今回は二年生三人とのお話になります。
別にデートするわけではないので注意してください。
「デートに持ってくもの…?」
「そうそう」
パソコンの画面を見て呟く。
俺が現在見ているのは、スクールアイドルの公式プロフィールが書かれたホームページ。
個人のプライバシーを侵害しない程度に、スクールアイドルのプロフィールが記載されており、気になったりしたアイドルの情報を読む事ができるサイトである。
もちろん、本人の許可なく情報が公開される事は無いし、公開してもいい情報を自分で決める事も可能である。
「ラブライブ運営が公式にしているサイトでもあるので、個人で情報を公開するのに比べて信用性も高いのです」
「載せる情報も人によってだいぶ違うんでーす」
先日、三年生組が教えてくれたこのサイト。
実際、数多くのアイドルの情報が公開されているが、その内容は様々のようだ。
写真の公開をしている人もいればそうで無い人もいる。
その他にも、年齢、学年から人によっては身長や体重まで公開している人もいる。
「…身長はともかく体重は公開する意味あるのかな?」
「軽いと可愛らしく見えるでしょ?」
「あれだけステージで踊ってるんだから、ある程度筋肉もついてるだろう?だとすれば、相応の体重があるのもおかしく無いと思うんだけどね」
「ガールズはそんな単純じゃ無いのでーす」
「俺が単純みたいだね」
「当たってるではありませんか」
「手厳しいね」
そんな会話をふと思い出し、何の気なしにホームページを覗いたのがついさっき。
そんな中で、『アンケート』なるものを見つけたのだった。
「何週間かに一度、スクールアイドルにアンケートをとってるんだよー」
「それでその結果を公開するのよ」
「これも参加は自由なんだよー」
本日うちに来ている二年生三人組がそう話してくれる。
「ちなみに、アンケートっていうのはどんなものがあるんだい?」
「んー…そうだねえ…」
「前回は、『朝起きてから最初にやること』だったわ」
「ふむ」
「『スカートとズボン、どっち派?』とかもあったねー」
「俺はスカート派…じゃなくて、なるほど、そういうアンケートなんだね」
「ハルくんは…」
「スカートが好き…」
「そんなしょうもない事、憶えなくていいよ」
そんでもって、今回のアンケートがこれだ。
『デートに持っていきたいもの』
「持っていきたいものって…お金とか?」
「いや、それも大事だけど」
「じゃあ…念のためキャッシュカードかな」
「お金の話から離れて」
そういうものではないらしい。
まあアイドルのアンケートなわけだし、ある程度夢のある話にしろってことなんだろうか。
「俺にはなかなか思いつかないけど、みんなは何か書いてるのかい?」
「ふふん!何を隠そう、今回はAqoursのメンバー全員参加だよ!」
「ほう。それはまた」
「あ、ある人をみんな思い浮かべながら考えたのよ…!」
梨子ちゃんが若干身を乗り出してそう話す。
きっとその目は何かを訴えている…気がする。
「り、梨子ちゃんそれ言うの…!だ、大胆だね…」
「た、たまにはこれくらいはね」
「ある人…かい。ああ、誰か一緒にデートに行きたい人がいるのかい」
そういえば、前に好きな人がいるとか言ってたような…。
「確かにこういうのは、ある程度シチュエーションを思い浮かべるのが重要だしね。いいことだと…あれ、なんで暗い表情してるの」
「…持ってくもの、とりあえず鈍感修正器って書くべきだったわ」
「…うん」
「…そうだね」
「お?」
なぜか負のオーラが漂ってる気がする。
とはいえ。
「せっかくだし、みんなの書いたものを覗かせてもらおうかな」
「それはもちろんいいんだけど…なんか恥ずかしいね」
「変なものでも書いたのかい?」
「ち、ちがうよ!ふ、普通のだよ!」
やりとりの後、ページ内からアンケート結果へ飛ぶ。
ずらっと並べられたアイドル達の回答の中から、Aqoursのメンバー達の回答を発見。
「千歌ちゃんは…お弁当、だね」
「う、うん。や、やっぱりなんか恥ずかしいね」
「いやいや。可愛らしい答えじゃないか。デート慣れしているような雰囲気も感じさせず、アンケートの回答としてはとても良いと思うよ」
「…なんか評価のポイントが違う…もう!そうじゃないでしょー!」
「評価?」
「だ、だからその…は、ハルくんがデートに行くなら、お、お弁当を持ってくるのはどうかなー…とか!」
「俺なら?」
歳下の彼女がデートに弁当を作ってきてくれる…
ふむ。
「個人的にも、すごく嬉しいと思うよ」
「ほんと!?」
「もちろん。万が一俺が女の子とデートにでも行くことがあれば、ぜひとも作ってきてほしいものだよ」
「う、うん!作るよ!」
「いや、万が一にでも彼女ができたらの話だよね?」
なんで千歌ちゃんが作る話になってるんだろうか。
そう思ったが、なんだか嬉しそうにしている千歌ちゃんを見てその言葉を口にするのはやめることにした。
「それで梨子ちゃんは…『手作りのお菓子』なんだね」
「え、ええ。変…かな?」
「いやいや、まさかそんな。梨子ちゃんらしいなって思ったよ」
「それは褒め言葉なの?」
「もちろん。女の子らしくて素敵だと思うよ」
「そ、そっか…えへ」
梨子ちゃんの様子を見るに、悪い気はしていなさそうだ。
手作りのお菓子…うん、梨子ちゃんらしくていいよね。
可愛らしさもあるし。
千歌ちゃんと言い梨子ちゃんと言い、二人とも手作りのものを考えたわけだ。
やっぱりこういうところは可愛らしいよなと思う。
なんて思っていたら。
「は、ハルくん!私のは!?私のはどうなの!?」
曜ちゃんが机に乗り上げん勢いで問い詰めてきた。
そんな必死に聞くことでも無いと思うんだけど、やっぱり女の子としてのプライドとかあるんだろうか。
「えっと曜ちゃんのは…『カロリーメイト』」
…………………。
カロリー…メイト。
いわゆる、栄養調整食品の一つ。
なんていう堅苦しい分類は置いといて、一般的なイメージはそこそこ美味しい非常食ってところだろうか。
いや、もちろん味の感じ方は人それぞれだけど、売り上げとか知名度とか考えると、やっぱり人気はあるんだと思う。
ちなみに俺も、お金に困るとちょいちょいお世話になる。
けど、この場ではそんな情報はほぼ意味なんてない。
というか、焦点がそこじゃない。
「一応確認したいんだけどさ」
「ん?」
「これ、お題は千歌ちゃんや梨子ちゃんと同じなんだよね?」
「そりゃあねー。二人と同じで、『デートに持っていきたいもの』でありますよー」
「…デートに…ね」
俺の感覚が間違っているのか。
いや、さっきまでの二人を見るに多分そんなことはないはずだ。
「ハルさん、困ってるわね」
「まあ…そりゃ困るよねー」
「あ、あれ?ハルくん?」
さすがに妙な空気を感じ取ったのか、曜ちゃんが尋ねてくる。
さて、どう返したものか。
「あ、あの…やっぱり変…なのかな?」
不安そうな表情で聞いてくる曜ちゃん。
こういうとき、嘘を上手くつけないのはちょっと不便だ。
「…一般的ではないね。でも、その、なんだ、曜ちゃんらしさはすごく感じられるよ」
「ハルさん、苦しいけどなんとか言い繕ったわね」
「嘘つけないから、ああいうフォローしかできないんだろうねえ」
「そこ、余計なことを言わないように」
幸い、二人とも小声なので曜ちゃんには聞こえていないようだが。
「そっか…私らしい、か…ねえ、ハルくん的にはその…嫌、だったりするの?」
「俺は曜ちゃんらしさを悪いことなんて思ってないからね。君らしいものが持ち物にあっても、それは良さとして映るんだよ」
「そ、そう?…うん、それならいいかな。へへへ」
笑顔に戻ってくれた曜ちゃん。
なんとかフォローはできたらしい。
「…私が言うのもなんだけど、曜ちゃん、ちょろいわね」
「ちょろい?」
「…なんでもないのよ」
さっきよりさらに小声のお二人。
なんの話をしているんだろうか。
しかし…
カロリーメイトが来るとは思わなかったな。
ていうかどんなデートを想像してるんだろう。
なにはともあれ。
思いもよらぬ回答だったけど、まあこれはこれで面白かった。
うん。
どうせだし、他の学年の子も覗いて見ることにしようじゃないか。
そう思い、俺は早速一年生三人組に連絡をとるのだった。
ご視聴ありがとうございました。
各人のデートに持っていきたいモノですが、G'sが元ネタになってます。
興味のある方は一読を。
この話は一年、三年のお話もやっていきます。
それでは何かありましたらお願いします。