IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~ 作:ぼいら~ちん
「行くぞ…」
そう呟いたまどかはその両手に持った短銃を構える。
まどかの機体はサイレント・ゼフィロスとは違い白く、汚れ無きその白は全ての色に染まる可能性の象徴に見える。
そのフォルムは非常にシンプルでパイロットの露出が比較的に高い白騎士といった感じだが、
ーーーたかが機体が変わっただけで何が出来る?ーーー
白い機体は翼を広げそこから羽根のようなビットが放たれる。
ーーー貴様等の存在は…我が翼が拒絶するーーー
白い機体のパイロットの言葉に応えるように俺達を排除しようとこちらへ飛んでくる。
「そんなんでやられるかよ!!
セシア、リミッター解除!!」
『了解です!!』
正確に言うとまどかの機体のように真の姿を見せる的な感じなのだが。
パリーンという硝子の割れるような音と共に機体が光の粒子に変わり俺の体に纏わりつく。
そして俺は羽型のビットの衝突による爆風に巻き込まれる。
「希!!」
どこかからまどかの声が聞こえる。
心配しなさんな…
「こんなの痛くも痒くもねえっての!!」
煙を手に持った刀で振り払う。
俺の白い機体は先ほどのものとは少し違っていた。
腕のフレームの構造、バックパックetc.一番顕著なのは頭部のアンテナだ。
ストライクフリーダムやHi-νガンダムのそれよりもどちらかというとM1アストレイに近い。
ーーーその機体はなんだ?!ーーー
「MBF-P0i アストレイアルバスフレーム」
この機体は元居た世界でロウさんとともにアストレイシリーズの余ったパーツで組み上げた機体だ。
この機体を渡された時から違和感は感じていたのだ。
いくら世界第三位のシェアを誇るISの企業だからと言ってポイポイ他人に機体を貸すのもおかしい話だ。
さらに俺が聞いたときにはストライクが余っているとオーギュストさんは言ったのだ。
ストライクはM1の専用機仕様の機体…つまり専用機の開発依頼が来ない限り生産されることはない。
単純にクライアントからキャンセルされたと言うこともあったのかも知れないが結果的に調べたらパーツを取り替えた痕跡があった。
しかもストライクが通常装備していない部分ではなくそれ以外の部分が取り替えられていたら誰だって気付くだろう。
「じゃ、行くッスよ!!
放電してー」
機体腕部から放電を開始する。
見る見るうちに掌には電気の球体がうまれ肥大化する。
「ぶん投げる!!」
その肥大化した電気の塊を白い機体に向けて野球選手が如く投げる。
ーーーぐっ?!
何だこれはぁ?!ーーー
見事命中し機体に紫電が迸る。
「チャンス!!
行くッスよ!!」
「わかっている!!」
まどかは短銃を構え、俺は刀を中段に構えて目の前の白へと飛び立つ。
ーーーこの程度で我が怯むと思ったか?
フェザーファンネル!!ーーー
体勢を立て直した白い機体は再び翼を広げ羽型のビットーもといフェザーファンネルを放った。
俺は刀を収納。
左手に短銃『モーメンタム』を展開する。
「全部撃ち墜としてやんよ!!」
銃の引き金を引く。
狙いを定めては次、狙いを定めては次としているうちにもどんどん近づいてくる羽の大群。
「しゃあないッスね!!
セシア!!右腕部放電最大出力!!」
『わかりました』
空いている右の手を突き出す。
再び掌に電気の球が生まれる。
見る見るうちに大きくなるそれは何時しか4メートル近い大きさになっていた。
そして目の前に飛んできたビット群を迸る紫電で撃ち落とす。
「いっけぇ!!」
再び野球投手が如く白い機体に電気の球投げつける。
ーーー無駄なんだよ!!ーーー
白い機体のパイロットと思しき者の少々荒げた声が響く。
そして放たれた電気の球は槍による突進攻撃によって打ち消されてしまった。
そして俺の前まで勢いを殺さずに突っ込んできた。
ーーー無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!!ーーー
「くそっ…
でかい割に手数多いな…!!」
突進による鋭い一撃。
さらに加えられる連続した刺突攻撃。
今は刀で受け流せるものの段々と追い詰められているのは確かだ。
ーーー幾ら貴様等が機体を変えようがどれだけ進化しようが無駄だ!!
これだけの絶望を前にして何が出来る?!ーーー
「無駄なんかじゃない!!」
その時だった。
突然白い機体が揺らぎ後退した。
よく見ると機体腕部装甲の一部が損傷しているように見える。
そして俺の目の前にはまどかが2挺の拳銃を構えて立っていた。
ーーー我がエクストリームに傷を付けたかーーー
「この程度で終わりだと思うな!!」
まどかの機体のスカートアーマーが展開しそこからビットの様な物が5つ現れた。
ビットの両面の中心にはフランスの墓地で見たような十字架-ケルト十字が刻印されている。
「棺桶型のビット?」
「私は決めた…
己の犯した罪を認め、殺めてしまった人々の思いを受け止め、罪を償う為に生きるとな!!」
まどかの言葉に応えるようにビットの十字架の刻印された部分の装甲が展開し銃口が露出する。
「行け!!」
ビットが射撃を行いながらまどかは射撃を行う。
それにあわせて俺も接近する。
「希!!
でかいのをぶっ放す。
力を貸してくれ!!」
「言われなくても!!」
まどかの助けもあって白い機体は俺の間合いに入った。
その直後、俺は対IS用の閃光弾を投げつける。
これには対象のハイパーセンサーをジャミングし視覚を奪うと言うものだ。
例えハイパーセンサーに干渉出来なくても強い光を発するため操縦者の視覚を物理的に奪う。
ーーー何だ?!
この光は?!ーーー
「原始的妨害手段だバーカ」
予定通り視界を奪ったところで距離を一気に詰める。
「ぶった斬る!!」
刀を鞘に納め白い機体の腕に向かってそれを引き抜く。
すると白い機体の大きな腕は宙を舞った。
ーーー貴様…このエクストリームの腕を!!
なっ?!ーーー
「歯ぁ食いしばれ馬野郎!!」
次に俺は追加装甲『ストゥルタス』を展開、そして大きなハンマー『
そして3メートル近くあるそれの尾部が火を噴き振り下ろされる。
「ぶっ壊れろぉおおお!!」
ーーーがっ?!ーー
振り下ろされたハンマー。
それが白い機体に衝突すると同時に接触面を中心に6本の青い光が放射状に広がった。
上から見るとそれはアスタリスクの様にも見える。
「ビット展開…ノイズ0.6%…チャージ完了!!」
背後からまどかの声が聞こえてくる。
見ると5つの棺桶型のビットの銃口にと両手に持つ拳銃にエネルギーの球体が出来ていた。
「絶望を打ち払う!!
拳銃の激鉄の音が鳴り響く。
するとビットと銃口から7色の光が放たれる。
それはさながら虹のようだ…
その光は束になって白い機体に飛んでいった。
ーーーそうか…貴様等は自ら絶望の道を進むかーーー
「そんなこと知るか。
誰が絶望しようが私達は希望を信じて戦う。
それだけのことだ」
◇ ◇ ◇
「真っ黒な球が…縮んでく…」
目の前の希とまどかを呑み込んだ黒い光が段々と下降しながら縮んでいく。
地面に着いたとたんに黒い球は消え、その中から希、まどか、そしてパイロットのいないサイレント・ゼフィルスが現れた。
「希!!」
2人の所に駆け寄る。
二人とも瞳を閉じて動かない。
揺すっても起きない…
「まさか…起きてよ希!!」
「ぐが~」
「「「へ?」」」
突如聞こえてきたいびき。
それは大口を開けた希から発せられた物で隣のまどかも静かに寝息をたてていた。
「良かった…」
『皆さん聞いて下さい!!』
突如通信機から誰かの声が聞こえてきた。
その声の主は希の機体の中にいるホロアクター、セシアの物だった。
「どうしたの?」
『所属不明の機体がこちらに近付いてきます!!
数8…いえ90!!』
「き…90って一個小隊レベルって多いね…
…まどかちゃんの口封じって所だね」
「でも、やらなきゃやられてしまいます。
増援が来るまで持ちこたえましょう」
そうこう言っている内に気付いたら既に敵の無人機の大群がアリーナへと侵入してきた。
「行こう!!」
「「うん!!」」
「おっと嬢ちゃん達、加勢するぜ!!」
背後から男の声が聞こえてくる。
その直後侵入してきた先遣隊と思しき機体が光の弾丸によって撃ち落とされた。
弾丸の飛んできた方向を見ると大きな弓を構えた赤い機体とこれまた身の丈程ある大きさの剣を持った青い機体がこちらへと飛んできていた。
「あなた方は?」
「俺はロウ。
ジャンク屋だ。よろしくな」
「俺はサーペントテールの叢雲劾だ」
◇ ◇ ◇
「…どこだここ?」
目が覚めると病室の様な所に俺は居た。
あの戦闘のあとどうやら俺は気絶したらしくここに運び込まれたようだ。
あ、そう言えばここ楯無さんが怪我したときの部屋に似てるな。
きっとあの病院の他の部屋なのだろう。
「目が覚めたか希」
入口の方から声がした。
そちらを向くとサングラスをかけ地球連合軍の制服を着た男が缶ジュースを2本持って立っていた。
「が、がががが劾さん?!」
「久しいな。
2年前のオーブ以来か?」
「な、何でこっちの世界に…?」
そう、彼は本来この世界に居ない筈の人間だ。
「仕事で星の扉の近場に行ったんだ。
そしたらあれに俺だけ吸い込まれてな。
そう言えば、お前の担任から連絡だ。
目立った外傷は見えないから調子が悪くない限り勝手に出て行ってくれて構わないそうだ」
「言われてみるとちょっと包帯巻かれてるだけッスね。
ありがとうございます。
ところで…」
「織斑まどかは隣の病室だ。
会いたいなら勝手に行け。
きっとあいつも居るだろう」
「ほんと何から何までありがとうございます」
劾さんと共に病室を出る。
そして劾さんと別れ隣の病室へ。
表札を見ると確かに織斑まどかと書かれている。
「失礼します」
「希!!
目が覚めたか!!
久し振りだな」
「お久し振りです。
お、まどか。
目が覚めたか」
「ああ」
そう言うと私は元気だと言うアピールなのか彼女は微笑んだ。
「ってそう言えば!!
お前、頭のナノマシンは?!」
「それなら心配ねぇぜ。
何でかわからねぇがそんなもの頭の中には入ってなかった見てぇだ」
「良かったぁ~」
安堵の余り力が抜け椅子にのめり込む俺。
良かったなとロウさん。
いやはや…本当に良かった…
「ありがとう希。
お前が居なかったら今私はここには居ないだろう。
それに、コイツとも出会わなかっただろうしな」
まどかは胸に輝くケルト十字を見ながら言う。
「それがさっきの白い機体?」
「ああ。
目が覚めたら首からかかっていた。
名前も既に決めてある」
「どんなのなんだ?」
「この機体の名は『アポイナ』。
ギリシャ語で贖罪と言う意味だ。
私は沢山の人の命を奪ってきた。
だからコイツと共にその罪を償う。
そのために私はISに乗ってお前の力になろう。
守るべき友達も居るわけだしな」
「改めてよろしくッス!!」
「ああ。
よろしく頼む」
「まどか!!」
突如病室の入口が勢い良く開いた。
そこには肩で息をしている一夏の姿があった。
「いち…か…?
本当に一夏なのか?」
「ああ。
10年振りだよ。
そして一言言わせてもらう。
馬鹿野郎!!」
「なっ?!」
「突然居なくなりやがって!!
心配…したんだぞ…寂しかったんだぞ!!」
「一夏…」
「本当に…ふざけんじゃねぇよこの馬鹿ふごぉ?!」
ごすっ
鈍い音とともに一夏の大きな声が止まった。
「希てめぇ!!
何しやがる!!」
「ここ病院。
お前うるせぇ。
Are you ok?」
「だからって殴ることはーーー」
「ついカッとなってやった」
「殺人事件の犯人が?!」
「ぷっ…あはははは!!」
「ど、どうした?」
「そんなにおかしかったッスか?」
突然まどかが笑い出した。
というより笑い転げていると言うのが正確か。
だってベッドの上で足をじたばたさせながら笑ってるって十分そう言えるだろ。
「いやすまない。
余りにも久し振りでなこういう雰囲気で話をするのは」
「そっか。
よっし!!今から織斑家に行くぞ!!」
「ん?
あ!!俺の誕生日パーティー!!」
「そうそう。
まどかも行くか?」
「ああ」
◇ ◇ ◇
「一夏くん達遅いですね」
「確かにな。
希を病室から拉致って来るって言ってたけど」
「お兄…普通に連れてくるでいいでしょ?」
今私ー兵部花音は織斑くんの家にて待機していた。
目的は彼の誕生日パーティー。
何だかんだ言ってIS学園の1年の専用機持ちはみんな来ている。
顔が広いですね彼は。
「ただいまー」
「あ、帰ってきた見たいですよ!!」
「みんな~突撃~!!」
空ちゃんの突撃命令でみんなで玄関に押し掛ける。
するとそこには一夏くん、希くん、そしてまどかちゃんがいた。
3人ともかなり驚いている様に見える。
「い、一夏?
その子だれ?」
「ま、まさか…僕達が知らぬ間に彼女を…」
え…彼女?
いやその子は…
「なっ?!
どういうことだ一夏?!」
「聞いていませんわ!!
一夏さんに彼女が…彼女が…」
「嫁よ!!
どういうことだ私という相手が居ながらも!!」
「ちょっと待ってくれ!!
これには深い訳がだなーーー」
「え、えっと…妹です!!」
「「「「「ふぇっ?!」」」」」
まどかちゃんの言葉に織斑ハーレムズ(希くん命名)が一斉に静かになる。
「織斑まどか!!
姉さんの妹で一夏の双子の妹だ!!
よ、よろしく!!」
「「「「「………」」」」」
「な?!
希!!一夏!!私は何か悪いことでも言ったのか?!」
「なーんだ。
妹かー」
「このパーティーの主賓が増えたね」
「え?え?」
「大感激って意味ですよまどかちゃん」
「花音…」
「よーし主賓も揃った事だしパーティーを始めるか!!」
「本当にレオスは昔から元気がいいな」
「さ、行きましょうまどかちゃん!!」
私はまどかちゃんに手を差し出す。
「う、うん!!」
少々戸惑いながらも私の手を取るまどかちゃん。
その手を引いてリビングへ。
既にみんながクラッカーを構えて待機していた。
「「「「お誕生日おめでとう一夏、まどか!!」」」」
パンパンと鳴り響くクラッカーの音。
それは織斑まどかの新たな日常の始まりを知らせる鐘の音だったのかもしれない。
誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他 出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
最近シリアス回ばっか書いてるんで少し日常回挟んでから話を進めたいと思います。
次回
迷い込んだ忠犬
お楽しみ~