Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

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はじめましてこんにちは。

今回は三年生組とのお話になります。



よくある1日と布屋さん2

『今日の運勢12位の星座は…こちら!!』

 

俺が普段見ているニュース。

その最後にある、星座占いのコーナー。

 

画面上にはいかにもテンションが下がりそうな演出とともに、12位になってしまった星座の名前が映し出されている。

というか俺の星座だ。

 

『今日は何をやってもうまくいかない1日』

 

『やることなすこと、裏目に出ることばかりでしょう』

 

テレビから、今日最も運勢の悪い星座についてあれこれコメントが流れている。

これ、いつも思うけど7位とか8位みたいな中途半端な星座にはコメントもないわけだし、ある種こっちの方が得した気分をすると思うんだ。

 

「ドベなんだし、これくらいは楽しませてやるということなのかね」

 

ちなみにラッキーアイテムは『空から落ちてくる異物』。

より運気が下がりそうなんだけど。

 

 

 

 

「ハル、占いとかできない?」

 

夕方。

本日うちにやってきたのは3年生のメンバーたち。

 

そんでもって、この妙な話題を出したのは果南ちゃんである。

つい今朝、最悪の運勢を占っていただいたところでこの話題。

 

「また急だね」

「なんかね、ダイヤの大好きなμ'sのメンバーには、タロットカード占いができる人がいたんだってさ」

「東条希ちゃん…だったかな」

「オー、ハル、知ってるのー?」

「μ's自体は結構有名だしね。もちろんそんな詳しく知ってるわけではないけどさ」

「でしたら話は早いですわね!つまりはそういう事なのです!」

「…申し訳ないけど、どういうわけか全然わかんないよ」

 

μ'sに占いをできる人がいたからといって、俺に占いができるかを聞く理由にはならんだろうに。

 

「μ'sの参謀でもあった希さんは、かつてμ'sのピンチには占いを行う事で危機を逃れていたそうですわ」

「参謀って…」

「ワターシたちも、未来予知の能力を身につける必要がありまーす!」

「って言って、鞠莉もダイヤも、朝から張り切ってるんだよねー」

「占いと未来予知って同じものなのかね。というか、それにしたって急だね」

 

ダイヤちゃんがμ'sに憧れてたのは昔からだし、いきなりなんで占いの話なんて持ってきたのか。

 

「今朝、星座占いが一位だったんだって」

「すっごい単純だね」

「つまりはノリと勢いでーす」

「たまにはそういうのも大事なのです!」

 

手をあげたりしながら元気にアピールしているダイヤちゃん。

そしてそれに乗ってテンションをあげてるマリーちゃん。

 

忘れかけてたけど、もともとこの子たちはかなりアクティブなタイプの子達だ。

時々、こういうよくわからない話をよくわからない理由でもってくるのである。

 

「果南ちゃんも占いができるようになりたいのかい?」

「んー…私はそういうの、あんまり信じてないしなあ。あ、でも、やるのは面白いと思うよ」

「まあ、未来予知はともかく験担ぎくらいにはいいかもね」

 

そんな会話の後、三人仲良くパソコンを覗き込む。

インターネットブラウザを開き、『占い』で検索。

 

予測してはいたけど、多種多様な占いの種類、方法がヒットした。

 

「たくさんあるんですのね」

「オー!ジャパニーズフォーチュンテーリング!」

「ふぉーちゅんてりんぐ?」

「確か英語で『占い』って意味だったはずだよ」

「ちなみに星占いなら『ホロスコープ』でーす」

「今は星占いはできないですけどね」

「星占いに星座占いは入るのかな?」

「んー…入りそうで入らないような…」

 

特に何でもない会話をしながら占いを見ていたら、とある変わった占いを発見。

 

 

『下駄占い』

 

 

「懐かしいね」

「何ですの、これ」

「アイドンノーでーす」

「ダイヤと鞠莉は知らないの?ハルと私はやった事あるよー」

「そうなんですの?」

「だいぶ小さいときだけどね」

 

下駄占い。

『明日天気になーれ』という掛け声とともに下駄を放り、地面に落ちた下駄が表を向いていれば翌朝は晴れ、裏を向いていたら雨になるという占いだ。

 

なんかここまでの話に出てきたものとは若干毛色が違うが、とりあえずこれも占いのひとつではあるだろう。

 

「これ、全然当たらなかったよねー」

「そうだね、占い自体は全くと言っていいほど当たってなかったね」

 

代わりに、果南ちゃんや千歌ちゃんが投げた下駄が俺の頭に当たることはしょっちゅうあったけど。

 

「んー…やってみたいでーす!」

「え、これを?」

「私も興味がありますわ」

「ダイヤも?てっきり行儀が悪いとか言うと思ってたよ」

「いや、ダイヤちゃんなら普通にやりそうだと俺は思ってたよ」

「ハルさんの中の私は、ちょっと暴れん坊なんですの?」

「ちょっとじゃないよ。君たち三年生組は全員恐ろしいくらいアクティブだからね」

「アクティブねえ」

「要するに脳筋ってことですかー?」

「ああなんだ。ちゃんと自覚はあ…ぐべ」

「さあ三人とも、下駄を持って外に出ますわよ!」

「イエース!」

「あ、ハル、倉庫の下駄借りるよー」

 

人の顔面にクッションを投げつけた挙句、スルーする三人。

そういうとこが脳筋と…いや、今度は下駄が投げられそうなのでやめておこう。

 

 

 

 

「足で放る?」

「そうそう。ボールを蹴る時みたいな感じで」

「靴飛ばしの要領でね」

「なかなかクレイジーな占いですねー」

「変わった占いなのは事実だね」

 

話をしつつ、とりあえずお手本として果南ちゃんがやることになった。

 

「じゃ、お手本見せるからよく見ててね、二人とも」

「頼むから今回は上に打ち上げてくれよ」

「昔は横に飛んでたんですの?」

「俺の頭の方に飛んでたよ」

「上といえば上でーす」

「直撃なんてしようもんなら、俺の魂が上に逝くことになるよ」

「ふふふ。面白い冗談ですわね」

 

割と笑えない冗談だけどね。

まあそれはともかく、うちの物置にあった下駄を片足に装着し、果南ちゃんが投擲する準備を完了。

 

そして。

 

「明日天気になあれ」

 

そんな掛け声とともに下駄は空へ舞った。

そしてそのまま空にキラーん。

 

地上に落ちることなく星になるのだった。

 

「…落ちてこないでーす」

「あちゃー。やりすぎたかあ」

「もう、果南さん力を入れすぎですわよ」

「そういう問題じゃないよね」

 

とんでもない速度で空に投げられた下駄は、あまりに高く上がりすぎてそのまま帰ることはなかった。

…どんな力だい。

 

 

 

 

「じゃ、次は私でーす」

 

下駄が帰ってこなかったので、物置から新しい下駄を持ってきて再開。

今度はマリーちゃんの番だ。

 

「マリーちゃんはある程度力加減をしておくれよ」

「気をつけまーす」

「そうですわよ。下駄がかわいそうです」

「俺もかわいそうでしょ?」

 

確かに一生履くことはないであろう下駄だったけどさ。

 

「じゃあ行っくよー!明日サニーになあれええええええい!」

「俺の話聞いてた?」

 

俺の話の何を聞いていたのかわからないマリーちゃんはそのまま下駄を全力で投擲。

投擲されたそれは、案の定空に消えていった。

 

「というか、君たちちょっと力強すぎじゃない?」

 

あの脚力で蹴られたら、俺の体重でも10m以上飛ばされそう。

…セクハラ発言、控えたほうが良さそうだ。

 

 

 

 

「さあ!最後は私ですわよ!」

「張り切ってるね、ダイヤちゃん」

「そりゃあ前二人が不甲斐ない結果だったのですから。当然ですわ」

「ぶーぶー!私だって全力だったんだぞー!」

「そうでーす!私たちなりに頑張ったんでーす!」

「そもそも頑張ってやるものじゃないんだよ、これ」

「まあまあお二人とも、ここは私に任せてくださいな」

 

まだやってもいないのにドヤ顔のダイヤちゃん。

…やらかしそうだな。

 

「では…明日天気になーれ!」

 

ある程度力加減をされて投擲された下駄。

相変わらず高々と上がったものの、今回は行き先を見失う程でもなかったそれは、少ししてちゃんと帰ってきた。

 

そして。

 

『ガチャーン』

 

うちの瓦屋根に落下。

 

「…屋根の上に乗ったね」

「屋根の上でどうなってるんでーす?裏?表?」

「いや、見えないよ」

「ふふん。私としたことが、少々やり過ぎてしまいましたわ」

「なんでドヤ顔?」

 

 

結局。

この子たちに下駄占いが向いていないことだけがはっきりわかったのだった。

 

 

 

 

「やっぱり、占いといったらもっと簡単なものだよね」

「それで手相占いか」

「インターネットにもやり方がたくさんのってますからねー」

「それで、君たちは何について占ってくれるんだい?」

「んー…手相占いだけでも、たくさん種類があるんですのね」

「あ、これなんていいんじゃない?」

「おおー!ウエディングライン!」

 

ウエディングライン?

…ああ、結婚線か。

 

というかその訳はそれで正しいのか?

 

それはともかく、確かに手相を見るなら結婚線は定番の一つだろう。

左手右側から伸びる感情線。

 

その線と小指の間の線は結婚線と言われており、結婚を迎える年齢や、結婚後の生活模様についてなどを分かるとされている。

定番なだけあって、ネットで見るまでもなく簡単な知識なら俺でも知っているやつだ。

 

「それだったら、俺がみんなのやつを見てあげるよ」

「え、ハル、手相見れるの?」

「見れるってほどじゃないけど、ほんのちょっとくらいなら知識があるよ」

「おー。ぜひお願いしまーす!」

「じゃ、左手を出しておくれ」

 

マリーちゃんから左手を差し出してもらい、結婚線を見るべく手を見る。

当然、その際に手を握ることになるわけだが…

 

その辺でなんだかマリーちゃんの様子が変わり始めた。

 

「なんでマリーちゃん、顔を伏せてるのさ」

「…なんでもないでーす…」

 

気のせいか顔が赤くなっている気もするが…

あんまりよく見えない。

 

「鞠莉、実はうぶだよねえ」

「手を握られただけで真っ赤ですからね」

「だ、ダイヤたちだって人のこと言えないでーすっ」

「わ、私は手を握られたくらいでそんな…」

「ダイヤ、それフラグ」

 

なんの話をしてるかは分からなかったけど、マリーちゃんに頼まれて二人の手相も見ることになった。

二人とも、マリーちゃんと同じく手相を見ている途中に顔を伏せてしまった。

 

理由を聞いたら、占いで少しは人の心も読めと怒られた。

心を読む能力なら、普段この子たちが俺に使っているんだから、それを教えてくれたらいいと思うんだけどね。

 

 

 

 

「じゃあねー、ハル」

「さようなら、ハルさん」

「チャオ〜」

「またね、三人とも」

 

帰っていく三人を、店先まで送る。

最初は何事かと思った話題だったが、なんだかんだ面白かった。

 

そこで、ふと思い出した。

 

「そういえば、今日の占いはドベだったっけか」

 

やっぱりあんなの当てにならないね。

これといった不幸なんてなかったし。

 

「所詮、占いは占いってことかね」

 

なんて。

口にした直後。

 

屋根の上から何かが滑り落ちてくる音が耳に入った。

その音につられてそちらを向いた瞬間。

 

『ゴス!』

 

鈍い音と共に下駄が顔面に直撃。

多分、さっきダイヤちゃんが屋根の上にのっけたやつだ。

 

「ぐ、ぐおおおおおっ」

 

い、痛い。

めちゃくちゃ痛いっ。

 

 

『なみにラッキーアイテムは空から落ちてくる異物で〜す』

 

 

朝、テレビでお姉さんが言っているのを思い出した。

 

どこが幸運のアイテムなんだ。

直撃した事自体が不幸じゃないか。

 

まだまだ痛む額を抑えつつ、そんなことを思ったのだった。

 

 

 





ご視聴ありがとうございました。

大して信用なんてしないのに、なんとなくあれば見ちゃうのが占い。
筆者も朝の占いは時々見ます。

それでは何かありましたらお願いします。
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