IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~ 作:ぼいら~ちん
「あっつい…」
俺はあまりの暑さに目を覚ました。
IS学園も他の高校同様に夏休みが始まった。
今は8月時間は午前9時30分。
「あれ?
ここ何処だっけ…?」
俺はいつも寝起きしている部屋とは別の天上を見て疑問を抱く。
しかしその疑問は一瞬にして解決した。
「ああそう言えば家に帰って来てたんだっけ…」
昨日の行動を振り返り全てを思い出す。
確かセシリアは本国に戻ってて、シャルとラウラと鈴は予定あるっぽいし、キラとラクスとカガリとアスランとシンとルナとステラは海外に行くって言ってたし、簪と楯無さんと空と本音と虚さんはみんなで実家に帰るって言ってたし、一夏とソルとスウェンとレオスはみんなで機体整備とか言ってたし…
要するに暇なのだ。
一夏は明日辺りに家に戻ると言っていたのだが今俺が暇であることに変わりはない…
「あついあついあついあついあついあついあつい!!
―――むぎゃ?!」
半ばヤケクソになって自室のベッドでごろごろと寝がえりをうちまくる。
しかしその最中にベッドから転げ落ちてしまう。
頭打った…くっそいてぇ…
暇だ…暇すぎる…取り敢えず飯だ…飯食おう…
ピンポーン
突然鳴り響いたインターホンの音によって俺の思考は強制停止させられる。
「は~い今行くよ~ん」
どうせ夏休みのこの時間にここを訪ねてくる人間なんてTHE暇人of暇人で有名な五反田弾か御手洗数馬か宅急便の人ぐらいだろう…
とんとんと軽やかな足取りで階段を下りる。
これくらいの事はしないと飯を作る気力なんて起きやしない…
ガチャリとドアを開ける。
庭先の家の門には宅急便のオッサンではなく一人の女の子が立っていた。
「簪?」
「あ、あの…その…」
俺がインターホンで誰が来たのか確認を取らずにいきなり出てきたためか簪は酷く狼狽ししていた。
「あの…えっと…き…」
「き?」
「き、来ちゃった♪」
えへと笑顔で俺に向かって話しかけてくる簪。
なんだこの小動物…かわええ…
そう思っていたのもつかの間…簪は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「じゃあ上がってけよ。
炎天下での立ち話は正直死ねるぞ?
今日は来客用に水ようかん作ってあるから中で食うか?」
「うん…じゃ、じゃあ…お言葉に甘えて…」
俺は簪と共に家に入る。
玄関のドアを潜るや否や、空調の利いた部屋の冷たい空気が俺達を包み込む…
なんと気持ちいい…
そしてなんだかんだ言っているうちにリビングに到着。
「なんか飲む?
麦茶とか緑茶とか…」
「緑茶で…」
「りょ~かい」
俺は食器棚から急須とお茶っ葉と湯のみを取り出し電気ケトルでお湯を沸かし始める。
お湯が沸くまで数分あるのでソファにいる簪の隣に座る。
「ここまで結構遠かったろ?」
「そんなことない…電車で2駅…」
「そっか…
やっぱりあれか?簪の家の人もみんな出かけてんのか?」
「うん…お姉ちゃんは中学の時の友達の家に行っちゃったし…
本音と虚さんは買い物…空ちゃんは気付いたらいなくなってた…」
「どうせプリン食いにデュランダルにでも行ってんだろ…
だったら俺らは何処行く?」
「買い物したい…レゾナンスで…」
「OK。
取り敢えずお茶とようかん食べてからな」
「うん…わかった…」
◇ ◇ ◇
「おおう…制服姿のやつがいると思ったらお前だったか…」
「に、義兄さん?!」
「シャルも…こんにちは」
「こんにちは簪」
数時間後。
レゾナンスに着いた俺と簪は中のとあるレストランにて制服姿のラウラと私服のシャルに出会った。
二人も買い物しに来たんだろうか?
「ところでシャルさん?
何処を見ていらっしゃるのでせうか?」
「ええと…」
シャルの視線は隣の席に座っている女性を向いていた。
何かに困っているらしく折角頼んだぺペロンチーノもすっかり冷めていた。
「ねえ…みんな…」
「「「おせっかいは程々にね」」」
「みんなぁ…僕の事理解してくれてるんだね…」
俺達の反応に最初はびっくりしていたシャルであったがすぐに嬉しそうな笑顔でこっちを向く。
「まあ俺と簪はニュータイプだからな。
ところでシャルはどうしたいわけ?」
「取り敢えず話だけでも聞いてみようかなって…」
「その旨をよしとする」
「よしっ!!」
そう言って隣のテーブルへぱたぱたと走っていくシャル。
俺達も昼食を取り終えたのでシャルの後を追う。
「はあ…どうすればいいのよ…まったく…」
「あのぉ…どうかされましたか?」
「え?―――!?」
がたんと突然椅子から飛び上がった女性。
そしてそのままシャルの手を握る。
「あなた達!!」
「はい?」
「バイトしない?」
「「「「え?」」」」
◇ ◇ ◇
「まあそんなこんなで突然4人も辞めちゃったのよ。
実際二組のカップルが駆け落ちした訳なんだけどね…あはは…」
「はあ」
「ふむ」
「ふーん」
「か、駆け落ち…///」
「でもね、今日は超重要な日なのよ!!
本社から視察が来るのよ!!
お願い!!あなた達にバイトして欲しいの!!」
取り敢えず話をされてついて来たのはいいものの女性のお店は女性向けのメイド(若しくは執事)喫茶であった。
「構いませんが…僕はなんで執事服なんでしょうか?」
「だってほら!!
そこいらの男なんかよりずっときれいでカッコいいもの!!」
「俺の面子が立たねえ…
俺はれっきとした男なのに…」
「ほ、星村くんだってちゃんと似合ってるわよ!!」
自分で言うのもなんだが…実際かなり似合ってない気がする。
絶対パーカーの方がいい。これ生地が伸びないから動きにくい…
それにしてもメイド服姿の簪は可愛い。
あとで2ショットお願いしてみようか…
つ、付き合ってるわけだから問題ねえよな…
「そう言えばこのお店の名前ってなんて言うんですか?」
シャルが店長に向かって質問する。
すると店長はスカートの裾をつまみあげかわいらしいお辞儀をする。
「お客様、@クルーズにようこそ」
◇ ◇ ◇
「紅茶のお客様はどちらでございましょうか?」
「わ、私です!!」
俺は客の女性に話しかけどっちがなにを頼んだのかを確認する。
仕事を開始して数時間。
バイトって言うのもやってみると案外いいもんである。
やっぱり労働によって汗を掻くのも悪くないと思う。
「お砂糖とミルクはいかがいたしますかお嬢様?」
「は、はい!!
両方ともたっぷりお願いします!!」
「かしこまりました」
俺は紅茶のカップを持ちあげミルクと砂糖を入れ、かき混ぜる。
こういう時にいっつも思うんだけどやっぱり日ごろから料理ってやっとくべきだよねえ。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
「コーヒーのミルクなどはいかがいたしましょうか」
「砂糖とミルク多めでお願いします!!」
「かしこまりました」
先ほどと同じ手順でコーヒーカップにミルクと砂糖を入れかき混ぜる。
こういう時いっつも思うんだけど以下略
「どうぞ。
それではごゆっくりお楽しみくださいお嬢様」
そう言って俺はテーブルを後にする。
すると厨房の前にはぷっくりと頬を膨らませている簪が立っていた。
「あの簪さん?
なんで怒っているんでせうか?」
「ふん…女の子とイチャイチャしてる希が悪い…」
「待ってくれ誤解だ!!
これも仕事のうちで別にいちゃついてるわけじゃないッスよ!!」
お客さんの迷惑にならないように小声で簪に弁解する。
「じゃあ…なんであんなに楽しそうなの?」
「いや俺ってさ昔からこういう仕事やったことなくてさ。
ジャンク屋の仕事って戦場で集めたジャンク売るのと機械の整備なわけじゃん。
こういう人にものを提供する仕事だけどそれをすることによって人が笑顔になるのって凄い楽しいことなんだよ。
俺にとってはね」
「そう…なんだ…ご、ごめ―――」
バン
「全員動くんじゃねえ!!」
簪が何かを言おうとしたその時だった。
突然勢いよく店のドアが開き目だし帽をかぶった3人組が店内になだれ込んでくる。
その直後店内に銃声が響き渡る。
「きゃああ!!」
銃声に驚き客の一人が悲鳴を上げる。
「う、うるせえ!!静かにしてろ!!」
「はああああ…運がねえ…」
俺はその男の声に大きなため息をつく。
折角人が上機嫌で仕事してたってのに…
「おい!!誰だ今運がねえとかほざいたのは!!」
「こっちの台詞だコラ」
「ちょ、希!!
今は相手の観察と機械を窺って…」
「心配すんな。
こんなド三流この星村さんが瞬殺して差し上げましょう簪お嬢様」
「それでも…心配…私も戦う…」
俺は簪の頭を撫で簪は頬を赤らめながらも簪は俺の隣に立つ。
にしてもメイド服姿の簪もかわええなあ…
俺達は強盗3人組と向きあう。
「何だ何だよ何なんですかアンタらは!?
こっちは超上機嫌で仕事してたってのに超台無しじゃないですかこの野郎!!」
「舐めてんじゃねえぞクソガキ!!
言ってくれんじゃねえか今すぐ蜂の巣にしてやるよ!!」
強盗3人組のうちサブマシンガンをもった男がこちらに発砲する。
俺と簪は左右に散開しは店内に置かれた観葉植物や椅子など様々なものを遮蔽物にして弾丸を避ける。
当然客の近くは通らず極力背後にもいないように移動する。
「は、はええ!?
兄貴、こいつ!!」
「遅えよ三下」
俺はハンドガンを持った男の顔面に右ストレートをぶち込む。
男は数メートル飛び、壁に強く頭を打ち付けたのち、糸が切れた人形のように力なくうなだれる。
「まず一人!!」
「あなたも…おやすみなさい…」
「ぐふぅ!?」
簪がショットガンを持った男の背後に回り込みわき腹に回し蹴りをかます。
こちらは吹き飛ぶことはなくその場に倒れこむ。
残りは一人…
「折角楽しかったのに…台無しじゃないですか…」
「というわけで…
歯ぁ食い縛れ…ちょっと痛いッスよ!!」
リーダー格と思しき男の顔面をぶん殴る。
盛大にというわけではないが少々吹き飛び尻を突き出した状態で気絶する。
「はい…」
「終了!!」
「終わったのか…?」
「た、助かったの?」
お客さん達は状況をイマイチ飲み込めていないのか少々怯えながら動き出す。
「すげえ!!俺達助かったんだな!!」
「ありがとう黒髪の執事さんと青髪のメイドさん!!」
「やっぱり面と向かってそう言うこと言われると照れるッスね…」
「うん…」
事態の終息を確認した店長はすぐに警察に連絡を入れる。
手際が良いねえうん。
「くっそぉ!!
このまま警察に捕まるくらいならいっそ全部吹き飛ばしてやらぁ!!」
意識を失っていたかと思っていたリーダー格の男だったが力をセーブし過ぎたのかしらんが起き上がって革ジャンを左右に広げる。
その中にはアニメとかでありそうな爆弾腹巻が装着されていた。
「はあ…めんどくせえ…
簪…ちょっと狂言に付き合ってくれ」
「うん…わかった…」
簪にそう言うと俺は少し息を吸いこみ…
「レディース&ジェントルメン!!
それではみんなさん!種も仕掛けもある手品をご覧あれ」
「は?何を言って」
「まずは我がマジック一座の仲間を紹介!!
白虎、朱雀、玄武、青龍」
俺はそう言ってキラキラ光るフィルムケースを部屋の四隅に向かって投げる。
それぞれ配置に着くと青白い光を纏う。
「さ~て強盗さんアンタに問題だ。
これから何が起こるのでしょうか?
A、お前の体
B、全身から血が出始め失血死。
さあどっち!!」
「は、はあ?
さっきから何をワケのわからねぇことを…」
「シンキングタイム終了!!正解発表と行きましょう。
答えは…」
壁の4隅に置かれたフィルムケースが一層輝きを増す。
その時男の腹に巻いてあった爆弾の起爆装置や信管などにナイフが突き刺さった。
「は?」
「正解は!!」
「Cの簪センセーのナイフによって爆弾を無効化される…でした…」
俺と簪は床に転がっているハンドガンをそれぞれ1艇ずつ拾い上げ銃口を男に向ける。
「ところでオッサン」
「こんなにくだらないこと…」
「「まだやるの?」」
「すみませんすみませんもうしません!!」
そう言って男は俺と簪に土下座をする。
流石にこれ以上抵抗する気も無い様子だ。
「じゃ、騒ぎがおっきくなる前に俺達はお暇させていただこうか」
「ところでのぞ兄。
さっきのフィルムケースってなんだったの?」
「特に意味はない…」
「は!?」
「いやね~最近簪お勧めのアニメでああいうのやっててカッコいいと思ったんだよ~
事実こんなふうにハッタリかませたわけだし」
「「……」」
ちなみに光っていたのは星火燎原の光である。
◇ ◇ ◇
「ところでさ簪は家帰んなくても大丈夫なのか?」
「うん…お母さんには連絡入れたし許可も貰った…」
俺達はバスを降り、織斑邸へと向かっていた。
簪は今日は織斑邸に泊まるらしい。
ちなみに着替えなどは千冬さんの高校生時代に使っていたものを貸し出し、千冬さんも渋々了承していた。
「明日は何しよっかな~?
そうだ!!明日箒の実家の神社でお祭りあんだ!!
一緒に行かないッスか?」
「う、うん!!
お祭り…」
簪は誘いを了承し楽しみだという表情をしている。
「浴衣とか出そうか?
昔セレーネが来てたやつあるから」
「うん!!」
明日も明日で忙しい一日になりそうだぜ!!
誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
次回
星空の下で…
お楽しみに~