IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~   作:ぼいら~ちん

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PHASE-37 星空の下で…

「篠ノ之神社よ…私は帰って来たぁぁぁ!!」

 

「テンション高ぇなおい…」

 

「久しぶりに来たからねここのお祭り」

 

「どうりで朝から楽しみにしてたわけだね…」

 

俺は今一夏、簪の二人と共に篠ノ之神社のお祭りに来ていた。

ここ篠ノ之神社はその名の通りMy friend篠ノ之箒の生家である。

昨日明日は何処行く的な疑問にぶち当たった時に箒からの明日神社でお祭りあるぞコールを思い出し簪を誘った次第である。

なんか一夏もついていたのは彼が今朝こちらに帰って来てお前ら行くなら俺も行くと言ってきたので仕方なく…というわけである。

 

「さてさて…そろそろ我らが箒さんの神楽舞の時間ですが…

一夏さん行ってきなさい」

 

「私たちは他のところ見てくるから…」

 

「お前らは見ないのか?」

 

「箒だって自分の思い人にそう言うのは見られたいと思う」

 

「そう言うわけで終わったら神社のお守り売ってるとこで待ち合わせな」

 

おうといって一夏はそのまま走り去る。

 

「じゃあ…行こう…?」

 

「おう!!」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「……簪って結構食いしん坊なんスね」

 

「よく言われる…ふーふー…はむ…おいひい…」

 

手に持っている舟のたこ焼き一つをふーふーしながら頬張る簪。

一通り出店を回った俺達はそろそろ頃合いかと思い待ち合わせ場所に来た。

しかし一夏はまだ来ていない。

にしても簪の食欲はすげぇなぁ…俺のお財布から3人も英世がいなくなった…

あいつらの思い…俺は決して無駄にはしない!!

 

「希…今度はお守り欲しい…」

 

「ん。

わかった」

 

だがしかし…

どれだけお金が消えてもこの簪サンお願い上目づかいには敵わないのが俺の現状である。

 

「すみませーん。

お守りくれないッスかねー?

って箒!?」

 

「の、希!?

それに簪も!?どうしてこんなところに居るんだ!?」

 

「それはこっちの台詞だ!!

なんでお前が巫女さんの格好してお守り売ってんだ!?」

 

「似合ってるよ箒…」

 

「あ、ありがとう…」

 

褒められて恥ずかしいのか箒は少し頬を赤らめる。

確かにこれって一種のコスプレみたいなもんだしな…

 

「おーいまたせてごめんなー!!」

 

「遅いぞ鈍感王子」

 

「唐変木乙…」

 

「出会いがしらに酷いなおい!?」

 

当然だろう…お前は唐変木なんだから…

 

「よう箒。

神楽舞の衣裳すっごく似合ってたぜ」

 

「……夢だ!!」

 

確かに俺も驚いた…一夏の口からこんな言葉が出てくるなんて…

 

「「あ…あぁりえなぁい…」」

 

「何がだよ!?

ていうかさっきから酷いなお前ら!!」

 

「箒ちゃん?

大きな声なんて出してどうしたの…あら?」

 

「お久しぶりです雪子さん」

 

異変に気付いてやって来たのは箒の叔母の雪子さんだった。

雪子さんは何かを閃いたようにああと言ってぽんと手を打った。

きっと頭には豆電球がピカピカ光っているだろう。

 

「箒ちゃん。

あとは私がやるからお祭りに行ってきなさいな」

 

「…流石は夢だ…ありえないと思うことばかり起こるな…」

 

「現実を見ろ!!篠ノ之箒!!」

 

「えい」

 

ビシッっと箒の額に向かって雪子さんの鋭いチョップが突き刺さる。

 

「あいたっ!?」

 

「現実に戻ってきなさい箒ちゃん」

 

「は、はぁ…」

 

ありえないことが起こりまくって夢の世界(あっち側)に行っていた箒は雪子さんチョップによって現実(こっち側)に戻って来た。

雪子姉さんあざッス!!俺達には無理でございました!!

 

「ほらほら急いで!!

まずはシャワーで汗を流してきてね。

その間に私が浴衣準備してあげるから」

 

「そうだぞ箒~

ここは優しくお美しい雪子さんの言葉に甘えておくべきだぞ~

お前はもう少し他人に甘えることを覚えないとおとせる男もおとせないッスよ~」

 

「そ、それとこれとは関係ないだろう!!」

 

「う~ん…デレ箒ってのもアリだと思うのですが…

どうですか解説の簪さん?」

 

「アリですね…

普段ツンツンしている女の子の偶に見せるデレ…アリです…」

 

「だそうだ」

 

「むぅ…

わかりました…お願いします…」

 

やっと納得したのか箒は雪子さんにぺこりと頭をさげる。

 

「ちょっとだけ待っててね。

女の子を待つのも彼氏の役目よ?」

 

「?」

 

雪子さんの言葉に一夏は首をかしげながらも頷く。

雪子さんはウィンクするとそのまま箒と行ってしまった。

一夏は何か疑問を抱いているようにう~んと言いながら首を傾げる。

 

「お前…本当に鈍感だな…」

 

「マジ不愉快です…」

 

「JK!?」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「お~流石は箒。

浴衣姿が様になってるッスね~」

 

「ほ、褒めても何もでないぞ」

 

1時間程経ったとき。

箒は浴衣に着替えた状態で現れた。

白を基調に薄い青の水面模様、アクセントとして赤い金魚がその中を泳いでいる。

青系の服が似合うのは簪や楯無さん、空の特権だとばかり思っていたが箒に似合っていたのは少々以外である。

きっと可愛い女の子に何を着させても似合うということなのだろう。

 

「いや~やっぱり俺達は別行動させていただきますわ~」

 

「ん?どうしてだ?」

 

「決まってんだろ…今年もやるんスよ…あれ(・・)を…」

 

「あ~あれか…

下見は済んでるのか?」

 

「当然だ。

俺はガンダムのパイロットだぞ?」

 

「金の使い過ぎには気をつけろよ希」

 

「心配なさらずに~野口1人で済ませるッス」

 

俺はそう言い残して簪と共に一夏と箒のもとを去る。

俺について来たのはいいものの簪は俺がこれから何をするのかがわからないようだ。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「何をするの?」

 

「まあ見てなって」

 

希は私を連れて射的の屋台へと向かっていく。

 

「おじさ~ん2回分頼むわ~」

 

「ういわかった…って星村の坊主じゃねえか!!

2年振りか?彼女まで連れて来やがって~

よしっ!!おまけなしだ!!」

 

「え~せめてこの子の分だけでも~」

 

「がははは!!だが断る」

 

希はぶーたれながらも渋々財布から1000円札を取り出す。

おじさんは小さい器の中にコルクを3個乗せる。

 

「じゃあ…行きますか!!」

 

すぽんと希が首にかけていたヘッドホンを装着しコルクの詰った銃を構える。

パーンと小気味のいい音と共にコルク玉が放たれる。

その弾丸は吸い込まれるように小さなお菓子の箱に突き刺さる。

その衝撃でパタンと箱は倒れる。

希がふ~と息をつくとすぐに次の玉を込める。

 

「ほれ簪もやれよ。

結構楽しいぞ?」

 

「う…うん…」

 

私も希に真似してコルク玉を銃に込めようとする。

しかし方法がわからない…

私…こういうのやったことなくて…

 

「あれ…?こうやって…」

 

「ん?やり方わかんないの?

ここをこうしてだな…」

 

希が私の手に手を添えて私はそれに従って手を動かす。

レバーを引いて銃口にコルク玉を込める。

そして狙いを定める。狙うは…右端の…

 

「くま!!」

 

ぱーん!!ぺしーん!!

 

しかし当たったのはその隣のこけしだった。

 

「こけし…」

 

「こけしだな…

でも次だ次!!」

 

「そうだよね」

 

次の玉を込める。

そして引き金を引く。

 

ぱーん!!ぽす

 

しかし私の放ったコルク玉は目標から逸れて後ろに張ってあった幕に当たってしまった。

残りは1発…

 

「頑張れ簪!!」

 

「うん…」

 

再び玉を銃に込める。

引き金を引く。

 

パーン!!ビシィ!!

 

しかし当たったのは1段下の棚のけん玉だった。

 

「ううぅ…」

 

欲しいものが手に入らずに落胆してしまう私。

たまにあるよね…しょうがないよね…

 

「それ!!」

 

パーン!!ぺシィン!!

 

希が掛け声とともに放ったコルク玉は私が狙っていたくまを穿つ。

そしてその衝撃でくまが落ちる。

 

「星村の坊主は気前がいいねぇ。

ほれ、景品のくまだ」

 

「サンキュ~」

 

希はくまを受け取るとおじさんに手を振りながら屋台を離れる。

 

「ほれ。これが欲しかったんスよね?」

 

「え…?いいの?」

 

「おう」

 

「じゃ…じゃあ…交換で…」

 

「こけしと?」

 

私は希がくまを差し出してくるのに応じて手に持っているこけしを差し出す。

なんか顔があっつい…きっと今赤面しちゃってるよー///

 

「けん玉は…お姉ちゃんにあげるから…」

 

「よし了解。

ならくまとこけしをトレードだ」

 

希にこけしを渡し、私はくまを受け取る。

もふもふでかわいい…

 

「えへへ…希からのプレゼント…」

 

「気に入ってくれて何よりッス」

 

希からくまを貰って自然に笑顔になる私。

それにつられて希も笑顔になる。

 

「やっぱり簪には笑顔が1番似合うッス」

 

「…でも全部希のお陰だよ」

 

「どうして?」

 

「だって…希がいなかったらお姉ちゃんとも仲直り出来てなかったし…

それにみんなとも仲良く出来なかったと思う…

それに希はいつも私の傍に居てくれた…この笑顔も…今まで私が見せた笑顔は全部希のお陰だよ」

 

「そんなことないッスよ」

 

希は一言呟く。

それはとても優しい口調で私に語りかけてくる。

 

「簪が楯無さんと仲直りできたのも一夏達と仲良く出来たのも全部簪のやったことッス。

俺はただほんの少し背中を押しただけ。

誰だっていがみ合ったり喧嘩したりする。

誰だって嫌いな人間はいるし、そういうやつと関わりたくないって口を揃えて言うと思う。

俺だってそうだ。

でも簪は勇気を出して自分を嫌っているかもしれない人に声をかけた。

それは誰のお陰じゃなくて簪の勇気じゃないのかな」

 

「そう…かな?」

 

「そうッスよ!!

それに感謝するのは俺の方ッスから!!」

 

「え?どういう―――」

 

ヒュー…ドーン!!

 

突然炸裂音のようなものが鳴り響く。

後ろを振り向くと空に光の花が咲いていた。

そう言えばともう花火大会の開始時間だったと思いだす。

 

「もうこんな時間か…簪!!

ちょっとついてこい!!」

 

「へ!?ちょっ!?」

 

希に手を引かれ走り出す。

希は神社の裏手へと駆けて行く。

針葉樹の林を抜けると開けた1角にたどり着く。

そこには既に先客がおり、それは一夏と箒だった。

 

「ここは?」

 

「俺達だけの秘密の穴場スポットってね」

 

生物学的にもまさにスポットである。

自分たちの立っているところだけ針葉樹が立っておらず、そこから望める空には光の花が咲き誇っていた。

 

「きれい…」

 

「だろ?

昔はセレーネとか千冬さん、それに束さんにソル達も一緒に花火見たっけなぁ…」

 

希が花火を見つめながら呟く。

そんな希に私は先ほど聞きそびれた質問をする。

 

「ねえ…なんで感謝するのは希の方なの?」

 

「やっぱり簪と似たような理由かな?

簪と会わなかったら楯無さんや布仏姉妹とも会えなかったし空との再会もきっとなかった。

それに今俺は生きることが物凄く楽しい!!

簪が傍に居てくれるから…ありがとな」

 

「希…」

 

感謝するのはこっちの方だよ…

私は希に寄り添う。

 

「え?簪?」

 

「気にしないで…

ノゾミニウムの補給中…」

 

「ははっ…空みたいなこと言うのな」

 

希の右腕を掴み肩に頭を乗せる。

 

「私も…ずっと…ず~っと希の傍に居るからね…」




誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。

次回
生徒会のお仕事

お楽しみに~
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