Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

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はじめましてこんにちは。
2話目を投稿させていただきます。
相変わらず、盛り上がりには大いに欠ける作品ですが、よろしければお付き合いください。


浦の星女学院と布屋さん

 

「では、そのようにお願いしますわ」

「了解。今年も、入学者は多く無さそうだね」

「そう…ですわね。悲しいことですが」

 

そう言って表情に影を落とす女の子。

彼女は、黒澤ダイヤちゃん。

浦の星女学院に通う2年生…だったけど、今年からは3年生だ。

 

生徒会長を務める彼女が、今日この店にやってきている理由は、生徒会で使う備品の購入だ。

本来、学校で正式に取り扱う備品は、当然学校単位で購入を行っている。

授業で取り扱ったりするものは多くがそれだ。

 

しかし、生徒会が『学生からの要望』を、学校を通さずに叶えようとすることが多々有る。

寒いから膝掛けを…とか

部活用備品が足りなくて…とか

そんな感じ。

 

お店が少ないこの町では、うちのような小さい店が雑貨系売買の中間を担うことがある。

うちの店は本来布屋さんだが、こういった行いは大分前からやってきているし、贔屓にしてもらえる分デメリットもあまりない。

 

「そういえば、こうやって物を買ってくれるのはありがたいけど、お金はどこから出てきてるんだい?こういう買い物は、正規のルートではないんだろう?」

「学校側の黙認があるのですわ。生徒会活動予算の中に、毎年『その他』という分配が割り当てられているんです」

「なるほどねえ」

 

ちなみに、なぜわざわざ学校を通さないか、だが。

大きな理由は購入に至るまでのスピードである。

 

学校を通さなくてはならない場合、書類を作り、学校が審査し、そこから購入手続きへと入っていくので、申請から手元へ来るまでには結構な時間がかかる。

その点、生徒会に頼めば生徒会長の認可1つですぐにうちに申し込めるわけだ。

 

ちなみにその場合の料金だが、市販で買った場合と同じだけの送料をいただいている。

さすがに、タダではできんよ。うちが破産しちゃう。

 

「とはいえ、そんなに高額な予算は貰えませんから。こちらとしては、ハルさんに毎回低価で面倒をかけてしまい申し訳ありませんわ」

「いや、電話かけて取りに行くだけだしね」

 

ここに配達で届けてもらうこともできる。

けどそれをすると、そこで送料を取られてしまう。

そうなると、俺の取り分が無くなってしまうので、お得意さんに電話して、商品があれば直接取りに行くようにしている。

 

「それより、さっきの話になってしまうけど…生徒、やっぱり減っているのかい?」

「ええ…。廃校…というのは、さすがにまだ無いとは思いますが」

 

そう言うダイヤちゃんの表情は暗い。

浦の星女学院を彼女がどれくらい好きかは、この店で話す中でよく伝わってきている。

 

ダイヤちゃんとは、会長になる以前から彼女のお家柄、付き合いがあった。

なので、彼女が浦の星に入学してからどういった想いを抱えて過ごしてきたかは、それなりに聞いている。

 

「俺としても、お得意さんがいなくなってしまうのは困るね。学校存続、ぜひ頑張っておくれよ」

 

そう言うと彼女は目を見開き、そして少し優しい表情になる。

 

「それは、言われなくともそのつもりですわ」

 

少し呆れたように、そう続けた。

 

「そうは言っても、たかだか送料分の儲けなんて、知れた額でしょうに」

「金額だけで言えばそうなんだけどね。いやはや、仕事中に女子高生が見えるんだ。それも合理的にね。それだけで、元は十分に取れてるよ」

「セクハラですわ」

 

今度はジト目だ。

いいじゃないか。

暗い表情よりは、ずっとこっちの方が可愛い。

 

「言ってくれれば、私は…」

「?なんの話だい?」

「な、なんでもありませんわ!この朴念仁!」

 

手元にあったクッションを投げつけられる。

てかそれ、うちの商品なんだけど。

 

ここに来る子たちは、うちの商品をなんだと思っているのやら。

 

「あー、わかったわかった。なんで怒ってるかはわかんないけど、お菓子でも食べて行きなさいよ」

「何もわかってないではありませんか!…プリンでお願いしますわ」

「ほいよ。確か冷蔵庫に抹茶のが…」

 

冷蔵庫に3個あったはずのプリンは、1個になっていた。

代わりに、冷蔵庫の扉にメモが貼ってある。

 

『ごめんね!こんどおわびするから!千歌&曜』

 

女の子らしい可愛い字だねこんちくしょう。

 

「利子はトイチって事にしとこう」

「あら?さすがにその1個はもらえませんわね」

「いや、いいよ気にしなくて。自分で食べるつもりはなかったしね」

 

だからと言って、あの娘たちにあげるつもりもなかったのだが。

 

「そうですの?じゃあお言葉に甘えますわ」

「うん。まあ味わって食べておくれよ」

 

スプーンを使い、プリンを口にするダイヤちゃん。

それだけの動きでも、育ちの良さを感じさせられる。

 

先日、チャーハンを口に掻き込んで咽せた娘とはえらい違いだ。

 

「なんですの?あまりじろじろ見られると恥ずかしいのですが」

「ああ、申し訳ない。様になってるなーと思って」

「ふふ。なんですの、それ」

 

やっと、笑顔を見た気がする。

 

今日に限らず、高校1年の秋頃から笑っているのを見る機会が減った。

理由は、だいたい聞いている。

スクールアイドルが関係している事も。

 

それでも、やっぱりこの子には笑っていて欲しいものだ。

 

そんなことを考えている時だった。

 

「じゃあ…」

 

プリンを乗せたスプーンをこちらに持ってくるダイヤちゃん。

なんなんだろうか。

 

「こ、ここで『あーん』というやつをやるのは、様になってないですの?」

 

顔を赤くしてそんなことを口にする。

『あーん』をしてくれる理由は不明だが、慣れていないんだろうことは容易に想像がつく。

 

「いや、それも可愛らしくていいんじゃないかな?」

「…はあ。平然と言いますのね」

 

せっかくさっきまで笑顔だったのに、なぜか少し落ち込んだご様子だ。

ダイヤちゃんほどの美人にあーんしてもらうなんて、それはそれは嬉しいに決まってるのに。

…って

 

「おっと」

 

スプーンから滑り落ちそうになっていたプリンを口で捕まえる。

思わずプリンを頂いてしまった。

 

「…うん。やっぱり美味しいね。このメーカーは、値段の割に風味がいい」

 

気づくと、ダイヤちゃんが固まっている。

口をパクパクさせて何か言っている様だがいまいち聞き取れない。

 

「か、か、かか…かんせ…っ」

「ん?ああ確かに、完成された味だね」

 

次の瞬間、ダイヤちゃんがものすごい勢いでプリンを口に放り込んだ。

そしてそのまま

 

「ご、ごちそうさまですわー!!」

「え、ちょっ」

 

『バッターン』

 

走って出てってしまった。

 

「…なんだったんだろうか」

 

プリンが口に合わなかったということはないと思うのだが…

呟きに、答えるものはもちろんいなかった。

 




こんな感じで、本編合流までにAqoursのみんなとの関係を書いていきます。
梨子ちゃんは…どうしようか考え中です。

それではご視聴ありがとうございました。
よろしければまた。
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