IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~   作:ぼいら~ちん

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PHASE-42 希望ノ極光

「またこいつかよ…」

 

俺はつい先ほどまで劇を行っていたアリーナのフィールドへと逃げた機体を追いながら毒づく。

こいつの感じ…福音戦の時のにそっくりだ…

 

「レオス、アリーナ内の人間の避難は全部終わってるんだよな」

 

「もちろん。

ネズミ一匹いないと思うぜ」

 

取り敢えず辺りには俺達と逆側の更衣室の気配と大剣のISの気配以外感じられない。

おそらく更衣室の更衣室には一夏と楯無さんがいることだろう。

 

『行ケ!!』

 

「うわ!?

飛び道具あるんスか!?」

 

俺は突如飛来した衝撃波を星火燎原でコーティングしたシールドで弾く。

弾いたそれはアリーナのシールドへ直撃し、大きな爆発音と共にコンクリートなどが飛び散った。

直撃すればひとたまりもないだろう。

 

「気をつけろ。

あの機体は、ゼノンフェースの元となった機体データの一つだ。

格闘戦もそうだが、中距離戦もなかなか様になる上、あの図体で相当な機動性能を持っているため射撃戦に持ち込むのも…」

 

エクリプスを駆るレオスが淡々と語る。

俺は両肩のアウロラver.BCを起動し射撃を行うが、タキオンの背部に現れたマントのような装甲に阻まれてしまう。

 

「硬ぇ…」

 

再び飛んできた衝撃波を再びシールドで受け流す。

 

「希!!

何故ファンネルバリアを使わない!!」

 

「機体重量の関係でオミットした」

 

「な…?!」

 

虚さん、簪、セシアに協力してもらい作り上げたミノフスキークラフトユニット。

小型化には成功したものの、推進力が予想していた数値に届かず、急遽ファンネルのIフィールドジェネレーターをオミットし、なんとか予定していた速度に合わせることができた。

そのお陰でユニット搭載前と比べ機体速度は1.5倍上昇している。

 

「まあ、対策は練っているんだがどうも形になんねーんだ」

 

「…絶対に…死ぬなよ…」

 

『やっと回線が繋がった…

希ちゃん、レオスちゃん、応答して!!』

 

突然通信回線で楯無さんの声が俺の耳に届いた。

特に爆発音もしないところから戦闘は終了しているのだろう。

 

「楯無さんですか?

ちょうどよかった。

今から俺が言うことを一夏と協力して行ってほしいッス」

 

『ちょっと!!説明しなさい!!』

 

「今、俺とレオスは福音戦に現れた謎の思念体の憑依したエクレールと交戦中です。

楯無さん達にはアリーナの隔壁の防御レベルを俺の指示した部分以外を最大にしてここに俺達3機を隔離して欲しいってことッス」

 

『ちょっと待て!!

増援は!?

福音戦のときだってあんなに強かったんだぞ!!

二人で勝てる確証なんて――』

 

「モーマンタイ。

増援…っていうかそう言うのはもう呼んであるからそっちはそっちのやることやって俺達を信じて待っててください。

楯無さんの機体だって戦闘後で疲れてるでしょう?

一夏にもなにかあったっぽいし」

 

『それは…』

 

「だから俺達の帰る場所を守ってください。

お願いします」

 

通信機から帰って来たのは沈黙。

そして楯無さんの大きな呼吸音と共に返答が返って来た。

 

『分かったわ。

その頼み、引きうけた』

 

『楯無さん!!』

 

『その代わり、私からもお願い。

絶対に簪ちゃんを悲しませるような終わり方はしないで』

 

「了解です」

 

そう言って俺は通信機を切り、操作する隔壁のデータを楯無さんへと送信した。

再び飛んでくる衝撃波。

それを避けながら俺は呟く。

 

「一気にケリを着けたいとこだが…」

 

「無理そうだな」

 

「埒があかねぇ…格闘で攻める!!」

 

「希!!

焦ったらそこで終いだ!!」

 

レオスの忠告を無視して俺はタキオンへ接近する。

当然近づいた俺に向かって電撃の剣が飛んでくる。

 

「希!!」

 

「想定内ッス!!」

 

俺は背部にアームド・アーマーDEとXCを上下逆方向に展開。

メインスラスターを停止させDE、XCを噴射。

仰け反るように剣を避け顔面に光を纏った拳による一撃を見舞う。

 

『何ダト?!』

 

「まずは一発!!

レオス、カルネージストライカー!!」

 

「分かっている!!」

 

俺はそのままタキオンの背中を踏み台に飛んで離脱。

俺が飛び去ってすぐ青いビームによってタキオンは光に包まれた。

 

「どうだ…?」

 

「結構ダメージはやったんスけど…

まだっぽいッスね」

 

辺りに立ち込める煙を切り裂き、電撃を纏ったタキオンは俺の方へと飛んできた。

俺はすぐさま星火燎原によって機体全長と同じくらいのサイズの大剣を形成。

それでタキオンの一撃を防ぐ。

しかし…

 

「ヤベェ…一撃が…重い…」

 

加速していた分のエネルギーのせいか、俺は振り子のように飛ばされ、壁に激突する。

激突と同時に肺に溜まっていた空気が一気に押し出される。

今にも手放しそうな意識を必死に繋ぎとめ目を開く。

するとそこには電撃の大剣を振りあげた機体が立っていた。

 

『絶望ノ轍トナレ!!』

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「はぁ…希も難儀なことを押しつけてくる…」

 

廊下を走りながら僕―アムロ・レイは呟く。

希から連絡と言うのは亡国企業(ファントムタスク)によって送り込まれた機体が福音戦の思念体に憑依され暴走、それと交戦している希とレオスの救援および暴走した機体の無力化を任された。

そして希と同じアリーナにいる楯無は織斑と共に希に任された別の仕事を行う為、手が離せないという。

 

「アムロさん!!」

 

横合いからの大きな声に僕は立ち止まる。

 

「簪か。

どうしたんだそんなに急いで」

 

「はぁっ…はぁっ…希に…何かあったんですか?」

 

「っ!!

…何故それを?」

 

「分かりません…でも感じるんです…

希が今危ないって…だからお願いです!!

お手伝いさせてください!!」

 

彼女も希や空と同じニュータイプだったな…

 

「わかった。

同行を許可する。

時間がないから事情は移動しながらだ」

 

「はい!!」

 

再び僕達は走り出した。

走りながら僕は簪に事情を説明する。

説明し終えると簪が口にする。

 

「アムロさん、希は大丈夫なんですか!?」

 

「本人曰く問題はないそうだ。

…着いたぞ。

ISの展開はアリーナの中に入ってからだ。

一般人に怪しまれるのは学園側としては避けたいからな」

 

「はい」

 

「行くぞ。

ルートは…こっちだな」

 

僕は希に指定されたドアを開けアリーナ内に入る。

そこでISを展開する。

 

「この先何があるかは分からない。

努力はするが自分の身は自分で守るんだ」

 

「了解です」

 

僕達は指定されたルート通り道を進んでいく。

道の至る所に瓦礫が散乱しており、酷いところだと道が塞がれているところもあったがISの装備で破砕し道を切り開く。

そしてようやくアリーナへと続くピットへたどり着く。

 

「希!!」

 

「あの機体…ちぃっ!!」

 

希が壁に寄りかかりその目の前でゆっくりと電撃を纏った剣を振り上げる機体が目に入った。

距離は大体70m弱…いけるか…

 

「ハイパー・ランチャー起動…」

 

『レイ先生!!

あなた何をやっているんですか!?』

 

拡張領域(バススロット)からハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーを取り出し即座にアリーナのISのエネルギー充填用プラグにケーブルを差し込む。

その中、通信機越しに真耶の声が聞こえてくる。

 

「真耶か。ちょうどよかった。

一瞬だが学園中の照明が落ちるかもしれないがあまり気にしないでくれ」

 

『な!?

それはどういう!!』

 

「接続完了…発射!!」

 

銃口から青いビームが剣を振り下ろす右腕に直撃する。

そのまま剣は飛んでいき、希はその隙をついて目の前の機体に蹴りを入れ離脱した。

 

『貴様ハ…』

 

「アムロさん、それに簪も!!

ありがとうございます」

 

「礼には及ばないさ。

それよりもなんだあの機体は…」

 

「希…怪我は?」

 

「大丈夫ッス。

取り敢えず説明は後で、このままだと学園全体が危ない」

 

「わかった。

早急に決着をつけよう」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「おおおっ!!」

 

『照ラシ出セ!!』

 

「なっ!?」

 

俺は再び拳をに光を灯しタキオンを肉薄するが、その行動はタキオンを包むようにして放った青い光によって阻まれる。

その光を浴びた途端に機体の各機能が一時的に停止した。

 

『見ヨ…コレガ絶望ノ序曲!!』

 

大剣の長さをさらに伸ばし大きく飛び上がる。

でも…イメージは固まった(・・・・・・・・・)!!

 

「これならどうだ!!」

 

俺は星火燎原の光を体を包む様に展開。

そして振り下ろされた大剣の軌道を逸らし更にタキオンとの距離を詰める。

 

「らあああああ!!」

 

『クッ!!』

 

俺は全身の力を拳に集中させ、渾身のアッパーを顎にくらわす。

そして大きく打ち上がるタキオン。

だが、俺は(・・)追撃しない。

 

「簪!!」

 

「うん!!」

 

青く透き通った剣を片手に携え簪はタキオンを斬りつける。

そしてタキオンを踏み台に飛び上がり荷電粒子砲を起動する。

 

「当たれ!!」

 

簪の放った光の弾丸はタキオンに直撃。

そして広がった煙の底からタキオンが飛び出し地面へ激突する。

しかし追撃はまだ終わらない。

 

「おまけ!!」

 

タキオンの激突したところに立ち込めていた霧が爆発する。

再び爆煙に呑まれるタキオン。

そして…

 

「行きますよアムロさん、レオス!!」

 

「「了解!!」」

 

「カルネージストライカー…

お前に…未来などない…!!」

 

「一撃で仕留める!!」

 

「喰らっとけ!!」

 

俺とレオス、アムロさんの放った光が束になって爆煙の中心に降り注ぐ。

ビームの照射を終えるとアリーナを支配していた禍々しい空気は消えていた。

 

「終わったか…」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「希の馬鹿!!」

 

「ごめん!!

本っ当にごめん!!」

 

俺は目の前に立っている簪に土下座する。

今俺は今回の事件の取り調べを終え自室に居る。

何故簪が怒っているのかは…分からない…

 

「どうして私が怒ってるのか分かる?」

 

「…すみません…分かりません」

 

「…っ…もう!!」

 

ぼふっ

 

「へ…?」

 

俺は突然胸元に飛び込んできた簪を見て素っ頓狂な声をあげる。

 

「ひっく…心配…したんだから!!

希はなんでも一人で背負いこもうとする!!

もし希に何かあったら…」

 

「ごめん…これから気をつける…」

 

俺は簪の頭を撫でる。

女の子らしいさらさらな髪だなぁというのが率直な感想である。

 

「あの…簪さん…そろそろ…」

 

「まだ…これが今回の希の罰…」

 

「はいはーい!!

楯無お姉さん登j―――」

 

突然ドアが大きな音と共に開く。

 

「…ごめんなさい…百合百合なお取り込み中みたいね…

また出直してくるわ…」

 

「「いやいやいやいや!!」」

 

「明らかな誤解ですよ!!」

 

「抱き合ってるのに?」

 

「お、お姉ちゃん!!」

 

「ごめんごめん。

で、今回の報告なんだけど…

あのエクレールのパイロット…死んだわ」

 

「え…」

 

「どういうことスか?!」

 

「落ち着いて。

簪ちゃん達のせいではないわ。

あの女の体内にはナノマシンが仕込まれていてね、捕虜になった時に起動し、注入された人間の脳細胞を焼き切る仕様みたいね」

 

「そんな…酷い…」

 

「人の命を玩具みたいに扱いやがって…」

 

「私もそう思うわ…

でもね…世間一般からしてはあなた達は優し過ぎるわね…」

 

「…なんで?」

 

「自分の命を狙ってきた相手の死を悲しむことのできる人間はそうはいないわ」

 

「人が死んで喜ぶ人間はそうはいないッスよ。

きっとレオスだって同じことを思うはずッス」

 

部屋の奥の窓に満点の星空が広がる…

それを見て俺は思う…人が傷つかない世界なんてもう何処にもないのだろうか、と…




誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。

次回
開戦、男の子(娘)争奪戦(ポロリはねーよ)

お楽しみに~
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