IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~   作:ぼいら~ちん

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PHASE-53 ふと思うこと…

「んじゃ、始めるか」

 

「了解」

 

ロウさんの言葉で俺達4人は一斉にISを展開する。

ロウさんの赤い機体、アストレイレッドフレームは俺が知っているM1のバックパックを改造したフライトユニットではなくブルーフレームのものの色違いの赤いタクティカルアームズが装備されていた。

そしてブルーフレームのものとの違いは変形後に刀身になると思われる走行が逆Vの字のセカンドLに対しこちらは普通のV字である。

その上腰に装備された日本刀型の実体剣「ガーベラ・ストレート」が2本に増えていた。

そして劾さんのブルーフレームはオーブで見たセカンドLに比べては全体的に機体がスリムになっており機体全長も少し大きくなっているような気がする。

…両方とも武器の基本設計はロウさんがやってると思うとマジでドン引きするくらい凄いと思う。

 

『希、少し良いですか?』

 

「どうしたセシア?」

 

そんな分析をしているとセシアの声がヘッドホン型のハイパーセンサーから耳に入る。

 

『ロウさんの機体調整のお陰で装備前の総重量をミノフスキークラフトユニットの機体総推力が上回ったためにオミットしていた武装の使用が可能になりました』

 

「凄いな!!

流石はロウさん…!!」

 

やっぱりあの人には適わねえや。

今まで収納していた荷電子砲などを展開する。

 

「さ、始めるッスよ!!

カウントよろしくぅ!!」

 

わかりましたというカノンの声が聞こえてくる。

それに次いで機会音声によるカウントダウンが始まる。

 

「簪、相手はかなり強い。

気を抜くなよ」

 

「わかった!!」

 

「お前とこうして戦うのも何度目かな…

やっと板に付いてきた感じだな」

 

「どうしたの急に?」

 

「…何でだろうな?

っぐ…何でか…涙が止まらねえ…」

 

「え?え?」

 

「の、希?!

何で泣いてんだ?!」

 

「兵部、今日は止めだ。

カウントダウンを止めてくれ」

 

『え?

は、はい!!』

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「悪いな…みっともないところ見せちまって」

 

星彩を受け取り寮の自室に戻ってきた。

自分が何で突然泣いたのかなんてのは分かってる。

 

 

「いいよ。

男の子だって人間なんだから泣きたいときはあるでしょう?」

 

「…俺は簪のそんなところに惹かれていったのかもな…」

 

「ふえ?!

なに、唐突に?!」

 

「俺さ、専用機限定タッグマッチに出ないって言ったろ。

あれさ、理由があるんだ」

 

「理由って?」

 

「俺さ最近思い始めたんだ…

俺は別の世界から来た人間だろ?

何か役目があってこの世界に連れてこられたとしたらその役目が終わったらこの世界から居なくなるわけだろ?」

 

「…お別れ…」

 

「そう。

だからこれ以上みんなと絆を深める事でどんどん別れが悲しくなってくる…

俺達がいないのをお前らに引きずって貰いたくないから…」

 

俺は簪に答える。

そんな簪は俺に近づいてきて気がつくとリアルに鼻がくっつきそうなくらいに近くの距離までよってきた。

そして…

 

「えいっ」

 

「いたぁっ?!」

 

デコピンをしてきた。

しかも鼻にだ。

 

「な、何すんだよ…めっちゃ痛い…」

 

半べそをかきながら簪に質問する。

 

「そんな考え方、希らしくない」

 

「へ?

俺らしくない?」

 

「そう。

確かに人間っていう生き物が誰かと一緒にいれる時間は物凄く短くて絶対に別れは来る。

それが例え私達と違って同じ世界に居たとしてもね」

 

「だったら…」

 

「でもね、その別れる一瞬よりも一緒に過ごしている時間の方がずっと長くて楽しいでしょ?

だったらその別れるまでの時間を精一杯楽しんだ方がいい。

ノエルも花音もみんな同じ事を言うと思う。

だってそれが希から教えてもらった…私達が希から学んだ事だから」

 

「簪…俺は本当に幸せな人間だよ…

こんなに俺のことを思ってくれてる人がいるなんてな…

それとさ、もう一つ理由があるんだ」

 

「それは?」

 

「それはな…」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「ごめんくださーい。

彩葉さん、星村希ッス!!」

 

「あー、ちょっと待っててー」

 

専用機限定タッグマッチに出られないもう一つ理由、それは千冬さんから頼まれ事をしているからだ。

逆らったら殺されると言う旨を簪に伝えたらしょうがないと言ってくれた。

お詫びとして大会までの1週間打鉄弐式の整備をずっと手伝ったのだが。

ま、簪と一緒に居れた時間が増えて良かったとする。

 

「ごめんごめーん。

突然仕事が入っちゃってこの子預かってくれる人見つかんなくてさー」

 

この女性、結城彩葉(ゆうきいろは)さんは千冬さんの中学の先輩らしく家も近かったため親交が深い。

そして既婚者の彼女は日本では千冬さんに次ぐISの実力の持ち主で千冬さんが現役を退いた今、彼女がその役目を受け持っている。

そして彼女が言ったこの子とは娘、小学4年生の結城悠(ゆうきゆう)の事である。

事故で夫を亡くした彼女は仕事がどうしても忙しいときに俺達に悠ちゃんの世話を頼むのだ。

 

「でも本当に良かったの?」

 

「何がですか?」

 

「今日は学内試合だったんでしょう?

それに千冬から聞いたわ。

彼女さんからもタッグを組もうと誘われていたのでしょう?」

 

「まあ、残念ですけど…

命の恩人の頼みを無碍には出来ませんし、これからでも思い出は沢山作れますしね」

 

「ふーん…

希くんは結構長い目で人生を見てるんだね」

 

「ま、焦っても何も良いことないッスからね」

 

「そっか…じゃ、悠のことは宜しくね。

悠ー!!希くん来たわよー!!」

 

「はーい!!」

 

とてとてと小走りで玄関の方へと近付いてくる白いワンピースを着た少女。

これが彩葉さんの娘の悠だ。

髪は彩葉さんと同じで茶色、瞳の色は青で肌は雪の様に真っ白と少々日本人離れしている外見だが父親がイギリス人なのだから仕方がない。

 

「希さん、よろしくおねがいします」

 

「おうよろしくな!!

じゃ、行こうか悠」

 

「うん!!

行って来まーす!!」

 

「気を付けてねー」

 

玄関を離れ目的地へと向かう俺達。

端から見たら正直犯罪者だがちゃんと悠が証明してくれる…はず…

ま、学園の生徒手帳も持ってるから大丈夫っしょ。

 

「ねえ希さん、今日はどこ行くの?」

 

「なあ悠。

ISって好きか?」

 

「好き!!大好き!!

だってお母さんの練習してるところ見てすっごく楽しそうだもん!!」

 

「じゃ、今日はISを見に行こう!!」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「希くん、その子が例の?」

 

「おう。

この子が千冬さんの友達の娘の結城悠。

悠、こいつらが俺の学校の友達だ」

 

取り敢えずISを見るならここだ!!

と言うことで学園に戻ってきました。

そして今は簪とノエルに試合前に会わせようと言うことで彼女達がいる第3アリーナのAピットにいた。

因みに簪達の相手は箒と楯無さんのペアだ。

こうして会いに来たのもい強敵を相手にする2人への激励的な意味もある。

 

「よろしくおねがいします。

結城悠です」

 

「「か、可愛い~!!」」

 

きらきらと目を輝かせる2人。

 

「ま、試合終わってからも話は出来るだろうからそん時にな。

じゃ、俺達は客席から見てるから頑張れよ~」

 

「「うん!!」」

 

そう言ってピットを俺達は後にする。

 

「あのお姉ちゃん達、強いの?」

 

「そりゃあな。

ま、言うよりも見た方が早いからな!!

客席にゴーだ!!」

 

「うん!!」

 

その時だった。

 

ドゴーン

 

「キャッ!!」

 

「くっ!!」

 

爆音と共に地面が大きく揺れる。

音は2つ…しかも1つはすぐ近く…いや…真後ろ?!

 

「簪!!」

 

でも一般人であり幼い悠を置いていく訳にはいかない…

 

「星村くん?!

なぜあなたがここに?!」

 

「山田先生!!

グッドタイミングッス!!」

 

通路の奥から山田先生がこちらへと近付いてくる。

どうやらもともと近くにおり、騒ぎに気づいてここに来たようだ。

 

「良いか悠?

このお姉さんの言うことを聞いて避難するんだぞ。

山田先生、この子を連れて織斑先生の所へ。

敵襲です。俺は出ます」

 

「で、でも!!

敵の数は未知数です!!

星村くんだけが他の生徒の支援に行っても…」

 

「ついでに大郷のデュノア社の工場に連絡を入れといてください。

ロウさんと劾さんに「人手が足りないから手を貸してくれ」と」

 

「…わかりました…

呉々も無茶はしないで下さいね!!

私達教員も何時でも出れるように準備しておきますから!!」

 

「了解!!」

 

悠達に背を向ける。

しかし悠に呼び止められる。

 

「希さん!!」

 

「大丈夫ッス。

さっさと終わらせてさっきのお姉ちゃん達とご飯食べようぜ!!」

 

「…うん!!

絶対に帰ってきてね!!」

 

俺は振り向かずにサムズアップ。

そして右腕のブレスレットに手をかざす。

 

「…星雨…改式!!」

 

俺の言葉に呼応して光が丘俺を包み込む。

光が晴ると同時に粉塵によってぼやけていた視界がクリアになる。

ニュータイプの能力たる特殊な空間認識能力の効果範囲を限界まで広げる。

敵の数は…10…いや…それ以上…

 

「…行くか!!」

 

地面を思いっきり蹴りだし、展開していた増加スラスター、アームド・アーマーDEとアームド・アーマーXCを最大出力にして加速する。

 

「もう誰も泣かせない…」

 

ミノフスキークラフトを起動する。

ハイパーセンサーにMinovsky Craft bootの文字が現れる。

 

「失うのは…もう…」

 

最後にハイパーセンサーにAll system boot.と言う文字が現れ視界の端にエネルギー残量や装甲ダメージ率等のパラメーターが表示される。

 

「沢山だ!!」

 

青い粒子が辺りを舞う。

俺は長い通路を全力で加速し始めた。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「これは…一夏と鈴音の試合に現れた無人機!!」

 

「前のと形が違う…見た感じ射撃と近接戦闘の両面をバランス良く強化した感じだね」

 

ソルが分析結果を口にする。

俺ースウェン・カル・バヤンは展開していたIS、ノワールのバックパックにマウントされている対艦刀「フラガラッハ3」を抜き放ち構える。

しかしここまで視界が悪い上に狭いと戦闘に支障が出る…

 

「ソル!!

わかっているな!!」

 

「もちろん!!」

 

俺がフラガラッハ3で切りかかる。

そんな見え透いた攻撃は当然の事ながら右腕の大型ブレードによって防がれる。

しかし…

 

「おぉおりゃぁあああああ!!」

 

俺に気を取られていた無人機は背後に回り込んでいたソルに首根っこを掴まれアリーナの方向へと投げ飛ばされた。

一仕事終えたようにふぅーと一息ついたソルは何かをやりきったような表情で額の汗を拭う。

 

「やっぱり希にパワーアシストの性能上げてもらってて正解だったなぁ」

 

「ソル、仕事はこれからだ。

反対側のピットの花音とステラの援護と投げ飛ばしたやつを破壊するぞ」

 

アリーナの方へと向かう。

しかしアリーナの全景が見えた途端に動いていた俺の足は歩みを止めた。

無人機の隣にはかつて共に戦った仲間の機体、ヴェルデバスターとブルデュエルが立っている。

 

「よう裏切り者。

また会ったな」

 

ヴェルデバスターのパイロットはバイザーを上げる。

そこには俺に対する憎しみの籠もった瞳がこちらを見据えていた。

 

「シャムス…ミューディー…」




誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他 出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
次回もお楽しみに~
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