IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~   作:ぼいら~ちん

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PHASE-39 カウンターエンカウント

「はああああ!!」

 

ガキィン

 

金属音が快晴の空の下響き渡る。

9月3日。

2学期最初の実習の模擬戦は白式の織斑一夏VSストライクのシャルロット・デュノアのマッチアップだ。

たまにはこういうのもいいんじゃないというセレーネの提案により行われた4組との合同実習。

本来は各クラスのクラス代表同士-つまり一夏と簪でやる予定だったのだが簪がそれを辞退。M1アストレイのロールアウト記念と銘打ってデュノア社のテストパイロットであるシャルが一夏の相手に抜擢された次第だ。

最初はエールパックを装備したストライク相手に白式お得意のエネルギー無効化攻撃のお陰で有利に進んでいたのだが、シャルの希望によりマルチプルアサルトストライカーの代わりとして開発された新パック、『トワイライトストライカー』の実体剣による乱舞や白式のそれを凌駕する機動性により段々と戦況はシャルの方へと傾いて行った。

 

「荷電粒子砲の撃ち過ぎだね!!」

 

「まだやれるぞ!!」

 

改良型のパワーエクステンダーによって装甲色がオレンジに変化したストライクが白式を肉薄する。

それに対応して一夏は雪片弐型を下から掬いあげるように振るう。

雪片と対艦刀『ジョワユーズ』が交わり再び大きな金属音が響く。

 

「甘いよ一夏!!」

 

シャルは右手にしかもっていなかった対艦刀を左手にも展開。

一夏をなぎ払う。

 

「くっ!!」

 

「一瞬で決める!!」

 

シャルはパックをエールに換装しサーベルによる攻撃を加える。

そのしてすぐにソードに換装し真上に打ち上げ、ランチャーに換装後アグニを零距離で打ち込む。

そしてトワイライトに換装し対艦刀で一閃の後に踵落としを見舞い…

 

「ゲームエンド!!」

 

腰についている荷電粒子砲『ブリューナク』を見舞う。

それを受けた一夏は背中から地面に叩きつけられシャルの言うとおり試合終了となった。

 

「すっげぇ!!

シャルロットのラピッドスイッチコンボだ!!」

 

「シン?

どうしたの…その口調?」

 

「俺はシンじゃないッス!!

マルコビッチッスゥ!!」

 

シンの一言でクラスのみんなが凍りついた。

いわゆるあれだ…シンがスベったのである。

 

「…ってやってられるかボケエエエェェ!!

テメェ希ぃ!!やっぱりシラけたじゃねえかああぁぁぁ!!」

 

「うわ!?

こっち来るなって!!」

 

まあ確かにやれって言ったのは俺だけど。

 

「今から勝負だ護ゴラァァァ!!」

 

「いいぜやってやる!!」

 

「覚悟しろやぁぁぁぁ!!」

 

「黙れ馬鹿ども」

 

スパァンスパァン!!

 

「「アッ―――」」

 

「デュノアと織斑の模擬戦だけで十分だ。

私闘は授業時間外にやれ」

 

「「すみません」」

 

やっぱり怖いよぉこの織斑家の大黒柱的な存在…

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「なあ希」

 

「ん?

一夏、どうかしたのか?」

 

翌日の朝休み。

これから行われる文化祭の説明の集会の為にホールへと向かっている時に横に居る一夏に声をかけられた。

 

「昨日俺が千冬姉の授業に遅刻した時にさ…」

 

「ああ、知らない上級生に悪戯されたってやつね」

 

「ああそうだ。

その人どっかで見たことあんだよなぁって思ってさ」

 

「特徴は?」

 

「水色のショートヘアーで…扇子持ってた」

 

ああ…アイツ(楯無さん)か…

 

「…ドンマイ…あの人に目ぇ付けられたのがお前の運の尽きッス」

 

「マジで!?」

 

「じゃ、俺は生徒会の仕事があるんでこれにて失敬」

 

「あ、ちょっと待てって!!

あとでジュース昼飯奢ってあるから!!」

 

「だが断る」

 

俺は一夏を置いて女子生徒たちの間を走り去っていく。

ていうか待てと言われて待つヤツは相当なお人よしだと俺は思う。

特にこういう誰かから逃げるときは。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「それでは、生徒会長から説明していただきます」

 

壇上にいる眼鏡の女性のアナウンスでざわざわと騒がしかったホール内が途端に静かになる。

それだけこの学校の生徒会長は生徒に慕われているのだなぁと思う。

 

「やあ、おはよう」

 

あの人、昨日の!?

 

「1学期にも挨拶したと思うけど、まあ1年生はあまり印象に残ってないかもしれないから改めて自己紹介させてもらうわ」

 

俺-織斑一夏は声をあげるのを必死にこらえて壇上の女性を見つめる。

すると気付いたのかこちらを向いた。

厳密に言うと彼女と一瞬だが目があってしまった。

 

「ふふっ

私は生徒会長の更識楯無。

あなた達生徒の長よ。以後よろしくね」

 

にっこりと笑みを浮かべる生徒会長はあらゆる人を魅了するらしく、何処からか熱っぽい呼吸音が聞こえてくる。

どんだけハイになってんだよ息の主は!?

 

「では、今月末の一大イベント、学園祭についてだけど。

今回は1年生に織斑一夏くんっているじゃない?」

 

その言葉に応じるように会長の背後の空中投影ディスプレイにに俺の顔写真がデカデカと映し出されるされる。

 

「というわけで特別ルールを設けるわ!!

名付けて『各部活対抗織斑一夏争奪戦』!!」

 

「は…?」

 

「「「「ええええぇぇぇぇぇ!?」」」」

 

俺の意見は無視か!?

 

「内容は文字通り今何処の部にも入部していない織斑くんを毎年恒例の各部活の催し物への投票で1位になった部活に強制入部させます!!」

 

「「「「おおおおぉぉぉぉ!!」」」」

 

「燃えてきたあああぁぁ!!」

 

「昂る…昂るぞぉぉぉ!!」

 

「やってやるわよ!!ちくしょおおおぉぉぉぉ!!」

 

「だから俺の意見は何処行った!?」

 

ホール中の生徒がこの事実に狂乱している中俺は壇上の生徒会長に目をやった。

すると…

 

「あはっ♪」

 

ウィンクされた。

 

「かいちょ~

おりむーの事はいいんだけどばーやん達ほかの6人の事はど~するんですか~?

それに出し物だけでは些か運動部には不利かも~」

 

「「「「はっ!?」」」」

 

のほほんさんの一言でみんな我に帰り壇上に目を向ける。

俺もつられて目を向ける。

そこには俯いている会長が佇んでいた。

 

「ふっふっふっふ…

運動部のみなさんは「あ、確かにそうかも!!どうしよう?!」なんて思っている方もいるでしょう。

そのことならモーマンタイよ。

後夜祭企画の発案者であり新生徒会役員カモン!!」

 

「ふぇっ!?

楯姉!!出番早くない!?」

 

ん?舞台袖からどこか聞き覚えのある声が…

 

「もぐもぐ…んくっ…

どもども~

ボクが残り6人についての企画について説明する生徒会会長補佐の星村空です。

よろしくねっ!!」

 

おいテメェ!!今何食ってやがった?!

 

「「「「きゃあああぁぁぁぁ!!」」」」

 

「空ちゃん可愛いー!!」

 

「空たんは私のものよー!!」

 

「何を言っている空たんはみんなの嫁だ!!」

 

なんかキチガイがわんさかいやがるよこの学校…早くなんとかしないと…

 

「はいはーい静かにしてねー

これから後夜際企画、「各部対抗、夜の男の子争奪戦線!!」を始めまーす!!」

 

なんかやらしい名前だがなんでOk貰えたんだろうか…?

これが女子高的なノリというやつなんだろうか?

 

「まあ簡単に言えば各部活対抗のサバイバルゲームです!!

各部活から6人選抜して用意された武器で敵をなぎ倒しつつ相手陣地の旗を取るという単純なルールです。

詳しくはこれから配る「詳しいルールについて」の紙を見てね♪」

 

その途端、端の方にて待機していた先生方が4~50枚程の紙を列の先頭の人に渡しそれがどんどん後ろに回って来た。

 

「ほら一夏」

 

「サンキューレオス」

 

俺は渡された紙を凝視する。

空の説明したルールの他にも、倒された場合は自陣に戻って待機している人と交代とか、部の旗が取られたらその部は脱落全員撤退後寮にて待機、脱落する順番が一番遅かった部が優勝などの基本事項が書かれていた。

でも6位から上の入賞賞品の欄が全部空白だ。

印刷ミスかなにかだろうか?

 

「みなさんお気づきだと思いますが優勝から入賞までの賞品の欄が空白ですよね?

さあみなさんお待ちかね、後夜際企画の賞品は…

1年生に所属する星村希以外の6人の男子のうち一人を上位6つに強制入部させる権利です!!」

 

「「「「おぉ~!!」」」」

 

俺の時と同じように空中投影ディスプレイにレオス、スウェン、ソル、キラ、アスラン、シンの顔写真が映し出される。

 

「ちなみに何処の部に誰が入るかは運次第!!

入賞した部活の代表者のくじ引きによってきめて頂きます!!」

 

「ちょっと待てぇ!!

俺達の意見は無視か!!」

 

「まあまあ落ち着いてよシン・ナントカくん」

 

「アスカだこのバカ!!」

 

いつも通り空の横暴にシンがキレた。

まあいつも通りだからあんま気にしない方がいいだろう。

 

「はいは~い。

流石に勝手に初めて抵抗する間もなく強制入部はあんまりなので、シンくん達にもエスケープする方法を設けたよ~

そ・れ・は・ね~シンくん達にもチームを組んでもらってそのチームが上位6つに入れば強制入部を回避できま~す」

 

「ちょっと待て!!

ここの部活数って31もあるんだぞ!!そんなにあるうちのBEST6ってほぼ無理ゲーじゃねぇか!!」

 

「さあどうする?!

今こそ決断する時だ!!

何もせずにこのまま楽をするか、戦って自由を勝ち取るか!!

自分の心で感じたままに物語を動かす時だ!!」

 

「それなら僕はやるよ…

どんなに苦しい思いをしても…未来を帰ることができるなら…」

 

「俺もキラに同意見だ。

戦いでしか解決しない問題ならやむ終えないだろう」

 

「俺も…断る理由はないな」

 

「僕も乗った。

イベントはみんなで参加しないと楽しくないからね」

 

「俺もやるぞ!!

IS学園生の団結力、学ばせてもらう!!」

 

「シンくんはどうするの?」

 

ホール中の視線が一斉にシンの方へと集まる。

 

「だぁぁぁ!!やればいいんでしょうやれば!!

でも、簡単にはやらせませんよ!!」

 

「素直でよろしい。

あ、あと言い忘れてたけどこのイベントは部活動の勧誘活動の一環としての任もあるから、入部してない生徒をチームに引きいれることも可能です。

即戦力になる専用機持ちなんかスカウトするといいかもね」

 

そういうことらしい。

まずは文化祭の出し物なにがいいかな…?

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「突然呼びだしてなんスか?」

 

「交渉するときは少しでも知り合いが多い方が相手も警戒しないでしょう?」

 

俺は楯無さんと共に職員室の前にいた。

目的は後夜祭のチームに一夏を加えるためである。

真の目的は本人に伝えない方針ではあるが。

 

「それにしても一夏が亡国企業(ファントム・タスク)なんて組織に狙われているなんて驚きッスね」

 

「希くん、それはあなたも同じことよ。

一夏くんの護衛は私がやるけどあなたは?」

 

「自分の身くらい自分で守らなくちゃ…って言いたいところなんスけど…

一人は流石にきついかもッス」

 

「そう言うと思ったわ。

だからあなたの護衛には簪ちゃんが適任だと思うの」

 

「部屋が一緒だから守りやすいと」

 

「それもあるけど…このことを話したらあの子が「希は私が守る」って聞かなくて。

それに簪ちゃんね、夏休み中に私とマクグリフ先生の秘密特訓を受けているから実力的にはかなり上がっているわ」

 

「誰かを守るためにはまずは己から…ってことスか?」

 

「そういうこと」

 

ガララ

 

唐突に職員室のドアが開いた。

そこから出てきたのは目標の人物織斑一夏であった。

 

「やあ」

 

「お疲れッス一夏」

 

「………」

 

うわぁ…警戒心剥き出しやん…

俺のいる意味ないやん…

 

「楯無さん…アンタはこいつに何をしたんだ…

会うのが2回目だとしてもここまで警戒心剥き出しにされる人なんてそうはいませんよ?」

 

「う~ん…

あんなことや~こんなことだよ~(意味深)」

 

「ああ…だ~れだってやったんですね。

わかります」

 

「何故それがわかるし!?」

 

アンタと半年も付き合ってれば行動パターンなんて読めるさ。

俺達を振り切ろうと一夏はアリーナの方へと歩き出した。

完全に第一印象最悪だよもう…

 

「まあまあそんなに塞ぎ込まないで。

若いうちから自閉してるといいことないわよ?」

 

「「誰のせいだ。誰の」」

 

「う~ん…おもに空ちゃん?」

 

「自覚症状ないのか!?」

 

確かに空の一夏に対する扱いはいいものではないが!!

 

「まあ今日私達がここに来たのは君と交渉するためであって…

後夜際の助っ人として生徒会チームに入って欲しいの!!」

 

「えぇ…」

 

ほら楯無さんのせいでこんなにも一夏が嫌がってるじゃないか!!

 

「だったら交換条件をつけましょう。

これから私が当面ISの操縦技術の稽古をつけましょう。

で、希くんが剣術指南ね」

 

「なんで俺も巻き込まれなきゃならないんスか!?」

 

「だって「俺も混ぜて欲しいッス!!」って顔に書いてあるもの」

 

「もしそれが見えてるんであればアンタの目にはきっと物凄く高価なビー玉がはまってるんだろうな」

 

「む~希くんのいじわる!!

簪ちゃんに言っちゃうもん!!」

 

はぁ…まあ彼女の姉の頼みをきかない事もないか…

 

「分かりました。

引き受けましょう」

 

「よし!!」

 

「あの~」

 

俺達が会話をしていると一夏が口を開く。

 

「俺にはもうコーチは間に合ってるんで」

 

「おい一夏。

それはもったいないぞ。生徒会長が直々に指導してくれるんだ。

これ以上いいことなんてなかなかないかもよ?」

 

「は?」

 

「だからこの学校の生徒会長ってのは…」

 

俺が最後の言葉を紡ごうとした時、前方から竹刀を持った女子生徒が突っ込んできた。

 

「更識楯無、その首貰ったぁぁぁ!!」

 

「な…?」

 

「また来たよ…会長、俺が」

 

「今日くらいは私がやるわよ」

 

二人の間に立った俺の横を通り抜け楯無さんは扇子で竹刀を受け止める。

そして空いた左手の手刀で女子生徒を仕留めた。

そして窓ガラスが割れ、外から矢が飛んでくる。

 

「今度はなんだ!?」

 

「気にすんな。

今日でもう6回目…修繕する俺の身にもなって欲しいっつの…」

 

「6回!?」

 

「まあそんなことはどうでもいい。

この学校の生徒会長、目の前に居る更識楯無ってお方はこの学校の生徒で唯一の国家代表だ」

 

「な!?」

 

「というわけで、俺達の頼みを聞いてくれないか?

一生のお願いだ!!シャル達にはちゃんと弁明もするから!!」

 

「…取り敢えず話を聞くさ。

なんせ昔からの親友の頼みだからな」

 

「話がわかるようで助かるぜ!!

っと楯無さん、行きましょう?」

 

「ええ」

 

声のした方を振り向くと昏倒した剣道少女に割れたガラス、ドアのひしゃげた掃除用具入れ、その被害地の中心にはにっこりと笑顔の上級生が佇んでいた。

なんとも言えない…シュールすぎる…




誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。

次回
学園最強の女子生徒(二重の意味で)

お楽しみに~
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