IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~ 作:ぼいら~ちん
「ふぁ~ねみ~」
「授業中は寝ちゃだめだよ…」
「わ、わかってるッス…
そんなことしたら…殺られる…」
あくびをする俺に簪が忠告する。
現在AM8:30。
朝の組み立て作業が終わり、俺、簪、本音の3人で各々の教室に向かっている。
ここ最近は朝、昼、放課後の組み立て作業に本音も加わってくれるのだ。
普段はのほほんとしているが機体整備技術はかなりのものだ。
非常に助かる。
「ね~ね~ほしむー」
「どうしたんスか?」
「今日転校生が来るって聞いたんだけど~
なんか知らない?」
「知ってるも何も…なあ」
「うん…
昨日会った…」
「ええ~!
ねえねえ~どんな子だったー?」
「う~ん…
元気な子、だったよ…」
「むしろ元気通り越してうるさいッス」
「へ~
もしかして~あの子~?」
1組の教室の前に差し掛かると、ドアの前で鈴がうつむいている。
「な…なんて言えば―――」
「小細工無用!!
一気に決めるッス!!」
「ひゃあ!?
なによ!!
びっくりすんじゃないこのバカ!!」
「ごめん
脅かすつもりなかった…」
俺の言葉に鈴が驚く。
まあ俺が大声出したのも悪いと思うけどさ…
「朝からうるさいぞ希…」
「い…一夏…」
俺の大声に気づき一夏が教室から出てくる。
突然一夏が出てきたため鈴は驚きを隠せないと言ったところだ。
「鈴……?
お前、鈴か?」
「そ、そうよ!!
中国代表候補生の鳳鈴音。
今日は宣戦布告に来たってわけ」
「ぷぷっ…」
「そこ!!
なに笑ってんのよ!?」
「だって…
なあ…一夏…」
「ぷぷ…考えてることが一緒で何よりだ…」
「「似合わね~~~~~~~」」
「んなっ!?
なんてこと言うのよアンタらは!!」
「おい」
「なによ!?」
不意に声をかけられ鈴はキレ気味で返答する。
この感じ…まさか!?
スパーン!!
「もうSHRの時間だ。
教室に戻れ」
「千冬さん…」
邪鬼が来たか…
ていうかあんまりにも衝撃的な登場で簪涙目だよ…
「織斑先生と呼べ。
更識、お前も例外ではないぞ。
マクグリフ先生に迷惑をかけるなよ」
「はい…
また後でね…」
「おう!!」
「またね~」
簪と鈴はそれぞれの教室へと向かって行く。
「おい…希…一夏…」
「ん?
なんだよ箒?」
「今の二人は誰だ!?
知り合いか!?
偉く親しそうだな!!」
「そうですわ!!
簪さんはともあれ、あの子とはどういう関係ですの!?」
「…俺に弁解の余地をください…」
「そうだぞ
あの青い髪の子は希の知り合いだと思うが―――」
バシンバシンバシンバシン!!
「「「「アッーーー」」」」
いって!?
朝から痛過ぎるッスよ千冬さん!!
まあ目は覚めたけど…
「席に着け、馬鹿ども…」
「「「「はい…」」」」
そんなこんなで俺達の1日は始まっていった…
◇ ◇ ◇
「む」
「織斑先生こんばんはッス!!」
「こ、こんばんは…」
放課後、いつもより早めに作業を切り上げ俺達は自室に戻っているところ、千冬さんにエンカウントした…
朝の一件のせいか簪が少し怯えている。
本音はどうしたのかって?
仲のいい友達に連れてかれましたよ…
「そんなに怯えることないッスよ
普段はこんなに怖い先生でも、自宅ではビール飲んでぐ~たらしてるおっさ―――」
スパーーーン!!
「いってぇ!?
突然なんスか千冬さ―――」
スパーーーン!!
「学校では織斑先生と呼べ」
「はい…
申し訳ありません…」
「よろしい
ところで星村」
「いてて…
なんでスか?」
「貴様にひとつ質問がある」
「簪と付き合ってるとか言う噂についてはノーコメントで」
「!!
そ、そんな噂あったの!?」
「うん
本音から聞かれた」
「そんなことはどうでもいい
星村、なぜお前はPICの制御をマニュアルで行っている?」
「PIC?マニュアル制御?
どゆこと?」
「PICの制御方法はマニュアルとオートに変えることができるの…
希はIS初心者なのに…なんで…?」
「いやいや
PICのオート制御なんて今初めて知ったッスよ」
「「へ?」」
確かに一夏もIS初心者なのに俺の初陣の時よりもいい感じに動いてた…
「つ、つまり無意識ってことなのか?」
「そう言うことになりまスね…」
「「……コーディネーターハンパねぇ……」」
千冬さん、口調がオフの時に戻ってますよ…
それにこの前鈴にも同じこと言われたような…
「ま、まあ簪!!
部屋に戻っるッスよ!!」
「う、うん…」
「じゃ、じゃあそういうことなんで
失礼します」
「お、おう…」
俺は簪の手を引きそそくさと後にする…
すると簪から声をかけられる。
「ねえ希…」
「ん~?
なんスか~?」
「マルチロックオンのプログラム…できた…?」
「…まだ…」
「そっか…」
「遅くてゴメン…」
「う、ううん…
元々私一人でやるのをノゾミにもやってもらってるんだから…」
「ところで
弐式のOSとプログラムは?」
「まだ…」
「そっか
じゃあ後で見せて!!」
「うん…」
部屋の前に到着。
鍵を鍵穴に差し込み、ドアを開けようとする。
その時
「最っ低っ!!
女の子との約束をちゃんと覚えてないなんて、男の風上にも置けないヤツ!!
犬に噛まれて死ね!!」
突然鈴の声が響き渡る。
ちょっと待てよ…
この寮は体表候補生とかが国との定期連絡とかに自室で行う人が多いため、防音などの設備は万全と聞く。
つまり、そんな環境の中でこれだけ大きく声が響いたんだ…
声の主の感情はかなり荒ぶっているはずだ…
1025号室からボストンバッグを持った鈴が出てきた。
俺達の前で立ち止まり、怒りに満ちた眼差しを俺達に向けてくるが…
その瞳には涙がうかんでおり、怒りというよりかは、悲しみや後悔を感じさせる。
「そこ…どきなさいよ…
アンタら邪魔よ」
声を震わせながら鈴が話しかけてくる。
「嫌だ」
「うるっさいわね…
さっさとどきなさいよ!!」
そう言い鈴が右手を振り上げる。
その拳は俺へと振り下ろされる。
パシッ
「っ…!!
放しなさいよ希!!」
「嫌ッス!!
泣いてる女を放っておけってのかよ!?
俺にはそんなことできない!!」
鈴の拳を受け止めた俺が言う。
やっと自分のやろうとしたことに気づいたのか、手をひっこめ俯く。
「落ち着くまで私たちの部屋にいていいよ…
お茶とカステラしか出せないけど…」
「うん…」
鈴とともに俺達は部屋に入る。
冷蔵庫からカステラを取り出し、急須にお茶っ葉を入れ電気ポットで沸かしておいたお湯をそこに注ぐ。
カステラを切り分けていると滅茶苦茶静かなのを改めて実感する。
「ううっ…うぇぇ…」
「り、鈴!?どうした!?」
「の、希が包丁なんて出すからだよ!!
り、鈴?だ、大丈夫…?」
鈴が泣きだした。
突然の事すぎて俺も簪も大慌てだ。
「やっぱり…ひぐっ
一夏にぃ…ぐすっ…嫌われちゃったかなぁ…」
「そんなことないッスよ…」
「ひぐっ…
なんでそう言いきれるのよ…」
「だって今までにも喧嘩しまくって、今の関係があるんだ
そう簡単には嫌いになんないッスよ」
「…そう…だよね…
ありがとう…
なんか気が楽になったわ」
そう言った鈴は切り分けたカステラとお茶に手を伸ばす。
「ところで…
これからどうするの…」
「ふぁふぃ(何)を?」もぐもぐ
カステラを頬張りながら鈴が答える。
さっきまでの表情はどこへやら…
いつも通りの鈴である。
「仲直りの方針…」
「これから考える…」
「ノープランか…
まあ鈴らしくていいんじゃないスか」
「一般的に行き当たりばったりという…」
「ほ、ほっといてよ簪!!」
「ま
鈴が元気になってよかったッス」
そう言って起動したパソコンを弄り始める。
「ん?
アンタパソコンなんてして何すんの?
はっ!!
まさか…エ―――」
「俺はそんなことしないッス!!
簪の機体のOSとプログラム見るからその為に」
「そ~なんだ…
じゃああたしも見てく」
「別にいいッスけど…
見てても暇ッスよ」
「まあ邪魔になんないようにはするから」
………
『エラー!エラー!』
「また…ダメ…」
「う~ん…
MSのプログラミングよりも難しいとは…
篠ノ之束…恐ろしい子…」
「OS云々よりも
アンタ達機体の稼働データは?」
「……盗む…」
「誰から!?」
「……イギリス…」
「やめろ犯罪者予備軍!!
アンタなら本当にできそうで怖いわ!!」
「実際ペンタ●ンくらいなら楽勝☆」
「もういいわ…」
「実のところ…
既にここに用意してあったりする…」
簪はカバンからノートパソコンを取り出す。
先日、弐式の開発に他のISの実稼働サンプルデータが必要だと言われ作成した。
ちなみに基本稼働データは星彩とエクストリームのもの、荷電粒子砲のデータも必要らしいので星彩のアウロラのデータを流用した。
「やっぱりアンタら凄いわ…
もうなんか絡むのめんどくなってきた…」
鈴がボストンバッグを片手に部屋から出ていく。
酷く疲れてるように見えたけど大丈夫かな…
いや、俺のせいだった☆
「う~ん…
難…しい…
何がダメなのかな…?」
「ちょっと失礼…」
俺が椅子に座り、キーボードを叩き始める。
これでもかなり慎重にやってるはずだが、簪は唖然としている。
前にソルから言われたっけ…
『な、なんか…速すぎるんだけど…』
俺なんかよりもキラの方が速いって…
一通りデータを見た俺は手を止める。
「ど、どうだった…?」
「う~ん
正直に言うと全体的に中途半端ってとこッスね」
「……」
「荷電粒子砲を今のまま撃つとすぐに砲身がダメになるくらい出力が高い。
それに機体の出力がいまいち…
スラスターの制御システムも見たけどもっと思い切って出力あげてもいいと思う。
それにOSもまだ組み方が甘い…」
「ひぐっ…
やっぱり私なんかじゃ…ひぐっ」
「でも
簪は超凄いと思うッス」
「ぐすっ…
でも…希やお姉ちゃんに比べて…私は…」
「これ見て」
そう言って俺はポケットから携帯端末を取り出す。
そこにはなにかのOSが保存されていた
「何これ…ひどい…」
「う…
結構傷つく…」
「え…?
これノゾミが作ったの…?」
「うん
俺が15の頃に初めて作ったロボットに使ったOSッス
我ながら酷いって思うんスけどね…」
「じゃあ…
なんで今はこんなに凄いの…?」
「努力!!
まあ元々コーディネーターは習ったものはすぐ習得できるんスけどね
でも今のレベルができるようになるまで2年かかったね」
「2年!?」
「教えてくれた人が滅茶苦茶凄かったってのもあるッスね
独学でやってたらもっとかかったと思う」
「そうなんだ…」
「だからもっと自信を持つッス!
なんせ世界を救ったコーディネーターよりも凄いんスから!!」
「ふふっ
そうだね…
でも…今日は…お願い…」
「よ~し!!
希さんが一肌脱ぐッスよ~!!」
俺は再びキーボードを叩き始め、文字を打ち込んでいく。
しかし
『エラー!エラー!』
「「なん…だと…」」
次の日が土曜であったため完徹も視野に入れていたのだが…
弐式のOSを組み終わったのは月曜の夜中、3:58だった…
◇ ◇ ◇
月曜の放課後、5月に入り、鈴の一回戦の相手が一夏だったなど色々なことがあったが現在、いつも通り簪、本音とともに整備室にて弐式の調整を行っている。
フレームはほとんど完成しており、後は武装の調整と俺の作るマルチロックオンシステムをインストールすれば完成である。
そんな中…
「ノゾミ~手伝いに来たぞ~!!」
「あと差し入れも」
「持ってきた」
「あ~
レオレオにバーヤンにランランだ~」
レオス、スウェン、ソルが手伝いに来たのである。
普段から3人は一夏の操縦技術の講師として練習に付き合っているが今日はそれを断って来てくれた。
まあ本音の変なあだ名についてはほっとこう…
「サンキューな
俺はマルチロックオンシステムのプログラミングをやってるから、簪からやること聞いて手伝ってくれ」
「お願いします…」
簪がぺこりと頭を下げる。
そして俺はキーボードを打ち続ける。
「あれ~
ほしむー顔色悪いよ~
大丈夫~?」
「うん…
真っ青…」
「大丈夫!!
すこぶる元気ッス…よ…」
突然体に力入らなくなる…
なんだろ…
◇ ◇ ◇
「……」
目を開けると見覚えのない天上、視界の端にはカーテンが見える。
どうやら俺は保健室に運ばれたらしい。
「大丈夫…?」
カーテンが開き、簪が顔を出す。
「俺…ぶっ倒れたのか…」
「うん
どさって…」
「うぅ…
面目ない…」
俺が簪に謝罪する。
そして簪が口を開く
「ありがと…」
「え!?
なんで!?」
「今日のは寝不足が原因の貧血だって…
弐式のプログラム組んでたのが原因だと思う…
手伝ってくれるのはうれしい…
でも…それのせいでノゾミが病気とかになっちゃうと…悲しい」
「心配掛けてごめん…
これからは自分の体にも気を使うッス」
「はいはい!!
わかればよろしい!!」
ドアが開き、女性が部屋に入ってくる。
白衣を着ているところから擁護教諭のようだ。
「そろそろ暗くなるから更識さんは寮に戻った方がいいわよ
星村くんはもう少し寝てなさい」
「はい
じゃあ、あとでね…」
「おう!!
またな!!」
そう言って簪は部屋を後にする。
「ところで…
もうばれてますよ…
「流石はニュータイプね」
そう言って女性はあごのあたりを掴みそれを上に引っ張る。
マスクみるみるはがれ、ウィッグをとったその人は簪のような水色の髪の女性だった。
しかし簪のとは違い癖毛は外側を向いており短髪。
活発な印象を受ける。
そしてその手に広げられた扇子には『天晴』と書いてある。
ニュータイプの事は…きっと本音とかから聞いたんだろう
「久しぶりね星村くん
何年ぶりかしら?
お姉さん会えてうれしいわ」
「ところで刀奈さん
なんでこんなところに?」
「その名前で呼ばれるの久しぶりね~
でも今の私は更識家当主、更識楯無よ。
楯無って呼んで頂戴」
「はい
俺も希でいいッスよ」
「よろしくね
あとここに来た理由はね
あなたにお礼をするために来たの」
そしてまた扇子を広げる。
そこには『感謝』と書いてある。
どういう仕組みなんだそれ?
「お礼?
別に楯無さんに何かした覚えはないッスよ」
「ううん
私の事じゃなくて簪ちゃんのことよ」
「簪のこと?」
俺は余計意味がわからなくなり首をかしげる
「そう
あなたのお陰で友達も増えたみたいだし、最初は恨んでた織斑くんの事も今はあまり気にしてないみたい」
「なんでそんなこと知ってるんスか?」
「私はあのこのお姉ちゃんよ!
あと、これあげる」
楯無さんが俺に一枚の紙を手渡す。
「なんスか?
…『ナノマシン生成装置?』」
「私の機体に搭載されているものの設計図よ
何か役に立つかと思ってね」
「でも…
これ国家機密なんじゃ…」
「気にしな~い気にしな~い!!
そんなことばっかり言ってると老けるわよ~」
「それは困るッス」
「それじゃあね~」
「え!?
まだ聞きたいことが…」
そう言って楯無さんは颯爽と保健室を出て行く…
そして調子のよくなった俺はベッドを降り、寮への帰路へ着くのであった…
誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
先日、自分のミスで未完成のままアップしてしまい申し訳ありません。
以後このような事がないように気をつけますのでこれからもよろしくお願いします。
次回
クラス対抗戦!!
お楽しみに~