番長の箱庭生活    作:惰猫

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久しぶりに書いてみると全然書けない。
鳴上くんっぽさが無いです。申し訳ない。
取り敢えず二人のコミュニティは決定しました。

可愛いは正義!


第二話

 箱庭2105380外門・内壁。

 俺、鳴上悠はお嬢様な少女と猫を抱きかかえる少女、そして少年と共に歩いている。

 すると、不意に空が明るくなる。

 天幕が張っていて見えなかったのだが、何故か空が見える様になったのだ。

 

 

 

 第二話 『番長はいつの間にか眼鏡をかけていたみたいですよ?』

 

 

 

 

 「に、にゃー!にゃーにゃにゃーにゃ、にゃー!」

 

 「……本当だ。外から見たときは布が張ってあって見えなかったのに」

 

 確か、落ちている時に見たこの場所は覆われていて見えなかった筈だ。

 外に居れば見えない場所が、中にはいると見えるということが起きている。

 ふむ、この世界は凄いんだな。

 どこかのマジックガラスみたいだな。

 

 「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんですよ。そもそもあの巨大な天幕は太陽の光を直接受けられない種族のためにあるんですから」

 

 「あら、それはなんとも気になる話ね。この都市には吸血鬼でも住んでいるのかしら?」

 

 「え? いますけど」

 

 「……そう」

 

 さも当たり前のように言うジンに久遠は複雑そうな顔をした。

 かく言う俺はその事実を普通に受け入れられた。

 まあ、バニーガール的な本物のうさ耳を付けているハイカラな少女が居たりするんだから居ても可笑しくはないと思うんだよな。

 俺の考えは間違っているのだろうか?

 

 「ジンくん。お勧めの店はあるのかしら?」

 

 「す、すみません。段取りは黒ウサギに任せていたので………よかったらお好きな店を選んでください」

 

 「それは太っ腹なことね」

 

 このやり取りは出会ったばかりの陽介とのビフテキのやり取りを彷彿させるな。

 ……あの時は千枝があんなに食べ物を食べるとは思っていなかった。

 陽介の判断は正解だったよ。……あの時は甲斐性無しめ、と思って悪かった。

 思考の海から浮上すると、カフェテラスから猫耳な少女が現れた。

 

 「いらっしゃいませー。御注文はどうしますか?」

 

 「えーと、紅茶を二つと緑茶を二つ。あと軽食にコレとコレと」

 

 「みゃー!」

 

 「はーい。ティーセット四つにネコマンマですね」

 

 『はい?』

 

 「三毛猫の言葉分かるの?」

 

 「もちろんですよ~私は猫族なんですから~♪」

 

 なんと言うか、ふむ。本当に元の世界とは違うな。

 それにしてもネコマンマは確かに美味しいんだが、本当に猫ってネコマンマを頼むんだな。

 まあ、それを言えば狐にお稲荷を渡すのもアレなんだがな。

 

 「にゃーにゃーにゃにゃー」

 

 「やだもー、お客さんったらお上手なんだから♪」

 

 どうやら春日部の猫が猫耳少女を褒めたようだ。

 彼女の機嫌が上昇するのを感じた。

 

 「三毛猫、私以外に三毛猫と話せる人いたんだね」

 

 「にゃあ~」

 

 「うん?私以外にも?」

 

 ……春日部、三毛猫ってどうなんだ?

 まぁ、俺が飼っている訳じゃあないから何とも言えないんだがな。

 

 「春日部は猫と喋れるんだな」

 

 「うん。猫以外でも生きているなら誰とでも話できる」

 

 「すごいですね。……全ての種と会話が可能なら心強いギフトですね。この箱庭において幻獣との言語の壁というのはとても大きいですから」

 

 「そうなのか」

 

 「その、幻獣と話すのって……すごい大変なの?」

 

 「はい。一部の猫族やウサギのように神仏の眷属として言語中枢を与えられていれば意思疎通は可能ですけど、幻獣達はそれそのものが独立した種のひとつですから。同一種か相応のギフトでもなければ意思疎通が難しいのが一般的です。箱庭の創始者の眷属に当たる黒ウサギでも、全ての種とコミュニケーションを取るのはできないはずですし」

 

 コミュニケーションは取れないが、何となく言いたいことは解る。

 まあ、アイツは特別だったのかもしれないがな。最後まで助けてくれたし。

 

 「そう……春日部さんは素敵な力があるのね。羨ましいわ」

 

 笑いかけられると、春日部は困ったように頭を掻いた。

 だが、それとは対照的に久遠は憂鬱そうな表情で呟く。

 どうやら彼女は自分の能力に対して思うところがあるらしい。

 

 「久遠さんは……?」

 

 「飛鳥でいいわ。よろしくね、春日部さん。鳴上くんも飛鳥でいいわよ」

 

 「ああ。なら、二人とも俺のことも好きなように呼んでくれ」

 

 「……うん。じゃあ、飛鳥はどんな力を持ってるの?」

 

 「私? 私の力は……まあ、酷いものよ。だって」

 

 「おんやぁ? 誰かと思えば東区画の最底辺コミュ“名無しの権兵衛”のリーダー、ジン君じゃないですか。今日は黒ウサギと一緒じゃないんですか?」

 

 品のない声のくせに上品ぶった声がジンを呼んだ。そこには2メートルを超す大男がいた。

 なんというか身体にあっていないピッチピチなタキシードを着ている。

 なんというか、少し見ていて不快になる。彼は何処か嫌な笑みを浮かべている。

 

 「僕らのコミュニティは『ノーネーム』です。『フォレス・ガロ』のガルド=ガスパー」

 

 「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミュニティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなどできたものだ。そう思わないかい、そこな紳士とお嬢様方?」

 

 空いている席にドカッと座ったガルドは何処かニヤニヤしている。

 紳士?な服装とは真逆の彼の態度に此処にいる全員が冷ややかな目で見ている。

 特にお嬢様な飛鳥は彼の行動に呆れを隠しきれないようだ。

 

 「失礼ですけど、同席を求めるならばまず氏名を名乗った後に一言添えるのが礼儀ではないかしら?」

 

 「おっと、これは失礼しました。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ『666の獣』の傘下である……」

 

 「烏合の衆の」

 

 「……コミュニティのリーダーをしている、って待てやゴラァ! 誰が烏合の衆だ小僧ぉ! 俺のコミュニティは『フォレス・ガロ』だ!」

 

 「ストップだ、二人とも」

 

 「悠君、有り難う。で、事情はよくわからないのだけど、あなた達2人の仲が悪いのは承知したわ。それを踏まえて質問したいのだけど……。ねえ、ジンくん。今ガルドさんが指摘した私達のコミュニティが置かれてる状況……とやらを説明していただける?」

 

 「そ、それは……」

 

 彼女の言葉にジンは言葉が詰まった。

 やはり何かあったのだろう。彼女はそれを見逃さずにたたみかけた。

 

 「あなたは自分のことをコミュニティのリーダーだと名乗ったわね。なら、黒ウサギと同様に新たな同士として呼び出した私達にコミュニティというのはどういうものなのかを説明する義務があるはずよ。違うかしら?」

 

 それに便乗するようにガルドはたたみかけた。

 ……何処か小物臭がするんだが、どう反応すべきなのだろうか?

 

 「レディ、あなたの言う通りだ。コミュニティの長として新たな同士に箱庭の世界のルールを教えるのは当然の義務。しかし、彼はそれをしたがらないでしょう。あなたがよろしければ、『フォレス・ガロ』のリーダーであるこの私が、コミュニティの重要性と小僧──ではない、ジン=ラッセル率いる『ノーネーム』のコミュニティを客観的に説明させていただきますが」

 

 「……そうね、お願いするわ」

 

 「承りました。まず、コミュニティは読んで字のごとく複数名で作られる組織の総称です。受け取り方は種によっても違うでしょう。人間はその大小で家族とも国ともコミュニティを言い換えますし、幻獣は群れとも言い換えられる」

 

 「それぐらいはわかるわ」

 

 「はい、確認までに。そしてコミュニティは活動する上で箱庭に名と旗印を申告しなければなりません。特に旗印はコミュニティの縄張りを示しています。もし自分のコミュニティを大きくしたいと望むのであれば、あの旗印のコミュニティに両者合意で『ギフトゲーム』を仕掛ければいいのです。私のコミュニティは実際にそうして大きくなりましたから」

 

 取り敢えず、彼の話に耳を傾ける。

 だが、自慢が多すぎる。これじゃあ本当に必要な情報を得るのは難しいな。

 

 「その紋様が縄張りを示すというのなら……この辺りはあなた達のコミュニティが支配してると考えていいのかしら?」

 

 「ええ。残念なことにこの店のコミュニティは南区画に本拠があるために手出しはできませんが、この2105380外門付近で活動可能な中流コミュニティは全て私の支配下にあります。残すは本拠が他区か上層にあるコミュニティと……奪うに値しない名も無きコミュニティくらいですね」

 

 くっくっく、と嫌味を込めた笑いを浮かべるガルド。

 対照的にジンは顔を背けたままローブを握りしめていた。

 俺はこれ以上聞いていても無意味だと感じ、隣のジンに声をかけた。

 

 「ジン、お前はこのままで良いのか?」

 

 「……」

 

 「……。ジン、どうしたいんだ?お前はこのまま言われっぱなしで良いのか?」

 

 「……いや、ですよ。ですけど……っ!」

 

 やはり、ジンは思うところがあったらしい。

 それもそうだろう。自分の大事にしている場所を貶されているということは辛い。

 言葉に言い表せられない程に辛いのだ。

 

 「……で、どうですか? レディス&ジェントルメン? 返事はすぐにとは言いません。コミュニティに属さずともあなた達には箱庭で30日間の自由が約束されます。一度、自分達の呼び出したコミュニティと私達『フォレス・ガロ』のコミュニティを視察し、十分に検討してから……」

 

 「必要ない。俺はジンのコミュニティで満足している」

 

 「私も悠君に同意見よ」

 

 ジンとガルドの顔が驚愕に染まる。

 まあ、あれだけ冷たい表情をされたらそう思っても仕方はないか。

 

 「春日部さんは今の話をどう思う?」

 

 「別に、どっちでも。私はこの世界に友達を作りに来ただけだから」

 

 「あら意外。じゃあ私が友達一号に立候補してもいいかしら? 私達って正反対だけど、意外に仲良くやっていけそうな気がするの」

 

 「なら、俺も立候補しようか」

 

 「……うん。飛鳥も悠も私の知る人と違うから大丈夫」

 

 「にゃあぁ………にゃあぁぁにゃ~」

 

 

 

 どこか絆が紡がれた気がする。

 

 《春日部耀との絆が出来た》>>『正義』のコミュニティが発生した

 《久遠飛鳥との絆が出来た》>>『女教王』のコミュニティが発生した

 

 

 

 ……む、ペルソナが増えた様な気がする。

 いや、今は関係ないな。取り敢えず今はコッチのことだ。

 

 「し、失礼ですが、理由をお聞きしても?」

 

 「だから、間に合ってるのよ。春日部さんは友達を作りにきただけだから、ジン君でもガルドさんでもどっちでも構わない。そうよね?」

 

 「うん」

 

 「し、しかし……そちらの方は」

 

 「俺は春日部や飛鳥、ジンや今此処には居ないが逆廻、黒ウサギと共に在ると決めたからな」

 

 「だから間に合ってるのよ。悠君はジン君のコミュニティがいいって言っているし、日下部さんは友達を作りに来ただけでジン君のコミュニティに入る。そして私、久遠飛鳥は約束された将来を捨ててまでここに来たんですもの、そんな一組織の幹部じゃ割に合わないわ。だから、私は自由をとる」

 

 「お、お言葉ですがレd……」

 

 「『黙りなさい』」

 

 ……今のは言霊か?

 飛鳥が言葉を発した瞬間にガルドの口が勢いよく閉じた。……痛そうだな。

 

 「私の話はまだ終わってないわ。まだ聞くものがあるもの。貴方は『そこに座って私たちの質問に答えなさい』」

 

 飛鳥の言葉通り従うガルド。なかなか面白い絵だな。

 その様子に驚いた店員が急いで飛鳥に近づいてくる。

 

 「お、お客さん。揉め事は起こさないで……」

 

 「ちょうどいいわ。猫の店員さんも第三者として聞いていってほしいの。多分、面白いことが聞けるはずよ」

 

首をかしげる店員を

 

 「貴方はギフトゲームに勝って力をつけたと言ったわよね。だけど私の知るルールとはちょっと違ったのよ。………ジン君、ギフトゲームでコミュニティそのものを賭けるのは、そうそうあるものなのかしら?」

 

 「……やむを得ない場合たまにですがあります。ですが存続まで賭けるとなるとレアなケースです」

 

 同意するように店員もうなずいた

 

 「今店員さんも言ったようにそんな危ない状況でしかやりそうにないゲームを何故そう何度もできるのかしら?その、コミュニティ同士の戦いに強制力を持つからこそ『主催者権限』を持つものは魔王として恐れられてるはず。その特権を持たないあなたが何故強制的にコミュニティを賭け合うような大勝負を続けることができたのかしら? その辺、『教えてくださる』?」

 

 「強制させた方法は様々だが一番やったのは、女子供を誘拐して脅迫して力をつけること。動じない場合は後回しにして力で脅した」

 

 「だけど、そんなことで集めた各コミュニティの人たちは貴方のもとで働いてくださるのかしら?」

 

 「各コミュニティから、子供を数人ずつ人質で取ってある」

 

 「でしょうね、その子供たちはどこに囚われているのかしら?」

 

 「もう殺した」

 

 淡々とと情報を引き出す飛鳥たちは次の瞬間、固まってしまう。

 その言葉に誰もが言葉を失ったが、ガルドは言葉をつなぐ

 

 「最初の奴は……」

 

 「『黙れ』!!」

 

 「……グゥッ」

 

 「初めてよ人殺しにあったのは。流石は人外魔境の箱庭ね。……ジン君」

 

 「彼のような悪党は箱庭でもいません」

 

 「彼は裁けるのかしら?」

 

 「厳しいです。彼が箱庭から逃げてしまえばそれまでですから」

 

 「そう。なら仕方ないわ」

 

 ……まさか、この世界でもこういう事件に遭うとはな。

 つくづく自分の厄介な性質に頭が痛くなる。

 何処かで聞いたことがあるだろう。『名探偵が居なければ事件は起きない』。

 俺はどうやらその名探偵に似た厄介な性質を持っているらしい。

 飛鳥は苛立たしげに指をパチンと鳴らした。

 ガルドを縛り付けていた力が一気消えたらしく、ガルドの体が自由になった。

 

 「こ……この小娘がああぁぁぁぁ!!」

 

 虎の姿に変身したガルドは飛鳥に向かって飛びかかる。

 飛鳥の前に耀が出ようとしたのだが、俺は手で制し、タロットカードを握りつぶした。

 

 「『ペルソナ』!!」

 

 ……飛鳥の目の前に学ランを着、仮面を付けた者が出てくる。

 俺の本当の姿の一部を現したもの。

 

 「イザナギ!受け止めろ!」

 

 そういうとイザナギはガルドを受け止めた。

 

 「店の外に投げ飛ばせ!」

 

 その言葉通りにガルドを店の外へ投げ飛ばした後、俺はガルドの方へ向かった。

 後ろから飛鳥と春日部が歩いてきた。

 

 「……それが悠君の力なのかしら?」

 

 「ああ。……ガルド=ガスパー。お前のした行為は許せるものじゃあない……っ。ふぅ……。だが、此処でお前を殺したところで話は進まない。だからこうしよう」

 

 地面でうずくまっているガルドに向かい、一息ついてこう言った。

 

 「ガルド=ガスパー、お前にギフトゲームを挑む。コチラの代償はお前のコミュニティの存続、コチラは命を賭ける。……郷に入っては郷に従えという言葉もあるしな」

 

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