

 

時間停止をすると扉を開けることが出来なくなってしまう。故に扉を開けるにはアビリティを解除する必要があるのだが、エネミーを倒さないと開ける時間すら貰えないのだ。

 

そんな理由もあり渋々戦っているのだが、実のところ既に20回程やれている。最初は手も足も出ずにやられるだけだったが、三回目辺りからは対エネミー戦にも慣れ始め、十回目辺りからは初期に比べ動きも飛躍的に良くなり、十八回目辺りには敵エネミーの体力ゲージを八割削る事にも成功した。

 

現在も敵のゲージを六割程度削っており、反面クラ自身は二割も食らってなく、今回は今までで一番調子が良い。

 

(必殺技ゲージも十分に溜まっている。このまま順調に行けば、今回は勝てるかもしれない。)

 

一瞬自分のゲージを確認して、また敵の姿を見据えると、アビリティを行使して時間を止める。

 

敵を踏み台にして大きく飛び上がり、時間停止の解除を共に大剣を相手の頭に体重を乗せ刺す。

 

深くめり込んだ大剣は二割の体力を敵から奪い、獣は咆哮のような悲鳴を上げる。

 

頭上の邪魔者を落とそうと、獣は壁に向かって走り出す。

 

自分の体が壁にぶつかる直前に大剣を抜き、時を止めて獣から離れる。

 

獣は自分の体を鋼の壁にぶつけ、クッションになるはずだったモノが消えていた為衝撃を全て受け、怯んだ。

 

今の属性は『鋼鉄ステージ』全てが硬いこのステージでは壁や床に叩きつけれるだけでもかなりダメージを喰らう。自身でつっこんだエネミーをその対象であり、自身の体力ゲージを減らす。

 

(今だ――――)

 

怯んだ隙を見逃さず、床を蹴って勢い良く敵に飛んで全力の一撃をぶち込む。

 

そこでようやく敵の体力ゲージを削り切り、獣の体は粒子となって消滅した。

 

「...やっと倒せた」

 

はーーーーーーと大きく息をつきその場に座り込む。

 

ステータスウィンドウを開き獲得BPを確認して、もう一度大きな、今度はため息をつく。

 

「あんな大変な思いしてこれだけかよ...」

 

今回の戦闘で獲得できたのはほんの数ポイントのBPと低レアアイテムだけ。先程のエネミーとの戦闘でトライ&エラーした分の賄にもならない

 

「まぁ...今回は対エネミー戦の動き方とかが学べた分が報酬って事にしとこう」

 

言い聞かせるようにしながら立ち上がり、ステータスウィンドウを閉じると、大きくて重そうな扉を押し開ける。

 

せっかく苦労して倒したのに、変遷が来て復活してしまったら水の泡もいいところだ。

 

さっさと次の階も攻略してしまおうと下層へと続く階段を下りていく。

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

そこから先は比較的スムーズに事が進んだ。

 

階層の攻略はそれなりに戦闘は全てアビリティを使って回避し、階層ボスも先程の経験も活かし、対したダメージも負う事無く進んでいった。

 

結局多少難易度は上がるものの、その辺のエネミーも階層ボスも小獣級で、内装や構造も大した変化も見受けられないような代り映えしない光景が下層14階に渡り続いた。

 

五階辺りからはダンジョンをうろついている小獣級達も相手にし始め、システム的なレベルはまだしばらく上げられる気配はないが、戦闘技術や戦況把握などのシステム外のスキルはグングン成長していった。

 

「オォラッ!!」

 

14階のボスにトドメの一撃をぶち込み、消滅を確認する。

 

ボスの後ろに隠れていた扉は今までもモノと異なり、仰々しいというか、これはボス部屋に繋がっているなと感じさせるモノだった。

 

「長かった...」と早めの感動に涙を流す。実際には流れてないが。

 

スムーズに進んだといってもソロでのダンジョン攻略は時間がかかり、今日はダンジョンに入ってから17日が経過している。

 

現実時間ではまだ30分も経ってはいないが、それでも体感時間は2週間以上変遷以外の変化を感じないダンジョンで武者修行なのだからやっと現実世界に帰れる兆しが見えてきたと思うのも仕方がないことだろう。

 

扉を開け、豪華な装飾の施された階段を下りていく。

 

体力ゲージは7割近くも残っており、必殺技ゲージはほぼ満タン。

 

階段を降り切り、目の前に現れる存在を見据えながら大剣を両手でしっかりと握り、大声を上げ飛び出す。

 

「行くぞォ!!!」

 

 

 

 

 




今回はかなり早く投稿しましたね。

ダンジョン攻略回です。

内容としては結構ペラペラですね。主人公全然喋ってないし、やっぱりソロだと喋んないんでしょうねきっと。

次回はボス戦です。クラ君は勝つことが、ダンジョンを攻略することができるのか

コメントは執筆の原動力になります。この作品を良いと思った皆様、是非コメントなどよろしくお願いします

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。