IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~   作:ぼいら~ちん

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PHASE-40 突然の変化

本日6回目の襲撃の後始末を終えた後…俺達は生徒会室へと足を運んだ。

一夏は取り敢えず話を聞いてからチームへの加入を考えるとのことなので俺達の作戦は生徒会室の美味しい食べ物で一夏をものにしてしまおうというものだ。

食べ物で釣るのは昔からの常套手段である。

 

「取り敢えず生徒会室に来てみたはいいものの…」

 

「なんでみんな寝てるんだ?」

 

「…きっと夏休み最後の1週間分の疲れが今になって出てきてみんな寝ているだけでしょう」

 

本音や空だけならともかく、普段真面目な虚さんや簪までもが寝ているなんて…不思議なこともあるもんだ。

そしてテーブルの上の小包に目をやる。

中を見ると青と白を基調にしたブレスレットと白いのラベルの貼ってある小さな瓶が入っていた。

 

「これは?」

 

「ああ、篠ノ之博士から来た荷物ってね。

さっき簪ちゃんから希宛てに届いたって聞いたわよ」

 

「俺の部屋に直で送ってくれればいいのに…

しっかしこの瓶は…ん?「いっくん専用女体化薬DX(ダブルエックス)」?」

 

またまた怪しい薬をつくったもんだあの人は…

そんなことを思いながら虚さんが淹れたと思われる紅茶をポットからティーカップに注ぐ。

なになに?

『いっくん専用とは名ばかりで全ての男が一口飲めばあら不思議。女の子に大変身!!

ちなみに女の子が飲んでも男の子になることはなく飲んでしばらくしたら眠くなるだけだから安心してねのーくん。』

俺が読むことを想定して説明を書くとは…篠ノ之束…恐ろしい子…

でも俺は飲まないから問題ない!!

そして俺は紅茶を一口口にする。

うん!!今日も美味い!!流石は虚さんだぜ!!

 

「希…それは…飲んじゃ…ダメ…!!」

 

「ん?

簪、いまなんて?」

 

ボン!!

 

「うわ!?」

 

「なに!?何事!?」

 

簪の弱々しい声が耳に入った瞬間、俺の視界が白い煙に覆われた。

なんだろう…体が…熱い…?

そしてすぐさま楯無さんが部屋の中の窓を全開にする。

次第に煙が晴れてゆく…そして俺の目に映ったのはポカーンと口を開けた楯無さんと一夏だった。

 

「お前…誰だ…?」

 

「なに言ってんスか一夏?

見ての通り星村希だよ」

 

「ねえ希くん…いや希ちゃん(・・・・)

自分の顔を見てみなさい」

 

そう言って楯無さんは俺に手鏡を渡してくる。

今日の昼飯は海苔弁当だったからな。

きっとほっぺたに海苔でもついているのだろう。

そう思い鏡を覗き込む。

するとそこには何処となく空に似ている黒髪碧眼のアホ毛少女が映っていた。

しかし顔立ちが少し凛々しいことから別人だと理解する。

 

「…え?」

 

女、おんな、オンナ…何処からどう見ても鏡に映っているのは高校生くらいの女の子だ。

そして今俺は自分の顔に鏡を向けている。

これがあらわすことはただ一つ…

でも…信じられない!!

俺は現実を認めまいとズボン-もといパンツの中を確認する…

しかしそこに俺のこの世界に来る前から共に人生を歩んできた盟友の姿はなかった…

 

「楯無さん…」

 

「なに?希ちゃん…?」

 

「内線で織斑先生に伝言お願いします…

女子用の制服を1着もって生徒会室までお願いします…と…」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「…どうして星村妹が二人もいるんだ?」

 

「だ・か・ら!!俺が希で、そこで寝てるのが空ですって言ってるじゃないですか!!」

 

「すぴ~」

 

連絡を入れてから数分後…伝言通り千冬さんは制服を持って生徒会室に現れた。

そして第一声がこれ。

まあ、制服とついでに女性用の下着を持ってきてくれたのは物凄く感謝している。

なぜか下着の柄が白ではなく水色のしましまだったのは何か意図があるのだろうか…?

 

「冗談だ。

それにしても…また束か…」

 

「また…って昔にもあったんですか?」

 

「うん…

中学生になったころに一回あったんだ…あの時は大変だったなぁ…1日で元に戻ったけど」

 

「見ろ希。

この薬「解毒剤を飲まなきゃ元に戻れないよのーくん」って書いてあるぞ。

「この篠ノ之束は同じ過ちは繰り返さないのだよのーくん!!いやのーちゃん!!」とも書いてある」

 

「あんのクソうさぎぃぃぃぃ!!

俺を飲ませることを前提にこれを送りつけてきたのか?!

許さん!!断じて許さん!!」

 

「落ち着いて希。

叫んだところで何の解決にもならないよ。

寧ろ状況が悪化していくだけ…」

 

確かに…

まずはなんでこんな状況になってしまったのかを知るのが先決だ。

 

「まず簪。

なんでみんな寝てるんだ?

まさかティーポットに薬をぶち込んだのか?」

 

「うん…本音が虚さんの淹れたお茶になにかしたらしくて…それを飲んだら急に眠くなって…

それがええっと…4時頃だったかな?」

 

大体1時間程前…か…

 

「ふむふむ…

要は本音の悪戯心から起きた不運な事故ってわけだな。

よし。あのクソうさぎをぬっ殺そう」

 

「なんでその考えに至るのかしら?!」

 

「星村兄…いや星村姉…私も協力しよう」

 

「なんで織斑先生もノリノリ?!」

 

「布仏は悪くない。悪いのは束だ。

全て束が悪いんだ」

 

「責任転嫁の仕方がわけわからない!!」

 

そう全部あの忌々しい天災うさぎが悪いんだ…

全部…ぜんぶ…ゼンブ…

うさぎ討伐へと行こうと俺は立ちあがろうとする、しかし足に美味く力が入らない…

 

「あの…一夏さん…?」

 

「どうした希?」

 

「腰が抜けちゃって立てない…」

 

「だったら俺が部屋まで送ってやるよ。

簪と一緒に休んだ方がいい。

突然こんなことがあって疲れただろ?」

 

「それもそうだな。

このことについてはまた後日考えよう。

私はそれまでに束とコンタクトを取ってみよう」

 

「それが良いですね。

希ちゃん、簪ちゃん。

今日は部屋に戻って休みなさい。

いけ一夏くん!!」

 

「俺は犬じゃないんですから…

じゃあ行くか…」

 

そう言って俺の傍にしゃがみこむ一夏。

そして俺の膝の裏と背中に手を回し俺を一気に持ち上げた。

 

「な…な…!!」

 

「ん?どうした?」

 

「にゃんでお姫様だっこなのさ!?

しかも突然!!何の前触れもなく!!」

 

抗議の目を向けその上でポカポカと一夏の頭を叩く。

あまり一夏が痛そうにしていないところから女になって筋力等も落ちている事が発覚した。

 

「こら、あんまり暴れるな。

パンツ見えてるぞ?」

 

「にゃ!?」

 

一夏の一言に咄嗟にスカートを押える。

もう時すでに遅しだとしても押える…これが女の子の性ってやつなんだろうか…はたまた条件反射か…

 

「見えてた…?」

 

「ええ、ばっちり水色のしましまが」

 

「一夏あああぁぁぁぁ!!

ばかばかばかばか!!一夏のばかぁぁぁぁ!!」

 

「だから暴れるなって!!」

 

「千冬さん!!今すぐ元に戻りたいです!!

方法を教えてください!!」

 

「ググれ」

 

マジでかぁぁぁぁ!!

 

「くそぅ…一夏…早く部屋に連れてって…」

 

「う~い。

ほら、簪も行くぞ」

 

「うん…」

 

当然お姫様だっこは継続中…

はぁ…やっぱり千冬さんにニーソも持ってきてもらうべきだった…

だってパンツの輪郭は見えても柄は見えないでしょうあれ。

ん?そんなことはない?

まあ今度実験してみればいいか。

 

「む!?

一夏!!その女は一体誰だ!?」

 

…相当厄介なヤツと出くわした…なんでよりにも寄って鈴じゃなくて箒なんだよ…

 

「おお箒か。

どうした?」

 

「はろー…」

 

「は、はろー箒…

お、お元気?」

 

「誰だ貴様は!?

何故一夏にお、お、お姫様だっこされているんだ!?

答えろ!!」

 

鬼の如き形相で俺に顔を近づけてくる箒。

もう箒の顔が目と鼻の先である。

なんと言うか…近い。

 

「ああ、こいつ腰が抜けちゃったみたいでさ~

今部屋に向かって運んでるんだよ」

 

「そうそう!!

ね、簪!!」

 

「うん…そう」

 

「だから貴様は誰だ!!

というか一夏の何なのだ!?」

 

「え~と…幼馴染?」

 

「お、おさ!?

き、聞いていないぞ一夏!!

ええい!!ならば斬る!!」

 

何処からともなく日本刀を取り出しそれを抜く。

抜刀と同時に鞘を投げ捨て、そのまま振りかぶる。

 

「なんでそうなる!?

落ち着けって箒!!」

 

「問答無用!!」

 

こんなところで死ぬのはごめんだぁぁぁ!!

 

「あれ?

希じゃない?また篠ノ之博士の薬で女になっちゃったわけ?」

 

箒の背後から声が聞こえてくる。

そして箒の降り降ろした日本刀が俺の額に当たる寸前で止まる。

 

「助かった~

ありがとう鈴!!いや鈴様!!」

 

「何を言っている鈴。

希など何処にもいないだろう」

 

「いるじゃないそこに」

 

一夏に抱えられた俺を指さし鈴は答える。

しかしまだ箒は理解できていない様子である。

 

「その女が希だと?

笑わせるな鈴。第一希は男だろう」

 

「なあ箒。

これ見てもわかんないのか?」

 

俺は右手についたブレスレットを箒に突き出す。

これを見て感情の波に少し変化があったが表情は崩さない。

流石は自分の事を武士と豪語するだけある。

 

「し、しかしだな!!

同じデザインのものなんてこの世に幾らでも存在するだろう!!」

 

「これがサイコフレームで出来ていてもか?」

 

そう言った途端にブレスレットから緑色の光が灯る。

 

「!?

その光は!?」

 

「わかってくれたか?

まあ取り敢えず俺の部屋に行こう。

説明はそれからでも遅くはない」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「なんでまだ戻んないんだよ…」

 

「ググれ」

 

「マジスか!?ていうかまたスか!!」

 

数週間後、結局俺の体は元に戻らず、現在千冬さんの依頼(と言う名の脅迫)により束さんが解毒薬を作っている最中らしい。

あれから2、3日は慣れるのが大変だったなぁ…おもに着替え的な意味で。

ここ数週間でわかったことは女の子のスカートってのはスースーして落ち着かないってことである。

そして弾にあげると言った学園祭のチケットだが、一夏がすでにあげることを約束していたらしいので代わりに蘭に譲ることにした。

そして現在俺は一般の人たちのチケットのチェックの為に虚さんと一緒に校門に立っていた。

 

「それにしても何でしょうね…

突然女の子になる薬を送りつけてくるなんて…」

 

「さあ…あのうさぎはそう言ううさぎですから…」

 

もっとおとなしくしてれば可愛いと思うのだが…

そして気になることがもう一つ…

 

「なんで俺だけ制服じゃなくてメイド服なんですか?」

 

「あ!!そこのあなた達!!」

 

俺の素朴な疑問を無視して虚さんはどこかへ行ってしまった。

 

「無視しないでください!!

ってヌオォ!?」

 

「ん?

今なんか変な声がしたような…って何あのメイド!?超可愛いじゃん!!」

 

「お、お兄!!そんなにはしゃががないの!!

すみません。バカなお兄が騒がしくて」

 

なんで五反田兄妹登場なんだよぉぉぉぉ!!

蘭にはこの状況を伝えているのだが…なんで弾に伝えなかったんだよぉぉぉ!!

それでも俺-星村希は生徒会副会長である。

友人が在学中の学校を訪ねてきたら笑顔で迎えるのが副会長の務めであろう。

あくまで俺はそう思っている。他の副会長の考えなんぞ微塵も興味がないが。

 

「は、はろ~弾、蘭。

元気~?」

 

「見ろ蘭!!メイド系美少女が俺に話しかけてきているぞ!!」

 

「あ、希さんこんにちは」

 

「あら?

希くんの知り合い?なら話が早いわ。

この子たちにチケット渡したのはあなたってことでいいのかしら?」

 

「へ…うわぁぁぁぁ!!

美少女かと思ったら3年前の夏に現れた星村希(♀)じゃねぇか!!」

 

なんでニド●ン(♀)っぽい感じにしてんだよ!!

でも今のでちょこっとイラッときたぞ?

 

「なんだよその反応!!

こんな美少女に話しかけられてるだけいいと思うッスけどねぇ…

なあ一生童貞の五反田くん?」

 

「な!?

お、お前だって彼女いない癖に!!」

 

「残念無念またらいね~ん!!

既に彼女はいるのさ!!」

 

「はいはい騒がない。

ところで君。チケット見せて」

 

「は…!?

は、はいっ!!」

 

弾の態度が変わった…!?

ほほう…一目惚れかぁ…いいねぇ…流石は虚さん…弾を一目惚れさせるとは…

そんな弾を尻目に虚さんは慣れた手つきで端末を操作する。

 

「配布者は…織斑くんでいいのね?」

 

「あ、アイツって…そんなに有名なんですか?」

 

「有名も何もなぁ…

アイツいっつも数多の女子に引っ張りだこだぜ?

なんせ学園内に数名しかいない男子の中でもそれまた数名しかいない彼女無し男子だからな」

 

「ひ、引っ張りだこ?!」

 

「あ、あのっ!!」

 

俺と蘭が会話している中、弾が虚さんに向けて声を発する。

 

「き、今日は、天気がい、いいですね!!」

 

「そうね」

 

かいわしゅーりょー!!

もっと気の利いた言葉かけろよ!!

 

「おっとすまんな二人とも。

俺はまだ仕事が残ってるんでもう少しここに居なくちゃならない。

一夏呼んどいたからアイツと一緒に回ってくれ」

 

「う~い」

 

「い、一夏さんと!!」

 

蘭が驚嘆の声をあげる。

最初は俺と回るって予定だったんだがなぁ…そんな蘭の耳もとで俺は囁く。

 

「ま、俺がいけない埋め合わせってことで。

いい加減に落として来い!!」

 

「は、はい!!」

 

そうして同級生男子と後輩女子の兄妹は校舎へと歩いて行った。

 

「ねえ希くん…」

 

「はい?」

 

「あの男の子はなんという名前ですか?」

 

「フルネームッスよね?

五反田弾ッス。

ちなみに一緒に居た女の子は妹の蘭ッス」

 

「そ、そう…ですか…二人は同級生ですよね?」

 

「はい」

 

「…二つも…年下…」

 

「はい?」

 

「い、いえ。

なんでもありません。ありがとうございます」

 

突然何を…と思ったのだが…虚さんの頬が心なしか赤い…

ほほう…よかったなぁ弾…脈ありかもよ?

 

「なんなら連絡先教えましょうか?」

 

「だ、大丈夫です!!」

 

そんなこんなで俺のIS学園での初めての学園祭が始まった。




誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。

次回
お祭りの最中にアクシデントが起こるのは常識

お楽しみに~
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