IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~ 作:ぼいら~ちん
「結局強制入部の件は白紙かぁ」
「俺達としてはよかったと思っているぞ。
でも希!!次からはちゃんと俺達の許可を取ってから実施してくれ!!」
「ういう~い。
すみませんでしたレイス様~」
「レオスって呼べよ!!」
学園祭から数日…
俺達は普段通りの日常を送っていた。
しかし普段通りでないのが星彩が右手に収まっていないことと俺とレオスが女だということだ。
余談だが一夏争奪戦は生徒会が勝利し一夏は生徒会書記補佐の任を受けた。
生徒会役員たる者学園の為に奉仕せよという楯無さんの一言により一夏はくじ引きで決められた部活の手伝いをすることになった。
レオスと他愛もない話をしているうちに朝のSHR開始の鐘が鳴りドアが開き山田先生が入って来た。
「全員席に着いてくださーい!!
これからSHRを始めます!!
でもその前にこのクラスにまた新しいお友達が増えますよ。
入って来てください」
この時期に転校生か…文化祭面白かったのに…もったいないなぁ…
ガラガラと音を立ててドアが開く。
そこから入って来たのは桃色の髪の女子生徒だ。
「みなさんはじめまして。
日本の代表候補生の
この学園に来て間もなく知らないことも多いので迷惑をかけるかもですがよろしくお願いします」
ぺこりと頭をさげる転校生―もとい兵部花音さん。
しかし俺、レオス、一夏はまんざらではない表情をしていた…
そして俺は立ち上がって転校生を指差しこう言った。
「お前…誤射姫のカノンか?」
「な?!なんでそのあだ名を…ってあなた希くん?!」
「やっぱりそうだ!!
久しぶりだな花音!!」
「一夏くん?!」
「あー!!
キャノンちゃんだーひっさしぶりー!!」
「あ!!空さん!!」
「黙れ兵部」
「痛い!?」
例のごとく千冬さんの洗礼がカノンを待っていた。
当然のごとくカノンは頭をさすっている。
「席に着け。
お前は星村姉の左隣、一番後ろの空いた席だ。
わかるな?」
「そ、それくらいわかります!!」
千冬さんに弄られ少しムスっとした表情で俺の隣の席に座る。
連絡事項を言い終えた千冬さんが教室を出ると同時にカノンが俺の席に来た。
「久しぶりです希くん」
「おう。
元気だったか?」
「ええ私はとっても!!
希くんはフランスはどうでした?」
「風景がきれいだったなぁ…
あとぶどうジュースが上手かった小並感」
「あはは希くんらしい感想ですね」
「久しいな花音。
会えて嬉しいぞ」
「箒さん!!
お元気でしたか?」
「久しぶりだな花音!!
2年振りか?」
後ろからレオス(女ver.)がカノンに声をかける。
「どなた様ですか?」
「ひ、酷い!!
幼馴染の俺を忘れるとは!!」
「言うの忘れてた…
こいつは俺と同じ理由で女になったレオスだ」
「うそ!?
レオスくんが?!か、可愛い…」
「なんだろう…褒められてるはずなのに純粋に喜べない俺がいる…」
そんな俺達の他愛もない会話は授業開始のチャイムが鳴り終わった後も続き、授業担当だった織斑先生による制裁を受けたのは言うまでもないだろう。
◇ ◇ ◇
「デュノア社の仕事は早いなぁ…」
「流石は世界第2位のシェアを持つデュノア社ですね」
「まあストライクを設計した希のお陰なんだけどね」
「え?!
そうだったんですか?!」
俺はシャルとカノンと共にIS整備用のハンガーへと向かっていた。
頼んでいた新規パック搭載型のストライクが届いたらしいのである。
そして俺の右手には工具箱。
これは機体の整備の際、使用するものでジャンク屋時代から使ってるものが入っている。
そんなこんなでハンガーへと到着、空気の抜ける小気味のいい音と共にドアが開く。
中に入ると白と青と水色の機体と学園の教師であるマリューさんと茶髪の女性が居た。
「早かったわね希くん」
「やぱり社長の言っていたお得意様って希くんのことだったのね」
「エリカさん?!」
そう。
そこに居たのはかつてアストレイとM1アストレイの主任設計技師を務めた女性「エリカ・シモンズ」さんだった。
「シャルロットさんもこんにちは」
「な…なんでエリカさんが…?」
「アークエンジェルと一緒にこっちの世界に飛ばされたのよ。
それで働き口のないところをシャルロットさんに「デュノア社の再建を手伝ってほしい」ってことで雇ってもらったってわけ。
ところで…そこの桃色の髪のあなたは?」
「あ、はい!!
私は兵部花音と申します!!
今日は希くんの付き添いとしてここに来ました」
「エリカさん!!
もうコイツ弄ってもいいッスか?!」
「いいわよ。
後は好きにやって頂戴。
私達は星彩の運搬作業の方を始めるから」
「「お願いします」」
俺は目の前にあるストライクを指差して言う。
エリカさんは笑顔で頷いてくれたのですぐさま俺は作業に取り掛かった。
「希くんは何をするんですか?」
俺が工具箱からペンチを取り出す様を見てカノンが疑問を投げかけてくる。
「星彩のビームハンドガンが使えるようにエネルギー供給用プラグの増設だな。
後は新規パックの調整」
「新規パックですか?
ストライクの装備って今はエール、ソード、ランチャー、I.W.S.P.の4種類だけですよね?」
「よく知ってるな。
俺の設計した高速機動戦闘用パック。
名付けて「ファクスストライカー」だ」
このパックは極限まで機動性能を高めたパッケージだ。
最初は来月に行われるキャノンボールファストなるISを使ったレースのような催しに学園の生徒が出場することが出来る為、シャルのストライクの機動性能向上の為に設計していたのだが…
本人にスペックデータを見せたところ「のぞ兄くらいしかこんな凄いの使えないよ」と苦笑い。
結果今日までデュノア社の工場から出ることはなかったデュノア社秘蔵のパッケージである。
ソードやランチャーのような固有装備はなく見た目はレッドフレームのフライトユニットにさらにスラスターを増設したイメージだ。
そして本体はストライクをベースにレッドフレームやゼノンを参考に改良済みである。
通常のストライクと違い外部放電プラグを掌に増設しアストレイの光電球のような攻撃も可能であり、脚部にスラスターを増設することで更に機体速度を上昇させている。
バッテリーと腕部の強度の問題はデュノア社にちゃんとカスタマイズプランを提示し解決済みだ。
「よし完成!!
OSも最適化したお陰でさらに稼働時間も機体速度も上がったな~」
「どれくらい?」
「フルの連続稼働で大体4時間だな。
ちなみに調整前は1.5時間」
「おぉ~
プログラムの調整でここまで変わるなんて驚きです!!」
カノンが目を輝かせながら機体を見る。
コイツ昔っから機械類を直したり弄ったりするのは苦手だったからなぁ…
今度見てやるかな。
「ところでのぞ兄。
花音さんとはどういう関係なの?」
「簡単に行っちゃえばサード幼馴染だな」
「鈴よりも後に知り合ったってこと?
でも箒と仲良さげに話してたよね」
「正確には小学校3年くらいに仲良くなったんだが、4年の時に転校してきた鈴に「セカンドは私だからね!!」って言われたんだと」
「あの時の鈴さん…怖かったです…」
少し青ざめた顔でプルプルと震えながらカノンは答える。
相当鈴が怖かったようだ。
「じゃあ誤射姫って綽名は?」
「それな…
昔「ボットイーター」なるゲームが流行ってな」
「あ、それ知ってる。
ロボットを倒して武器を強化したりするゲームだよね」
「そうッス。
そのゲームでこいつはいつも大砲を使って他のプレーヤーに爆風、若しくは弾丸が当たって吹き飛ばされることから付いたのがこの「誤射姫のカノン」って綽名ッスね。
ところでお前は中一の時に引っ越して何処に居たんだ?」
「イギリスのグラスゴーの方に代表候補生の仕事で…」
「中学の時から代表候補生だったのか?!」
「あら希さん?
何をしているのですか?」
突然後ろから声が聞こえてきた。
振り向くとそこにはイギリスの代表候補生であるセシリアが立っていた。
「セシリアさん!!」
「あら?
花音さんじゃありませんか?
半年ぶりですね」
「やっぱり二人は知り合いなんだね」
「同じ射撃型機体の操縦者ってだけあって反りが合うんですよ」
「そう言えば花音さんの機体って何処製の機体なの?」
「えっと…白兎重工製ですね」
「おまっ?!」
「ちょっと希くん?!」
俺はカノンをストライクの後ろまで引っ張っていく。
そして小声で話を始める。
「白兎重工ってまさか束さんのお手製ISか?!」
「そうなんですよ。
ある日突然束さんが私のお家にやって来て「かーちゃん!!キミは代表候補生になるんだ!!」って言って置いて行ったんですよね」
「束さんが身内以外で気に入った相手はたぶんお前が初めてだよ」
ちなみに星彩、エクストリーム、スターゲイザーなども白兎重工製の機体として扱われている。
一夏の白式も束さんが改良したものらしいがあれは倉持技研製、そしてノワールはデュノア社製として登録されている。
「じゃ、機体のテスト行くか」
「私も付き合います!!」
「わたくしも行きますわ!!」
「僕も行くよ!!」
「レッツゴー!!」
「「「おー!!」」」
◇ ◇ ◇
『先ずは機動関連のテストからですね。
準備はいいですか希?』
「問題ない。
ところでセシア、いつの間にこっちに移ったんだ?」
『気にしたら負けです』
「お、おう。
星村希、ストライクファクス、推して参る!!」
カタパルトによって弾き出された俺が最初に目にしたのは一夏達が訓練している姿だった。
俺が見ていることに気付いたのかこちらに手を振っている。
あ、箒に殴られた。
「機体の調子は良好!!
次に射撃性能のテストだ。
セシア、ターゲットマーカー出して」
『了解です!!』
何もなかった空中に突然アーチェリーの的のようなものが現れる。
そして両手にビームハンドガン「モーメンタム」を展開。
両腰についている残りの2挺の銃の本来撃鉄がついている部分に銃口を当てる。
カチャンと言う音と共に2艇の銃は繋がり4挺は2艇になりそれを繋げ2艇が1艇の長い銃になった。
「これ使うのも久々だな…」
バシュンと大きな音と共に大きな緑色の光の塊が的の中心に突き刺さった。
その後現れた的も次々に穿つ。
「センサーリンクもばっちりだなっと…
近接戦の相手はダミーじゃ物足りねぇなぁ…
一夏!!模擬戦やるッスよ!!
あ、カノンの実力も個人的に気になるから~セシリアと組んでやってくれ」
『俺?!』
「わたくしもですか?!」
「が、頑張ります!!」
突然の要請に一夏は驚きの声をあげる。
一緒に訓練していた箒や鈴もポカーンと口を開けたまま表情が戻らない。
さてさて…一夏君はどれほど成長したものか…楽しみですなぁ。
誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
ちなみに今回から登場した兵部花音のモデルは綽名の通りゴッドイーターシリーズの台場カノンです。
後々登場人物紹介に設定を機体と共に追加いたします。
次回
VSセシリア&一夏~誤射はプリンセスの嗜み?~
お楽しみに~