IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~ 作:ぼいら~ちん
時流れ6月の第一金曜日。
午前中の授業が終わり昼食を摂ろうと食堂に来た訳だが…
「うみゅう…」
「変な声出してどったの?」
「突然の奇行…」
突如空が上げた声に思わず反応する俺。
空が怖い…行動があまりにも怪しいという意味で
だって券売機の前で逆立ち…
ズボンだからと言ってそう言うことをしていいわけがない。
そして、今の空は変態以外の何物でもない。
「タイカレーとキーマカレー…
どっち食べよう…」
「どっちもカレーだろ!!
昔っから言ってるけどもっとおとなしく考えろ!!」
空は昔から食べ物関連限定で考え事があると逆立ちして考えるのだ。
大事なことなので2回言わせてもらう。
食べ物関連限定で、なのである。
「気にするな…私は気にしない…」
ぽんと簪が肩に手を置く。
慰めてくれるの…?
天然な妹に対する兄の苦労を労ってくれるのか?
「そうじゃない…
同情してるだけ…」
「……」
「決まった!!」
そう言って俺達の方にパタパタと走ってきた空の右手にはかき揚げうどんの食券が握られている。
「結局うどんかよ!!」
「かき揚げうどんこそ正義…!!」
「かんちゃん、ボク間違ってた!!
もうカレーなんかに浮気はしない!!」
がっちりと腕を組む二人。
こんな茶番いらん…
昼ごはんYO☆KO☆SE
「兄さん!!
これはお互いの意志を確かめ合う意味で大事なことなんだよ!!
茶番とは失敬な!!」
「超重要事項…!!」
「土足で…人の中に入るな!!」
この俺…にプライバシーの権利は存在しないのか…?
「「そんな道理、私の無理でこじ開ける!!」」
「もう俺の事は…放っておいてくれぇ!!(切実)」
最初にツッコんだのは俺だけどさ!!
◇ ◇ ◇
授業が終わって放課後。
弐式の組み立てが終わり、初めて一夏の特訓の手伝いに行ったのだが…
ありゃぁただの集団リンチという名の地獄だ…
いくらどこぞのオーブの鬼教官の新人パイロット育成用のメニューにもあれほど鬼畜なものはない。
て言うかあんなのやったらカガリになんて言われるかわかったもんじゃない。
学生寮へ歩いている俺、そして隣には一夏がいる。
しかしその顔には今にも死にそうですと書いてある。
いつ腐敗臭が漂ってきてもおかしくない。
「お前もつらいなぁ…
頑張れ我が友よ」
「そうやって労いの言葉をかけてくれるのはお前だけだよ…」
はぁ~と深いため息を吐きだす一夏。
知ってるか?
ため息をすると一緒に幸運も逃げるんだぞ。
あと地味に地球温暖化が進行する。
「じゃあ
俺はこれで」
「おう!!
また飯食う時に呼んでくれ」
そう言って一夏と別れる。
俺の部屋は一夏の部屋の2つ隣の為すぐ到着。
そしてドアを開ける。
「ご飯にします?お風呂にします?それとも…わ・た・し?」
バタン!!
俺は勢いよくドアを閉める。
なんか今裸エプロンの楯無さんが立っていたような気がする…
幻想だろう…欲求不満なんだろう…俺は…
もう一度ドアを開ける。
「
「
「「それとも…ふ・た・り・と・も?」」
バタン!!
今度は簪まで裸エプロンときた…
だれか~!!早く俺(の幻想)を殺しに来なさ~い!!
これはきっと夢なんだ…俺は疲れているんだ…
「「夢じゃないこれが現実」」
突然部屋のドアが開き楯無さんと簪が顔を出し手招きしている。
それに従い中に入る。
まだ二人とも裸エプロンだ…
「楯無さんは兎も角、なんで簪まで…?」
「お姉ちゃんに無理やり…」
ぐすんと涙ぐむ簪。
部屋の隅の方で蹲り、もうお嫁にいけないとつぶやいている。
「ごめんね簪ちゃん
ところでノゾミくん
今日は君に話があって来たの」
「あなたの欲求不満の解消とか言うのは勘弁ッス」
「そ、そんなんじゃないわよ!!
この間の襲撃事件のことよ」
「なにかわかったんスか?」
ちらりと簪の方を見る。
…そっとしておこう…
「あの時の機体の名前がわかったわ」
楯無さんはエプロンのポケットから端末を取り出す。
いつまでその格好なんですか?風邪引いても知りませんよ。
「へぇ…フランスの第三世代型…『エクレール』…雷か…」
「名前のまんま雷を発生させる機体ね」
「使い方次第では超電磁砲としても機能する…か…
でもなんでそんな代物がIS学園に?
フランスが日本に喧嘩吹っかけて来たとでも?」
「それはないわ
なんせ、この機体は4月5日に強奪されたんですもの」
「4月5日……!!
空港がテロられた日じゃん!」
「そう
簪ちゃん達が事件に遭った日、フランスでも同じことが起きていたのよ」
「関連性は?」
「わからない…
でも狙いはたぶん無人機のコアだと思う」
「え!?
あの機体のコアって回収できたんですか!?」
「織斑くん達が倒したやつからね
ノゾミくんと空ちゃんの倒した方は即廃棄処分だったけど」
「なんか…すみません…
俺が全部壊してればこんなことにはならなかったのに」
「でも…機体スペックだけでも知れてよかった…
また来た時の対策が立てられる…」
簪復活。
しかしまだ裸エプロン…
「そ、そうッスよ!!
次こそはメッタメタのボッコボコにしてやるッス!!」
「とりあえず…
ノゾミくん…?」
楯無さんがかなりトーン低めの声で話しかけてくる。
「は、はい?」
「聞いたわよ…
空ちゃんを…泣かせたらしいじゃない?」
「ひぃ!!」
楯無さんが両手をワキワキさせながらこちらにじりじりと歩み寄ってくる。
「そんな君に…
ピヨピヨグチの刑よ!!」
「お、同じ手は、に、二度も食わないッスよ!!」
パリーンと窓ガラスを砕く。
当然己の拳で
「さらばだ!!」
そのまま窓から落ちる。
ちなみにここは5階。落ちたら即死だ。
「ノリで言っただけなんだけど…
まさかこんなにも嫌がるとわね…」
「ISがあるから大丈夫だと思うけど…」
「?
じゃあそこのブレスレットは?」
「「……」」
受け止めなさい…どっかの誰かさん…
そしてこの幻想をぶっ殺して…とでも言うと思ったか~!!
ささっとISを展開して…逃走を…
正気に戻った俺は気づく…
右手首にチェーンが巻かれていないことに…
「!?
やべぇぇぇぇぇ!!
俺このまま死ぬの!?死ぬのか!?死ぬんですか三段活用ぉぉぉぉぉおおおぉぉ!!」
◇ ◇ ◇
「ここが学生寮か…すごい…!!」
あまりの凄さに驚きの声を上げてしまう。
流石はIS学園、フランスにもここまで大きなホテルはそうそうない。
ぉぉぉぉおおおぉぉぉぉ!!
「あれ?
なんか声が聞こえる…
きっと長旅で疲れてるんだろうな…」
「そこの人ぉぉぉぉ!!
受け止めてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「えぇ!?
僕!?」
「そう君!!
たぁぁぁぁすぅぅぅぅけぇぇぇぇてぇぇぇぇ!!」
ISを緊急展開。
空から降ってきた声に促されるまま物体を受け止める。
受け止めた物体はなんと男だった。
「ありがとうございました!!
こんなやつを助けてくれるなんて本っ当に寛大な心をお持ちで―――ん?
君、まさか転校生?」
「う、うんそうなんだ
受付の場所が分からなくて…」
「なんなら俺が教えてあげるッス!!
なんせ君は命の恩人だからね!!」
「ありがとう…
僕の名前はシャルル・デュノア
フランスから来ました」
「俺の名前は星村希!!
フランスかぁ…
あそこいいとこだよな!!」
「行ったことあるの?」
「2年くらい住んでてね~
じゃあ行くッスよ!!」
「うん」
◇ ◇ ◇
「シャルルも専用機持ちとわなぁ…
これデスティニー」
「ふふっ
希って面白いね」
「よく言われる」
シャルルの受付での手続きが終わり、再び寮に戻りロビーで話しをしている俺達。
そして先ほどの手続きの内容を聞いているとなんとシャルルは男らしい。
「ところでさ
なんでシャルルは代表候補生でもないのに専用機持ってんの?」
「えっと…
僕の名字はデュノアって言うのはさっき言ったよね」
「うん……!!
そう言うことか!!」
「希の思った通り僕はデュノア社の社長の息子で、ISの適性があったから非公式だけどテストパイロットをしてるってわけ」
「ふ~ん
どうりで品がよさげなわけだよな~
いいとこの育ちって感じ?」
「うん…そうだね…」
一瞬だけシャルルが悲しそうな顔をする。
やべ…地雷踏んだ…
「ま、まあ立ち話もなんだし
俺の部屋で話そうぜ
お茶とか出すからさ」
「うん
ありがとう」
そう言いエレベーターに乗り俺の部屋に向かう。
「やっぱり中も凄いね~
流石はIS学園」
「まあ男からしてみれば
女まみれのこの空間で終始気を使わなければいけないんだけどね…
着いたぞ、ここが俺の部屋だ」
ガチャリとドアを開ける。
「ごはんにします?お風呂にします?それとも…わ・た・し…?」
なんかまだ楯無さんがいる。
しかも裸エプロンで…こういうのは無視するに限る。
「さ~
中に入るぞ~」
「う、うん
お邪魔しま~す…」
「どっちって聞いてんでしょうが…無視すんなやゴラァァァァァァァァ!!」
「ごふっ!?」
楯無さんが俺にタックルを仕掛けてくる…
これが最近噂のタックル系女子ってやつか…
ん?でもなんか髪の毛の癖が外向きじゃなくて内向き…?
「って簪!?」
「…無視すんなコラ…」
「すんません…
でも…簪と楯無さんって結構似てるな」
「アハハ…
希の友達ってユニークな人が多いんだね…」
「よく言われる……ゴフッ」
「希…この人…だれ?」
赤面しながら俺の後ろに隠れる簪。
「あぁ
落下した俺を受け止めてくれたシャルル・デュノアくん。
月曜から登校するらしいけど少し早めに来たんだって」
「よろしく…私は更識簪…」
「今はこんな格好だけど別に変な子じゃないとノゾミは補足します。
取り敢えず着替えてきなさい。
風邪引くッスよ」
「はい…」
制服を持って洗面所に入る簪。
あれ?そこは寝間着じゃないの?
「この間ので全部ダメになっちゃったの…」
「なんで俺の考えがわかる!?
人の心を勝手に読むな!!」
「ふふっ
二人とも仲がいいんだね
こういうのを以心伝心って言うのかな?」
「そうなのかな…
でもそんな難しい言葉よく知ってんな~」
「えっへん」
ドヤ顔で胸を張るシャルル。
なんか中性的な顔立ちをお持ちだから何とも言えない愛らしさを醸し出していらっしゃる…
「うわぁ…
希ってそういう趣味が…」
簪が制服姿で洗面所から出てくる。
出てきて早々ひでぇな
あと…
「人の心を勝手に読むな!!」
「ふふっ
仲睦まじい二人を邪魔するのはよくないから僕は退散するよ」
「え!?
まだお茶も出してないのに?」
「まだ寮監に挨拶してなかったからね
またの機会にさせてもらうよ」
「ほんとできた子だなぁ…
俺もこういう兄弟が欲しかった…」
「じゃあね希、簪さん」
「おう
またな~」
シャルルが手を振りながら出て行くのを見送る俺達。
「ねえ希…
シャルルくんってもしかして…」
「言いたいことはわかってる
たぶんシャルルは女だろう」
「なんで男の子のふりしてるんだろう…?」
「単なる本人の趣味か…
それとも誰かからの命令か…
今のところはわかんないけど何か問題が起きてから対処しても問題ないと思うよ」
「敵意が…ないから…?」
「そういうこと
飯でも食いに行きましょうか
一夏とか誘ってさ」
「うん…
そうだね」
◇ ◇ ◇
月曜日。
何事もなく始まった一日。
HR中のはずなのに珍しくざわつく教室…原因は前に立つ二人の転入生である。
一人は男子用の制服を着た子、もう一人は軍服のような改造制服を着ている子である。
「シャルル・デュノアです。
フランスから来ました。
この国では不慣れなことも多いと思いますが、みなさんよろしくお願いします」
シャルルが1組に転入してきたのだ。
にこやかな顔で一礼…とても爽やかな印象を受ける…
だが女だ
「お、男…?」
だれかがそうつぶやいた…
だが女だ
「はい。
こちらに僕と同じ境遇の方が居ると聞いて本国より転入を―――」
しゅっと伸びた細い足…そのせいか制服姿がとてもかっこよく見える…
だが女だ
「きゃ……」
「はい?」
やばい…あれが来る…!!
「「「「「「きゃーーーーーーーーー!!」」」」」」
やっぱり来た…
うぉぉ…ミミガーミミガー!!
「み、みなさんお静かに!
まだ自己紹介が終わってませんから~!」
忘れちゃいけないもう一人の転入生。
無造作にのばされた髪。
軍服チックな制服。
極めつけは左目の眼帯ときた。
うん。完全に軍人だこの子。
「……挨拶をしろ、ラウラ」
「はい、教官」
ほうほう…ドイツの軍人さんか…
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「「「「「………」」」」」
「あの…以上ですか?」
「以上だ」
あんたは以上じゃなくて異常だよ
第一印象の悪さが!!
「!
貴様が…っ!!」
ん?
なんか一夏の方に歩いてくぞ…
ってこの感じ!?
ラウラが腕を振りかぶる。
「っ!?
貴様、なぜ止める」
「人が殴られるのを黙って見てろってか?
初見の相手を突然殴ろうとする相手にそんなこと言われる筋合いないッスけどね
それに軍人たるもの私情で行動することは慎むべきだと思うが?」
「ふん
民間人の貴様に何が言える?」
「こんななりでも元軍人だったんでな
それなりの心得ってものがあるんだよ」
「ふん……」
すたすたと自分の席へと向かうラウラ。
席に座ると教室に来た時同様、目を閉じて動かなくなる。
「……これにてHRを終了する。
各人は着替え、第二グラウンドに集合。
今日は2組と合同で実習を行う。
解散!!」
ぱんぱんと千冬さんが手を叩き行動を促す。
よし…行きますか…着替えに…
誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
次回
男性操縦者の戦場
お楽しみに~