2月12日、ヒトヨンフタマルの柱島鎮守府の執務室。そこには、弥生…いや、弥生に変身している提督が一人、板チョコを片手に持ち、机の前に立っていた。
先にタイマーを設定したカメラが起動し始めると、
「あの…司令官…これ…あげます……甘いです…お返しは…気にしなくていい…です…」
…多分ばれたらただしゃ済まないだろう。
そんなことはさておき、提督はさっき撮った映像を見ながら、
「ん…やっぱり中身は俺だしな…でも弥生ちゃん可愛い…」
こう呟いていた。
…と、その瞬間、
「第3遠征部隊、帰投だぴょん!」
いきなり乱入する卯月。
「えっ?!えっと、その、お疲れさま?!」
慌てながら急いで変身を解ける提督。
「あれ?しれいかんー?どうして弥生に変身していたのか、聞いてもいいぴょん?」
「これは…えっと…その…」
「ん?このカメラ、何ぴょん?」
「うわああああっ!!見るなああああっ!!」
『あの…司令官…これ…あげます……甘いです…』
(もうダメだぁ…おしまいだぁ…)
提督にはもう社会的に死ぬオチしか見えなかっただろう。
「ふっふーん…?」
(アカンこれ絶対ダメなやつだわ)
どんどん顔が青色に変わる提督。
「まぁ、でもしれいかんが可哀想だし、今度は言わないであげるぴょん。」
「…!ありがとうございます卯月様この恩は一生忘れません本当にありがとうございます!!」
「うん、よろしいぴょん。その代わり、間宮でうーちゃんになにか奢るぴょん!」
「うん、わかった。今行こう。」
この後、卯月はめちゃくちゃチョコパフェいただいたとさ。
――――――
小笠原諸島への輸送任務、トラック泊地への彩雲の輸送も終わり、残すはトラック諸島付近の深海棲艦主力艦隊の撃滅のみ…だが、
「うん?イヨ?何それ、美味しいの?」
我らが輝月提督、絶賛現実逃避中である。
「…一応そんな話はせめて変身解けた状態で言ってください…」
弥生はそう言いつつ潜水艦伊14の姿をしている提督にツッコミを入れた。
「いや、なんで空母棲姫が、それもいきなり2体も出てきてんだよもう!?」
「それを弥生に聞きましても困るんですけどね…」
結局耐えられずブチ切れ。どうやら提督が感じていた疲労はよほどのものじゃなかったらしい。
「あー疲れた。今日はもう寝る。」
変身を解け、フラフラと自室へ入ろうとする提督を、
「…!ちょっと待ってください…!」
弥生は、止めていた。
「んぁ?なんだ?」
「これ…受け取ってください…!」
弥生は顔が赤く染まりつつも小さな袋を提督に渡した。
「これは…」
「チョコレートですよ…今日は2月14日、バレンタインデーじゃないですか。」
提督が袋を開けると、そこには生チョコとクッキーが沢山入っていた。
「これ…手作り…なのか…?」
「もちろんですよ。昨日から姉妹たちと一生懸命作ったんですから…」
「…ありがとうな、弥生。」
「…はい。…あと、その映像の件、卯月から聞きましたよ。チョコもちゃんとあげましたし、これからはそんなこと、その…なるべくしないでくださいね…」
「…えっ?」
輝月提督、2秒間沈黙。
「卯月いいいいいいっ!!!!」
えっ?間に合ってないって?あーあー聞こえなーいー