IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~ 作:ぼいら~ちん
「2秒経ったわ…
ねえ希…」
「ああ。
緊急用電源に切り替わんねえし非常灯も点かねえ」
これはおかしいと俺は待機状態のISをハイパーセンサーと背部スラスターおよびアームド・アーマーXCのみを起動し、ハイパーセンサーのモードを暗視モードに切り替える。
俺達はは辺りの状況を確認しながら前に進んでいく。
各教室のドアと窓にも窓と同じ様な防御シャッターが降りてきている。
このシャッター、銃弾なんてなんのその、C4爆弾ですら穴を開けることの出来ないくらいに物凄い固い素材を使っているため中にいれば安心である。
「…学内に知らねえ人間が入ってきてる」
「何よそれ?!」
「機体の後ろのこれは増設ジェネレーターの役割を果たすと共にハイパーセンサーと連動することでニュータイプ能力の強化ーーーつまり他人の気配を察知する能力の感度とその範囲を増幅させることが出来るんだ」
「…それって大体の数もわかるの?」
「ああ。
今の所ISの反応はねえがかなりの数の兵隊さんが居るな。
ざっと3、40人。
一個小隊レベルだな」
「結構多いわね」
「やっこさんもそれだけ熱込めてやってるってことッスよ」
ピピピ ピピピ
『希!!
星村希、聞こえたら返事を!!』
「その声…簪か!!」
その時、ISのプライベート・チャネルによる通信で簪の声が俺の耳に届く。
取り敢えず簪の無事を確認し体の緊張が少し解れる。
鈴も誰かと通信によって会話しているようだ。
「今何処に居るんスか?
周りに人は?」
『取り敢えず今は花音とノエルと一緒。
ねえ希、この感じ…』
「わかってる。
俺はそっちの様子を見てからそっちに行くッス」
『気をつけてのぞ―――』
ブツン
「簪?
おいどうした?!
返事しろ!!」
「きゃぁああああ!!」
簪との通信が突然切れ、外から少女の悲鳴が聞こえてくる。
俺はその声を聞いて舌打ちをしながら星彩の
「くそっ!!」
俺はその日本刀で外へと通じるガラス窓とシャッターに向けて刀を振るう。
すると俺の目の前の壁だけが綺麗に崩れ、人が通れるようになる。
「え?!
アンタ、そのシャッターってプラスチック爆弾でも壊れないのよ!!」
「昔から言ってんだろ?
俺に斬れねぇ物はねえってな」
そこから俺は飛び降り、数メートル下の少女と銃を持った男を見据える。
銃を構えている男は若干の迷いを見せているものの少女は完全に怯えきっており腰が抜けて動けないようだ。
「丸腰の女に銃口を向けるなんて…いい趣味してんじゃねえの!!」
俺は着地と同時に刀を振るう。
男の持っていたアサルトライフルは真っ二つになる。
「う、うわぁあああ!!」
動揺した男は懐からコンバットナイフを取り出して俺に向かってくる。
「精細を欠いたら白兵戦は負けッスよ?」
男のコンバットナイフに向かって刀を振るうとポキリと折れる。
今度は逆に腰を抜かした男は後ずさりしながら俺を睨み付けるが力量の差を確認すると一目散に逃げて行った。
そして最初に腰を抜かしていた少女を見る…
「大丈夫か?」
「あ、ありがとうございます助かりました」
少女は少々怯えながらも俺に感謝の言葉をかけてくれる少女。
服装は一般的に言う私服で制服を着てないため学園の生徒かどうかは判断できない。
「まだ学園の中は危ないッスから敷地から出ちゃった方がいいッス。
ほら、向こうに校門が見えるでしょ?」
「あの…なんで学校の中に銃を持った人がいるんですか?
あなたも日本刀なんて持って…」
「あーやっぱり学園の生徒じゃなかったかー
今な、IS学園って最近物騒な事件が多くってさ。
生徒会主催で避難訓練やってるってワケ」
モチのロンでこんなことは嘘である。
流石に信じてくれとは言わないがこれ以上の追及はしてこないで欲しい…
「そうだったんですか~」
少女はぱあっと表情を明るくさせ俺に微笑む。
先ほどの不安は嘘のように今の彼女の感情の波は安定しきっている。
「友達にここで待つように言われて待ってたら銃持ったおじさんが来てすっごいびっくりしましたよー
その刀も雰囲気出すための飾りってわけですね?」
「お、おう!!
そうだ!!俺みたいな生徒会の役員はこうやって武器持って訓練に参加し損ねた生徒に誘導してたんスよ。
因みにこいつは演劇部から借りた模造刀だ」
鞘に入れた刀をぶんぶんと振り回してそれを見せ付ける。
演劇部からってのは嘘だがこの刀が模造刀であることは本当だ。
何でC4爆弾でも穴を開けれない壁に穴を開け、アサルトライフルを一刀両断出来たのかって?
俺には斬れねぇものはねえ。
それだけのハナシでそれ以外なんでもない。
「生徒会の方だったんですか?」
「おう!!
これでも俺は副会長ッス。
ささっお譲さん!!他の役員に何か言われる前に早く外に言った方がいいッスよ」
「はい!!
ありがとうございました!!」
ぱたぱたと駆けて行く少女。
俺はその後ろ姿を見送っていると再びプライベート・チャネルに通信が入った。
『星村!!
希!!応答しろ!!』
「こちら星村。
その声、千冬さんッスか?」
『ああ。
やっと繋がったか…』
俺の返答に安堵する千冬さん。
しかしそんな腑抜けた声をあげたのも一瞬のことですぐさま大きな咳払いをした。
『おっほん!!
今から現在の状況の説明を行う。
現在、学園のシステムは何者かにハッキングされこちらからのアクセスは一切受け付けない。
外からのクラッキングは不可能だと断定した為オルコット、篠ノ之、デュノア、凰、ボーデヴィッヒの5人には電脳ダイブによる内部からのクラッキングを先程開始した』
「電脳ダイブ…」
電脳ダイブとはISの操縦者との同調機能とナノマシンの信号伝達を用いて操縦者の意識を電脳世界へと侵入させることである。
一言で言ってしまえば「流星の●ックマン」である。
それ自体に危険性はないが、メリットもない。
実際のところ外からハードとソフトを弄った方が早いからである。
「ってことはみんなオペレーションルームに居るんスよね…一カ所に専用機持ちを5人も集めるってのはちょっと危なくないスか?」
『それに関しては問題ない。
5人のオペレーター件護衛にに更識妹とセレーネを付けた』
それなら大丈夫かと一言呟く。
それと…千冬さんが付け足そうとしたところで校舎内から爆発音が聞こえてくる。
『…言い忘れていたが、レイ先生とリュミエールにはこれから進入してくるISとの交戦、そしてお前と更識姉には校内の一般兵の拘束を頼みたい』
「…あの人大分派手に始めたなぁ…大丈夫なのかな…」
冗談半分でそんな事を言うと自分に対しての視線を感じる。
「…じゃ、早速奴さんが来たっぽいんで通信切りますね」
『わかった。
呉々も死ぬなよ』
「了解ですよっと!!」
何処からか飛んできたライフルによる弾丸を腰から引き抜いた模造刀で切り裂く。
真っ二つになったライフル弾がキーンと地面に落ちた所で俺の周りを人が囲んでいる事を感じ取る。
「…俺何か悪いことしたかなぁ?」
一斉に俺に向かって鉛玉が飛んでくる。
俺は空高く飛ぶことでそれを避けるとすぐさま星彩のウィングのみ展開しファンネルによるビームバリアーを形成。
空中に向かって飛んできた弾丸を全て防ぎきった。
「格闘で潰す!!」
着地と同時に部分展開していたISを全て収納し前へと一気に走り出す。
弾丸が飛んでくるもののそれを避け虚空に向かって腰の模造刀を振るう。
何かの手応えと共にその透明な何かは真横へと吹き飛び校舎の壁に激突。
透明だったその体は見る見るうちに姿を表しギリースーツのような服を着た男の象を作り出した。
「お前らも出て来いよ?」
俺は何も見えない空間にそう言い放つと一瞬にして気配が消えていった。
「…何でだろ?」
俺がそう思ったとき再び校舎の向こう側から爆発音が聞こえてくる。
きっとこの爆発を起こした主は16歳の少女更識楯無だろう。
「…こいつ縛り上げるか」
俺はこんな事もあろうかと演劇部から借りてきた縄で気絶した男を縛り始める。
◇ ◇ ◇
「んー!!んー!!」
「あーうっせえ
学園に喧嘩売ったお前らが悪いんだよ」
縛り始めてから数分。
猿ぐつわをして近くの木に逆さ吊りにされパン1のゴリマッチョは目を覚ますと何か喚き始める。
パン1にした意味?
取り敢えず服の中にナイフとか隠し持ってるとマズいだろ?
「取り逃がして楯無さんに怒られんのも面倒だしな…」
パン1男を睨み付けながら俺はそう言った直後、頭の中に電気が迸るような感覚を覚える。
「楯無さん!!」
校舎の向こう側からの音が収まったと思ってから数分後、楯無さんの心の波が安定したがその直後一気に反応が弱まった。
俺は嫌な予感が下のでそちらに向かって走り出す。
「くそっ!!
俺がもっと周りに気を配っていれば!!」
よくよく考えれば最初から俺が楯無さんと合流していればこんな事にはならなかったのだ。
確かにあの人は学園最強の女の子。
でもそんな彼女も16歳、ましてや先日の無人機襲撃事件で大小に関わらず怪我をして入院していた身で機体の方も本調子ではないはずだ。
そんな子を戦場に野晒しにしていたのがダメだったんだ。
「くそったれがぁあああ!!」
校舎の壁という壁を切り裂き楯無さんの方へと全力で走る。
全ての壁を切り裂き校舎を出た先はーーー
「…この感じ、一夏か?」
土煙で覆われていた。
その周りには気絶したギリースーツの男達。
煙の中から真っ白の機体を纏った一夏が楯無さんを抱きかかえて立っていた。
「楯無さん!!楯無さんっしっかりして下さい!!」
「おい!!
これどういうことスか?!」
「楯無さんがそこに倒れてる男達に連れ去られようとしてたんだ!!」
そう言う一夏の機体ーーー白式の掌が段々と赤黒い液体で湿っていく。
楯無さんの血だ。
「一夏!!
楯無さんの応急処置はここでーーー」
「っ?!
IS反応?!」
「あぁあああ!!
ちくしょうが!!」
俺は一夏の背後に回り込みすぐさまISを全身に展開。
「てめぇはそこかぁああああ!!」
すると上から降ってきた機体の近接武器に当たり鍔迫り合いになる。
俺が地面に居るだけあってか俺は真っ正面にそのISを力一杯弾き飛ばす。
機体が着地したときーーーその機体の全体像を見たときに俺と一夏はその姿に言葉を失った。
『希…機体の検索結果が出ました…
アメリカ製IS
俯いていた操縦者はその口の形をを三日月の形に変えその顔を上げる。
「黒い…星彩だと…?」
『登録操縦者名…ナターシャ・ファイルス…』
誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
次回もお楽しみに~