IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~ 作:ぼいら~ちん
「…導いて…『打鉄弐式』!!」
簪は叫ぶ、今までの迷いを振り切るように。
でも俺は簪の乗っている機体の状態を見て唖然としていた。
「簪…その光…
まさか…!?」
簪の機体-『打鉄弐式』から緑色の光が放出されている。
これは紛れもなくサイコフレームの共振現象による光だ。
つまり、『ニュータイプに覚醒した』と言うことになる。
「わからない…
でも…今なら大丈夫…」
簪が俺の方を向き、答える。
話し方はいつもの通りだが、その眼には確かな決意を感じられる。
「わかった…
行こう!!俺達の
「あーら
熱いわねー
こっちまで火傷しそう」
「火傷なんかじゃ済まさねえ…
今からあんたを…」
「「ぶっ潰す!!」」
「なら、やってみなさいよ!!」
そう言い女は簪の方へ突進する。
しかし、それを読んでいたかのように簪はかわし、夢現による一撃を加える。
背中に入った一撃は女の勢いをそのままに俺の方に飛んでくる。
『ノゾミ!!
『フラタニティ』の
「わかった!!
来い!!『フラタニティ』!!」
その言葉に呼応し俺の右手に一本の剣が現れる。
その剣の先端は釣り針のようなかえしがついている。
そして刀身は青く透き通っており、水を連想させるような美しさである。
「吹っ飛べ!!」
俺は女に向かって剣を振る。
それに当たった女は弾丸のように壁へと飛んでいく。
「当たれぇぇぇ!!」
それを追撃するように簪は山嵐を打ち込む。
着弾点が煙に包まれる。
「これだけ…当て続ければ―――!?」
「その程度?
欠伸が出るわ」
煙が晴れ、その中から出てきたのは傷がほとんどない黄色いISだった。
しかし先ほどとは様子が違う。
機体が紫電を
「そう言うことか
電気を操るIS…どおりで実弾が効かないわけだ」
「そう言うこと
さあ死んでもらおうか!!」
カツカツカツカツ…
部屋に突然、足音が鳴り響く。
俺達は振り向く。
すると、そこには一人の女性が立っていた。
「セレーネ?」
「ふ…はははははは!
何?誰かと思ったら先生?
笑わせんじゃないわよ!!
さっさと死になさい!!」
女はセレーネに向かって電気を帯びたナイフを投げつける。
しかしナイフはセレーネには届かず、突然真っ二つになる。
セレーネはISを展開しているがそれ以外は特に何もない
「な!?」
「今すぐ引きなさい…
私は戦う為に来た訳じゃないわ」
「は?
あんた何様よ!?
いい加減目障りよ!!」
紫電を纏ったISがセレーネに接近する
「やむ終えない…
『オラージュ・ド・リューヌ』…起動…」
セレーネのISスターゲイザ―の周りに緑色の輪が現れる。
「ビームの輪!?
そんなこけおどし!!」
「どいて!!
この光は危険よ!!」
光の輪に触れた刃は一瞬にして散り散りになる。
オラージュ・ド・リューヌ…それはスターゲイザーとスターダストに取り付けられているヴォワチュール・リュミエールによって生み出される光…
本来、ヴォワチュール・リュミエールはソーラーセイルのように加速装置として使われる技術だが、それの起動時に光の輪が発生、周囲の物体に干渉しダメージを与える。
その光の輪に指向性を持たせたものがオラージュ・ド・リューヌである。
次第に女の纏っているISの装甲にもダメージが及ぶ。
「くっ!!
なんなのよこれは!?」
女は危険だと思ったのかバックステップで距離をとる。
立ち止まった女はぶつぶつと何かを話している。
「…はい…了解しました…
お前ら…今度会った時には皆殺しにしてやる!!」
そう言った途端、女の機体の腕から黒いもやが発生する。
直後、女はもやに吸い込まれて消えてしまった。
「ま、待て!!」
女を追おうとする簪の腕を掴む。
「いいんだ…いいんだよ簪…
俺も…簪も…楯無さんも…セレーネも…みんな無事なんだからよかったじゃないか…」
「でも…」
「深追いする必要はないわ…
それに、楯無さん、怪我してるんでしょう?
そっちの方を優先しなきゃ」
「はい…」
簪はISを解除し既に気絶したのであろう、ISの解除されている楯無さんの方へと向かい彼女をおぶる。
「帰りましょう…
ノゾミ…簪さん…」
「うん…」
「はい…」
俺達はその部屋を後にする。
まあ色々気になる事があるが、後でいいか…
◇ ◇ ◇
「う…ん…?
ここは…?」
「目が覚めましたか~
よかった~
ここは学園の医療室ッス」
あの後楯無さんがなかなか目を覚まさないので一時的に最新の医療設備の揃ったこの部屋で眠って、もらったのである。
今は夜中の4時を少し過ぎたころ、戦闘終了からおよそ4時間が経過した頃だった。
「簪ちゃん…」
楯無さんがベッドの上突っ伏して寝ている少女に気づく
「あの後の簪、凄かったんですよ
お姉ちゃんを守るって」
「……ねえ希くん…」
「はい?」
「あなたの部屋で聞いた簪ちゃんの声…
あれなんで聞こえたの?」
「やっぱり…聞いちゃいます?」
「聞く!!というか教えなさい!!
生徒会長命令よ!!」
「本当に…聞いちゃいます?」
「……」
ジト目の楯無さん。
次第に頬も膨らんでくる。
「わかったッス!!
教えるッスからその表情やめれ~」
「それでよろしい」
「率直に言うと、楯無さんも簪もニュータイプに覚醒したと思われるッス」
「やっぱりね…
ニュータイプの力についてはアムロさんや空ちゃんから聞いてはいたけど…
でも…どうして?」
「簪の場合は楯無さんと比べられることに対するストレスの影響でしょう…
楯無さんにも心当たりはあると思われます。
極度のストレスを感じる状況に長時間置かれ続けたこと…原因はそれでしょう。
まああくまで1人のニュータイプの憶測にすぎないッスけど…」
「そう…」
沈黙…
聞こえるのは簪の寝息だけである。
「ん…お姉…ちゃん…?」
「簪ちゃん…ごめんね起しちゃったかな?」
「うぅ…
うわぁーん!!」
「か、簪ちゃん!?」
簪が突然大泣きしながら楯無さんの胸に飛び込む。
突然のことで楯無さんは大慌てである。
「お姉ちゃん…よかった…目が覚めて…本当によかった…!!」
「うん…ごめんね…心配かけて…
妹の気持ちに気づけない…ダメなお姉ちゃんでごめんね…」
楯無さんの目尻に涙を浮かべる。
「姉妹水入らずの時間を邪魔するのはよくないッスよね~
というわけで俺は千冬さんとセレーネに連絡入れてきまッス」
「うん…ありがとう…希くん」
俺はドアを開け、部屋を出る。
寮の千冬さんの部屋に向かう途中、俺は黒髪の少女と鉢合わせする。
「「あ…」」
「兄さん…」
「空…」
なぜか空の目尻には涙を浮かべている。
そして俺に抱きついてくる。
「うわ!?
なに!?」
「心配したんだよ!!
突然離れ離れになっちゃうし…
今も勝手に戦いに行っちゃうし…」
「ごめん…
心配…かけた…」
空の頭を軽く撫でる。
「ま、まあ
簪も楯無さんも無事なんだからいいじゃん!!
もっとテンション上げてこうぜ!!」
「兄さん…
そういう空気の読めないこと言うの減点…」
「ま、待ってくれ!!
この重苦しい空気を打開しようと俺が頑張―――」
「そんな兄さんには罰として…
ピヨピヨグチの刑なのです!!」
そう言い空は手をワキワキさせながら俺の顔に近づける。
「や、やめろ…
よせ…来るんじゃない!!」
「Judge!!」
「ウボアァァァァァァァァァ!!」
そんなくだらないことをしながら俺の長い夜は更けていった…
◇ ◇ ◇
朝、なんだかんだ言って楯無さんの看病で一睡もしてないが今日も通常通り授業はある。
そしてふと思う。
眠い☆
ピヨピヨグチの刑が執行された後、空がどうしても楯無さんに会いたいと言ったので病室に連れて行くと…
『うわーん
心配したんだよ!!
無事でよかったよぉー!!』
と楯無さんを見たとたんに号泣して抱きついた。
よっぽど心配だったらしい。
俺が居ないうちに二人の関係も修復されたみたいで万々歳である。
そんなことに思いを馳せているとチャイムが鳴り、ドアが開く。
千冬さんと山田先生が入ってくる。
あんなことがあったのにいつも通りで何よりだ。
逆に。
「これより朝のSHRを始める。
最初に転入生を紹介する。
入ってこい」
ドアが再び開く。
教室に入ってきたのは黒髪のショートヘアーの女の子。
瞳の色は蒼く、前髪に謎のアホ毛がそびえたっている。
ルナマリアの髪を黒く染めましたって感じだが、明らかに違うのが彼女の前髪は両方水色の太めのヘアピンをX字に交差させてまとめており、首にはゴーグルがかかっている。
そしてスカートではなく俺達とおそろいの男子用のズボンを履いている。
ちなみに上着は女子生徒用のベストをはおっている。
「自己紹介を」
「はい
先日この学園に来ました。
日本の代表候補生、星村空です。
兄共々よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる女の子-もとい空。
そして俺は気づく…今自分に危機が迫っていることに。
俺は一夏、レオス、空にアイコンタクトでそれを伝える。
俺、一夏、レオスは耳を塞ぐ。
しかし、空は意味がわからないらしく首を傾ける。
その時だった…
「「「「「「「「キャーーーーーーーーーーーー!!」」」」」」」」
「黒髪にアホ毛!!
いい!!」
「それにボーイッシュ僕っにな妹属性!!」
「夏コミは希×空本で決まりね!!」
「う…うるさいッス…」
「むう…」
「うっ…」
「痛い…痛い…痛いぃぃぃぃ!!」
ちなみに上から俺、一夏、レオス、空の順番である
誰かを歓迎するための儀式か何かかこれは?
なんか空は耳を押えてしゃがみこみ、どっかの白服さんのような奇声を発しているが気にしない。
「うるさい
星村妹、お前は星村兄の隣に座れ」
「り…了解であります…」
俺の隣に歩いてくる空。
席に座ると俺に小声で話しかけてくる。
「ねえ兄さん…
もしかしてかんちゃんと付き合ってるの?」
「んなっ!?
そんなわけ―――」
「ほう
私の管轄時間に私語ができるとは…
いい度胸だな?」
空の一言で一瞬顔が熱くなるが、後ろからの声のせいで一気に背筋までキンキンに冷えきってなんか汗が止まらない。
自分でも顔が引きつっているのがよくわかる。
スパァン!!
「「アッーーー」」
「私語は慎め」
「「申し訳ありません…」」
◇ ◇ ◇
お昼休み
俺はいつもの面子に空をプラスし食堂で昼食をとっている。
「それにしても空はノゾミに似てるな
流石は双子ってところだ」
「そんなことないッスよ
だって…俺はこんなに漢字に弱くない」
「ちょっ!?
兄さん!?」
「はは
冗談ッスよ」
俺は券売機でカレーうどんの食券を買う。
「ところで兄さん
この黒髪の男の人が…」
「テレビでお馴染、世界初の男性IS操縦者、織斑一夏くん。
見た目はいいけど馬鹿な朴念人です」
「馬鹿な朴念人ってなんだよ!?」
「事実ッス」
「事実だろ」
「事実だ」
「事実ですわ」
「事実よ」
「事実…」
「ひでぇ…」
「よろしくお願いします」
「空ぁ……」
涙目の一夏、まるで救いを求める子猫のような目で空を見る。
「唐変木さん☆」
「……」
「で隣のポニーテールの女の子が篠ノ之箒さん
剣道日本一の実力の持ち主ッス」
「篠ノ之箒だ
よろしく頼む」
「よろしくね
箒さん」
「おい行くぞ唐変木」
「……」コクリ
一夏が無言で頷く、空の一言がかなり効いたのか終始真顔だ。
その隣には簪がかきあげうどんのトレーとジャムパンを持っている。
ジャムパンは友達の分らしい。
「ジャムパン…
『Jの悲劇』…怖い…」
俺の体が自然にぶるぶると震えだす。
「ど…どうしたの?
風邪?」
「Jの悲劇ってなんだ?」
「ええっとね…
ボクと兄さんがまだ月の養成学校にいた時の話で…」
「俺が空をひょんなことから怒らせたんだ…
そして次の日の朝…学校に行こうってキラとアスランが迎えに来た時…
俺は気づいてしまった…」
「何に…?」
「俺の持ってる靴にジャムが詰められてたんだ…
しかも満杯に…」ブルブル
「しかも兄さんの大っ嫌いなブルーベリージャムをね
あの時のキラ、ドン引きして『ノゾミにそんな趣味があったなんてね…』って
アスランもなんか目が明後日の方向いてた」
「な、なんでだろう…?
目から変な汁が…」ブルブル
「ちなみに、2年前に同じことを楯姉にもやりました」
「お姉ちゃんが半泣きだったのはそんな事があったんだ…」
その時の楯無
「くちゅん」ブルブル
「会長、風邪ですか?」
「違う…私にはわかる…
誰かがJの悲劇について話してる…」ブルブル
「星村空…恐ろしい子…」
誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
次回
二人の転入生
お楽しみに~