Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

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はじめましてこんにちは。
キャンプ1日目の午後の話になります。
Aqoursのみんながアスレチックを楽しみます。


キャンプと布屋さん2

キャンプ1日目午後。

お昼のおにぎりを食べて30分ほどした頃。

 

「午後は、話していたアスレチックかな?」

「うん!」

「そうかい。楽しんできてくれ」

「あれ?ハルくんは行かないの?」

「生憎、そこまで体が動かないんだ。夕飯の準備でもしておくよ」

「ハルくーん、ちょっといいかな?」

 

美渡さんから声をかけられた。

少し離れた位置に移動する。

 

「どうしたんですか、美渡さん」

「夕飯の準備は私がやっておくから、ハルくんは行って来なよ」

「美渡さんに悪いですよ」

「こんだけ時間あって2人もいらないって。ほら、みんなのお守り、よろしくね」

「でもですね…」

 

「よ ろ し く ね」

 

「…はい」

 

なんか分からないが、すごい圧力を受けたのでみんなに付いて行く事になった。

 

 

 

 

アスレチックコースはキャンプ場によって難易度も規模もかなり異なる。

子供を対象としているところは、大人には小さいくらいの遊具が並ぶし、逆に大人向けともなるとそれ相応の難易度で作られているものもある。

 

ここのフィールドアスレチックは比較的大人向けの物のようだ。

落下すると水に落ちるようなものまである。

 

「当然、勝負形式で行きますわよ!」

「いえーい!」

「そうこなくちゃ!」

「まあ、そうなるだろうとは思っていたよ」

「勝負方法はどうするの?」

「やっぱりタイムアタックじゃない?」

「そうですわね」

 

タイムアタック。

つまりは、アスレチック走破にかかった時間で勝負するということだ。

 

貸切だからこそできる勝負方法ではある。

他に人がいたら危なすぎるからね。

 

もちろん、今日は他に人がいないので勝負そのものに異論はないが…

 

「ま、丸には難しそうずら…」

「うゅ…る、ルビィも…」

「私も、そもそも走破できる自信がないわ」

 

花丸ちゃん、ルビィちゃん、梨子ちゃんが言う。

 

そうなのだ。

そもそも、走破できることが前提となる以上、ギブアップしてしまうとこの勝負は成り立たなくなってしまう。

 

「うーん…確かにそうだね」

「あ、じゃあこうしよう!」

 

曜ちゃんが何か思いついたようだ。

 

「チーム戦にしよう!」

「チーム?」

「そう!リレー形式でタイムアタックするの!それなら、難易度の低いところを、苦手な人が担当できるでしょ?」

「オー!グッドアイディア!」

 

確かに、このアスレチックは比較的簡単なエリアとそうでないエリアではっきりと分けられている。

分業制なら、花丸ちゃんたちでもなんとかなりそうだ。

 

「じゃあチーム分けだね。どうやって分ける?」

「ユニットごとで良いんじゃないかい?」

「そうですわね」

 

偶然にも、ユニットごとに分ければ花丸ちゃん、ルビィちゃん、梨子ちゃんがきっちり別れるのだ。

能力も、まあそれなりに均等だろう。

 

「決まりだね!じゃあ10分後にスタートで、それまではチームごとに作戦会議だよ!」

「オーケー!」

「じゃあ俺は審判の準備を…」

「あ、ハルくんも参加だからね?」

「…え?」

 

あれ?

 

「タイムアタックの勝負だし、1つのチームがやってる間はどうせ他のチームは休みなんだし」

「審判はあまったチームがやれば良いわね」

「…え?」

 

ちょ。

 

「当然、負けたチームは罰ゲームですわ!」

「おー!望むところだよ!」

 

いやいや。

 

「ちょっと待ってくれ。その勝負、俺も参加なのかい?」

「当然!」

「間違いなく勝てないんだけど」

 

そもそも、俺が1人で踏破できるかも怪しいのに。

 

「まあまあ、罰ゲームは軽いものにしとくから」

「…負けるのはほぼ前提なんだね」

 

否定はできないが。

 

とはいえ、ここでグダグダ言っても仕方ない。

俺も大人で男なのだ。

逃げずに勝負といこうじゃないか。

 

「よーし!じゃあ10分後に集合ね!」

 

 

 

 

〜AZALEA〜

 

くじの結果、最初はAZALEAになった。

運動神経の良い3年が2人のチームだ。

 

「あ、足を引っ張りそうで申し訳ないずら」

「そんなの気にしなくて良いよ」

「そうですわ。どれだけ遅れようと、私たちで取り返してみせますから」

「それより怪我だけは気をつけてね」

「あ、ありがとうずらー」

 

チームワークは心配なさそうだ。

果南ちゃんもダイヤちゃんも、こういった勝負事ではかなりの負けず嫌いだが、それと同じくらい後輩を思いやる気持ちを持っている。

 

いい先輩をやっているようで安心したよ。

 

「よーし、じゃあそろそろスタートだよ!3年生の2人も、交代場所に向かってね」

「はーい」

「わかりましたわ」

 

3人が位置につく。

 

「よーい…スタート!」

 

マリーちゃんの合図で、花丸ちゃんがスタートする。

 

「は、花丸ちゃんがんばってー」

「いい調子だよー!」

「あ、そこ、気をつけてー!」

「ずら丸!ほら、足元ちゃんと見て!」

「が、がんばるずらー!」

 

花丸ちゃんに、たくさんの応援が飛ぶ。

 

最初の人が担当するのは、難易度的には最も低いエリア。

下に水が張られているわけでもなく、落ちてもすぐ戻ってこれるようなもの。

 

ちなみにこの勝負、落下してもやり直して良いというルールである。

ただし、その場合はそのポイントの最初からとなるので、タイムロスにはなるのだが。

 

苦戦はしていたようだが、なんとか花丸ちゃん担当場所は制覇できた。

 

 

 

「だ、ダイヤさん、あとは任せるずら!」

「ええ!よく頑張りましたわ!」

 

AZALEA2人目はダイヤちゃん。

バトン代わりのリストバンドを花丸ちゃんから受け取り、勢いよくスタートする。

 

難易度的には中。

ポイントの幾つかは地面に水が張られており、やり直せると言っても落ちたくはないエリアだ。

 

「おねえちゃん!がんばって!」

「ダイヤー!いいとこみせてー!」

「がんばれー!」

 

相変わらずの応援。

 

ダイヤちゃんの動きはかなりダイナミックだ。

 

障害をいささか無駄のある動きで踏破していく。

体力がある程度あるからこその力技と言った感じか。

 

「フハハハハハ!こんなもの、壁でもなんでもありませんわー!」

 

当の本人は効率とかはまったく気にしてなさそうだ。

まあ、楽しそうで何よりである。

 

 

「さあ、ラストは任せましたわ!」

「うん!」

 

ダイヤちゃんから果南ちゃんへ、最後のバトンパスだ。

 

最後の区間は難易度は最も高い。

ある程度の運動神経が求められるものも多い。

 

水が張られているポイントも多く、踏破すること自体がなかなかに大変に思われる。

 

思われたのだが…

 

「…早くね?」

「おー!さすが果南!」

「果南ちゃんすごーい!」

「あれに勝たないといけないのかー。大変だね」

「…すごいとかそんなレベルじゃないわよね」

「…君にもそう見えるかい」

 

梨子ちゃんも亜然としていた。

 

ポイントの一つに、綱渡りがある。

距離は短いが完全に紐一本のコースと、手すりが付いているが距離が長いコースに枝分かれしているポイントがある。

 

果南ちゃんは迷わずに前者に向かって行った。

そしてそのまま。

 

決して太くはない綱の上を、全速力で駆け抜けていく果南ちゃん。

 

足元などまともに見ずに突っ走って行く。

 

「ど、どうしようよっちゃん。私、あんなことできないわ」

「ヨハネよ!…少なくとも、梨子の区間にあの難易度はないから安心していいわ。あと、あんなの私も無理」

「というか、他にできる人がいるのか?」

 

そんな会話をしている間に、果南ちゃんがゴールイン。

ほとんどペースを落とさずにゴールした。

 

俺が想定していたより、ずっと早いタイムだったのは、言うまでもない。

 

 

 

 

〜Guilty Kiss〜

 

2番目はGuilty Kissだ。

順番は梨子ちゃん、善子ちゃん、マリーちゃんの順番らしい。

 

特別運動が苦手という子がいない分、バランスのいいチームだ。

 

「2人とも、絶対に勝つわよ!」

「勝てるかはわからないけど…全力は出すわ」

「魔界の住人たちよ…堕天使ヨハネに力を!」

 

そんな意気込みを元に、スタート地点に着く彼女たち。

 

「よーい…どーん!」

 

梨子ちゃんが出発する。

さっきの花丸ちゃんに比べると、少しだけ早い。

 

「梨子ちゃーん!がんばれー!」

「がんばれー!」

 

「なんというか。見てて安定感があるね」

「一歩一歩確実にって感じするよねー」

 

もともと、梨子ちゃんは本人が言っていたほど運動神経が悪くない。

千歌ちゃんの話によると、犬に追われた時には千歌ちゃんの家のベランダから梨子ちゃんの家のベランダに飛び移ったらしい。

結構な跳躍が必要なはずだ。

 

 

「梨子ー!あとちょっとよ!」

「うん!っと!はい!」

「受け取ったわ!堕天使召喚!」

 

そんな掛け声とともにスタートした善子ちゃん。

ずいぶん活き活きしているように見える。

 

そんでもって、結構早い。

 

「これぞ!堕天使のステップ!」

 

「堕天使の羽ばたき!」

 

「そして、ヨハネの跳躍!」

 

無駄なセリフがポンポン出てくるのに、動きにはまったく無駄がない。

口と体を、別の人間が担当しているかのようにかみ合っていない。

 

「よ、善子ちゃん、すごいですね」

「うん、2つの意味でね」

 

 

「よっちゃーん!グッドペースよー!」

「ヨハネよ!はい!」

 

マリーちゃんにリストバンドが渡る。

ここまでのタイムは、若干Guilty KissがAZALEAを上回っている。

 

「おー。さすが鞠莉。早いねー」

「そうですわね」

 

確かに早い。

マリーちゃんもダイヤちゃん同様、動きがダイナミックだ。

 

とはいえ、さすがに果南ちゃんほど早くない。

これは、最終的にどうなるかわからないな。

 

そう思っていた時だった。

 

「ノー!おっぱいが重たいヨー」

 

マリーちゃんが、そんなことを言った。

 

「ちょっ!」

「ま、鞠莉ちゃん!」

「………………」

 

…あまり見ないようにはしていたのだが。

確かに、結構揺れている。

 

あそこまでダイナミックに動くと、さすがに下着があっても揺れるらしい。

…いや、さすがに下着はつけてるよね?

 

「…えい!」

 

『ビシ!』

 

「うぐうおおおおお!目がああ!」

 

何も言ってないのに目潰しをされた。

今回はその手の話は一切していないというのに!

 

「ハルくんのえっち」

「さすがに、今回は俺のせいではないはずだ」

 

目を抑えながら、そう返す。

 

ゴールの瞬間は見ていなかったが、AZALEAより少し遅いタイムだったらしい。

 

 

 

 

〜CYaRon!〜

 

「鞠莉さん!ハルさんもいるのですよ!なんて発言をするのですか!」

「えー。だってー」

「だってじゃありませんわ!」

 

「そうだよ、マリーちゃん」

「ハルまでそんなこと言うの?」

「当然だろう。君だって女の子なんだからね。迂闊にそういう事を言ってはいけないよ」

「…ハル、誰に言ってるの?」

「ああ、マリーちゃんはそっちにいるのかい」

 

先ほどの目潰しの影響がまだ残っている。

視界がぼけているのだ。

 

 

「よーし!準備オッケーだよー!」

「こっちもー!」

「る、ルビィもです!」

「じゃあ行くよー。よーい…スタート!」

 

CYaRon!がスタートする。

先頭バッターはルビィちゃん。

 

「わ、わ、と、っとと」

 

ルビィちゃんは、運動神経そのものが絶望的に悪いという事はない。

体力もそれなりにある。

 

直線を走るだけなら、同年代の平均かそれより上のタイムがでるだろう。

 

問題は、その不器用さ。

どうにも、動きの効率がよろしくない。

 

お世辞にもテンポよくとは言いづらいペースで進んで行く。

こうなる事は予測できたが。

 

「ルビィちゃん!がんばるずらー!」

「見ててハラハラするよ」

「あっはっは、可愛らしいねー」

「オー!ベリーキュート!」

「ルビィ!ちゃんと足元を見るのですわ!」

 

幾つかやり直しはしていたものの、それでもなんとか進んで行くルビィちゃん。

頑張っているのは、十分伝わってきた。

 

 

「ルビィちゃーん!あとちょっとー!」

「は、はい!お願いします!」

「うん!任せてね!とおーう!」

 

リストバンドを受け取り、千歌ちゃんがスタートする。

 

なかなかにいいペースだ。

完璧というほどではないが、割と無駄なく進めている。

 

「千歌ー!がんばれー!」

「ちかっちー!」

 

特にコメントする事がなくて逆に困る。

まあ言い方を変えれば、無難にこなしているという事だが。

 

「ハルくん!今失礼な事考えたでしょー!」

「なんでそんな位置から心を読み取っているんだ」

 

 

「曜ちゃん!あとはよろしくね!」

「ヨーソロー!」

 

曜ちゃんにバトンが渡り、最後の走者がスタートする。

 

彼女の進み方も、千歌ちゃんと同じで無駄なくといった感じだ。

特に大きなミスをする事もなく進んで行く。

 

曜ちゃんは、普段こそ元気ハツラツといった感じだが、こういう時は結構冷静な判断もできる。

それが分かりやすく現れているようだ。

 

「ハルくーん!もっとほめていいよー!」

「だからなんで心を読むんだい。しかもその距離から」

 

 

 

 

曜ちゃんがゴールした。

タイムは…

 

「うーん…今の所私たちがドベだねー」

「あー、負けちゃったかー」

「うゅ…ごめんなさいです」

「いやいや、ルビィちゃんのせいじゃないから」

「そうそう。チームでやった結果だからねー」

 

というわけである。

 

さて、じゃあアスレチックはこれでおしまい…

 

「じゃ、最後はハルだねー」

「頑張ってね、ハルくん!」

「頑張って下さい!」

 

くそ。

やはり覚えていたか。

 

正直、彼女たちがこれだけいい勝負したのだし、もう俺の出番はいらないと思うのだが。

 

「だめだよー、ハルくん」

「そうよ。みんなやったからこそ、一人だけやらないのはだめなんだから」

「心配しなくとも、ハルさんにはハンデがありますわ」

「ハンデ?」

 

それは初耳である。

 

「さすがに、一人だと体力的にきついでしょ?」

「だから、ハルはミスせずにゴールできたらそれで勝ちって事にしてあげるよ」

「なるほど」

 

確かにそれなら、ゆっくりやればなんとかなるかもしれないな。

 

そんな、甘い考えをしていた事を、数分後に後悔した。

 

 

ゴールはおろか。

 

中盤で落下。

 

よりにもよって水エリアである。

 

「…みんな、これをあの勢いで走っていたのか…」

 

水に浸かって

 

もう傾きつつある太陽を眺めながら

 

そんな事を、呟くのだった。

 

 

 




ご視聴ありがとうございました。
今回はとあるアスレチックコースをモデルに考えました。

それでは何かありましたらお願いします。
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