IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~ 作:ぼいら~ちん
「どうした星村希!!
貴様の実力はその程度か!!」
「だから退がれって言ってんだろうがっ!!」
鍔迫り合いから強引に刀を押し出し相手を弾く。
それに対応して俺とカノンの砲撃がまどかを襲う。
しかし弾丸の雨はエネルギーの傘に阻まれる。
「戦闘不能に出来れば保護することは可能です。
希くん、援護します」
「…巻き込んでごめんな」
「気にしないで下さい。
一夏くんや希くんの問題はある意味私の問題でもあります。
それに今回ばかりは負けられません。
私もまどかちゃんを取り戻したいですから」
朗らかな笑顔を浮かべ再び射撃を開始する。
しかしカノンはキャノンボール・ファストに出ていた為エネルギーを少なからず消費している筈だ。
長期戦には持ち込めない。
「聞いてくれまどか!!」
「敵軍の狗の声を聞く耳など持たぬと言った!!」
BTライフルから閃光が放たれる。
それを刀で切り裂き俺は言葉を再び紡ぐ。
「お前の姉さんは…織斑千冬はお前を愛していた!!」
「まだそんな減らず口を!!」
「お前を親戚に預けた日には涙し、お前と共に暮らせる日を一日千秋の思いで待ち、お前が
これでもお前を愛していないと言うのか!!」
「知ったような口を利くな!!」
感情の波が溢れると同時に俺に向かってビームの雨が降り注ぐ。
両手に予備のビーム発生装置兼物理シールドを両手に展開。
最大出力でビームを展開し防いだ。
「私はこの世界の誰からも愛されない…
故に誰かに愛される者を殺す権利がある…
だから私は殺す。
織斑一夏を…織斑千冬を!!」
「ふざっけんじゃねぇよ!!」
突然カノンが大きな声を出した。
「誰が愛されてないだ?
誰に人を殺していい権利があるだ?
何時何処でどいつがそんな事言ったんだよ?!」
カノンは手に持った大型の銃から弾丸を乱射する。
しかし一見出鱈目にも見えるが狙いは正確で次々にビットを撃ち落とす。
しかしまどかには一発も当たっていない。
本人が意図的に外しているのだろう。
「くっ!!」
「誰にも愛されていまいが誰かが愛されていようがそんな事は関係ねぇだろ!!
それでもお前は織斑まどかだろうが!!」
砲塔から光の束が溢れ出る。
光に呑まれたまどかは吹き飛ばされ壁にめり込んだ。
そしてカノンはまどかのいる方へと飛んでいった。
「…なんだ?
とどめを刺すのか…?」
「いいえ」
そう言ったカノンは武装を全て
「例えあなたが誰からも愛されていないとしても私はずっとあなたの隣を歩き続けます。
何故なら私は…
ーーーあなたの友達ですからーーー 」
「本当に…?
信じて良いのか?」
「ええ。
私は生まれてこの方一度も約束事は破ったことはありません。
大丈夫です」
その言葉がまどかの閉ざされた心の扉を開いたのだろう…
まどかは差し伸べられた手を掴もうと手を伸ばす。
ーーーソノ程度ノ光デコノ絶望カラハ逃レラレンーーー
「うぐぅ…ああっ…ぁあああああ!!」
「まどかちゃん?!」
「マズい!!
カノン、今すぐ逃げろ!!」
「でも、まどかちゃんが…」
「いいから早く!!」
まどかの機体は光に包まれる。
光が晴れたと思うと背後に大きな二つの大型のコンテナがついた機体へと変貌した。
「あれは…一体…?!」
「簡単に言っちゃえばエクストリームの悪い版だ。
しかも今回は見た感じの射撃型…さっさと止めないとヤバいことになりそうだな…っ!!」
『光ニ呑マレロ!!』
大きなコンテナが前にせり出し砲塔へと形を変えそこからとんでもない出力のビームが放たれた。
俺達はなんとか避けるが着弾点は抉れ、その深さはかなりのものだった。
「やべぇな…
どうにかして敵を止めないと…ここら一帯が焼け野原になるぞ…」
そんな事を言っている間も敵の攻撃は止まらない。
炎の弾丸を放たれ、背部のコンテナからミサイルが飛び出す。
「どうにかして接近戦に持ち込めれば…」
「ボク達に任せてよ!!」
後ろから声が飛んできたかと思うと青いコンテナの機体の背中が爆ぜる。
『何ダ?!』
「へっへーん。
星村空さんの登場だぜ!!」
「真面目にやろうよ…」
「空さん?!簪さん?!
ど、どうしてここに?!」
「どうしてって…ねぇ?」
「手伝いに来たんだよ。
あなたの友達を助ける為のね」
後ろには空と簪が武器を構えて立っていた。
「今回ばかりは正直辛い…
手伝ってくれないッスか?」
「お安いご用!!」
「何時も言ってるでしょ?
希はもっと誰かに頼ってもいいんだよって」
「すまん…」
「その代わりあとでみんなにジュース奢りで!!」
「わあーったよ。
俺に策がある。
2秒でいいから隙を作ってくれ」
「「「了解!!」」」
俺達4人はそれぞれ違う方向へ散開する。
「行っくよー!!
ライフルビット!!」
「当たれぇえええ!!」
「行きますよ!!」
空はビットで、簪はミサイルで、カノンは砲撃を始める。
「うわ!?
これだけやってるのに怯まない!?」
「強引にでも攻める!!」
そんな弾丸の雨が降り注ぐ中俺はまどかの方へと突っ込む。
「うぉおおおお!!」
『浅ハカナ…
我ガ絶望ノ光ヨ!!』
「兄さん!!」
「希!!」
「希くん!!」
突如まどかの機体を中心に黒い光が放たれる。
俺はその光に呑まれた途端に意識を失った。
◇ ◇ ◇
「ここは…?
すっげぇ暗い…」
気がついた俺は真っ暗な空間を漂っていた。
「上下左右が同じ景色だと方向感覚狂うんだよな…」
ーーーがまんがまんーーー
「この声は…?」
ーーーすぐにお姉ちゃんが迎えに来てくれるんだもん…それまでいい子にしてなきゃーーー
「これは…まどかの心の中なのか?」
疑問に思っている俺の頭の中に沢山の映像が流れ込んでくる。
黒髪の少女が中年の男女(見た感じ夫婦)と遊んでいる風景…同じくらいの年の少女達と遊ぶ黒髪の少女の風景…
どの少女ーきっとこの黒髪の少女がまどかなのだろうーはとても楽しそうな笑顔を浮かべているが…どことなく悲しそうにも見える。
ーーー来ないんだーーー
砂漠ー水のない砂浜の様にも見える風景に変わったと思ったら突如震え声の少女の声が聞こえてきた。
そんな殺風景な砂浜のど真ん中に黒髪の少女が一人佇んでいた。
ーーーお姉ちゃんは…ひっく…来ないんだ…
私は嫌われてるんだ…私は
みんな私のことが嫌なんだーーー
「あれは…小さいときのまどかなのか?」
これがまどかの心の中だとするんだったら…
酷く乾いてる…そんな印象を受ける。
◇ ◇ ◇
私はずっと独りだった…
金銭的な理由で親戚に預けられ、私は元の家からは遠い田舎で暮らすことになった。
最初は都会から来たと言う事で私の周りには何時も人集りが出来ていた。
そんなこんなで数年経って…私の周りに人は居なくなったものの私には友達は居り、私の周りで一人の少女が虐められていた。
しかし…当然の事を言っただけなのに私から友達がどんどん離れていった。
「やめなさいよ。
嫌がってるでしょう?」
その一言を言った所為で私の周りの友達は離れていった…その代わりにその虐められている少女が私の唯一無二の友達になった。
それから何年かはその少女との付き合いが多くなり、虐められているものの私が守ってあげているため段々とその件数は減っていった。
しかし彼女との楽しい時は割とすぐに終わった…
「あなたと一緒に居ると変なのがうつるから」
自分自身にも訳の分からない言葉だった。
私には昔から他人の考えを読むとか少し先の未来が見えるとかそんな力があったが他人の前で力を使ったりとかにそれを教えたことも一度もなかった。
でも一つだけわかることがある。
ーーー私は独りになったのだーーー
目を開けた先には所々に貝殻が転がっている砂漠が広がっている。
きっと昔は海だったのだろうが今は海水が無いのでそんな事は関係ない。
「よっ」
誰も居ない筈の背後から突然声がかけられる。
後ろを振り向くと黒髪に蒼眼の少年がこちらに手を振っている。
「一緒に遊ばないッスか?」
「来るな!!」
「え?」
少年は右足と左手を上げた状態で静止する。
「なんで?
お前見た感じ普通だけど?」
「私は…普通じゃない…
私には少し先の未来が見えたりとか人の考えが読めるんだ…」
「だから来るなと?」
「私は…普通じゃないから…この力は普通の人を傷付ける…そんな力な気がする…」
「なーんだ。
ーーーお前も俺と同じじゃねえかーーー 」
世界が暗転する。
正確に言うと目の前の黒髪の少年と私以外は真っ暗闇である。
別に怖いわけではない…いや…何故かは分からないがとても安心する。
「別にお前は独りなんかじゃないッスよ。
だってさ10年経っても会いたいと思ってくれている奴、ずっと探してくれた奴とか居るんだからそんな奴が独りだったら俺も独りだぜ?
それに俺もお前と一緒で
「そう…なのか?」
「おう。
寧ろ俺以外にもいるけどな。
確かに俺もお前は普通じゃないかもしれないが俺は星村希でお前は織斑まどかだろ?
もっと楽しく生きたいだろ?」
花音が手を差し伸べてくれたように黒髪の少年も私に手を差し伸べる。
「…うん。
私は…誰かから物を奪うより誰かに物を与えられる人間になりたい…!!」
私は差し伸べられた手を取る。
ーーーその程度で救えるものなどあるわけがない。
違うか?織斑まどかーーー
再び声が響きわたる。
目の前に5mはあるかと思うほど足の4つある白く大きなISが立ちはだかる。
見た目はまるで神話に出てくるケンタウロスに翼が生えたような見た目だ。
「その前に、だ…
このデカ物ぶっ潰してからだな。
いくぞまどか!!」
希は白い機体を纏い大きなISへと向かっていった。
私もIS-サイレント・ゼフィルスを展開し敵へと向かっていく。
「おぉおおおお!!」
希が刀を展開し白いISに突っ込む。
ーーーその程度の機体で我に勝てるとでも思っているのか?ーーー
「ぐぁあ!?」
「希!!」
しかし刀を振り下ろすものの大きな槍により受け止められた上に弾き飛ばされてしまった。
「なんつう馬力だよ。
馬だけに」
「冗談を言っている余裕はないぞ!!」
ーーー仮初めの希望と共に散れ!!ーーー
構えられた二つに分かれた槍。
その先端から緑色の光弾が放たれる。
「くっ!!」
私にも光弾が飛んでくるがすかさず防ぐ。
しかし…
ーーー絶望しろ!!ーーー
「くぁああ!!」
何時の間にか私の懐に白いISが潜り込んでいた。
脇腹に向かって放たれた鋭い突きによって私は吹き飛ばされ、光の粒子となって消えた機体がダメージの大きさを物語る。
壁という壁はなく一度進めば減速しようとしない限り止まらないような気もする…まるで無限に続く落とし穴を落ちているような感覚を覚える。
これが絶望…私には無理だったんだ…姉さんや一夏達と一緒に暮らそうなんて…
幾度も人を殺した私にもう普通の生活に戻ろうなんて思うこと自体がおこがましかったんだ…
「すまない…叔父さん…叔母さん…姉さん…一夏…花音…」
「勝手に諦めてんじゃねえよ!!」
無限に飛び続けると思っていた私の体に突然ブレーキがかかる。
手に伝わる人の温もりがとても暖かく感じる。
「お前は
昔から思ってたんじゃなかったのかよ?!
例え偽りでも家族にまた会いたいとか思わないのか?!」
そうだ…姉さんに…一夏に…花音に…叔父さんに…叔母さんに…絶対に会うんだ…
お礼を言うんだ…謝るんだ…遊ぶんだ…
「みんなで…一緒に…笑うんだぁああああ!!」
刹那、目の前に淡い光があらわれる。
その時…ふと叔父さんの声が聞こえたような気がした…
ーーーどんな絶望の中にも絶対に希望の光はあるーーー
ーーーなんだこの光は?!ーーー
「決まってんだろ!!」
「これが人の繋がり…絆の力だ!!」
手を伸ばし光を掴む。
すると光は私の体を包み込み光が収まったと思えば私は真っ白な装甲を纏っており、そして両の手には真っ白な拳銃が一丁ずつ握られていた。
「行くぞ…!!」
誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他 出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
次回
望んでいた日常
お楽しみに~