IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~   作:ぼいら~ちん

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PHASE-26 夜って案外長いッスねぇ…

「飯がうめぇ!!」

 

浜から戻ってきて晩御飯の味噌汁を頬張る。

ご飯の時間に間に合ってよかった~

ちなみになぜか全員浴衣姿。

『お食事中は浴衣着用』という張り紙が目に入り、やっと理由を理解した。

 

「本わさ…だと…!?」

 

「?

ねえ簪、本わさってなに?」

 

簪のつぶやきに反応するシャル。

俺は生魚が嫌いで、刺身とかもあまり詳しくない為、話について行けない。

 

「本わさって言うのは…

本物のワサビをおろしたので…学園の刺身定食とかについてるワサビは練りわさ…

原料はワサビダイコンとかセイヨウワサビと言って…それを着色したり…合成したりしてああなってるんだよ…

そんなこと言っても…最近の練りわさも結構…美味しい…」

 

「へ~

そうなんだ。はむ」

 

…今シャルがわさびの塊を口に突っ込んだように見えたんだが

 

「っ~~~~~~~!?」

 

「だ、大丈夫!?」

 

「ら…らいひょうふ…

ふ、風味があっへおいひいね…」

 

なんて出来た子だろう…流石我らが妹である。

でもやはり兄としてここは助け舟を出すべきであると思う。

秘密兵器、カモン!!

 

「ほれ

これ飲め」

 

「なんで牛乳…?」

 

「そうッス。

牛乳はわさびを食べた後に飲むとツーンとした辛味を取ってくれるんスよ。

俺があんまりわさび好きじゃないから食べろって言われた時の回避方法ッスね」

 

「逆に誰にそんなこと言われるの…?

…でもほんとだ…辛いの取れた…」

 

「まあ…あれだ…空とか…一夏とか…千冬さんとか…

みんな嫌いなの知ってて言ってくるんスよ…

出された食事は残すなって…」

 

「そうそうたる面子…」

 

そうなんだよ…千冬さんに逆らったら…その…言葉に出来ないくらいきっついことになるんだよ…

空はキレさせたらアウトだし…一夏は…バックに千冬さんが居るからなくなく食べるけど…見えないところで●●してる。

 

「ところでさ…セシリアはどったの?

顔真っ青だけど大丈夫?」

 

「だ…ぃ…ょうぶ…です…わ…」

 

向かいに座っている空が調子が悪そうなセシリアに声をかける。

かすれた声での返答だが、これはただ晩御飯を食べてるだけなのであしからず。

 

「つーかシンとルナもやばそうッスね。

先生呼ぶ?」

 

「大丈夫…で…あります…」

 

「も…問題…あり…ません」

 

「確かに俺はお前らより年上だけど今は同級生なんスから敬語はなしってことで」

 

「わかっ…た…」

 

「は…い…」

 

空の隣のシンとルナも顔面蒼白だったので声をかけるがこっちもセシリア同様、満身創痍って感じだ。

昼間に海岸で見つかったシンとルナのことを千冬さんに報告したところ、無言でアイアンクローされた。

山田先生曰く、正式な入学手続きは学園に戻ってからで、現在のシンとルナの扱いはIS学園生(仮)らしい。

 

 

「三人ともどうしたんスか?」

 

「あ…足が…」

 

「痺れて…」

 

「動け…な…い…ですわ…」

 

みんなあれだ…正座慣れしてないんだろう…

ならば!!

 

「空、やれ!!」

 

「ラジャ!!」

 

「そ、そら!?

や…やめてぇ…ひゃううぅ!!」

 

「や、やめろよ…うわぁぁ!?」

 

「あははは!!」

 

「セシリアにはやんなくていいからな~…っと…」

 

ふと簪の見ると、何か物欲しげに俺のお膳を見ている。

 

「簪…お刺身好きなのか?」

 

「うん…」

 

反応はするもののその瞳はお刺身から目を離さない。

 

「…いるか?」

 

「いいの!?」

 

やっとこちらを向いた簪。

その瞳はきらきらと輝いている。

 

「はい、あ~ん」

 

「え!?」

 

「だから、あ~ん」

 

「あ、あ~ん…」

 

顔を真っ赤にしながら口を開ける簪。

俺は箸で刺身(魚の種類は知らん)に箸で少量のわさびと醤油をつけ、それを挟み、簪の口へと運ぶ。

もきゅもきゅと刺身をかみしめる表情がとっても可愛い…

 

「美味しい…///」

 

簪の顔が更に赤くなる。

 

「そうなのか?

簪がそう言うのなら食べてみよっかな~」

 

「え…?」

 

俺はまだ残っている刺身(魚の種類は知らん)を先ほど簪にやったのと同じ手順で口に運ぶ。

 

「ん!?

魚って案外うまいんだな!!

なあ簪!!」

 

「ひゃうう…///」

 

「…ノゾミってそこらへんすっごい鈍感だよね…」

 

「ルナの言うとおり…」

 

「おい…

久々にあった友人にそれはないだろ…」

 

「事実を率直に言っただけです」

 

更に赤くなった簪の顔を見てルナが頬を膨らませながら言う。

俺…なんか悪いことしたか…?

 

「乙女心を理解できない男は馬に蹴られて地獄に落ちればいいと思います」

 

「要するに死ねと?」

 

「はい」

 

ひっでぇ…ニュータイプはエスパーじゃないんだよルナ…

 

「それでもノゾミは鈍感過ぎるよ」

 

「むむ!?キラの癖して生意気な!!」

 

「俺もそれには同感だな。

養成学校でもあったろ?

機械弄り好きの女の子に『好きです!!』告白されて、『機械弄りが?』って返したのはどこのどいつだっけ?」

 

「俺だよ!!

ていうかなんで俺に矛先向いちゃってんの!?」

 

「「「「黙れ唐変木」」」」

 

ひっでぇ…

みんなして俺を否定するのか…

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「シャルちゃん?

なにしてるの?」

 

「しー!!

静かに」

 

かんちゃんの部屋に遊びに行こうとした途中、部屋のドアに耳を押しあて中の様子を探っているシャルを見つける。

ボクも同じく部屋のドアに耳をあて、中の声を探る。

 

『あぁ…そこっ…くうぅっ!!』

 

『もうちょっと声小さくしてくれないか?

隣に聞こえたらまずいッスよ』

 

『はうぅ…で、でも…希が…上手…で…気持ち…いい…から…声が…でちゃうぅ…』

 

なんかシャルの顔が赤い。

こういう状況への免疫がないんだろうか…

かくいうボクも…なんか体が熱っぽいような…

 

『まあ結構溜まってる感じあるしねぇ…

今度はここなんてどうスか?』

 

『くあっ!!

そっちは…だめぇ…ってあれ…?

どうしたの…?』

 

『ちょっとな…』

 

かんちゃんたちの声が途切れる。

すると…

 

バンッ!!

 

「「ぎゃぼっ!?」」

 

ドアからの突然の衝撃になんか変な声を上げてしまうボク。

ぎゃぼってなんだぎゃぼって…

 

「なにやってんだ?」

 

「なにって…兄さんこそ!!

かんちゃんにナニしてんの!?」

 

「そ、そうだよ希!!

僕達はまだ高校生なんだよ…ってあれ?」

 

「……」

 

かんちゃんは部屋の中央に敷かれた布団にうつ伏せで寝ているものの衣服が特に着崩れているわけでもなく、ただ寝ているだけという感じだった。

かんちゃんの状況を見て、兄さん達がなにをしていたのかやっと理解した。

 

「そう言えば兄さんってマッサージ得意だったっけ…」

 

「ま…マッサージ?」

 

「おう。

簪が後でマッサージしてって頼んできたからさ…

ところでお前らは俺達がなにしてると思ったわけ?」

 

「そ、それは…」

 

「あ、あれだよあれ…あれってなんだっけ…?

あは…あははははは…」

 

しどろもどろしているボクの顔はいま二つの理由で真っ赤だろう…

 

「そ、そう言えば!!

簪の事を織斑先生がよんでたよ!!」

 

「わ…わかった…

希はもう一回お風呂入ってきたら…?

マッサージして汗かいた…でしょ?」

 

「りょ~かい

じゃ、また後でな~」

 

そう言って兄さんは洗面道具を持って小走りで部屋を出て行く。

 

「待って兄さん!!

ボクも一緒に行くぅ!!」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「はひょぉ…やっぱりおっきなお風呂は最高だぜぇ…」

 

「失礼しまぁす…って希も来てたのか!!」

 

「俺も入りますよ」

 

「一夏にシンか!!」

 

簪の言われるがままに風呂に入っている俺。

その途中、シンと一夏が風呂に入りに来たようだ。

 

「アークエンジェルにも大浴場があったけどここのはもっと凄いなぁ…

『ロテンブロ』って言うんだっけ?」

 

「そうッスね

空が見えるから露店風呂っていうんだ」

 

「へぇ~」

 

「ところでさ…

希とシンってどういう関係なんだ?」

 

一夏が突然質問してくる。

まあ…疑問を持つのも当然だと思う。

 

「向こうの世界で知り合いだったんスよ」

 

「初めて会ったのはアーモリーワンでしたっけ?」

 

「そうッスね

そのあとザフトのミネルバで俺がお世話になって…そのあとアスランに便乗してアークエンジェルに戻って…戦争を止めて…今に至るってワケ」

 

「じゃあ、俺はそろそろあがるな」

 

唐突に一夏が立ちあがる。

 

「良いのか?

お前結構風呂好きじゃなかったっけ?」

 

「まあ千冬姉に心配させんのもあれだしな。

部屋に戻って早めに寝かせてもらうよ

シンは?」

 

「もう少しいるよ。

ノゾミと話したいこともあるし」

 

「わかった。

また後でな」

 

その一言を最後に一夏は風呂を出た。

すると黒髪の人物が入れ替わりで入ってきた。

 

「しつれーしまーす

って…なんでシンもいるの!?」

 

「こっちの台詞だ!!

なんで女のお前が男湯(こっち)に来てんだよ!!」

 

「それは…兄さんと一緒にお風呂入りたいから…」

 

「しょうがないよシン…こいつ変態だから…

後で虚さんに報告な」

 

「やめて!!

お願いだからやめて!!」

 

「じゃあさっさと出てけ」

 

「だが断る」

 

「じゃあ報告な」

 

「そっちも断る!!」

 

もういいや…

面倒になってきた…

ひそかに報告しておこう…

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「やっぱりこの曲いいわ~」

 

「いっつもノゾミさんってなにかしら音楽聞いてますよね」

 

風呂をあがって自分の部屋へと歩く。

そして暫くすると部屋が見えてくる。

 

「シンにもマッサージしてやろうか?」

 

「いいんですか!?

ノゾミさんのマッサージって俺の部隊の奴らからの評判高いんですよ!!

本当に良いんですか?」

 

「いいッスよ。

別に減るもんじゃないしね」

 

ふすまを開ける。

 

「ん~?

希ぃ…?」

 

簪がいた。

しかし明らかに様子がおかしい…

顔が真っ赤でさらには服がかなり着崩れていて肩が完全に露出していた。

 

「どうしたんスか…?」

 

「ていうかなにしたんだ…?」

 

「ん~?

マクグリフ先生からねぇ…ぶどうジュース貰ったんだぁ…コップ一杯ぶん…

それ飲んだらねぇ…体が熱いのぉ…」

 

マクグリフ先生からもらったジュース…

そんなことを考えているとシンが小声で話しかけてくる。

 

「ノゾミさん!!

簪ってこんな子なんですか!?

第一印象とかけ離れてるんですけど!!」

 

「きっと…セレーネからワインでも貰ったんだろ…」

 

「ワイン…でも、コップ一杯飲んだだけでこんなにも酔うもんですかねぇ…」

 

「ふつうはそうかもしれないけど…

簪はアルコールはてんでダメっぽいんスよ…」

 

先日、楯無さんから聞いた話によると…

1年前の正月、簪に甘酒を飲ませた。

翌日、目が覚めると自分の周囲には下着姿の簪、本音、虚さんがおり、なぜか知らぬが自分と空だけ全裸だったという…

自分の行動を思い出してみたところ…簪に甘酒を与え、顔が真っ赤になった簪が自分に覆い被さってきたところまで覚えているのだが、自分と空がなぜ裸なのかは未だに謎だという…

 

「希ぃ…遊ぼぉ…」

 

「お…おう…ウノとかやるか…

キラ達も呼んでさ…」

 

「ううん…希と二人で遊ぶぅ…!!」

 

簪が俺に抱きついてきた!?

俺は突然の事に驚いたのと簪に押されたことにより尻もちをついてしまう。

普段はこんなに積極的な子じゃないのに!!

 

「シン!!

お前はなにも見なかった…そう言うことにして自室に戻ってろ…」

 

「で、でも!!」

 

「大丈夫…もう簪寝たから」

 

「へ?」

 

先ほど抱きついてきた時には既に限界だったのだろう…俺に抱きついた途端にす~す~と可愛い寝息をたてて寝てしまったのだ。

 

「ほら。

あんまうるさいと簪が起きるだろ?」

 

「わ…わかりました…おやすみなさいノゾミさん」

 

「おう!!

また明日な」

 

そう言ってドアを閉める。

 

「希…大好き…」

 

簪の寝言に思わずドキッとしてしまった。

近くの鏡を見てみる。

すると俺の顔は真っ赤に染まっていた。

布団に簪を寝かせ、毛布をかける。

 

「簪…ずっとそばに居てやるからな…」

 

その言葉を最後に俺の臨海学校1日目は幕を閉じた。




誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。

次回
赤い椿とうさぎ耳

お楽しみに~
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