IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~   作:ぼいら~ちん

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PHASE-16 truth

「準備はいい?」

 

「もちろん!!」

 

シャルルが元気よく返事をする。

昼休みの約束通り、俺とシャルルは第五アリーナで模擬戦を始めようとしているところである。

ちなみに貸し切り(生徒会長(楯無さん)権限により)。

シャルルの機体はベースはデュノア社のラファール・リヴァイブのようだが、機体の色はオレンジ、普段見るそれよりも幾分かスマートに見えることからラファール・リヴァイヴを大幅に改造し、機動力の底上げを図った機体のようだ。

 

『試合開始まで10秒』

 

無機質な機械音がアリーナ中に響き渡る。

 

『6―5―』

 

「レオス風に言うと…」

 

『4―3―』

 

「フランスの第2世代型の力…」

 

『2―1―』

 

「学ばせてもらう!!」

 

『START』

 

試合開始の合図と同時にシャルルは右手にアサルトライフルを展開、それを連射しながら接近してくる。

対する俺はフラタニティを展開し弾丸を避けながら接近する。

 

「まずはテストだ…よっと!!」

 

ズガン

弾丸が放たれたような音とともに俺は急激に加速する。

 

 

瞬時加速(イグニッションブースト)!?」

 

一気に接近すれば初撃はいただきだ!!

 

ガキン

 

しかしフラタニティの一撃は右手(・・)に展開された近接ブレードによって受け止められる。

 

「え!?

いつの間に!?」

 

高速切替(ラピッドスイッチ)

僕の得意技なんだよね!!」

 

シャルルは空いた左手にショットガンを展開し俺に追い打ちをかけようとする。

しかし

 

「行け!!

アラスファンネル!!」

 

俺が咄嗟に射出したアラスファンネルの一撃によって阻まれる。

回避しようと後ろに下がったシャルルは即座に近接ブレードをマシンガンに換装し弾幕を張る。

対して俺は残りのファンネルを全て射出、そしてアウロラを起動しフルバーストで弾丸を相殺する。

 

「やるじゃんか!!」

 

「希もね」

 

俺はフラタニティの柄を右手に、刀身を左手で支えるという風に構え、シャルルはマシンガンとショットガンの銃口をこちらに向ける。

 

「そんなシャルルくんに一つ質問です

君…実は女の子(・・・)でしょう?」

 

「な、なにを言ってるのかな~」

 

「理由その①

自分が世界的に希少な男性(・・)IS操縦者であることの自覚がない」

 

「そ、それは一夏やレオスにも言えることでしょ!!」

 

「まあまあ落ち着けって

理由その②

着替えを見られること、及び男子の裸を見ることに対しての抵抗」

 

「……それを知ってどうするの…?」

 

「君を助ける!!

理由はどうであれ困っている人を見過ごすわけには―――」

 

「きれいごとを言わないで!!」

 

シャルルが声を荒げて言う。

先ほどまで心の奥からかすかに滲み出ていた負の感情があらわになる。

 

「僕の気持ちも知らないで!!」

 

シャルルは引き金を引く。

怒りと憎悪そして不安のこもった弾丸が俺に降り注ぐ…

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「なんでこんなことを!?」

 

「うるさいっ!!」

 

僕は更に引き金を引く。

だんだんと疲れてきたのか希は被弾し機体にダメージが蓄積されていく。

そして右手に近接ブレード『ブレッド・スライサー』を展開、一気に距離を詰める。

 

ガキン

 

ブレッド・スライサーと希の蒼い剣が交わる。

 

「やめろ…シャルル!!

理由を聞かせてくれ…解決の手助けをする…だから!!」

 

「なんにも知らないくせに…!!

寝言を言うなぁー!!」

 

その時、僕の中で何かが弾けた(・・・)

視界がクリアになっていき感覚が冴えわたる…

 

「これは…SEED!?」

 

希が聞き覚えのない単語を発する。

しかしそんなことに耳を傾けている暇はない。

希を吹き飛ばす。

鍔迫り合いの状態から足払いをし、そのままの勢いで体当たりをしたのだ。

 

「これで終わり!!」

 

シールドの中に隠されている切り札69口径のパイルバンカー『灰色の鱗殻(グレー・スケール)』を起動、それと同時に左腕に装備されている盾の装甲がはじけ飛ぶ。

 

ズガーン――――

 

大きな炸裂音と同時に希の体にパイルバンカーの一撃が突き刺さる。

そして希は数メートル吹き飛ばされ倒れこむ…

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「今のは効いた…!!」

 

よろよろしながら俺は立ちあがる。

 

「まだ立つか!!」

 

シャルルは機体を全速力でこちらに近づける。

その左腕のパイルバンカーから薬莢が飛び出し、二撃目の準備が完了したことを告げる。

 

「やあ!!」

 

ズガン―――

 

再び炸裂音が鳴り響く、しかし攻撃を受けた俺の体は吹き飛ばない。

透き通った光の膜がパイルバンカーの先端を受け止めている。

かなり腕が痛いけど……

 

燃え盛る魂(アニマ・インセンディ)!!」

 

刹那

俺とシャルルは爆風に包まれる。

楯無さんの熱き熱情(クリア・パッション)の要領で水蒸気爆発を起こしたのだ。

回避行動を取ったのかシャルルは一足先に煙の中からでる。

 

「くぅっ!!

よくも―――!?」

 

煙が晴れる

煙の中から蒼い球体を弄んでいる少年が立っている。

 

「『星火燎原』起動…

反撃開始!!」

 

真上に投げ上げた球体をキャッチせずにそれに向かって足を振る。

弾丸のごとき速さのそれは吸い込まれるようにシャルルに飛んでいく。

それを危なげに防ぐシャルル。

 

「もう一発!!」

 

「同じ手は二度も食わないよ!!」

 

再び飛んでいく蒼い球体、しかし突然軌道が変わり、腹部に飛んでいくかのように見えたそれはシャルルの顔面に向かって飛んでいく。

 

「うわ!?」

 

しかしその球体はシャルルの目の前で光の粒子と化し消える。

 

「え!?」

 

「Leady……go!!」

 

ズガン

 

球の後ろから瞬時加速によって十二分に加速した状態で俺はシャルルを斬る。

そしてすぐさまスラスターを制御し方向転換、再び瞬時加速をし斬りかかる。

これに名前をつけるなら『爆発的な猛攻(イグニッション・アサルト)』だな。

 

「何これ!?

速すぎる!!」

 

さっきのと違って今回はアームド・アーマーDEとXCも使ってるからな

 

「これで最後!!」

 

7回目に斬る直前に逆向きにスラスターを吹かせ方向転換、シャルルの目の前にフラタニティを突き刺し、それを足場に高く飛ぶ。

最高点で星火燎原によって生み出した球体をオーバーヘッドボレーでシャルルへと打ち出す。

 

「この一発で目を覚ましてくれ!シャルル・デュノア!!」

 

着弾したそれは大きな爆発を起こし青白い光がシャルルを包み込む。

 

ビーーーーー!!

 

『勝者、星村希』

 

機械音が再び鳴り響く。

それは俺の勝利とともに戦闘の終了を示していた。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「うう……」

 

僕は体を起こす…

何で寝てたんだっけ…?

 

「目ぇ覚めた?」

 

「っ!!」

 

思わず身構える。

声の主は先ほどまで戦闘を行っていた星村希…僕の秘密を何故だか知っていた人物…

彼の最後に放った一撃―――それで僕は気絶し、ピットに運ばれたようだ。

 

「なんで……?」

 

「ん?」

 

「どうして敵である僕を助けたりするの!!

気絶している間に先生に突き出す事も出来たでしょう!?」

 

「そうされたかったのか?

そうだったらシャルルは真性の変態さんだな」

 

「へ!?

変態じゃないよ!!」

 

「それに…」

 

希は笑顔になる。

まるで小さな子供が母親に対して向けるような無邪気な笑顔を。

 

「誰かを助けるのに理由がいるかい?」

 

その瞬間

ぽたりと自分の足に何かが落ちるのを感じる。

 

「う……うぅ……」

 

涙と共に声が滲み出る。

別に悲しいわけでも苦しいわけでもましてや痛いわけでもない。

むしろとてもうれしい…

 

ぽん

 

頭の上に何かが乗っかる。

希の手だ。

希が歌いながら頭を撫でてくる…

まるでお母さんに撫でられるようなやさしい感じが心地いい…

 

「その曲…お母さんがよく歌ってた曲だ…」

 

「そうなんだ

俺の母さんもよく歌っててな、頭から離れないんだ~

ところで…」

 

「やっぱり聞きたいよね…

僕が男の子の振りしてる理由…」

 

「別にいいよ」

 

「へ?」

 

「だからいいって、話さなくても」

 

「……でもなんで僕が女だってわかったの?

これでも男の子の仕草には自信あったんだよ?」

 

「う~ん…なんて言えばいいのかな…?

ところでなんでシャルルはSEEDを発動できたんだ?」

 

「SEED?

僕、種なんか持ってないよ?」

 

「知らないんだな?

あれだ、なんかが弾けるような感覚があったろ?」

 

「うん

なんでかわからないけど」

 

「それをSEEDって言うらしいんだ。

SEEDってのはSEED因子ってのを持ってる人が発動できる火事場の馬鹿力てきなものでSuperior Evolutionary Element Destined-factor―――優れた種への進化の要素であることを運命付けられた因子っていうのの略だね

まあ俺と似たようなもんだよ」

 

「希もそのSEED因子っていうのを持ってるの?」

 

「持ってない。

でも優れた種への進化って意味では既にそれを終えているね~

俺はニュータイプっていうのに分類されんのかな」

 

「また新しい単語が…」

 

「ニュータイプってのは常人とはかけ離れた強い脳波を発する。

それのお陰でサイコミュ兵器を操れ、ニュータイプ同士での意思疎通が可能なんだ。

更には優れた空間把握能力を持ち合わせる上に、ちょっとした予知能力もある」

 

「もろエスパーじゃん」

 

「ちなみにこの世界にいるニュータイプは俺のほかに簪、その姉の楯無さん、俺の妹の空、後は知り合いのアムロさんだね」

 

「ふ~ん……」

 

沈黙……

うぅぅ!!気まずいよぉ!!

折角仲直りできたのに!!

 

「の、希!!」

 

「ん~?

な~に~?」

 

「あ、あのさ!!

希のお母さんの写真見せてよ!!

ぼ、僕のお母さんの写真も見せるからさ!!」

 

「確かに母さんの曲を知ってたんだ。

ちょっと気になる」

 

ごそごそとロッカーを漁り出す。

そこから生徒手帳を取り出し、そこに挟まれた写真を取り出す。

僕も自分の荷物からお母さんとの思い出の写真を取り出す。

 

「いっせーの…!!」

 

バッと二枚の写真を僕の座っている椅子の上に置く。

 

「「え!?」」

 

思わず声を上げてしまった…

希の写真にも僕のお母さんが写っていたのだから…

 

「なんで…?」

 

「さあ…シャルル、君のお母さんのフルネームを旧姓で言ってみて」

 

「うん…」

 

「せーの…」

 

「「如月栄子」」

 

僕と同じ言葉を僕と同時に発する希。

 

「やっぱりな…

きっとシャルルの写真に写ってる人は俺の母さんだ」

 

「なんで?

希のお母さんって希が前にいた世界で亡くなったんじゃ…」

 

「わかんない…

あれがこうなって…これがああなって…」

 

希がぶつぶつと何かを呟いている。

 

ボスン

 

希の頭が音と煙を立てる。

あまりにも難しい事だったため回路がショートしたんだろうか?

 

「う~~~

頭ぐるぐるする……」

 

「でも待って…」

 

希と僕のお母さんが一緒の人って事は………!?

 

「まさか……僕達って……兄弟ってこと…?」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

知らなかった…

確かに空が10歳くらいの時に妹が欲しいって言ってたけどまさか本当に空の下に妹がいるとは…

予想外デス…

 

「そ、そうなるな…

なあシャルル」

 

「シャルロット…」

 

「へ?」

 

「だから、僕の名前。

本当はシャルルじゃなくてシャルロットっていうんだ」

 

「……じゃあシャル!!」

 

「へ?

だから僕の名前はシャルロット……」

 

「いいじゃん

俺ら兄弟なんだろ?

だから俺はシャルロットの事をシャルって呼ぶッス」

 

実のところもう一つ理由がある。

俺は生来、他人を本名でしか呼ばないという癖がある。

つまり偽名を使って身分を隠そうとしている知り合いの素性を即座にばらしてしまうのだ。

例えば…

カガリのボディーガードをしていた時のアスランはアレックス・ディノと名乗っていたのは知っているのに、平気でザフト軍人(シンやルナマリア)の前でアスランと呼んでしまった…などなど……

それ以来、大体の人にはあだ名をつけ、それで呼んでいる。

カガリならバカガリ、アスランはヅラとか…

 

「……嫌か?」

 

「シャル…うん!!いいよ!!すごくいい!!」

 

「気に入ってくれて何よりッス

でさシャル、一つ忠告が…」

 

「なに?」

 

「一夏には気をつけた方がいいぞ」

 

「なんで?」

 

「まあ…そのうちわかるさ……」

 

シャルは首を傾ける。

理解不能のようだ…

しかしシャルは五日後…俺の言葉の意味を身を以て知ることになる……




誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。

次回
ラッキーボーイ&アンラッキーガール

お楽しみに~
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