Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

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はじめましてこんにちは。
ライブ後の後日談です。
今回はアニメにはほぼ無関係です。


2年生と布屋さん(上)

大成功に終わったライブ翌日。

俺たちは、有名な遊園地に来ていた。

沼津から車で3時間ほど。

朝の6時に出発し、ついさっきようやく到着したのだった。

 

「おおおー!とうちゃーく!」

「ジェットコースター!見てるだけでワクワクするね!」

「2人とも、駐車場ではしゃぐと危ないわよ」

「というか、門すらくぐってないこの段階で、なぜああもテンションを上げられるのか」

「えっと…ごめんなさい。本当は仕事だったのに…」

「ん?いやいや、それは構わないよ。もともと、今日は店を開けるつもりはなかったしね」

 

 

 

 

「…遊園地に行きたい?」

『ええ、そうみたいなの。車でみんなを送ってくときにね、話してたの』

 

ライブが終わって、みんながそれぞれの家に着いてからしばらくして、千歌ちゃんのお姉さんである志満さんから連絡があった。

 

「自分はいいですけど、明日ですよね?」

『うん。ご褒美ってことで。お金はちゃんと個人で出させるから、送迎やってくれないかな?』

「あの子たち、体力持つんですか?」

『それは大丈夫。ハル君が誘えば、すぐ回復するだろうから』

「そんなもんですかね?」

『そんなもんだよ。あ、千歌ちゃんに変わるね。千歌ちゃーん、ハル君から電話だよー』

 

『バタバタバタバタ、ドタドタドタ、ガッチャーン』

 

『いったあーい!』

 

「…あの?大丈夫かい…?」

 

『あ、もしもしハルくん?』

「ああ、こんばんは」

『どうしたの〜?』

「あー、うん。眠そうだね」

『そりゃあ、さすがに疲れたよ〜』

 

案の定だ。

これで誘って大丈夫なのか?

 

「いや、今日、千歌ちゃんよく頑張ってたからさ」

『う〜ん…』

「明日、遊園地でもどうかなーって…」

『行く!!』

 

耳が、耳がキーンって、キーンってなった。

まさかこんな音量が来るとは…!

 

「明日だよ?大丈夫なのかい?」

『うん!全然平気だよ!』

「…そうかい。わかった。明日、早いけど頑張って起きてくれ」

『うん!』

「じゃあ時間だけど…」

 

 

 

 

そんなわけで、3人を連れて遊園地にやってきたのだった。

 

「お店って、そんな簡単に休めるものなの?」

「どうせお客さんはほとんどいないんだし、大丈夫じゃない?」

「それは大丈夫なのかしら?」

「大丈夫じゃないから。お店の状況も俺の心も」

 

千歌ちゃん、笑いながら言うんじゃないよ。

わりとデッドラインぎりぎりなんだから。

 

そんな会話をしつつ、ゲートのところに並ぶ。

すでにゲート前には、開園をまだかまだかと待っている人で溢れている。

 

「さすがに休日だと人多いねー」

「そうだね。だから、入園するまでは勝手な行動は控えるように」

 

「曜ちゃん梨子ちゃん、写真撮ろうよ、あっちで!」

「ヨーソロー!」

「あ、ちょっと待って!」

 

「話を聞けー!」

 

これは、なかなかに大変そうだ。

 

 

 

『楽しんでってくださいねー』

 

お姉さんにチケットを切ってもらい、ようやく入園できた。

さて、座りやすそうなベンチを…

 

「やっと入れたー。何から乗るー?」

「やっぱ景気付けにジェットコースターじゃない?」

「後だと並びそうだしね。私もそれでいいと思う」

「決まりだね。どれ乗ろうねー」

 

最初はジェットコースターか。

それなら。

 

「俺は外で見てるから、好きなものに乗ってきたらいいよ」

「ええー!ハルくん乗らないの?」

「なんでなんでー!?」

「もしかして、絶叫系苦手なの?」

「もしかしなくても苦手だよ。船もまったくダメだっただろう。あんな感じになるんだ」

 

思い出すだけで酔いそうだ。

飛行機や車はいいのだが、船と絶叫系は本当にダメだ。

 

「そうなんだ。それは大変ね」

「ハルくん、昔からそうだもんねー」

「そっかー…」

 

3人から明らかに元気がなくなる。

え。

いやいや。

なんで?

まさか俺と乗りたかったのか?

いやいや、死んじゃうって。

でも、明らかにテンションが下がっている3人。

ここで引き下がっていいのか。

頑張った3人を労うためにやってきたのに。

その3人を悲しませることを、俺がやっていいのか。

ここは…!

 

 

 

「ハルさん、大丈夫?」

「あー、うん…うぷっ」

「全然大丈夫じゃなさそうだね…」

「もー。無理するから」

「でも珍しいね。ハルくんが無茶するの」

「俺も、今日はいけると思ってたんだ」

「いや、最初は乗らないって言ってたじゃん。いけるとは思えなかったよ」

 

千歌ちゃんが苦笑いでそう言う。

結局、限界まで耐え続けた俺は、人が少ないうちに並ぼうという3人について行って、絶叫系を5つほど乗った。

結果、この惨状である。

 

「すまないね。ここで休憩してるから、みんなで楽しんできてくれ。大丈夫、一時間もすれば復活するから」

「うーん…あ、そうだ!2人とも、ちょっとこっちきて」

 

なんだか、3人で集まって話を始めた。

作戦会議だろうか。

耳には入ってくるが、理解するほど脳が働いていない。

彼女たちの言葉が、耳に入っては素通りしていく。

だめだ、ちょっと意識が…。

 

 

「じゃんけん?」

「うん。勝った人が、ここに残ってハルくんの面倒をみるの」

「勝った人?負けた人じゃなくて?」

「その方が、お得感あっていいでしょ?それに…ハルくんと、2人きりだよ。勝った人の方が、いいと思わない?」

「「!!」」

 

(千歌ちゃん、なんという提案を…。確かにここに残れば、ハルくんと2人きり)

 

(最近胸にあるこの思い。これがなんなのか確かめるためにも、ハルさんとは2人きりになりたかったのよね)

 

(そりゃ、帰ってからその気になれば2人きりにはなれるよ。でも、それはあくまで妹のような状態。今この状態なら、弱ったハルくんを介護できる。頼りにされる側になれるんだよ)

 

(((負けられない!)))

 

「じゃあ、いくよ」

 

「「「さーいしょーはぐー、じゃーんけーん…」」」

 

 

 

空が、見える。

さっきまで、絶叫系を乗り回して…

ああそうだ。

酔ってそのまま寝てしまったのか。

あの子達は、ちゃんと楽しめているだろうか。

 

そう思った時だった。

 

「あ、目、覚めた?」

「…曜ちゃん?」

「うん。おはよー、ハルくん」

「ああ、おはよう」

「体調はどう?」

「少しマシになってきたよ。…千歌ちゃんたちは?」

「千歌ちゃん達はアトラクション並んでるよ。さすがに3人とも行くわけにはいかないからね。1人はここに残ることにしたんだー」

「そうかい。それはありがたいけど、悪いことをしてしまったね。もう大丈夫だから、遊んでくるといい」

「今更どうするのさ。1人で、なんて嫌だし、並んでるところに割り込むわけにもいかないでしょ」

 

言われてみればそうだ。

相当頭は回ってないらしい。

 

「確かに、それもそうだね。いや、本当に申し訳ないよ」

「いいのいいの!それよりどう?曜さんの膝枕は?」

 

言われて気づいた。

自分は今、膝枕をされている。

場所も、ベンチではなくどこかの広場みたいだ。

移動した記憶すらないのだが。

 

「ああ、最高の気分だよ」

「…本当にそう思ってるの?」

「本当本当。感動で涙すら出そうだよ」

「はあ…。だったらもうちょっと喜んでくれてもいいのに」

「酔いのせいでテンションは上げられないんだ。すまんね」

「いいよ。体調、まだ良くなさそうだし」

 

そんなことを言いながら、髪を撫でられる。

どうにも恥ずかしい。

が、面倒をかけたのだ。

これくらいは我慢しよう。

 

「こうしてるとさ」

「ああ」

「…こ、恋人に、見えたりするのかな?///」

「んー…見えるんじゃないかい?曜ちゃんには悪いけどね」

「ハルくんは、嫌じゃないの?」

「そりゃあ構わないよ」

「え!なんで!?」

「見えたところで事実とは違うんだ。あまり気にしないよ」

「ああ…そういうこと…はあ」

 

なぜか少し落ち込む曜ちゃん。

おかしいな。

やはり恋人に見られるのは嫌ということなのか。

 

「どうせまた、間違ったこと考えてるんだろうなー」

「い、いふぁいいふぁい。ふぁにするんふぁい」

「なーんーでーもー」

 

ほっぺを摘まれてしまう。

さっきから何なんだい。

 

「ねえ、ハルくん」

「なんだい?」

「…好きな子、いる?」

「女子高生」

「即答…ねえ、私も、女子高生だよ」

「知ってるさ。だから君も好きだよ」

「嬉しいのにすごく複雑。…ハルくんのバカ」

 

なんでさ。

 

「…はあ」

 

もう何度目かもわからない曜ちゃんのため息。

せっかくの遊園地だというのに、随分ため息が多いものだ。

 

「あんまりため息をつくと、幸せが逃げてしまうよ」

「誰のせいだと」

「君は笑顔の方が可愛いんだ。笑った方が得だよ」

「…へ?」

「高校入ってから、君はますます可愛くなったんだ。もっと笑ってた方がいい」

「ちょ、ちょっと待って」

「笑ってる曜ちゃんは、本当に綺麗なんだから」

「〜〜〜〜〜〜っ///」

 

あ、真っ赤になった。

まあ、ため息よりはいいか。

なんて思った直後。

 

「ハルくん」

「ん?」

「今、こっち見ないで」

「ああ。じゃあ、目はつむって」

「潰しとくね」

「…はい?ぶべっ」

 

瞬間。

チョップが入った。

い、痛い!

め、目が開けられない!

 

「しばらくそのままにしてて」

「言われんでもそうなるわ!」

 

俺の目が再度利用可能になるまで、実に10分の時間を要した。

なんだったんだ、本当に。

 

 

 




ご視聴ありがとうございます。
曜ちゃんがあまり出てこれていなかったので、こんな展開になりました。
ご意見等ありましたら、お願いします。
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