IS-インフィニット・ストラトス-~星の扉の向こう~   作:ぼいら~ちん

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前回の投稿から時間空いてしまってすみません!!


PHASE-64 平凡な日々、戦いへの備え

「はああぁあああ!!」

 

「くっ!!」

 

光の刃と光る拳が交わる。

辺りに火花が飛び散り地面が焦げる。

 

「そんなもんで終わりにしとけ。

折角直したのにまた壊して苦労すんのはお前だぞ?」

 

「ちぇっ。

今良いとこだったのに……」

 

「仕方がないよ。

ドラゴンアムだって直ったばかりだし、ノエルだってまだ全快じゃないでしょ?」

 

「そうですよノエルちゃん!!

あまり無理をするとお体にも障りますから」

 

ぷくーっと頬を膨らませたノエルが俺のことを睨みつけてくる。

ex-の言っていた世界が終わる日まで残り3日。

ここにきてやっと学園が保有している専用機および訓練機の修理が全て終わった。

そして今日は機体が直ったノエルと花音が試運転という名目で模擬戦を行っていた。

ノエルの相手はキラ。

キラの戦闘能力はやはり凄いのだがそれに近接攻撃のみで立ち向かっていったノエルも流石としか言いようがなかった。

 

「それはそうだけど……」

 

「よっしわかった!!

あとで組手やってやるから今は我慢しろ!!

……本当にありがとうな、キラ。

こっちとしても大助かりだぜ」

 

「感謝される程の事をしたつもりはないよ。

なにせ友達からの頼みだからね、断る理由はないよ」

 

キラとノエルの戦闘データで破損個所のフレームの調子も見れたのできっとノエルの機体調整の方針を立てるために役立つだろう。

その前にはカガリが花音と模擬戦やってくれたのでスヴェンガーリーの調整プランもばっちりだ。

その上キラは俺が担当した量産機の修復作業中にはOSのパラメーターの調整もやっててくれたのだ。

本当にキラには感謝の言葉しか出てこないほどに世話になった。

 

「希ー、ノエルー、花音ー、キラー!!

飲み物とタオル持って来たよー!!」

 

「ありがとな簪」

 

簪から手渡されたスポーツドリンクのふたを開け一気に飲み干す。

このいろいろやった後のキンキンに冷えたスポーツドリンクが喉を通っていくこの感覚…最っ高だよなぁ。

 

「よし花音、さっそく機体の調整に入るから付き合ってくれ。

簪も手伝いを頼めるか?」

 

「わかりました!!」

 

「わかった。

織斑先生に連絡してから行くから先に行ってて」

 

「ありがとな二人とも。

キラもマジでありがとな。

あとはゆっくり休んでてくれ」

 

「お言葉に甘えさせてもらうよ」

 

ISを解除したキラは簪から飲み物とタオルを受け取り更衣室へと向かって行った。

キラくんスマイルとあいさつを忘れずにだ。

 

「で、どうよ?

実際に乗ってみての感想は?」

 

「…希くんには申し訳がないのですか少し反応が鈍くなっている気がするんですよ。

最初の方はすっごいよかったんですけどだんだんと…」

 

久々に良いものが見れたと気分が高揚していた俺の額から突然変な汗が噴き出てくる。

背筋を悪寒がものすごいスピードで駆け上がってくる。

 

「完全に俺のミスだ。

ごめん」

 

「い、いいよですよ別に!!

私が我儘言うのが悪いんですから」

 

そして俺は青ざめているであろう顔でノエルに頭を下げる。

そんな俺を見たノエルはもの凄い勢いでぶんぶんと手を顔の前で振りながら返答した。

 

「ちょっとした整備不良が実際の戦場では自らの生死に直結する場合だってあるんだよ。

やっぱしキラにも声をかけとく。

OS方面はアイツの方が俺よりも確実ッス」

 

「そんなにキラのプログラミング技能ってすごいの?」

 

「3分ちょっとでボロボロなOSを完璧に調整するような奴だぞ?

しかも戦闘中に」

 

「そりゃあ化け物だわ」

 

あはははと軽く引きながら笑うノエル。

質問をした簪本人の顔も引きつっていた。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「OSには特に問題はないよ」

 

「え?」

 

「ん?」

 

「へ?」

 

「ひょ?」

 

整備室でのキラの言葉に動揺を隠せていない俺達。

完全に俺のOSの調整ミスだと思っていたばっかしに思わず3種3様の変な声が出てしまう。

しかしOSじゃあなかったらどこが悪かったんだろうか…

 

「まさか…ポルターガイスト?!」

 

「そんな非科学的な現象が起こるわけないよ。

OSの調整にミスはなかったよ。

寧ろ花音の戦闘スタイルや癖に合わせた的確なプログラミングが施されていた。

完璧としか言いようがないよ」

 

「そう考えると…機体のどこかにまだ悪い部分があるってことだよね?」

 

「それはないはずッスよ。

機体の修理が終わってから3回は点検したしお前らが模擬戦始める直前にも点検はした。

何れも問題はなかった」

 

やっぱりそうかとでも言うような表情に顔色を変えたキラは顎に手をあて頷いた。

 

「そっか……ねえ花音。

途中から反応が鈍くなったのって両腕の照準微調整用のスラスターだよね?」

 

「そ、そうです!!

なんでわかったんですか?」

 

スヴェンガーリーの腕部にはキラの言う通り照準を合わせるためにスラスターが搭載されている。

 

「両腕のマニュピレーター、特にスラスターユニットのスロットルボタンが少し緩んだ所為だと思う。

きっと左腕のパーツを取り換えてまだ馴染んでないのにパイロットが(・・・・・)ボタンを強く押しすぎたのが原因だね」

 

キラがこの不調の犯人を示す言葉だけ妙に強調して言葉を紡ぐ。

俺が花音の顔を見ると心当たりがあるのか花音は変な汗を額から滝のように流しながら視線をそらした。

 

「だって……

だって、希くんの調整がすっごいよくて…スヴェンガーリーが怖いくらいにしっくりくて動きもすっごいよかったから嬉しくなっちゃって…」

 

「それだけ希の調整が良かったってことでしょ?

だったら希も嬉しいと思うよ?

ね、希?」

 

「おうよ!!

人間には間違いは誰だってある。

幾ら壊してきても俺がちゃーんと直してやる。

それが俺の仕事だからな」

 

「…ありがとう希くん」

 

怒られると思ったのか不安でいっぱいだった顔が少しほころぶ。

 

「あ、あとさ。

部屋の家電とかも調子悪い時は言ってくれ。

電動歯ブラシから精密機械までなんでもござれがこの星村希のモットーですから!!」

 

「希くんのことだからお金とるんでしょ?」

 

「希はそのあたりがめついからね。

普通に直す時の3倍は軽く持ってかれるよ」

 

「んなことするかっての!!

タダだよタダ!!」

 

俺の突っ込みにみんながあははと笑いだす。

その後調整は滞りなく進み、その後の最終テストでもどの機体も問題は見受けられなかった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「やあ、お疲れ様だね希くん」

 

彩葉(いろは)さん?!

どうしてここに?」

 

日も暮れてしまい時間はPM8:47。

簪と一緒にアリーナから寮への道を歩いていると見覚えのある女性に声を掛けられた。

真っ黒なロングヘアー、真っ赤な瞳はルビーのように澄んでいて美しかった。

 

「いや~なんか千冬にお呼ばれしちゃってさ~ここにしばらく泊れって。

あ、悠はちゃんと知り合いに預けて来たからダイジョブよん」

 

「の、希!!

なんで結城選手をそんなに馴れ馴れしく下の名前で呼んでいるの?!

失礼でしょ?!

と言うよりもなんで二人は知り合いなの?!」

 

簪の必殺マシンガン質問!!

まあ、彩葉さんってよくよく考えてみたら超が付くほどの有名人なんだもんなぁ……

 

「ほら、専用機限定タッグマッチの時に連れて来た結城悠って女の子いたろ?」

 

「うん。

みんなで食べたごはんがとっても美味しかったよね」

 

「あの悠は彩葉さんの娘だ。

こうも馴れ馴れしく話してるのは家が近くて昔っから親交があったからってわけだ。

くれぐれもサインをねだるようなことはするなよ?

この人のサイン、真面目に読解不可能なくらいに汚いから」

 

「ちょっ!!

しどいじゃん希くん!!」

 

俺のちょっとしたいじりに過剰な反応を見せる彩葉さん。

 

「おっとっと。

もう、希くんの所為で本来の目的を聞きそびれるところだったじゃないか」

 

「本来の目的とな?」

 

彩葉さんの言葉に疑問を覚え首を傾げた俺。

簪も同様に首を傾げた様から察するに同じような疑問を覚えたようだ。

 

「あのね、千冬に呼ばれたのは良いんだけどさ、悠と晩御飯ご飯一緒に食べて来たから結構遅くなっちゃって待ち合わせ場所に居なかったんだ~

ねえ、今あの子どこに居るか知らない?」

 

「今の時間なら織斑先生は1年生の寮の食堂か寮長室だと思います。

時間も時間なので後者の方が濃厚だと思いますが」

 

「よっしわかった。

ありがとね簪ちゃん」

 

「い、いえ!!

こちらこそ結城選手とお話しできて嬉しかったです!!」

 

顔を耳まで真っ赤にしながら簪はぺこっと頭を下げる。

頬を抑えながら小声で「名前覚えてもらった」と言っていたのは幻聴ではない。

しかし当の彩葉さんはと言うと学生寮とは真逆(・・)の方向である校舎へと歩いて行った。

 

「「ちょいちょいちょい!!」」

 

「ん?

な~に?」

 

「な~にじゃありませんよ!!

なにさらっと人の忠告無視して反対方向に向かおうとしてるんですか?!」

 

「だって簪ちゃん「校舎に居るのが濃厚だ」って言ってたからそっちに行こうと思って」

 

「校舎ってそっちの意味じゃありませんよ!!

「後に言った方」って意味の後者です!!」

 

「そ~なんだ。

じゃ、寮長室まで案内よろしく~」

 

「案内よろしくって言いながらも俺らよりも先に行くってどういった了見ですか……」

 

そこそこに早歩きの彩葉さんを追いかける。

わからないとか言いながらも進行方向としては間違っていないので特に止めに入ったりはしない。

寮の入口の扉をくぐってからエレベーターに乗ったり廊下を歩いたりして数分……

 

「……ここと見た」

 

彩葉さんは居る寮長室の前でその足をぴたりと止めた。

 

「……実はここの中の構造知ってんじゃないですか?」

 

「え?!

本当に当たってたんだ!!」

 

「知ってて歩いていたんじゃないですか?!」

 

「何だか騒がしいな……先輩、いらしていたんですか」

 

騒ぎに気付き部屋の外へと出てくる。

眠そうに瞳を

 

「ごめんね千冬。

遅くなっちゃった」

 

「良いですよ。

悠ちゃんのお世話も大変でしょう。

仕方のないことです」

 

優しい微笑みを浮かべる千冬さん。

いつも鬼のような形相しか見たことのないクラスメートが見たら発狂するレベルに。

 

「こんな遅い時間まで機体の整備なんか任せてすまないな。

お前達も入れ、インスタントのコーヒーしかないが茶にでもしよう」

 

「いいですって。

二人で大切なお話をするんでしょう?」

 

「ん~~希くん達にも関係あることだからいいよ。

ささ、はいったはいった!!」

 

「……ここは私の部屋なのですが」




誤字脱字、文法的な間違い、感想、その他出して欲しいキャラクターのリクエストなど色々お待ちしてます。
次回もお楽しみに~
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