IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~   作:ぼいら~ちん

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PHASE-46 最強と最速は紙一重

「はぁああああっ!!」

 

「簪さん!!

射線開けてください!!」

 

カノンの誤射癖が発覚してから数週間…

俺、空、カノン、簪の4人でいつも通り模擬戦を行っていた。

カノンの操縦技術とセンスは俺の予想を遥かに越えており、みるみるうちに上達していった。

弾を撃つときはパートナーに声をかけるなどのアドバイスをしたところ元々の射撃の腕は良かったらしくかなり誤射も減ってきた。

本当にすごいの一言に尽きる。

 

「空、援護射撃!!」

 

「わかってる!!

ライフルビット!!」

 

空の絶妙なタイミングでの射撃によりなんとかカノンの放った弾丸を避けることが出来た。

しかし…

 

「追撃のチャンスは…!!」

 

簪の打鉄弐式によって放たれたミサイル(この中に数発ファンネルクラスターが混じってるはず)が俺に向かって飛んでくる。

 

「しゃーねぇか!!

セシア、ランチャーストライカー!!」

 

『了解です!!』

 

俺は初期装備であるランチャーストライカーを呼び出す。

そしてミサイルの群れに砲口を向け照射。

見事群れに命中し、大きな爆発が起きる。

 

「このまま一気に叩く!!」

 

そして再びファクスストライカーに換装し煙の中に突っ込む。

殆ど光の入らない煙の中は結構暗く、どちらに行けばわからなくなる…

まあ、普通じゃない人(ニュータイプ)である俺には関係はないが。

 

「ニュータイプをあまり舐めないで欲しいッスね!!」

 

煙から飛び出した位置にちょうど簪とカノンがいた。

そして簪に政宗による一閃を加えた後に武装を量子化。

そしてカノンに拳による連撃を加えようと肉薄する。

 

「ま、間合いを開けないと!!」

 

「兄さんに気を取られすぎだよ!!」

 

俺の攻撃を避けようとカノンが間合いを開けるがちょうど空の射線上に入ってしまったようでカノンに光の雨が降り注いだ。

 

『勝者、星村空、星村希ペア』

 

「むう…やっぱり二人とも強いです…」

 

機械音声が俺達が勝利したことを告げる。

そしてカノン達が機体を纏ったまま着陸した。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「あの…教官先生?」

 

「うん?」

 

訓練を終え、制服姿のカノンが俺に話しかけてきた。

まあ相談に乗ってから2週間が経つがやっぱりこの教官先生という呼ばれ方は慣れない。

オーブでは星村准将、D.S.S.Dでは星村主任と呼ばれてきた俺には先生や教官などの人に何かを教える立場に立ったことがないのだ。

 

「あのですね…教官先生に教えて頂きたい事があるのですが…」

 

「取り敢えず戦闘関連は殆ど教えたけど?」

 

「いや、そうじゃないんです。

これ、見てください」

 

ごそごそとポケットを漁りカノンが取り出したのは一枚の紙だった。

 

「あ~週末のキャノンボールファストか~」

 

キャノンボールファストとは単純に言ってしまえばISを用いたレースである。

ISは絶対防御を備えており操縦者が怪我をする事は殆どないため各種武装での妨害行為が認められている。

要するにIS版マ●オカートである。

 

「はい。

機動技能の方もご教鞭を振るって頂きたいのです」

 

戦闘技能の次は機体機動…

でもまずは…

 

「みんなが授業中に機体の調整もやってたのはそれか~

うん!!今から整備室へGOだ!!」

 

「へ!?

ど、どうしてですか!?」

 

カノンの腕を掴み走り出す。

当然向かう先はアリーナ内にある機体整備室である。

 

「まあキャノンボールファスト仕様の機体のセッティングと機体性能の確認ッスね」

 

「私、あまりそう言うのは得意じゃないんですけど…」

 

「そのために俺が居るんだろう?

機械のことはこのジャンク屋である教官先生にまっかせなさーい!!」

 

いつの間にか着いていた整備室のドアが空気が抜ける音と共に開く。

だだっ広い整備室には人気はなく、あるのは誰かの整備途中と思われる装甲が剥がされ内部骨格が剥き出しになったISのみである。

 

「これは誰の機体でしょうか?」

 

「見たことないなぁ…」

 

「それは先日の学園祭の日にこの学園を襲撃したIS、『エクレール』だ」

 

「「うわぁ!?」」

 

突如背後から声がかけられる。

振り向くとそこにはつなぎ姿の凛々しい顔立ちの女性が立っていた。

 

「脅かしてすまない。

私は元フランス軍IS専門部隊『エクレール』所属のサラ・リュミエールだ」

 

「さ、サラ・リュミエール!?」

 

カノンが驚くのも無理はない。

今俺達の目の前にいる女性、サラ・リュミエールさんはフランスの国家代表で千冬さんが優勝を逃した第2回モンドグロッソの総合優勝者、つまり今のブリュンヒルデである。

しかし彼女は第1回大会の総合優勝者である千冬さんを倒すまでその称号は貰えないと自ら辞退したという逸話もあるかなりの頑固者である。

 

「な、何であなたみたいな凄い人がこの学校に?」

 

「見ての通り機体の修理だ。

元々あの『エクレール』は私の機体なのでな」

 

「あぁ…そう言えばあの機体フランス軍のだったっけ」

 

「そうだ。

亡国機業(ファントム・タスク)に持って行かれるまではな。

そして学園祭の時に姿を現したのはいいがどっかの誰かさんのせいでガタガタだ」

 

「ははっ…誰のせいなんスかねぇ…」

 

「お前だ」

 

あの時は俺というよりもアムロさんがハイパー・メガ・ランチャーぶっ放すのが悪いと思うわけですよ!!

なんて言い訳をしても寧ろ悪い方向に進んで行く気がするので言わないでおく。

 

「じゃあ機体の引き取りに来たわけですね」

 

「修理だ。

私はつい先日退役してここの教師としてお前らに色々と教えることになったのでな。

本国に連絡を取って機体をしばらく借りることが出来るようになった」

 

あぁ…さいですか…

 

「じゃあ俺達がお手伝いしまッスよ。

こうなったのも間接的ですが俺のせいだし」

 

「間接的ではなく直接的だが…

まあその話は遠慮しておこう。

生憎人手は足りて「お姉ちゃーん!!」お、ちょうど来たみたいだな」

 

部屋の外から声がする。

ドアの空気が抜ける音と共にサラさんと同じ桃色の髪色の少女が部屋に入ってきた。

サラさんに比べて優しそうな…というのは失礼なので柔らかい顔立ちの少女で見た目は俺達と同じくらいに見える。

 

「こいつが私と一緒に機体を修理してくれる整備士のノエルだ」

 

「ノエル・リュミエール、16歳です。

よろしくお願いします」

 

「俺は星村希。

君と同じ16でこの学園の生徒会の副会長をやってる。

よろしくッス」

 

「教官先生のクラスメートの兵部花音です。

よろしくお願いしますノエルさん」

 

ぺこりと礼儀正しくお辞儀をするノエルに俺達もお辞儀仕返す。

話した感じはとても人当たりが良さそうでこの学園の生徒とも仲良く出来そうだ。

 

「星村希ってエクレールを助けてくれた(・・・・・・)人ですね?

この度はありがとうございました」

 

「ん?

助けた?」

 

「はい。

聞いた話によるとエクレール(この頃)は誰かに操られていたと聞きます。

確かにこの子を傷つけたのはあなたですがこの子を呪縛から解き放ってくれたのもあなたです。

本当にありがとうございます」

 

そう考えるか…

この人も機体を大切にしているんだなぁ…

 

「うーん…希さんの事どこかで見たことあるような気がするんですよね」

 

「フランスだったら2年位住んでたしデュノア社に何度か行ったからその時じゃないッスか?」

 

まあそのときは男だったけども…

 

「ノエルさんはこの学校に編入するんですか?」

 

「うん!!

その時はよろしくお願いします!!」

 

「そう言えば星村。

千冬からこんな物を預かった」

 

そう言ってサラさんは俺に小包を手渡してきた。

小包の送り主は『白兎重工』…あのクソウサギ(篠ノ之束)…やっと解毒剤を送って来たか…

 

「ありがとうございまッス!!

カノン!!そろそろ機体弄るぞ!!

サラさん、ノエルさん失礼します」

 

「ああ」

 

「またね」

 

俺はカノンを連れ整備室の奥へと進んでいった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「教官先生?」

 

「どした?」

 

隣に座っているカノンが話しかけてくる。

9月26日PM11:43。

キャノンボールファストが目前に迫っているわけだが俺とカノンは学生寮の屋上から星を眺めていた。

因みに俺はサラさんから手渡された解毒剤によってしっかり男の姿に戻った。

 

「本当に明日は大丈夫でしょうか?」

 

「ちゃんと教えてもらった事が出来るのかってこと?」

 

「はい。

私は昔から落ち着きがなくてすぐにドジを踏んで…

今回だってセシリアさんや鈴さんもみんな上手ですし私なんかじゃ…」

 

「だったらさ、取り敢えず上を見てろよ」

 

「上…ですか?」

 

そう言って空を見上げるカノン。

いやいや…そういう意味じゃあないんだけど…

 

「横ばっかり見てると自分の持ってない物を周りの奴らが持ってて嫉妬する。

かと言って下ばっか見てるとそんな自分でも救える人間が居て、そいつらに頼られれば気分はいいだろうな。

でも自分より弱い奴が誰も居なかったらって思うと不安になる。

だから嫉妬したり不安になったりしないように少しでも上を見ておこうぜ…って昔ソルに言われてな」

 

「ソル君…良いこと言うんですね」

 

「まあそれも叔父からの受け売りらしいけどな。

その言葉がセレーネの機体の名前の由来らしい。

上を見る者、その先にある星を見る者…」

 

星の観測者(スターゲイザー)…」

 

「そゆこと。

だから周りの人間なんて気にしないでただ自分に出来ることとやりたいことをしろ。

これが俺から教える最後の教訓だ。

じゃ、お前はそろそろ部屋に帰りな。

俺は観客席から見守ってるからな」

 

「え!?

教官先生は出ないんですか!?」

 

「生徒会の仕事が忙しすぎてな…

あとお前はもう卒業したんだから俺は教官先生じゃなくて希って呼んでくれよ。

ほら帰った帰った!!

千冬さんに見つかるとヤバい事になるぞ~」

 

「そ、それは嫌です~!!

じゃ、じゃあ失礼しますきょ…じゃなかった…

希くん、またね!!」

 

バタンと音を立てて閉まるドア。

その直後カノンの悲鳴が聞こえてきた。

あ~あ…言わんこっちゃねぇ…

 

「そろそろ消灯時間だぞ坊主」

 

「ははっ…

そろそろ来るかなぁと思ってたんですよね…」

 

案の定ドアを開けて千冬さんが屋上に姿を現した。

 

「どうした?

珍しく神妙な顔をして」

 

「千冬さん。

一つ質問をしてもいいですか?」

 

「学園最強の名を冠するお前が私に何の質問だ?

因みに私は数学は苦手だから教えられない問題もーーー」

 

「違います。

『IS学園の一生徒』としてではなく『星村希』という一人の人間としての質問です」

 

俺は大きく息を吸い込みそれを吐き出す。

呼吸を整えてから口を開く。

 

「千冬さん。

あなたは…

 

  ーーーどうして何時も泣いているんですかーーー  」




誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他 出して欲しいキャラクターのリクエストな ど色々お待ちしてます。

次回
心の奥に眠る涙

お楽しみに~
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