Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

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はじめましてこんにちは。
アニメ6話の後半になります。
今回は、いつも以上に起承転結に欠けた進行になります。


PV撮影と布屋さん

原付を走らせ、ダイビングショップへ向かう。

もちろん、ダイビングをしに来たわけではない。

船、乗れないからね。

ここに来たのは、とある人物に会うためだ。

さて、手が空いてるといいんだが…。

 

「ありがとうございました!また来てくださいね!」

「お、いたいた。果南ちゃーん」

「あれ?ハルじゃん。どうしたの?」

「ちょいと野暮用でね。今いいかな?」

「うーん…あと少ししたら次のお客さんが来るから…ちょっと厳しいかも」

「そうかい。じゃあここで待たせてもらっていいかい?」

「いいけど…ってそっち、キッチンだよ」

「簡単なメニューなら作れるさ。手も空いてて暇だからね。手伝わせてくれるかい?」

「…バイト代、出せないよ?」

「次のお客さん、若い女の子なんだろう?見物料ってことでね」

「はは!よくわかったね」

「センサーに反応があったんだ」

 

もちろん嘘だ。

さっき、果南ちゃんのお父さんに会った際に聞いただけ。

ちなみに、店の食事を作る仕事もそれなりにやらせてもらっているので、今回もその許可はもらっている。

 

 

 

「ふう…。これで終わりかな?」

「うん。ありがとね、結局片付けまで手伝わせて」

「いや、いいんだ。こちらが申し出たことだしね」

「晩御飯、食べてってよ。お話もあるんでしょ?」

「おや。それはありがたいね」

 

厚意に甘え、一緒にご飯を頂くことにした。

お父さんとお母さんは明日の準備ということで、2人で食事をする。

 

「君のご両親より早く頂いてしまうとは。申し訳ないね」

「いーよ、気にしなくて。お母さんも喜んでたし。それより、話したいことって?」

「ああそうだね。実はだね…」

 

果南ちゃんに、廃校の話をする。

今は休学をしているものの、果南ちゃんだって浦の星女学院の立派な一員だ。

その彼女が、廃校についてどう思うか聞きたかった。

 

「マリーちゃんやダイヤちゃんは、君との思い出をすごく大事そうにしていたよ。2人とも、廃校には断固として反対しているようだった」

「…そう…なんだ」

 

そう言葉にする果南ちゃんは、何を思っていたのか。

それは、俺にはわからないけど。

彼女だって、ちゃんと2人を想い続けているの知っている。

 

「君にその気があるなら、彼女たちを助けてあげてほしいんだ」

「そんなこと、言いに来たの?」

「ああ。おかしいかい?」

「ふふ。おかしいよ。当たり前じゃん」

 

苦笑いでそう言われてしまった。

でも。

 

「ハルらしくて、嫌いじゃないよ」

 

ちゃんと、そう言ってくれた。

 

 

 

 

AqoursがPV撮影をするんだと聞いた数日後。

彼女達になんとか完成させ、それをマリーちゃん…つまりは理事長に見せたらしい。

 

果たしてどんな反応をしたのか、そう聞いたら

 

「『このテイタラアクですかあ』だってさー!」

「さすがにあれは、ちょっとキツかったねえ」

 

体たらく。

みっともない様。

そういう評価をつけられたらしい。

 

「ハルさんは、どう思うの?」

「これを見て、かい?」

 

彼女たちなりに頑張ったのはわかる。

みんな、大小あれどこの町が好きなんだということも、ちゃんと伝わって来る。

 

「俺は、結構いいとは思うけどね」

 

ただ。

相手が悪い。

 

相手はマリーちゃん。

比較対象はμ's。

 

マリーちゃんから見たら、もっともっと、伝えるべき魅力があるだろうって思えてしまうんだろう。

マリーちゃんの知っている魅力は、彼女たちは聞かなかったらしい。

 

聞いちゃダメだって思ったの。

それは、大事なことだと思うから。

自分たちでわからないと、PV作る資格なんてない。

 

そうやって、千歌ちゃんは言った。

 

千歌ちゃんがそう言うなら、それでいいんだろう。

頑張って、この町や学校の魅力を見つけておくれ。

 

とはいえ。

 

「結局、PV撮影の作戦は決まらず、と」

「だって〜…」

 

さっき、意気揚々として部屋に入ってきた千歌ちゃん。

みんなを見てたら、またやる気が湧いてきたんだと、そう言っていた。

 

が。

やる気と仕事は噛み合わないもので。

難航は相変わらずのようだ。

 

「町や学校の魅力、わからなかったのかい?」

「違うよ!魅力なんて、挙げ始めたらキリがないよ!…キリがないから…」

「言葉にまとまらないと」

「…うん」

 

ぐでーんとする千歌ちゃん。

曜ちゃんと梨子ちゃんがそれにフォローを入れる。

 

「千歌ちゃんの気持ち、わかるよー。なんというか、人に伝えるのって難しいよね〜」

「ええ、そうね。大変だと思うわ」

 

なんて話をしていたら、ルビィちゃんの声が聞こえてきた。

 

「せんぱーい!バス来ましたー」

「はーい!今行くー。曜ちゃん、梨子ちゃん!あ、ハルくんまたね!」

「じゃあ、また」

「じゃあねーハルくん!ヨーソロー!」

「ああ、頑張ってくれ」

 

賑やかしく出ていった3人。

あの学校のの魅力、か。

そりゃあたくさんあるが。

ここ最近で一番感じる魅力といえば。

 

「あの子達がいること、かなあ」

 

Aqoursの背中を見つつ、そんなことをつぶやいていた。

 

 

 

翌朝。

いや、もはや朝と呼べるかも怪しい時間。

午前4時。

そろそろ頃合いだと思い、店のエプロンをつけて外に出る。

 

今日は海開きの日だ。

毎年この日は、町の人が集まってゴミ拾いをすることになっている。

そのために、この日は朝早くから浜辺に多くの人が集まるのだ。

 

ゴミ袋、軍手、ゴミを挟む名前を知らないあれ。

一通りのゴミ拾いセットを持って海に行くと、もう既にまばらに人が来ていた。

既に火を灯されたぼんぼりが、うっすらと辺りを照らしている。

 

「おはようございます」

「おーおはよう、ハルくん。朝早くからご苦労さん」

「いえ、お互い様ですから。手伝うことありますか?」

「まだ人が来てないから、そんなにやることもないんだが…そうだな、人が多くなってきたら、このゴミ袋持って歩いてくれ」

「…これ、今年は俺が持つんですか?」

「田中んとこの息子くん、今年は帰って来れねえらしいからよ。若いし頼むわ」

 

笑いながらそういう、目の前のおじさん。

この手の催しの時には率先して色々やってくれる、面倒見のいい人だ。

ただし、人選は下手らしい。

 

渡されたゴミ袋。

家庭用の大きいゴミ袋だが、みんなのゴミを回収するためのものだ。

一箇所に置くより、若い人何人かが収集用のゴミ袋を持って歩き回ったほうが効率がいいだろうとのこと。

 

まあ、それはいいんだ。

問題なのは…

 

「これ、ゴミによってはものすごい重くなるんだよな…」

 

しかも、満タンになったらまた新しい袋に変えて回収を行う。

基本的にはずっと動き回る仕事だ。

 

「…体力、もつかな」

 

 

ちらほらと人が来始め、本格的にゴミ拾いがスタートするまで、そんなに時間はかからなかった。

集めてくれたゴミを俺がさらに集め、回収場に持っていく。

何往復かしたところで、千歌ちゃん、曜ちゃんを発見。

道具も持っているようだし、少し前からいたようだ。

 

「やあ、おはよう」

「ハルくん!おはよー!」

「おはヨーソロー!」

「朝から元気だね、君たち」

「なんかハルくんは疲れてそうだね。って、あれ?今年はハルくんも収集係なの?」

「そうみたいだよ」

「へー。あ、梨子ちゃんだ」

「え?ほんとだ!おーい!梨子ちゃーん」

 

そう言いながら2人は走って行った。

本当、体力があるようで羨ましいよ。

 

俺もその後を歩いて追う。

 

「おはよう、梨子ちゃん」

「ハルさん。おはよう」

 

曜ちゃんが色々説明しているが、どうやら梨子ちゃんにはなかなか珍しい光景らしい。

少し驚きながらも、それを眺める梨子ちゃん。

何かを思いついたらしい。

 

「これなんじゃないかな。この町のいいところ」

 

梨子ちゃんがつぶやいた。

人を指したのか。

景色を指したのか。

この催しを指したのか。

はたまたぼんぼりのことを指したのか。

 

俺にはわからなかったけど。

千歌ちゃんには、何かが伝わったようで。

 

「そうだ!」

 

弾かれたように、走って行って、そのまま高台に立った。

そんなに勢い良く上ると危ないよ。

なんて、言うつもりはなかった。

 

あんなにやる気を見せているんだ。

口を出すのは、野暮ってものだろう。

 

「皆さんに、協力してもらいたいことがあります!」

 

そうやって、叫んだ。

 

 

 

後日、改めて作ったというPVを見せてもらった。

そこには、たくさんのぼんぼりが映っていた。

 

ああ、そういえばうちに、似たような布の発注依頼がたくさん来てたな。

このためだったのか。

 

実のところ、あの後千歌ちゃんが叫んでたことは、俺には聞こえていなかった。

というよりは、どんなことをしてくれるかを楽しみにしていたので、あえて聞かなかったのだ。

 

「このスカイランタン、ハルくんとこの布がいっぱい使われてるんだよ?」

「…これ、スカイランタンっていうのかい」

 

ぼんぼりとは何が違うんだろうか?

飛ぶか飛ばないかの違いなのか?

もしかしてこの町で使っているのも、ぼんぼりではなくランタンなのか?

 

画面に映っているのは、Aqoursの文字に並べられた無数のぼんぼり、ではなくスカイランタン。

そしてそれが、曲のサビに入ると同時に空へ舞っていく。

 

とても綺麗だ。

そう思った。

 

あれ?

でも。

俺はなんでこの撮影の様子を知らないんだ?

 

「これ、すごく綺麗だけど、いつ撮ったんだい?」

「ハルくんがよその県に行ってた時だよ?」

「…なんでよりによってその日に」

 

格安のエアコンをチラシで見かけた日か。

よりにもよって。

今回のPV撮影、わりと楽しみにしてたというのに…。

 

1日くらい、待ってくれてもよかったじゃないか…。

 

画面上では、俺のそんな気持ちに反応するかのように、スカイランタンが空へ登っていき、やがて消える映像が映されていた。

 

 

 

 

「そういえば、壇上で1人踊ってたそうじゃないか?」

「なあっ!なぜそれをっ!?」

「へ〜…あらあら、ダイヤ〜?」

「ち、違いますわ!あれはその…プリントが落ちそうになったので、慌てて」

「プリントを持って壇上に上がる時点で、普通ではないよ」

「あらあら〜?ダイヤ、やっぱり未練があるのね〜」

「そりゃそうさ。元はといえば、ダイヤちゃんが一番スクールアイドルを愛していたんだからね」

「それもそうよねー」

「「あははははは」」

「そおい!」

「ぐおえっ」

「ああ!ハルが鳩尾に突きを食らってしまったわ」

「次はあなたの番ですわよ?鞠莉さん?」

「ノー!ジョーク!イッツジョーク!」

「ジョークで済んだら…警察はいらないのですわ!!」

「ノオオオオオオオオ!」

 

空に、断末魔が木霊した。

ダイヤちゃんをからかうのは、しばらくやめておこう。

 

 




ご視聴ありがとうございました。
アニメのこの話は、PVも歌もかなり好きでした。
ずらまるちゃんの歌声が結構好きだったりします。
それでは、何かありましたらお願いします。
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