今まではずっと読者側だったのですが、Aqoursがあまりに好きすぎてついには書くことにしました。
拙い文章だとは思いますが、どうぞお願いします。
千歌ちゃん曜ちゃんと布屋さん
静岡県沼津市。
そこにある、全校生徒100人にも満たない高校、浦の星女学院。
そんな高校のすぐ近くに、俺の店はある。
「ハル君、昨日は何人お客さん来たの?」
「発注依頼が2人だね」
「お店、大丈夫?」
「ほっといてくれ」
目の前にいる痛いところを突いてくる女の子の名は、高海千歌ちゃん。
昔から付き合いのある女の子で、浦の星女学院に通う2年生だ。
「そうだよ千歌ちゃん。本当のことでも、言っていいことと悪いことがあるよ」
「そうだね。それが言っちゃいけないことだったね」
千歌ちゃんの後ろから会話に入ってきたのは、同じく浦の星女学院に通う渡辺曜ちゃん。
これまた、痛いところを突いてくるなあ。
二人は幼馴染であり、こうしてうちのお店にやってくるというのもそうそう珍しいことではない。
まあ買い物してくれることは珍しいんだけどね。
「千歌ちゃんも曜ちゃんも、学校はどうしたのさ」
「今は春休みだよ?」
なんてこった。
「あー…もうそんな季節なのか。宿題はやったのかい?」
「ここでやろうと思って!」
そう言ってノート、教科書、筆箱を取り出す千歌ちゃん。
初めからその気だったらしい。
「いや、ここ俺の仕事場だし。その机、一応商品なんだけど」
「どうせお客さんもしばらくこないでしょー」
「ここにいれば、テキトーな時間にご飯とお菓子出てくるもんねー。いやー、いい勉強場所だよー」
「あと飲み物もね!あ、私冷たいお茶がいいなー」
「私もー」
曜ちゃんまで同じものを取り出し始めた。
こうなると、この2人は引き下がらないだろう。
そう思い、仕方なくこちらが引き下がることにする。
「はあ…。もうわかったから、せめて奥の部屋でやっててくれ。お茶は後で持っていくから」
「はーい!」
「ヨーソロー!」
2人で敬礼の真似事をして奥へ入っていく。
さて、お茶の準備でもするかな。
なんだかんだ言っても、お店が閑散としているよりは、華の女子高生がいてくれた方が幾分色がいいというものだ。
※
2人が勉強を始めて1時間ほど経過。
時刻は12時を過ぎ、大した接客もしていないのだが腹の虫が活動を始めた。
「…なんか食べるかな」
つい、そんな言葉が口をつく。
発注依頼表を確認する。
今日取りに来るお客さんは、今から2時間後だ。
これなら大丈夫だろう。
「お昼ごはん作るけど、なんか食べたいものあるかい?」
店先の営業中を休憩中に返し、部屋奥の和室にいる彼女たちに声をかける。
2人は真面目に勉強を…してるわけではなかった。
「あ、私はなんでもいいよー」
「私もー」
曜ちゃんはペンを握っているしノートも開いている。
まあ勉強はしてたのだろう。
対して千歌ちゃん。ノートは開いているが、ペンは握られていない。
というか
「勉強はどうしたんだい、千歌ちゃん」
「だってー、全然わかんないんだもん!」
「だからって、寝転がってる理由にはならんでしょうが」
千歌ちゃんから反省の色は見られない。
仕方ない。
「千歌ちゃんのお母さんからさっき、『勉強やってなければご飯はなしでいいです』と連絡をもらったよ」
「ええええ!そんなー!」
「あはは…」
千歌ちゃんは大声をあげる。
曜ちゃんは苦笑いだ。
「空いた時間は俺が教えるから、ちょっとずつ進めよう」
「ほんとー!?」
「あくまで空いた時間だけどね」
「じゃあ私も私もー!」
曜ちゃんまで教えることになったのは少し予想外だった。
とはいえ、2人の学力はそんなに知らないが、まあ高校1年で出された宿題であれば教えるくらいはどうにかなるだろう。
「それで、昼は何にするの?」
「そうだね…チャーハンでも作ろうか」
「「いいね!」」
キッチンへ向かい調理を始める。
5分ほどして、2人も手伝いに来てくれた。
曜ちゃんは随分慣れているようで、豪快ながらもなかなかにいい味付けをしてくれる。
「将来はいいお嫁さんになるねえ」
って言ったら、曜ちゃんは照れているようだったが、千歌ちゃんは機嫌が悪そうだった。
残念ながら理由はわからない。
※
「うー…疲れた…」
「宿題、あんなに溜め込んでた千歌ちゃんが悪いよ」
「あはは…」
日がだいぶ傾き、月が顔を出し始めた頃、ようやく宿題を終えることができた。
少しくらい他の日に持ち込めばいいのでは?と言っても、今日やると譲らなかった。
「でもこれで、明日から全力で遊べるよ!」
「やたら今日にこだわってたね。明日から何かあるのかい?」
俺がそう言ったことに対し、曜ちゃんが逆に驚いていた。
「あれ?千歌ちゃん、ハル君にまだ言ってなかったの?」
「うん!驚かそうと思って!」
「ほう。何か面白いことでもやるのかな」
これは少し興味がある。
宿題嫌いな千歌ちゃんがここまでやったのだ。
きっと、何か外せない用事でもあるのだろう。
「その通り!なんと私と曜ちゃんは!」
そこで一区切り置く千歌ちゃん。
随分もったいぶった言い方をしてくれるなあ。
曜ちゃんはというと
「そこまで大げさでもない気が…」
と苦笑いしているのだが。
やがて千歌ちゃんは、指を北に向かって指して
「東京に、行くのです!」
そう、言い放った。
「…ほうほう、東京にかい。それはいいね。ぜひ楽しんできなよ」
「ってあれ?あんまり驚いてない!?」
そりゃ、こっちは仕事柄何度か行ってるしね。
高校の時は遊びにも行ったし、東京に行くこと自体はそんなに驚かない。
それよりも
「千歌ちゃんが指差してる方に、東京はないんじゃないか?」
「あれー!?」
さっきの口ぶりだと2人で行くようだし、驚きより心配の方が遥かに大きい。
「心配しなくても、私もいるから大丈夫だよ」
「んー…。まあとにかく、気をつけてね」
「ヨーソロー!」
敬礼する曜ちゃん。
「特に、ナンパには気をつけるように。2人とも可愛いんだから、気を抜かないようにね」
「あー…うん。し、心配ありがとう」
「こういうの、ずるいよね」
2人とも縮こまってしまった。
顔を赤らめている様子を見る限り、相変わらず褒められ慣れていないらしい。
あ、くしゃみ出そう。
「…ハル君、ほとんど何も考えずに言ってるんだろうなあ」
「…そういうとこ、ほんとにずるいよね…」
「ハックション!…って、何か言った?」
「「なんでもないでーす」」
どうやら何か聞き漏らしたようだが、2人がいいと言ってるので、まあよしとする。
※
次の日、彼女たちを駅まで見送りに行った。
幸いにも、配達先が駅の近くだったのでその足で向かったのだ。
浮足立っていたようで少し心配だったが、彼女たちももう16歳だ。大丈夫だろう。
「行ってきまーす!」
「ヨーソロー!」
彼女たちも、東京で見ることになるのだろうか。
数年前、この街にも存在していた。
"スクールアイドル"というやつを。
以上で1話となります。
基本はこんな感じで、とくに起承転結もなくまったりした会話に、少しだけラブコメ要素をいれていくつもりです。
何かありましたらご意見お願いします。