IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~ 作:ぼいら~ちん
「……9月下旬なのに…9月下旬なのに…
あっつい!!」
「うるさいですよ希くん」
「大体なんだ何だよ何なんですか!?
このクソ熱いなかでなんで俺だけメイド服なんスか!?
おかしいッスよ!!まだ水着の方が良いわ!!」
「ここにありますよ。
簪様の水着が」
「すんません調子乗りましたもうやめます」
校門でのチケットチェックを開始してはや数時間が経過した。
結構人が来て「あ、あの子可愛い~」なんて俺の事を指さしながら歩いて行くところを笑顔で手を振ることしかできない俺はなにかこそばゆいものを感じていた。
なんか暑くて眠くなってきたよパトラッ●ュ…
「あ…希くん。
後は私に任せてくれて結構です」
「はい?
なにかありましたっけ?」
「時計見てください」
俺はメイド服の前についたポケットから携帯電話を取り出す。
時間は午後1時をちょっと前だった。
「あ、そういや2時から生徒会の劇でしたっけ?」
「会長が希くんにも手伝ってほしいって言ってたからそろそろ行った方がいいと思いますよ?」
「第4アリーナでしたっけ?」
「ええ。
後のことは午後の当番の簪様に任せるから大丈夫ですからね」
「はい。
ありがとうございます」
俺は小走りでアリーナへと向かう。
出来る限り早くついて一夏が変な格好してるところををあざ笑う為にな。
◇ ◇ ◇
「いたっ」
「す、すみません!!」
アリーナへ向かう途中、何か嫌な予感がするとか思ってたら案の定。
通行人の少女とぶつかって転ばせてしまった。
大体年は同じくらいで、水色の髪型で簪や楯無さんのような水色に近い色のボサボサとした短髪で、結構活発そうな印象を受ける。
そして左の前髪には翼の形に紅い石のはめてあるヘアピンが刺さっている。
…どっかで見たことあるような…
「大丈夫ですよ。
ところで…あなた、ここの生徒さんですか?」
「ええ、まあ…」
「あの…星村希さんってご存知で?」
「…俺…ですけど?」
「あなたが!!常々お話は聞いております。
私は更識家に使える「レイス・レイス」という者です。
気軽にレイスとお呼びください」
「よろしくッス。
で、本題の方は…?」
「そうでしたね。
楯無様に第4アリーナにあなたを連れてきて欲しいと名を受けたのですが…」
「ですが…?」
「第4アリーナとは何処にあるのでしょうか?」
はぁ…あの人のよくやりそうなことだなぁ…
面倒なことは丸投げ…本当にあんな人が生徒会長名のかって時々疑ってしまうくらい無責任だ。
「分かりました。
ちょうど俺もそこに用があるんで一緒に行きましょう」
「はい!!
ご案内よろしくお願いします♡」
年…大体俺らと一緒なのかなぁこの人…
「ってよく見たら目の前のこれが第4アリーナッスよ!!」
「あら?
同じような建物が沢山ありますから分からなかったです」
…入口に第4アリーナって書いてあるのに…この人結構天然気質?
俺はレイスという女性と共にアリーナの更衣室へと足を踏み入れた。
「ところで俺の事はなんて聞いているんですか?」
「それはそれは立派な人だと…」
「誰からッスか?」
「ええと…楯無様や知り合いの女性からです」
右手の人差し指を立て、指先を少し左の頬に当てる。
しかしその表情は少し硬い…どこか焦っているかのような感じがする。
たぶん普通の人にはわからないような変化であるが、ニュータイプである俺にはわかる。
…すこし揺さぶってみるか…
「まさか俺に絡んできたのって…
俺に告白するためですか?
本来俺は男ですし…なーんて」
「そ、そんなことないです…私はあなたに異性としての興味はありませんので」
「え~なんでッスか?」
「想う人は別にいる…から…」
「マジで!?どんな人なんスか!?」
「可愛くて…優しくて…本当に素敵な人です…」
「なんか女の人みたい…ハッ!?
まさか…レイスってそう言う趣味の…
女の俺もストライクゾーン内ってことスか!?」
「ち、違います!!
―――いや違わないか…?
とにかく違うんです!!」
ぶんぶんと腕を振り回して抗議するレイス。
う~ん…どっかでこの人の感じ…あったことがあるような…
「あらレイスちゃん希ちゃん。
早いのね」
「た、楯無様!!
希さんが苛めてきます!!」
「ダメじゃない希くん。
女の子をからかっちゃ。
この子、あなたと同い年よ?
仲良くしなきゃダメよ?」
「やっぱり~そんな気がしたんスよね~」
「ささ、衣装も準備してあるからちゃちゃっと着ちゃってよ」
そう言って楯無さんがロッカーの影から取り出した衣装は…
イギリスの王宮警備に当たる近衛兵が来ていそうな真っ赤な服だった。
まああの土管みたいな帽子がついてないだけましだと思うが…
「これを…着て出るんですか…?」
「もちろん♡」
この衣裳を見たレイスも「え…マジで?」とでも言いたそうな満更でもない表情をしていた。
う~ん…でもこの子…何処となく仕草が男っぽいんだよなぁ…
◇ ◇ ◇
「はあ…はあ…なんだよこの劇!?」
俺―織斑一夏は走っている。
なぜかって?
劇の演出だか何だか知らんが箒、セシリア、シャル、ラウラ、鈴の五人に追われている。
しかも相手はしっかりと武器を持っている。
明らかに俺が素手なのはおかしい…
「「王冠は貰ったぁ!!」」
横合いから突然二つの影が現れる。
一人は日本刀を持った黒髪ポニーテール少女、もう一人は飛刀を持った茶髪ツインテール少女だ。
しかも二人ともなぜかとても息が合っていて回避する隙がない…
万事休すか…
「ふん!!」
「せあ!!」
目を瞑って痛みを待つが一向に来ない…
目を開くと黒髪少女には手甲を付けた水色の髪の女性(確かここに来る前にあった気がする)が、茶髪少女には2艇の拳銃を持った黒髪の女性がそれぞれ攻撃を受け止めたいた。
「希…レイスさん…」
「だらしがありませんね王子」
「家臣として情けないです。
片方の手が空いてますので1度殺してさしあげましょうか?」
「開口一番ひでぇなおい!!」
『おおっとここで王子の救援に現れたのは王子に使える最強の近衛兵「ノゾミ・ホシムラ」と「レイス・レイス」だぁぁぁぁ!!』
くっそう…ムカつくなアナウンス…
こっちは相当命がけなのに…!!
「ここは私めにお任せください」
「早く行かないと眉間をブチ抜きますよ?」
「なんか一人だけ態度が真逆!?」
『最強の近衛兵が登場したところでここで一般参加者の入場です!!
王冠が奪えるよう是非頑張ってください!!』
「ひぃぃ!!っておわぁ!?」
その時だった…
俺は誰かに足を引っ張られセットの上から転げ落ちた。
◇ ◇ ◇
「人多すぎだろ…
会長!!一夏の姿が見えない模様!!」
『やはり仕掛けてきたか…
一夏くんのところへは私が行くわ!!
逆方向のロッカーでIS反応をキャッチしたからそっちをお願い!!』
「分かりました!!レイスさんは生徒の避難を!!」
「わ、わかりました!!」
タタタとレイスさんはどこかへ走り去っていく…
俺も目的のロッカーへと衣装を脱ぎ捨て走り去った。
ちなみに衣装の下には普段着であるスポーツブランドのTシャツで下はカーゴパンツである。
近衛兵の服って無茶苦茶動きにくい…オーブの制服の方がまだましだって…
「増援はなし…相手の力は未知数…全力で決めるか…」
俺は星彩を展開し更にスピードを上げる。
そして目的のドアを星火燎原の光の奔流でぶち壊す。
そして壁を抜いた先に見えた機体は…黒いコートを纏った女性の乗った黄色い機体…
その名は
「起きぬけぶっ殺す!!」
俺は光の奔流を刀の形に集束させ右手に収め、黄色い機体にスロットルを全開にして肉薄する。
「その機体はぁ!!あの時のお子ちゃまか!!
少しは強くなったのか!!
ええ?!」
ガキィンという甲高い音がロッカールームに響き渡る。
刀が交わった衝撃で俺の首にかかったヘッドホンが吹き飛び、そして女のフードが取れる。
そこには機体と同じく黄色い髪をしたいかにも悪そうな顔の女の顔があった。
「ぜらぁ!!」
俺は女の胸部を思いっきり蹴る。
その反動で数メートル距離を開ける。
相手は接近特化…ならば相手の間合いに少しでもいる時間を減らしつつ接近戦をこなせばいい話だ。
「はあ…顔を見られたか…
お前を殺す理由がもう一つ増えたなぁ…
しっかし本当に情報通り女になってるとは…」
「てめぇ何もんだ!?
まさかアンタも
「答える義理はねえが…どうせてめえは死ぬんだ!!
冥土の土産に持って行け!!
あたしは亡国企業の13人の幹部のうちの11番目、カレン・ガレットだぁ!!」
「くぅ!!」
己の名前を口にした途端こちらを肉薄してくる。
こちらのISのパワーアシストの能力にパワーを回しておかないだけあってこともあってこちらが少々押され気味だ。
「あの時とまるで変わってないじゃない!!
変わったのは性別だけ?!」
幾らバーニアを吹かせても一向に進まない。
寧ろこちらが押されているだけである。
「はあ!!」
「ぬあぁ!!」
俺の体は相手のタックルによって数メートル弾き飛ばされ壁に激突する。
視界がブラックアウトするのを必死に堪え前を向くとそこには紫電を纏った黄色い機体。
「いい加減目障りよ!!」
電撃を纏ったナイフがこちらに振り下ろされる。
万事休すか…
「やらせるか!!
ブラスターカノン!!」
「がはっ!!」
しかしカレンが突如横から飛んできた青い光の弾丸によって弾き飛ばされる。
俺は弾丸の飛んできた方向を見る。
視界に入ったのはエクリプスフェースに変貌したエクストリームを駆るレイス・レイスの姿だった。
「大丈夫か希!!」
「レイス!?
エクストリームに乗ってるってことは…」
「そうだ、私は…いや…俺はレオス・アロイだ!!
楯無さんから頼まれたんだ。
あの薬を飲んで希の事を守ってくれと」
あの薬とは俺が飲んだ女体化薬のことだろう。
「でも…あの薬は…」
「しっ!!」
ビュンとこちらに8本の黄色いナイフが飛んでくる。
それを俺達は機体を動かし避ける。
「ははははは!!
ハエの一匹やニ匹増えたところであたしの勝利は普遍的なんだよ!!」
「それは…どうかな?」
突如、俺の機体の背部から青白い光が噴き出た。
光の量はかなり多く、部屋の壁を覆ってしまうほどだ。
「な!?
何だこれは!?」
「
まあちょっとばかし細工をしたわけだが…
ミノフスキー粒子って知ってるか?」
「それは…宇宙世紀の…」
レオスが驚きを隠せないような声で呟く。
「そう。
セシアが言ってくれたんだ。
ミノフスキー粒子は俺の星火燎原によって発生する光と親和性が物凄く高いってな。
で、推進機関のパーツを全部ミノフスキークラフトユニットに総とっかえ。
知り合いに整備課の主席がいて助かったよ」
「だからどうしたよ?!
光が多くなっただけでお前は何にも変わらない!!
雑魚のままだってことだろうが!!」
エクレールが俺を肉薄する。
振り下ろされるナイフを俺は粒子を纏わせた拳で止めた。
「まだわかんねえの?
機体性能が著しく低下してたのは俺とセシアで推進システム弄ってたから。
その分エネルギーも頭も全部そっちに回してたってわけだ」
「つまり…アンタは…全く本気を出してなかったのか…?」
「そう。
全部演技」
にっこり笑った俺はエクレールのパイロットの顔面を空いた手を握りぶん思いっきり殴る。
壁に向かって飛んで行ったエクレールは壁に大きな穴を開けてやっと止まった。
「…パイロットのバイタルデータは…気絶っと。
楯無さん!!エクレールの無力化に成功です」
『流石はエースってところかしら』
「これよりそちらの援護に―――」
ゾクリと背筋が凍った。
思わず無力化したはずのエクレールの方を見る。
するとパイロットは気絶しているはずなのにゆらりと立ちあがっているところだった。
その両の腕はだらーんとさがっていた。
「…すみません楯無さん…
学校の設備…もっと壊すことになるかもしれないッス…」
『え?
ちょっと希ちゃんどういう―――』
俺は通信回線を強制的に切る。
そしておぞましい気配を纏ったエクレールの背後に機体全長とほぼ同じ長さの大剣が現れ、それを抜刀し構える。
「第二ラウンド開始ってか?」
「あれはエクストリームガンダム…タキオンフェーズ…」
レオスが言葉を紡ぎ終えると同時にエクレールの大剣に紫電が迸り剣を包み込む。
そして俺達の頭の中に声が響いた…
―始メルカ…砕カレタ希望ノ
誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
次回
希望ノ極光
お楽しみに~