IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~ 作:ぼいら~ちん
「よし…これで…」
「やっと…できた…!!」
「「『打鉄弐式』!!」」
俺が倒れてから数日後の放課後。
クラス
とうとう簪の専用機『打鉄弐式』が完成したのである。
「おめでとうかんちゃん!!」
「すごいぞ二人とも
入学からまだ一月経ってないのにIS1機完成させるなんて!!」
「これもみんなのお陰…
ありがとう…希、本音、レオス、スウェン、ソル、
簪は俺達にお礼の言葉ととびっきりの笑顔を送る。
なんで一夏も居るのかって?
それは俺が倒れた次の日に遡る…
◇ ◇ ◇
「よう!!
今日も頑張ろうぜ!!」
「よう希」
「なんで一夏がいるんスか…?」
俺がいつも通り整備室を訪れると、簪がおり、その隣にはなぜか一夏がいた。
「この間更識さんのこと俺に話してくれたよな。
更識さんの機体の開発が遅れてるのは間接的に俺のせいだから謝りに来たんだ。
本当にごめんなさい」
一夏が頭を下げる。
「別に織斑くんのせいじゃないよ…
それに…織斑くんはいい人だってのは希から聞いてたし…
それに私は怒っても恨んでもないよ…
だから…頭をあげて…」
「だそうだ
簪の言うとおり一夏は悪くないんスから」
「うん…」
「じゃあ簪、始めるか!!
今日はスラスターの調整を…」
「ちょっと待って
それに白式のデータ使えないか?」
「確か、白式は高機動型の機体…
それに開発元も弐式と同じ倉持技研…
使えるどころかむしろこっちがお願いするくらいッスよ!!」
「でも…いいの…?」
「うん
理由はどうであれ俺のせいで更識さんに迷惑がかかったんだ
罪滅ぼしにこれくらいさせてくれ」
「ありがとう…織斑くん…
あと…私のこと簪って呼んで…
もう私たち…友達でしょ…?」
「そうだな
よろしくな簪
あと俺の事も一夏でいいよ」
「うん…
よろしく…」
◇ ◇ ◇
こうして一夏の協力もあり、クラス対抗戦当日完成予定だった弐式だが、今日、めでたく完成したのだ。
「さっそくアリーナで試験稼働といくッスよ!!
と言いたいところだが
一夏、お前はこんなところで油売ってる暇ないだろ」
「どゆこと?」
「クラス対抗戦まであと9日…」
「むう…
わかった!!
レオス先生、スウェン先生、ソル先生!!
本日もおねがいします!!」
「「「うん」」」
そう言って一夏達は整備室を出て行く…
「じゃあ
俺達も行くか」
「うん…」
そう言って簪は弐式を待機形態に戻し歩き始める。
弐式の待機形態は簪の右手中指にある指輪だ。
そんなことを考えつつ歩いているとすぐに第6」アリーナに到着。
いつもは人がいっぱいのアリーナだが、今日は珍しく誰も居なかった。
「じゃあ簪
まずはカタパルトから出て、シールドバリアーの動作チェックから始めよう」
「うん、わかった…」
簪は弐式の足をカタパルトに固定する。
「カタパルトオンライン
全システムオールグリーン
射出タイミングを『打鉄弐式』のパイロット、更識簪に譲渡します。
簪、行ってこい!!」
「うん…
更識簪…打鉄弐式…行きます…!!」
そう言うと弐式はアリーナの方へと飛ばされる。
「どう?
問題は?」
『大丈夫…
ないよ…』
「よし
次はドローンを15体出すから『夢現』と『春雷』で破壊してくれ」
『了解…』
「じゃあ
セシア頼むッス」
『はい
簪さん、ドローンは自動で回避運動及び反撃を行います。
ダメージはありませんが気をつけてください』
『はい…』
簪の前にドローンが現れる。
今回俺がドローンの制御を行わない理由は、弐式のパラメーターのチェックとオペレートで忙しいのだ。
いくらコーディネーターでも所詮は人間、できることは限られているということである。
当の簪は次々とドローンを破壊していく。
まるでその様は超振動薙刀『夢現』を使っているのも相まって戦乙女という言葉がぴったりである。
『殲滅…完了…』
「うん
いい調子ッス
じゃあ次はマルチロックオンシステムを起動して。
今度は48体ドローンを出すから『山嵐』で破壊を」
『うん
『山嵐』…起動…!!』
簪の前に再びドローンが現れる。
それに簪は冷静に標準をあわせる。
『当たれ…!!』
弐式から数えられない程の数のミサイルが射出される。
それらは吸い込まれるようにドローンに命中する。
『簪さん
今の攻撃の命中数は48/48。
全弾命中です!!』
『よかった…』
「ほっとするのはまだ早いッス
最後は高速機動のテストッス」
『うん…』
そう言い簪は飛び立つ。
しかし機体が数十メートル浮いた時だった。
『機体背部スラスターに異常発生!!』
ボン!!
『え!?』
「簪!!」
弐式の背部のスラスターが突然爆発したのである。
機体は背中を地面に向けて落ちて行く。
ガシャン!
弐式が地面に墜落する。
俺は大急ぎで簪に駆け寄る。
「大丈夫か!?」
「うん…私は大丈夫…」
「ふう…
びっくりした~
とりあえず簪が無事でよかったッス!!」
簪は弐式を展開させたまま立ち上がる。
「でも…弐式が…」
簪が後ろを向くと爆発したスラスターどころか背面の推進システム系統のパーツが全てひしゃげたり歪んだりして壊れてしまっていた。
さらに背部装甲は至るところにひびが入っており、全部交換が必要そうだった。
「セシア
原因は?」
『機体の機動ログなどを参照…出ました!
スラスターが機体の自重に耐えきれずにオーバーヒートしてしまったようです』
「機体の重過ぎってことか…
そうだ!!
「?」
◇ ◇ ◇
対抗戦当日
俺と簪はピットで一夏VS鈴の試合を見ている。
「流石は代表候補生
動きは大雑把に見えるがちゃんと細かいところの制御が上手い」
「ねえ希…
なんで弐式にサイコフレームをつけたの?
私…ニュータイプじゃないよ…」
「サイコフレームってニュータイプじゃなくても機体性能の向上が期待できるんスよ
現にオールドタイプ用の機体にもサイコフレームが搭載された記録も残ってるし
なんせ通常の装甲よりも軽いのにそれ以上の強度が実現できるんス
これを使わない手はないと思って星彩の予備のサイコフレームを使ったってワケ」
「へ~…」
俺は簪の質問に試合を観戦しながら答える。
鈴の機体―
その時、一夏が
立て続けにもう一発何かによる攻撃が決まり一夏は地面に叩きつけられる。
「なんスかあれ?」
「あれは『衝撃砲』っていう第三世代兵器…
空間自体に圧力をかけて砲身を作り、その時に生まれた余剰エネルギーを砲弾化して相手に打ち込むの…
『空間圧兵器』なんて呼ばれたりする…」
「へえ~
砲台が丸いうえに非固定部位って事は…」
「そう…
砲身射角にほとんど制限はない…」
「後ろからの奇襲にも対応済みってわけか…
近接武装しかない白式にはかなり不利ッスねぇ…」
一夏は衝撃砲の見えない砲弾の餌食にならぬよう必死に回避を行うがその半面、ワンサイドゲームを展開している鈴は余裕の表情だ。
「そろそろ一夏の言ってた
そう思ってモニターに目を向ける。
すると一夏の機体が通常機動の数倍の速度で鈴に接近しているところが映る。
「なにあれ!?
速い!!」
「『
すごい…!!」
「『瞬時加速』?
なんスかそれ?」
「『瞬時加速』とは…
機体のスラスターからエネルギーを放出、それを取り込み圧縮したものを再放出することにより爆発的な速度を生みだすテクニック…
代表候補生でも習得が難しいとされている高等技術だよ…」
「すげ~なあいつ
今度教えてもら―――」
ドガァァァァァァン!!!
一夏が鈴に一撃を見舞おうとした瞬間、爆発音と振動がアリーナに走る。
アリーナの中央からもくもくと上がっている煙を見ると遮断シールドを突き破って入ってきたと思われる。
そしてアリーナへの扉が閉ざされ、モニターの電源が落ちるがすぐさま予備電源に切り替わる。
俺はいち早く自体を把握するために手元にあったインカムで管制室に連絡を取ろうとする。
「こちらAピットの星村です!!
至急応答願います!!」
『はい!!
こちら管制室の山田です!!』
「現在の状況を教えてください!!
場合によっては俺も出ます」
『その必要はない』
「織斑先生!!
どういうことですか!?
まだ外には一夏と鈴が!!」
『落ち着け
これは織斑と鳳の意思によるものだ
だからお前たちはそこの端末からクラッキングを行え』
「クラッキング!?
ハッキングされてるんですか!?」
『落ち着けと言っている
お前の好きなカステラでも食べていろ
糖分が足りないからイライラするんだ』
『織斑先生…それ…
塩ですけど…』
「……」
こんな状況でよくこんなことができるな…
『何故塩がある…』
『さ、さあ…
大きく『塩』って書いてありますけど…
あ
もしかして弟さんが心配なんですね!?
だからそんなミスを…』
あ
地雷踏んだ
『山田先生
コーヒーをどうぞ』
『へ?
そ、それ…塩が入ったやつじゃ…』
『どうぞ』
『い、いりませんよ
そんなも―――』
ブツン
回線が切れる。
少なくともあれだけの茶番を展開してんだ
大丈夫だろう
「なんだって…?」
「…ISを使ってシステムクラックをしろって…」
「了解…」
俺と簪はそれぞれ機体を展開、コアネットワークを介してアリーナのシステムにアクセスする。
そんな時プライベートチャネルで楯無さんから通信が入る。
『希くん!!
聞こえる!?
無事よね!!』
『大丈夫ッス
楯無さんの方は!?』
『こっちはけが人はいないわ
あなた今どこにいるの?』
『Aピットに簪と一緒にいます』
『わかったわ
Aピットの隔壁の解除を最優先で行わせるわ!!
いい!?
あなたは学園最強の男よ!!
簪ちゃんの事は任せたわよ!!』
『了解!!』
通信が途絶える。
それから数分後ピットからアリーナへ続く扉が開く。
「俺は一夏達の援護に回る!!
簪はここでクラッキングの続きを!!」
「うん…!!」
「星村希!!星彩、推して参る!!」
俺は機体をアリーナへと走らせる。
それに合わせてピットの隔壁も閉じて行く。
「一夏、鈴!!
大丈夫か!?」
「希!!」
「あんた、なんでここに来てんのよ」
「生徒会長権限をお借りしたんだ
そんなことはどうでもいい!!
お前ら、エネルギー残量は!?」
「俺はあと54」
「あたしは180」
「わかった
俺が前に出る。
一夏は
鈴は衝撃砲で俺の援護を」
「「了解!!」」
俺はその言葉を聞くとすぐさま敵に特攻する。
敵は腕が異常に長く肩と頭が一体化しているような形だ。
さらに、珍しいことに
しかしそんなことの前に俺が思ったのはこの機体から
普通ISは人が乗らないと動かない。
さらに、人というものは攻撃対象に対して多かれ少なかれ感情を剥き出しにする。
ファントムペイン時代のスウェンでさえシャムス・コーザの死に対して動揺していた。
しかしこの機体からは何も感じ取れない。
「アンタは何者だ!?」
「……」
「何を求めてここに来た!?」
「……」
「答えろぉぉぉぉ!!」
俺はクライムとペナルティを抜刀、アンノウンに斬りかかる。
しかしそれは片手で受け止められカウンターを食らい吹き飛ばされる。
「ぐうっ!!
まだまだ――っ!?
クライムとペナルティが!?」
折れた
真っ二つに…
この機体の唯一の格闘武装が壊されたとなると俺に残された道はファンネルなどを使った中距離戦闘だけである。
さらに調整中の新型武装は整備室に置いて来てしまった。
「希!
あんた剣が!?」
「くっそ!!
なんて馬鹿力だよアイツ!!」
「大丈夫だ、問題ない。
一夏、俺がアイツの気を引く。
その隙に零落白夜でアイツを
「壊す!?
やっぱりあいつは無人の機体だってのか!?」
「そうッス
アイツからは全く人の気配も感情も感じない。
それがアイツが無人機である証明だ」
「で、でも
そんなことありえるわけ…」
「でも
現に俺のニュータイプとしての能力がそう言ってんだから
今回は俺を信じろ!!」
「わ、わかったわよ!!」
「じゃあ鈴
希が来る前に立てた作戦通り、俺が合図したら最大出力で衝撃砲を撃ってくれ」
「わかった!!」
「散開!!」
俺は相手の気を引くためにスぺムエクシギュラムを展開し、連射する。
「おい不細工!!
お前の相手は俺ッスよ!!」
それにつられてアンノウンは俺に攻撃してくる。
その時だった
『一夏ぁ!!
男なら…男なら、そのくらいの敵に勝てんとしてなんとする!!』
「ばっ!!
何やってんだ箒!!
速く逃げろ!!
くそ!!一夏!!」
「了解!!
鈴、やれ!!」
「わ、わかったわよ!!」
そう言うと鈴は衝撃砲のチャージを始める。
しかしその射線上に一夏が躍り出る。
「ちょ、ちょっと馬鹿!!
なにしてんのよ!?
どきなさいよ!!」
「……そう言うことか!!
鈴!!そのままやれ!!」
「でも、このままだと一夏が!!」
「構うな!!」
「ああもうっ……!!
どうなっても知らないわよ!!」
そう言って鈴は衝撃砲を放つ。
それは一夏に当たるが加速する。
なぜか
一夏はエネルギーの塊である衝撃砲の弾丸を一度機体に取り込み再放出した。
つまり衝撃砲の弾丸で瞬時加速を行ったのである。
一夏の右手の雪片弐型がまばゆい光を発しそのまま敵に突進する。
「オォォォォォッ!!」
敵の右腕を切り落としたが、その反動で左拳をもろに受ける。
そのまま吹き飛びアンノウンは一夏にビームを接射しようと腕を構える。
「「一夏!!」」
鈴と箒の叫び声が聞こえる。
ああ―――お前の
「「……狙いは?」」
『完璧ですわ!!』
突如アンノウンを青い閃光が襲う。
その方向にはブルー・ティアーズを展開したセシリアが立っていた。
「流石は代表候補生ッスね
いいとこ持ってきやがって!!
でも…サンキュッス!!」
『光栄ですわ』
「よし!!
帰る―――」
今日の俺は運が悪いらしい
アリーナにまた別のアンノウン(今倒したやつと同じ)が立っていた。
しかも二機。
「鈴!!
一夏を連れて撤退しろ!!
後は俺が引き受ける!!」
「でも…」
「いいから!!
早く!!」
「わ、わかった!!
アンタ…死んだらただじゃ置かないからね!!
絶対帰ってきなさいよ!!」
「了解!!」
とは言ったものの…
近接武装のない今の俺はかなりヤバい…
そう思った時だった
ズドォォォォン!!
「なに!?」
突如アンノウンは青白い極太のビームに呑まれる。
発射元を見るとそこには大きな筒状の機械を持った白と紺のISが居た。
ハイパーセンサーでパイロットの顔を拡大する。
そこにはゴーグルをつけた黒髪の少女が映し出される。
「こちらIS学園所属、IS『星彩』のパイロットの星村希だ!!
あんたの名前と所属を聞かせてくれ!!」
「ボクは…
日本の代表候補生、IS『クラウ・ソラス』のパイロット、
そこでパイロットは口を濁すがすぐに口を開く…
「…久しぶり…
誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
次回
誘拐と敵襲
お楽しみに~