Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

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はじめましてこんにちは。
今回は千歌ちゃん花丸ちゃんと話すだけのお話しです。


駄弁るAqoursと布屋さん

 

梅雨。

日本に住んでいる以上、決して避けられぬこのシーズン。

 

雨が降り、湿度が増し、夏に片足突っ込んだ季節であるがために不快度指数が急激に上昇するこの時期。

我らが布屋にも、そんなシーズンに心を折られた者が来ているのだった。

 

「もー!ほんっと、雨ばっかりで嫌になっちゃう!」

「ほんとずら!毎日毎日、雨雨雨!本もベタついて読みにくくなるずらー!」

「気持ちはわかるけど、あまりお店で騒がないでくれるかな」

「だってえ…」

 

本日うちにやってきているのは、千歌ちゃんと花丸ちゃん。

珍しい組み合わせに見えて、息が合いそうなコンビだと思う二人である。

 

そんな彼女たちは、今日もスクールアイドルの練習のために準備に取り掛かっていたそうだ。

他のメンバーたちがそれぞれの用事で少し遅れる中、この子たち二人はすぐにでも練習が始められるように気合を入れて準備にを行っていた。

 

準備が完了し、いよいよメンバーが揃うのを待つだけ!という時だった。

 

「なんであのタイミングで雨が降るのー!」

「神様のいじわるずらー!」

「神様はそんな小さいいじわるしないんじゃないかな」

 

というか、仮にもお寺の娘がそういうことを言っていいのか。

俺は特に気にしないけどさ。

 

何はともあれ、彼女たちの言うようにせっかく練習の準備は万全となっていても、屋上で練習をしている彼女たちにとって、雨はダメなのだ。

どれだけやる気があっても、それは安全面を軽視する理由にはならない。

 

そんなわけで、盛大に溢れたこのやる気だけが現状行き場を無くして暴走しているわけである。

気持ちはわからんでもないが、正直やかましい。

 

「練習はできないけど、そのまま外でも走ってきたらどうだい?」

「今雨降ってるよ!」

「君はそういうの気にしないじゃないか」

「今日はそのなんていうか…お日様の下で練習したかったの!」

「そうずら!それに、こんな雨の中で練習なんてしたら風邪をひいちゃうずら!」

「それについては心配いらないよ。なんたらは風邪ひかないって…ぐへ」

 

大事なとこはぼかしておいたのに、言い切る前にクッションが飛んできた。

うちの商品の一つなのだが、最近投擲される事が当たり前になりつつある。

 

「まあその…なんだい。他の事で気を紛らわせたらいいんじゃないかね?」

「他の事ー?」

「例えば何ずら?」

「なんでもいいよ。暇つぶしになるような事、何か考えたらいいじゃないか」

「んー…あ、じゃあなんかお話ししようよ、ハルくん!」

「…元気に暴れたいんじゃなかったの?」

「口を元気に動かせばいいから!」

「おー!丸もお話ししたいずら!」

「君らがそれでいいならいいんだけどさ」

 

さっきまでお日様どうこう言ってたけど、それはいいんだろうか。

俺と話すという行為、どう考えても元気ハツラツにやることではないと思う。

 

もちろん、彼女たちが一方的にテンションを高く話すのは自由だが…。

やかましすぎないようお願いしたいものである。

 

 

 

 

「じゃじゃーん!実はこんなものを持ってきているのです!」

「これは…本かな?」

「恋愛心理学ずら?」

「そう!盛り上がる話題といえば、やっぱり恋バナ!でもハルくんはその手の話は全然面白い話がないから、心理テストっていう形で盛り上がろうと思って!」

「なんかバカにしてない?」

「なるほど。それなら超鈍感で鈍すぎるハルさんでも恋バナに参加できるずら」

「ねえ、やっぱバカにしてるよね?」

「じゃあ早速いってみよー!」

「おおー!」

 

俺の話は一切聞かずに話が進んだ。

とてつもないスルーっぷりである。

 

というか、もともとは外で遊べない鬱憤を晴らすためにうちに来ていたはずなのに、どこからそんな本を取り出したのか。

もしかしてずっと持ち歩いていたのか?

 

だとしたらなんというか。

察しがいいというか勘がいいというか。

 

なんにしても、ご苦労なことである。

 

 

 

 

「お題は、恋愛偏差値測定ってやつだよ」

「どーんと来いずら!」

「恋愛偏差値?」

「恋愛偏差値」

「その偏差値はどこに基準を設けているんだい?」

「細かいことは気にしちゃダメずら」

「そうそう。高ければ高いほどいいんだよ!」

「そういうものかい」

 

恋愛偏差値が高いってことは、恋人ができやすいってことなのかな?

それとも、モテやすいってことなのかな?

 

なんにしても、俺の恋愛偏差値は低そうだけど。

 

「というわけで質問です」

「うむ」

 

 

Q1.好きな人にどうやって告白する?

 

「告白…」

「4つの選択肢から選んでね」

「普通に告白、告白待ち、ムードを作って告白、見守り続ける…と」

「うーん…私は普通に告白かなあ」

「丸も…多分普通に告白するずら」

「俺は…うん、多分普通に告白するだろうね」

「ええ!?ハルくん、好きな子いるの!?」

「ずら!?」

「なんでそうなるんだい。仮にいたとしても、そんなに驚くことかね」

「そりゃ驚くよ!ていうか、ほんとにいるの!?」

「だ、誰ずら!?」

「食いつきすぎだよ。ちょっと落ち着いてくれ」

 

ひとまず彼女たちを落ち着かせ、お茶をすする。

俺の好きな人くらい、この子たちもよく知っているだろうに。

 

「それで、ハルくんが好きな人は誰なの!?」

「誰って…君らも分かっているじゃないか」

「分かっている…?」

「……あ」

「俺が好きなのは女子高生だよ」

「言い切った!」

「って、そうじゃないでしょ!?好きな人だよ!好きな人!」

「机をバンバンしないでおくれ」

「範囲広いずら!もうちょっとこう…絞って!」

「じゃあAqoursのみんなが大好きだよ」

「…う、嬉しいけど…そうじゃなくて」

「…こういうのはずるいずら」

 

怒ったり赤くなったり忙しそうだ。

それから少しして、2問目の質問へと移行。

 

 

Q2.初デート!どこへ行く?

 

「これは、恋人になってから初めてのってことだよね?」

「そりゃあそうでしょ」

「恋人になる前にも、二人きりで出かけることはあるかもしれないけど、それはデートにはカウントしないのかね」

「カウントするかもしれないけど、なんかこう…気分が違うでしょ」

「まあそうだね」

 

ちなみに選択肢は、遊園地、水族館、ゲーセン、相手任せの4つである。

 

「んー…私は遊園地かな!二人で色々遊びたいし」

「丸はあまり賑やかだと目が回っちゃいそうだし、水族館かなあ」

「俺は…うん、多分相手任せだね」

「えー」

「ハルさん、男らしくないずら」

「そう言われてもね」

 

確かに、こういうとき率先して行き先を決められる人物というのは男らしさがあるのだろう。

逆に言えば、それがパッとできないからこそ、俺には彼女がいないのだとも言えるわけで。

 

「まあ、誰かと付き合う際は俺を引っ張ってくれそうな人と付き合うってことでね」

「確かにハルくんの周り、なかなかに男らしさ溢れる女の子多いもんね」

「そういうことさ。何事も適材適所にね」

「それは何か違う気がするずら」

 

正直なところ、恋人とデートなどしたことがないので、どこに行くかと言われても実感がわかないのである。

実際に恋人ができたら、きっと相手に合わせて行き先も変わるだろうし。

 

だから、本音の回答としては、相手次第で変わると言ったところかな。

 

 

 

 

そのまま、いくつかの質問に答えていく。

そしてついに最後の質問となった。

 

質問の内容は。

 

『恋人に言って欲しい言葉』

 

「ほう」

「言って欲しいこと…」

「ずら」

 

ちなみに選択肢だが。

『好きだ!』、『愛してる!』、『一生一緒にいたい』、『一緒にいると落ち着くよ』の4つである。

 

「私はやっぱり、ストレートに『好きだ!』って言われたら嬉しいなあ」

「愛してるじゃないんだね」

「そ、そこまで言われると、し、心臓が耐えられないかも…」

「なるほど」

 

実に乙女チックな理由である。

 

「丸は、一緒にいると落ち着く…かな」

「ああ、なんかわかるよ」

「花丸ちゃんらしいねー」

「そ、そうかな?えへへ」

 

花丸ちゃんの場合は実際そばにいると落ち着くし、言われることも今後あるだろう。

 

「それで」

「ハルさんはどれずら!?」

「そうだねえ」

 

恋人。

つまりは好きな人。

 

であるならば、どれを言われても嬉しいことには変わらないわけだ。

逆に言えば、どれかに絞るというのは難しいわけで。

 

「どれを言われても、嬉しいとは思うんだけどね」

「そういうのいらないから」

「早く決めるずら」

「なんか厳しいね君たち」

 

うーん…

そうだなあ。

あえて一つに決めるなら…

 

「一生一緒に…かなあ」

「おおー」

「なんでずら?」

「恋人になる以上、長く一緒にいたいじゃないか。相手もそう思ってくれてたら嬉しいかなって」

「なるほどなるほど」

「ハルさん、結構乙女ずら」

「君たちには負けるよ」

 

そんなわけで最後の選択が終了し、恋愛偏差値発表である。

未だに恋愛偏差値ってなんだという疑問は消えないが、まあとにかく発表されるらしい。

 

「えーっと、ハルくんは…あれ?」

「ん?」

「どうかしたずら?」

「いやー…あれ?おっかしいなー」

「おかしいって、結果がかい?」

「うん」

「おかしいって何がずら?」

「ほら、これ」

 

そう言って千歌ちゃんが結果のページを見せてくれる。

選択肢から、恋愛偏差値がどう出てくるかが書かれているそのページ。

 

そこから簡単に俺の数値を計算する。

すると…

 

「…ハルさん、70以上あるずら」

「だ、だよね。私の計算ミスじゃないよね」

 

偏差値70。

70点ではなく、偏差値が70というのは、平均に比べて相当高いということ。

 

つまりは。

 

「自覚はなかったけど、俺は恋愛の達人だったんだね」

「彼女ができたことすらないのに!」

「好きな人もまともにできてないのに!」

「いやいや、好きな子ならさっき言ったようにAqoursのみんな…」

「それはもういいから」

 

言葉を遮られた。

どうやらこの子達から見ると、俺は恋愛の達人というには相応しくないみたいだ。

 

無理もない。

俺もそう思うし。

 

「しかも私の恋愛偏差値50もないし…」

「丸は45以下ずら…」

「はっはっは。まあぜひ鍛えてくれたまえ」

「むっかー!」

「ハルさんだけおかしいずらー!」

「そう言われてもね」

 

ここ最近、鈍感鈍感とよく言われるようになっていたので、正直ちょっと嬉しい。

ついドヤ顔にもなってしまうというものだ。

 

「むーっ!鈍感のくせにー!これ全然当たってな…ってあれ」

「千歌ちゃんどうしたずら?」

「…恋愛偏差値って、恋愛のやり取りが上手いかどうかだよね?」

「多分…そうずら」

「てことは、相手に好かれる…要するにモテるかどうかであって、鈍感って関係ないよね?」

「そういえばそうずらね」

「逆に、好きな人を振り向かせられなければ低い…」

「…あ」

「二人してなんの話をしているんだい」

 

コソコソ話しているわけではないのだが、言っている意味がイマイチわからない。

 

「ハルくんの恋愛偏差値が高いから、色んな子に好かれてて…」

「丸たちのが低いからハルさんに気づいてもらえない…」

「…この本、当たってるね」

「…ずら」

「…なんで急に暗くなったんだい」

 

さっきまでの威勢はどこへ行ったのやら。

急激にテンションを下げる二人。

 

よくよく思い出すとこの子達は練習できないフラストレーションを晴らしに来たわけだが。

この感じだと、あまり発散できたようには見えなかった。

 

 

 

 





ご視聴ありがとうございました。

ただお話しをするだけの回でしたが、今後は少しこのシリーズで行こうと思います。
この作品の本来のテイストということでご了承ください。

それではなにかありましたらお願いします。
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