IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~ 作:ぼいら~ちん
「の、希!!
これ!!」
「ん?
専用機限定タッグマッチ?
ああ、こんなのあるって楯無さんから言われたっけ?」
私は希にチラシを手渡す。
それは一週間後に迫った専用機限定タッグマッチの概要の書かれた申し込み用紙である。
「希ってみんなから人気があるでしょ?
だから早めに誘っておかないとダメかなーって」
希と組むって事は今以上に一緒に居る時間が増えるって事だよね!!
そんな事を思いながら期待に胸を膨らませ頬を紅潮させる。
「すまん!!
簪とは組めない!!」
そんな私に返ってきた言葉は想定の斜め上所か完全に真上を行っていた。
「え?」
「つーわけでごめん!!
埋め合わせはするからまたな!!」
「え、あ、ちょっと!!」
「本っ当にすまん!!」
茫然自失とする私を尻目に希は廊下を走って行ってしまった。
「いっちゃった…」
私は希の彼女(姉公認)なのに…
「誰と組む気なんだろう…」
気になったので希の後をつけることにした。
彼女なんだし良いよね?
うん、良いはずだ!!
◇ ◇ ◇
「にーいさーん!!」
「ん?
どした空?」
一階の昇降口。
今度は希に空が話しかけてきた。
私はどこで見てるのかって?
階段の陰からですよそりゃあ。
「これこれ!!
一緒に出ようよ!!」
「あー…えーと…
非常に言いにくいんだがな…」
希は空の誘いに口を濁す。
…まさか…
「すまん…簪にも言ったんスけど一緒に出れないんだ…」
「えぇ?!
ちょっと!!どう言うこと?!」
「本っ当にすまん!!
理由は後で話すし埋め合わせもするから今はちょっと放っておいてくれ!!」
「え?!
ちょっと待ってよ!!
兄さん!!」
希は私の時と同じように大急ぎで昇降口から外へと出て行ってしまった…
どうやら希が組む相手は空ではないらしい。
「…行っちゃった。
兄さんが組むのがかんちゃんじゃないなら誰と組むのかな…?
気になる…」
「じゃあ、一緒に後をつけてみよう」
「か、かんちゃん?!
いつからそこに?」
「空が希を誘うところから」
「最初からじゃないか!!」
「気にしたら負け」
「そ、そうかなぁ?」
希の浮気疑惑浮上してるんだから一大事。
こういう事をするのは正直しょうがないと思う…多分おそらくきっとメイビー…
「よしかんちゃん!!
一緒に兄さんを尾行しよう!!
親友の恋路を助けるのは親友の勤めだもの!!」
「ありがとう空!!」
空がパーティーに加わった。
◇ ◇ ◇
「今度は学生寮か…」
「自分の部屋に行ったね」
先程から妙に急いでいる希が学生寮の自分の部屋へ入っていった。
今が平時なら希ははただ荷物を置きに来ただけだと思うところだ。
しかし今の希には浮気疑惑がかかっている…今考えると…
「はっ…!!
まさか…浮気相手と…」
「あ、すぐ出てきた」
ほっと一息…一安心とまでは行かないがまあひとまずよしとする。
そして希は制服のまま出かけるとき用の鞄を持って部屋を出た。
「行こう!!」
「希くん!!」
「や、ヤバい!!
キャノンちゃんきた!!
隠れてかんちゃん!!」
「うん!!」
T字路の希から見えない方の壁に隠れる。
ゆっくりと壁の端から目を出す。
「来週の専用機限定タッグマッチ!!
一緒に出ませんか?
色々と教えていただきたいことも有るので一緒に教えて下さい!!」
「ええと…それなんだけど…
教えるのは良いんスけど組むとなると…ダメなんだよ」
「え…そうなんですか…?」
「ああそうなんスよ…っておわっマジか?!」
希は携帯を取り出し時間を確認すると何かに驚いた…
「ごめん花音!!
埋め合わせは絶対するから!!
また今度な!!」
「ま、待って下さい希えうっ!!」
走り去っていく希を追いかけるが花音は何もないところで転んでしまった…
勢いがあった所為か足が浮き、後ろにいる私達には下着が見えてしまった。
昔からそうだが何で何もない廊下でこけるのだろうか…
それを尻目に希はどんどん離れていく…
「えうう…希くぅん…」
「大丈夫?
キャノンちゃん?」
「ふえ?
か、簪ちゃん?!空ちゃん?!」
花音は私達に声をかけられると大急ぎで涙が溢れそうな瞳をゴシゴシと制服の袖で拭きこちらを向いた。
「大丈夫?
かなり痛そうだったけど」
「な、何ともありません!!
これも何時ものこと、日常茶飯事ってやつです!!」
いやいや…
毎日こんな盛大に転ばれるとこっちの身が持たないって…
「所で2人はどうしたんですか?」
「ああ…それはね…」
ことの経緯を花音に説明する。
納得がいったのかふむふむと頷くと彼女は口を開いた。
「希くんが浮気ですか…
でも誰と組むのかは彼の自由なのでは?」
「彼女と実の妹であるボクを差し置いて誰と組むって言うんだ!!
浮気相手しかいないでしょ!!」
「そうかもしれませんね!!
私も一緒に行きましょう!!
昔からやってみたいと思ってたんですよこういう探偵みたいなこと!!」
…理由はどうあれ花音が仲間になった。
◇ ◇ ◇
「外に出掛ける気か…」
「なんか浮気以外の線も考えた方が…」
「「それはない」」
「ですよね。
あっノエルちゃんが来ましたよ!!」
「希くーん!!」
「ん?
…今日は何かと女子に声掛けられるな…」
いやしょうがないでしょ。
ここの生徒の大半は女子なんだし。
「これ!!
あたしと組むぞよ!!
あたし達なら優勝できるって!!」
ノエルも私達同様に希に申し込み用紙を見せる。
しかし希は申し訳無さそうに首を横に振った。
「あ、そう?
やっぱりダメだったか~」
「本当にすまん…
あ、ノエルってさ…」
希はノエルに耳打ちし始める…
「何話してんだろね?」
「あ、終わったみたいですよ」
希の話にうんうんと相づちをうっていたノエルは太陽のように眩しい笑顔で「もちろん!!」とサムズアップ。
それを確認した希はノエルの腕をつかみ一目散に校門の外へと駆け出した。
「え?!
やっぱり浮気相手ってノエルちゃん?!
急いで追い掛けようよ!!」
「何の話だ?」
「うわ?!
ってなんだ…まどかちゃんか…
織斑先生かと思ってびっくりしたよ…」
「まどかちゃんこそどうしたんですか?」
「偶々校門の近くを通りかかったら学外に大急ぎで走っていく希とノエル、そして物陰から慌てながらそれを見ているお前達を見てな。
浮気がどうとか言っていたが…」
「説明は走りながらね」
まどかにもことの経緯を走りながら説明する。
ふむふむと相づちをうつが…
「流石に考え過ぎではないか?」
「それも思ったんだけど…何か希の態度が何か変でね。
理由は後で話すだの埋め合わせはちゃんとするだのよく分からないの。
それにここ1週間くらいやけに部屋に戻ってくるのが遅いし…」
「ふむ。
やはり浮気か…」
「だよね!!」
「乗り掛かった船だ。
私も同行しよう。
ここまで走ってきて学園に戻るのも面倒だしな」
希を追って走ってきたのは良いが気付いたらモノレールの駅まで来ていた。
「どこまで行くんでしょうね?」
「取り敢えずついて行ってみよう!!」
◇ ◇ ◇
「ねえ希くん…」
「やめとけ。
ツッコんじゃ負けな気がする」
「そうかなぁ?」
午後3時頃…
あたし-ノエル・リュミエールはIS学園の生徒会副会長こと星村希くんと一緒に電車に乗っていた。
しかしだ…目の前の帽子被った4人組-新聞を読んでいる-は120%あたし達の共通の知り合いだ。
だっておかしいもん、何か定期的にちらちらこっち見てくるし新聞の下から見えてるのはうちの制服だし…
「ねえ希くん…やっぱり事情を話した方がいいんじゃない?」
「でもみんなに心配とか迷惑かけるのもやだし…」
「希くんがそうやって悩んでる方が向こうからしたら心配だと思うよ?
みんなから言われたんでしょ?
もっと頼ってくれって」
「…それもそうッスね」
希くんは少し考えるような素振りを見せると一言呟き立ち上がる。
そして目の前の席の明らかに怪しい4人組の方へと歩いていった。
「あっ」
「ちょっ」
「あぁっ…」
「むう…」
「何やってんだお前ら…?」
そして4人の読んでいた新聞を右から順に取り上げる。
露わになった顔は何時も学校で見ている簪、空、花音、まどかの4人でそれを見た希くんは呆れ気味に問い掛けた。
「な、何をやってるとは失礼な!!」
「そ、そうだ!!
ボクたちは兄さん達のことをずっと尾行して…やばっ!!
言っちゃった!!」
空ちゃん…アホの子だったのか…
「だって…希が私達の誰とも組んでないから相手が気になって…」
「IS学園はプライバシー保護とかしっかりしてるから普通に部屋で話せばいいしわざわざ外に出る必要もない。
百歩譲って待ち合わせしてたとしても電車に乗らなきゃ行けないとこまで出るのは面倒だしな」
「確かに希くんってズボラな所あるかも」
「だろ?」
何だか分からないが疑惑は晴れたようだ。
いやはや天晴れ天晴れ。
「じゃあ何でこそこそしながらどっか行こうとしてたの?」
「ああ、ここまで来ちゃったら話した方がいいな」
『次は~大郷~大郷~』
「ちょうどいい。
目的地に着いてから話すッス」
「「「「どこに?」」」」
◇ ◇ ◇
「ここすごいね!!」
「だろ?
デュノア社の日本支部直轄の工場だからな」
「まさか…兄さんのやる事って…星彩の修理?」
「そゆこと」
IS学園から少し離れたところにあるデュノア社の工場。
俺達はそこにいた。
理由は修理に出している星彩の修理がなかなか進まないため搭乗者である俺の力を借りたいとのこと。
と言うわけで俺一人では不安なので整備の腕の高いノエルをお供として連れてきたというわけである。
「何で希は私達に頼まなかったの?」
「そりゃあ心配かけたくないし…
俺が手伝いに連れてくと迷惑かかるだろ?」
「それもそうですけど…
何も言わないで出て行くのもどうかと思います!!」
「そうだぞ。
私達に希程の知識は無くとも力仕事位は出来るぞ。
ISのパーツの運搬は生身では出来なくても私達にはISがある」
「そうだそうだ!!
ノエルちゃんだけに兄さんは一人占めさせないぞ!!」
「そんな事思ってないから!!」
「ピキーン!!
今、動揺したな?」
「確かに…心が揺らいでた」
「右に同じくだ」
「こ、こいつら…ただ者じゃない!!」
これこそ能力の無駄遣い…
「よう希!!
お前も来てたのか」
「あれ?
ロウさんに劾さん?
何でここに?」
「お前の機体の修理の手伝いだ。
まあ、金が貰えるからハローワーク通いの俺にはちょうど良かったのでな」
「え…劾さんがハローワーク…?」
「冗談だ」
この人が言うと冗談に聞こえねぇ…
「そう言えば!!
お前の機体の修理が終わったんだよ!!
早く行こうぜ!!」
「え、ちょ!?
引っ張んないで下さいよ!!」
ロウさんに手を引かれ走ると廊下の奥に扉が見える。
そこには俺がジャンク屋として活動していた時の仲間がいた。
「希ー!!ひっさしぶりー!!」
「久し振りですね希」
「お久し振り」
「樹里にリーアムさんにプロフェッサー!!」
「感動の再開は置いといて、早く見ようぜ!!」
「あ、はい」
目の前の扉を開けるため横にあるボタンを押す。
プシュッというの空気の抜ける音と共に扉が開く。
するとそこには白と青を基調としたボディと白い翼を持ったISが鎮座していた。
「これが俺の全部盛りに全部盛りを尽くした星彩!!
その名も星彩第二形態『星雨改式』だ!!」
「星雨改式…名前かっけー!!」
「機体も見たことだ。
機体の調子を見るためにも模擬戦をしていけばどうだ?
相手は俺が勤めよう」
いつの間にやら部屋に入ってきていた劾さんが言う。
近くに居たここのスタッフもみんなでサムズアップしている。
「いや。
こっちは代表候補生の知り合い沢山連れてきたんでタッグにしましょうよ。
ロウさんの新しい機体ってのも見てみたいし。
簪、やるッスよ」
「え、あ、うん!!」
「俺もやるのか?
良いぜ…見せてやる!!
俺の集大成、レッドフレーム改の力をな!!」
誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他 出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
次回もお楽しみに~