Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

48 / 95
はじめましてこんにちは。

今回は曜ちゃんと一対一のお話になります。


ヨーソローな少女と布屋さん

とある昼下がり。

暖かい日光が差し込む今日。

店に、一人の女の子がやってきた。

 

「こんにちはー、ハルくん!」

「こんにちは。いらっしゃい曜ちゃん」

「頼んだやつできてるー?」

「ああ、用意できてるよ。確認してくれ」

 

彼女は曜ちゃん。

本日は珍しく正式なお客さんとしてやってきたのだった。

 

「えーと…これとこれと…うん、全部あるね!ありがとね、ハルくん」

「これが仕事だからね。今後もご贔屓に頼むよ」

「お店、潰れちゃうもんね」

 

笑いながらそう言われる。

あまり笑い事でもないのだが。

 

「これ、衣装に使うのかい?」

「そうだよー」

「テーマは水に関する何かなのかな?」

「あれ?よく分かったね。話してたっけ?」

「寒色系の色が多かったからなんとなくね」

「それだけでわかるの?」

「君たちの性格とかその辺も考慮してね。まあ、本当に当たるとも思っていなかったけど」

「へー…すごいね!」

「どうもありがとう。衣装の案はもうできてるのかい?」

「案はできてるよー。だからすぐ取り掛かるのであります!」

 

そんな言葉とともに敬礼をしてくれる曜ちゃん。

 

「そうかい。がんばってくれ」

「うん!」

 

そう言って、奥の部屋に向かっていく曜ちゃん。

 

「って、え?」

 

「ん?」

 

お?

 

「何しようとしてるんだい?」

「何って…衣装作るんだよ?」

「…どこで?」

「ここで」

「…なるほど」

「もー。びっくりしたじゃん」

「いや、どう考えてもびっくりしたのはこっちだよね?」

 

衣装をここで作るなんて話は聞いてない。

そりゃあ、道具とかは揃っているし、ここでやる方がやりやすい部分はあるのかもしれないが。

 

俺が微妙な表情をしていたからだろうか。

今度は曜ちゃんが不安そうな表情になってしまった。

 

「も、もしかしてダメだった…?」

 

上目遣いにそんなことを聞いてくる。

その表情は反則だ。

 

「…いや、構わないよ。君一人なら騒ぐこともないだろうしね」

「ほ、本当に…?」

 

ずいぶんしおらしくなってしまった。

あんまり縮こまれると、こちらの調子が狂うじゃないか。

 

「本当だよ。ちょうど人がいなくて寂しかったところなんだ。ぜひうちで作ってってくれ」

「ハルくん…。うん!ありがとう!」

 

安心したように、また笑顔になった曜ちゃん。

そして、今度こそ奥の部屋に向かっていった。

 

いつもテンションの高い曜ちゃんがあんな風にしおらしくなるのは、ちょっと反則だと思うんだ。

 

 

 

 

しばらくして、営業時間終了の時間がやってきた。

結局、あの後一度もこちらへ顔を出さなかった曜ちゃん。

 

相当集中しているらしい。

さっきから、ずっと作業の音が聞こえ続けている。

 

店の後片付けを一通り済ませ、部屋の奥へ行く。

思った通り、曜ちゃんは脇目も振らずに服を作り続けていた。

 

「…大分長いことやっているね。一息入れたらどうだい?」

「わ!ハルくん。えっと…」

「いや、何か用があるわけじゃないから。手は止めなくてもいいよ」

「あ、ごめんね。これだけやったらひと段落するから」

「ああ。その間にお茶でも入れてくるよ」

 

そんなわけで冷蔵庫のお茶をコップに注ぎ、改めて部屋に戻る。

ちょうどひと段落したようで、曜ちゃんが手を止めていた。

 

「はい、お茶」

「ありがとー。お仕事は?」

「もう営業終了時間だよ」

「え、嘘?気付いたら大分時間経ってたんだねー」

「そうだね。それも気付いてなかったのかい」

「集中してたからね。曜さん、やるときはやるタイプなんです」

 

腰に手を当て、ふんすと聞こえてきそうなポーズをとる曜ちゃん。

 

「君が努力家なのはよく知ってるよ。今更確認するまでもなくね」

「…そ、そっか///…普通に褒められると、逆に困っちゃうよ…」

「とはいえ、あんまり一人で頑張りすぎないようにね。みんなにも手伝うように言うんだよ」

「普段は大分助けられてるよ。今日はみんな用事があったんだ」

「そうだったのか…。それで、一人で頑張ろうとしたわけかい」

「今日中に仕上げる必要もないんだけどねー。なんとなく気合入っちゃって」

「頑張るのは結構なことだが、体を壊したら元も子もないんだ。無理はしないでくれ」

「はーい」

 

そんな会話をしてお茶に口をつける。

時刻はもう夕方から夜になろうという時間。

そろそろ晩ご飯をどうするか決めないといけない頃だ。

 

「晩ご飯作るけど、曜ちゃんはどうするかな?」

「どうするって?」

「うちで食べてくなら二人分作るよ」

「いいの?」

「もちろん。頑張ってたからね。これくらいのサービスはするさ」

「わーい!食べる食べる」

「あいよ。じゃあまあしばらく休んでてくれ」

 

そう言ってキッチンに立つ。

冷蔵庫を開けて食材を確認。

 

ひき肉、玉ねぎ、卵に牛乳…

ふむ。

 

今日は、曜ちゃんの好きなものをつくるとしよう。

 

そう思い準備に取り掛かかろうとしたときだった。

 

「あ、ハルくん。この玉ねぎはみじん切りでいいの?」

「…なんでここにいるんだい」

 

エプロン姿の曜ちゃんがそこにいた。

格好から判断するに、料理を手伝う気みたいだが。

 

「ハルくんだけにやらせるなんて悪いよ。場所まで借りてるのに」

「別に店の邪魔をしてたわけでもないんだ。気にすることじゃないよ」

「いいの!私が手伝いたいから手伝うんだから」

「まあ、君がそれでいいならいんだがね」

 

曜ちゃんは人並みもしくはそれ以上に料理ができる。

手伝いをしてくれるならありがたいのは確かだ。

 

「じゃあまあ、調理に取り掛かりますかね」

「ヨーソロー!」

 

そんな掛け声とともに調理を始める。

一人以外でこの調理場に立ったのは久しぶりだ。

 

 

 

 

「「ごちそうさまでした」」

 

手を合わせる。

二人で作ったハンバーグはなかなかの出来だった。

 

「おいしかったねー」

「ああ。さすが曜ちゃんだね」

「いやいや、ハルくんの味付けが良かったんだよー」

「定番レシピに沿って作っただけだけどね。そう言ってくれるとありがたいよ」

「布屋さんより定食屋さんの方が向いてるんじゃない?」

「この場所で定食屋を開いたとして、誰が来てくれるんだい」

「布屋さんでも同じことが言える気がするんだけど」

「返す言葉もないね」

 

だからと言って定食屋にジョブチェンジするつもりはないが。

人様に提供できるほど自分の料理の腕に自信はない。

 

「そういえば、ちょっと聞きたかったんだけど」

「ん?どうしたの?」

「大したことじゃないんだけどね。今日はなんでうちで作業をしてたのかなって」

「ああ、そのことかー」

 

別にうちで作業をすることに異論はない。

道具もあるし、合理的ではあるが…

 

「今日は手伝ってくれる人がいなかったんだろう?無理に今日うちでやらなくても、他の日にやることはできたんじゃないかと思ってね」

 

急ぎではないと言っていた。

だったら、わざわざ今日やる必要はなかったわけだ。

 

それこそ、人手が確保できるときに部室でやるなりした方が効率は良かっただろうと思ったのだ。

 

「うーん…まあその…むしろ一人だったから来たといいますか…」

「ん?どういう意味かな」

 

 

(一人だとハルくんの近くを独占できたみたいで好きとか…時々聞こえてくるハルくんの声に安心するとか…それでニヤニヤしちゃう姿を他の人に見られたくないとか…理由はたくさんあるんだよね)

 

 

なにやら曜ちゃんが言いにくそうにしている。

悪いことを聞いてしまったのだろうか。

 

「あー、まあ、言いにくいならそれで構わないよ」

「そ、その、たまにはここで一人で作業したかったんだよ!」

「そうなのかい」

「う、うん!」

 

ふむ。

確かに一人で無心に作業をしたい時というのもあるのかもしれない。

 

あれ?

でもそれだと…

 

 

「俺がいても邪魔なんじゃない?」

 

「ハルくんがいないと意味ないじゃん!」

 

「え?」

 

「あ」

 

 

どういうことだろうか。

考えようとした時、曜ちゃんが両手を振って説明を始めた。

 

「ち、違うの!あ、いや、違くはないけど!そ、その、ハルくんはいないといけないとかそう言うことじゃなくてえええ!///」

「わ、わかったから落ち着いてくれ」

「で、でもその、いなかったら不安になっちゃうから!やっぱそこにいて欲しいっていうか…って私なに言ってるのー!」

 

顔を真っ赤にして叫んでいる。

何を伝えたいのかさっぱりだが、とりあえずパニックになっていることは分かる。

 

昔から時々こういう状態になる曜ちゃん。

普段は千歌ちゃんのブレーキ役の曜ちゃんだが、一度パニックになるとこんな感じで自分にブレーキがかけられなくなる。

 

こういう時の対策は一つ。

 

「ほら、落ち着いて」

「あっ…」

 

曜ちゃんの頭に手を置く。

撫でるというよりも、本当に手を置いているだけのような状態。

 

それでも、こうすると少しだけ落ち着きを取り戻してくれるのは変わらないようだ。

 

「まあその、無理に答えなくてもいいから。なんとなくここで作業をしたかったというならそれでも良いんだ」

「…うん。ありがと」

「ただ…ここでやる以上は俺はほぼいるからね。それは勘弁しておくれ」

「うん。むしろ…いて欲しいから、大丈夫だよ」

 

最後の一言はよく聞こえなかったけど。

この場所を居心地が良いと言ってくれるなら、それはそれでいいのだ。

 

「こうして君の頭を撫でるのは久しぶりだね」

「うん。ハルくんの手、落ち着く」

「そうかい。それはよかった」

 

昔はよくこうしていたのだが。

いつからか機会が減っていた。

 

それでもこうして受け入れてくれる。

こういうのも悪くない。

 

なるほど。

確かにたまには二人きりの時間というのも大事なようだ。

 

そんなことを思ったのだった。

 

 




ご視聴ありがとうございました。

一見猪突猛進に見えて、実は周りをすごく気にしてる曜ちゃん。
高いコミュ力とシンプルに可愛い見た目であり、なおかつコスプレ好きと運動大好きといった感じでモテる要素を詰め込みまくった子ですよね。
なにやらせても様になるタイプだと思います。
実は数字上のスリーサイズはAqoursで3番目に大きいのもポイント高いです。

それでは何かありましたらお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。