Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

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はじめましてこんにちは。
10話が夏休みの始まりだったので、その直前の話しを1話だけ。
案の定本編にはあまり関係ありません。


夏の始まりと布屋さん

夏が、目前に迫っている。

 

いや、人によってはもう今が夏だという場合もあるだろう。

 

暦によれば、夏は大体6、7、8月を示すみたいだが、6月はまだ真夏というにはいささか涼しい。

 

そう。

夏真っ盛りといえば、やはりこの7月なのだ。

 

話は変わるが

ここ、内浦は海水浴場としてそこそこいい場所だ。

例年、それなりに多くのお客さんがここに海水浴を楽しみに来る。

 

結局

何が言いたいかというと、だ。

 

「今週の土日がね、楽しみで仕方ないんだよ」

「うわあ」

「さすがにひきますわ」

「まあいつものハルだけどねえ」

 

今日うちに来ているのは、3年生3人。

先日、新生Aqoursとしては初のライブをやりとげた彼女たち。

メンバーともうまくやれているみたいで、今日はその報告をしに来ていた。

 

「まったく…ハルさん、この時期はいつも女の子のことばかり考えてますの?」

「いつもってことはないが…まあ9割方は」

「ほとんどじゃありませんか!」

「夏という季節なんだ。仕方ない」

「仕方ない?」

 

この質問はマリーちゃんからだ。

 

「女子達は薄着になりやすく、露出が魅力的になるだろう?加えてウォータースポーツが盛んになるからね。水着を見る機会も非常に多くなる。さらには、祭りとかのおかげで、普段はなかなかお目にかかれないような浴衣姿を見ることもできる。なんとまあ、魅力的な季節か」

 

女の子のことを考えてしまうのも、仕方ないというものだ。

 

「あ、もしもし警察ですの?」

「待ちたまえダイヤちゃん」

「放してくださいますか?今大事な電話をしているので」

「放したら俺は逆に捕まるだろう」

「自覚はあるのですね」

「君の目を見ればわかる」

 

ゴミを見るよりひどい。

 

「まあ、ハルも男の子だからね。多少はそういうのも仕方ないんじゃない?」

「どこが多少ですの?」

「ハルの場合、思ったことをすぐにスピーキングしてしまうのが問題なのよ」

「嘘をついたり隠し事をするのが苦手なんだ」

「口を開けなければいいと思うんだけど」

「欲求には忠実でね」

「やはり警察に引き渡しましょう」

「はは、手厳しいね」

 

そんな会話をする。

なんだかんだ言っても、そんな会話をしてくれるダイヤちゃんも、大概優しい。

ダイヤちゃんが携帯から手を離さないこと、そしてディスプレイに常に表示されている110の番号が非常に気にはなるが。

 

「ねえハル?」

「ん?なんだい?」

「私達も女子高生だよ?」

「そうだね」

「水着とかも着るよ?」

「ああ、今でも目に焼き付いているよ」

「結構、薄着の時もあるよね?」

「そもそも君たち、スカートはかなり短いじゃないか」

「…そういう対象では見ないの?」

「「!!」」

 

ダイヤちゃんとマリーちゃんが勢い良くこちらに向く。

どうしたというんだい。

 

「そういう対象っていうと…君たちを女の子としてってことかい?」

「そ、そうだね」

「ハッキリ答えてちょうだい」

「有耶無耶にしたら承知しませんわ」

「…答えるから、そんなに睨まないでくれよ」

 

今にも机を乗り越えそうなくらい詰めてくる。

暑い暑い。

 

「もちろん、君たちだって大層魅力的だよ。見た目に関しては言わずもがなだし、内面の良さだってたくさん知っているしね」

「…そういうの、よく簡単に言えるね」

「何度も言うけど、隠すのが苦手なんだ」

「はあ…だからこそわかってしまう」

「そこにはない」

「特別な好意…」

「お?」

 

なんのことかはよく分からない。

ただ、なぜかがっかりしているようだった。

 

おかしいな。

褒めたつもりだったのに。

 

 

 

 

「ワレワレハ〜ウチュウジンダ〜」

 

扇風機に向かって言葉を発する千歌ちゃん。

エアコンはあるのだが、予算の都合上まだ使いたくはないので、今日は扇風機で我慢である。

 

「今時そんなセリフを聞くとは思わなかったよ」

「扇風機と言ったらこれでしょー」

「そうなの?」

「いや、千歌ちゃんだけだよ」

「え?私もやるよー?」

「じゃあ千歌ちゃんと曜ちゃんが特別なんだ」

「いやいや、むしろやらないほうが特別なんだよ」

 

笑いながらそんなことを言われてしまう。

 

「それをやると、目が乾いて最悪失明するよ」

「「え!うそ!?」」

「うん。今思いついただけだから、多分間違ってるよ」

「なあー!ハルくんが嘘ついたー!」

「いけないんだー!」

 

指をさしてブーブー言ってくる。

小学生か、君たちは。

 

「ハルくん、嘘つかないって言ってたのにー」

「思いついたことをそのまま言っただけなんだ。嘘をついたつもりはないよ」

「屁理屈だー」

「まあそうだけど」

 

そんな会話をしていた時だ。

梨子ちゃんが、扇風機を見て何か驚いていた。

 

「どうしたんだい、梨子ちゃん」

「あの、これ、真ん中の部分壊れているの?」

「真ん中?ああ、それはそういう仕様なんだよ」

「ええ!なんで?」

 

梨子ちゃんが驚いていたのは、扇風機の真ん中に穴が空いていたことらしい。

昔の扇風機は、大体こんな風に真ん中に穴が空いていたのだが、どうやら梨子ちゃんは初めて見たようだ。

 

「よく考えたら理由は知らないね。そういうもんだと思ってたよ」

「あ、危ないじゃない」

「まあ確かにね」

 

指なんか巻き込まれようものなら、それはそれは危険だろう。

でも、なんで穴空いてるんだろう。

 

「今だと、むしろ羽のない扇風機もあるよね」

「あれはすごく高いんだ。魅力的なんだけどね」

 

安いエアコンなら買えてしまうレベルである。

 

「そういえば、ここはエアコンつけないの?」

「電気代の節約だよ」

「長い時間つけると、あっという間にすごい電気代になるもんね」

「そういうことだよ。学校ではエアコンが付いているかい?」

「付いてないよー。もう毎日暑くて暑くて」

「そりゃあ寝てれば暑いだろうさ」

「なんでわかったの!?」

「なんとなくだよ」

 

当てるつもりもなかったのだが。

 

「でも、寝てなくても結構暑いのよ」

「ねー。もう、汗で手が濡れちゃってねー。ノートが張り付くんだよー」

「汗で透ける制服も、女子高生の一つの魅力なんだ。申し訳ないけど、我慢してくれ」

「あ、もしもし警察ですか?」

「おーけー。少し弁明の時間をもらおうか」

「署で聞くわ」

 

笑顔の梨子ちゃん。

ちょっと怖い。

 

このやりとり、先日3年生とやったばかりなんだがね。

もしかして、そういう対処の仕方をAqoursの間で決めているのか?

 

「最近は梨子ちゃんも、ハルくんの扱いが上手くなったよねー」

「まったくだよ」

「ふふ。そうかしら」

「ちょっと妬けちゃうよー」

「まだまだ、千歌ちゃんや曜ちゃんには勝てないわ。もっと上手に扱うようになってみせるわ」

「勘弁してくれ」

 

嬉しそうな梨子ちゃん。

 

「案外、旦那を尻に敷くタイプの奥さんになるのかね」

「ほえっ!?お、奥さん?///」

「ああ。…なんか変なこと言ったかな?」

「べ、別に、ハルさんの奥さんでも…」

「もう少し大きな声で言ってくれるかな?」

「なんでもありません!」

「そ、そうかい」

「ハルくん!」

 

割り込むように千歌ちゃんがやってきた。

 

「どうしたんだい」

「私、私はどんな奥さんになりそう!?」

「急にどうしたんだい」

「いいから!」

「そうだね…持ち前の明るさで、いつも家庭を明るくしてくれる奥さん、かな」

「〜〜〜〜っ///」

 

顔を真っ赤にしている千歌ちゃん。

多分、嬉しそうにしている。

 

「ハルくんハルくん!私は?」

「君までかい」

 

今度は曜ちゃんだ。

 

「曜ちゃんは…そうだね。案外、旦那の意見を尊重するタイプになるんじゃないかい?なんというか、困ったら優しく励ましてくれそう」

「〜〜っ///そっかそっかー。えへへ///」

 

というか俺は、何を偉そうに人の評価などしているのか。

結婚どころか、彼女すらできたことなどないというのに。

 

「あ、じゃあ」

「ん?」

 

「ハルさんは、その3つの中ならどのタイプが一番好きなの?」

 

「…それは、ここで答えなくてはいけないかい?」

 

「「「もちろん!」」」

 

「…どれも魅力的ってことで、ファイナルアンサーだよ」

 

「「「えええー!」」」

「やかましいわ」

 

そのあと、しばらく問い詰められ続けました。

 

みんな魅力的、嘘じゃないんだけどなあ。

 

 

 




ご視聴ありがとうございました。
おばあちゃんちの扇風機の真ん中に穴空いてるのは、誰もが一度は疑問に思ったはずです。
それでは何かありましたらお願いします。
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