君の仮面は   作:JALBAS

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本郷により、入れ替わりの事実に気付いた滝と三葉。
お互いの生活を乱されないように、それぞれルールを決めますが・・・・・
相手は、思ったように対応してくれません。
入れ替わり、ドタバタ劇が始まります。




《 第四話 》

 

朝、自分の体で目覚めると、いきなり猛が尋ねて来た。そして、ここ数日の異常な現象についての説明を始めた。

 

「ええっ?お・・俺は、あの三葉って女と入れ替わってたの?」

「うむ・・・どうやら、そのようだ。」

「そうか・・・違う次元に行ってるんじゃ無く、入れ替わって・・・・でも、何でそんな事が?」

「それは分からん・・・・だが、既に2回入れ替わってるって事は、今後も同じ事が起こるかもしれん・・・・」

「う・・うん・・・・」

「だから、お互いの生活を乱さないように、2人でルールを決めた方がいい。」

「あ・・ああ・・・」

「それと、この間渡した装置は持ってるな?」

「え?・・・ああ、これか・・・」

俺は、ポケットから、先日渡されたポケベルのような装置を取り出して、見せた。

「またいつ、ショッカーに襲われるか分からん・・・あの娘も、巻き込んでしまって申し訳ないが、俺が必ず守る。彼女にも、その装置を常に持ち歩くように言っておいてくれ。」

「わ・・・分かった・・・・でも、何故、今頃ショッカーが?日本のショッカーは、3年前にほぼ全滅したんだろ?」

「うむ・・・確かに3年前、日本のショッカー残党のアジトを突き止め、一網打尽にした。その後、何も無かったから、全滅したと思っていたんだが・・・・・・」

 

その後、学校に来て考えていた。ルールと言っても、何を決めれば良いのか?

「おい、滝、何物思いに耽ってるんだ?」

圭一が、突っ込みを入れて来る。

「別に・・・何でもねえよ。」

「ところで、例の覆面軍団は、その後襲って来ないのか?」

「ああ・・・来ないな・・・・」

「滝君、今日は無愛想なのね。」

今度は、瑠璃が突っ込んで来る。

「俺は、いつもこうだろ?」

「でも、最近妙にしおらしい時があるし・・・・」

「そうそう、俺の事“圭一君”って呼んだり・・・・」

「あたしの事も、“瑠璃ちゃん”って呼んだり・・・・」

「はあ~~~っ?」

そうか、三葉の奴・・・・猛も“さん”付けだったそうだしな・・・・この辺は、統一してもらわないといかんか?

「あと、時々言葉訛ってない?」

訛りも、気を付けてもらないといかんか・・・・・気が重くなって来た・・・・・

 

数日後、また入れ替わりが起こり、三葉の体で目覚めると、スマホに三葉側の禁止事項が記載されていた。

 

< 滝君へ 禁止事項その1 >

・ お風呂絶対禁止

・ 体は見ない・触らない

・ “俺”って言わない

・ 座るとき脚を開かないように

・ その他の女の子にも触らない

・ 喧嘩はしないで

 

風呂は、怖いから入らねーよ・・・・“体を見ない・触らない”って、それで、どうやって着替えるんだ?何も考えてねーだろ、あいつ・・・・

 

 

 

また、滝君の体で目が覚めた。スマホを確認すると、滝君も禁止事項を記載してあった。

 

< 三葉へ 禁止事項Ver.1 >

・ 学校に遅刻するな、いい加減に道覚えろ

・ 訛るな

・ “圭一君”とか“瑠璃ちゃん”とか、キモいから言うな、俺は知り合いは基本呼び捨てだ

・ なよなよするな、俺がオネエに見られる

・ 猛に惚れるなよ、後で後悔するぞ

 

遅刻するなって・・し・・仕方が無いでしょ、東京なんて、生まれて初めて来たんだから・・・こんなごちゃごちゃした町、一度で覚えられないわよ!

き・・キモいって何よ?知り合いは、基本呼び捨て?偉そうに・・・・猛さんまで、呼び捨てになんかできる訳無いでしょ・・・・それに、“惚れるな”って、いくらヒーローだからって、あんなオジさんに惚れないわよ!

 

こうして、お互いの生活を乱さないようにルールを決めたってのに・・・あの男はっ!

 

 

 

喧嘩をするなっていうのは、この間の嫌味野郎の件だろうな・・・・仕方が無いから、しばらく大人しくしていようと思っていたんだが・・・・いきなり、そうはいかない事態に陥ってしまった・・・・・・

 

その日の帰り道、テッシーとサヤちんと一緒に歩いていると、突然、2m近い背丈の、やたらごつい男が現れ、道を塞いだ。

「宮水三葉ってのは、お前か?」

「はあ?」

何だ?この大男、三葉の知り合いか?

「ワシの舎弟が、えろう世話になったそうやの?」

「舎弟?・・・誰の事?」

と、その男の後ろを見ると、木の陰から、この間の嫌味野郎がこちらを伺っている。なるほど・・・・この間の、仕返しって訳ね。しかし、女の子(実際中身は違うが)相手の報復すら自分でできないとは、本当に情けねえ奴だな・・・・・

「あ・・あんた、影月やろ?」

テッシーが、男に問いかける。

「ほう、ワシを知っとんのか?」

「誰?影月って?」

俺は、小声でサヤちんに問いかける。

「三葉も知っとるやろ、“影月信彦”、番張ってて先生も手が付けられなかった、糸守高校史上最悪の不良と呼ばれる、伝説のOBやよ・・・・だから、大丈夫って聞いたのに・・・・」

ああ・・・サヤちんは、この事を心配してたのね・・・・だけど・・・同級生の女の子締めるのに、伝説の不良まで連れて来ないといけないとは・・・・全く情けねえ、呆れてものが言えねえ・・・・・

「三葉に何の用や!」

伝説の不良相手にも怯まず、テッシーは俺を庇って、影月の前に立つ。

やるねえ、テッシー・・・・いよっ!男前!

「てめえには、用はねえよ!」

影月は、いきなり殴り掛かって来た。

「ぐへっ!」

左の頬にキツイ一発をもらい、テッシーは吹っ飛ばされる。

「危ない!」

頭から倒れそうなところを、すかさずサヤちんが受け止める。

「きゃああああっ!」

しかし、勢いがあり受け止めきれず、尻餅を付いてしまう。

「なんや、威勢だけやな・・・」

一発で倒れたテッシーを、嘲るように笑いながら、影月は言う。

「な・・・なんやと・・・」

そう言って、テッシーは起き上がろうとするが、それを制して、俺は影月の前に立つ。

「で・・・私に何の用?」

「ふん・・・今のを見てもビビらんとは、肝の据わった女やな・・・流石に、女相手に本気で殴ったりはせんよ・・・ただ、ちょっとばかり、恥ずかしい思いさせるかもしれんな・・・・・」

「ほう?・・・例えば、どんな?」

「いつまで、強気でおれるかな?」

そう言って、影月は俺に右手を伸ばす。だが、俺は素早くその手首を掴み、思い切り捩じり上げる。

「うぎゃあああああああああっ!」

まさか、女の力に負けるなんて、思ってもいなかっただろう・・・・しかし、間接技はタイミングが重要、力などそれ程必要無い。

「こ・・・このアマっ!」

早くもキレた影月は、もう片方の手で思い切り殴り掛かって来る。何だよ、女相手に本気で殴らないんじゃなかったのか?

俺は、最小限の動きで大振りパンチを交わす。ついでに極めてた右手も離してやったので、勢い余って影月は地面にダイブする。

「ははは・・・自分が、恥ずかしい思いしてんじゃん!」

その倒れ方が余りにも滑稽だったので、つい、いらない事まで言ってしまった。

「こ・・・この野郎っ!」

起き上がった影月は、顔を真っ赤にしてこちらを向く。

おいおい・・・誰を相手にしてるかも、分からなくなってるのか?誰が、“野郎”だよ?

「ぐうあああああああっ!」

今度は押し潰そうとでもする気なのか、両手を上げて突進して来る。流石に捕まったらヤバイから、ここらで決めとくか・・・・・

俺は影月の両手を交わして懐に入り込み、鳩尾に一撃を入れる。

「ぐふっ!」

影月が蹲って顔が下がったところで、一歩下がってから右足で顎を蹴り上げる。

「がはっ!」

影月は、そのまま仰向けに倒れる。そして、白目を出して完全に気を失う。

「す・・・すげえ・・・・・」

「み・・・三葉・・・・・」

テッシーとサヤちんは驚いて茫然としている。まあ、普通の高校生ならいざ知らず、こちらと幼い頃から猛に鍛えられてるんだ。こんなド田舎の不良ごときに、遅れを取るこたあねえよ・・・・さて・・・・

俺は、木の陰でこちらを伺っていた、嫌味野郎の方を睨みつける。

「ひっ・・・ひいいいいいいいっ!」

嫌味野郎は、一目散に逃げ出して行った。最後の最後まで、情けない野郎だ・・・・

でも・・・やっちまったな・・・・後が怖い・・・・・・

 

案の定、次に入れ替わった時の、スマホのメッセージは・・・・・

 

“喧嘩はしないでって言ったでしょ!何やってんのよ!それも、スカート姿で、足を思い切り蹴り上げたですって?周りに大勢人が居たら、どうするつもりだったのよ?いい加減にしてっ!”

 

し・・仕方ねえだろ、あの状況で、手を出さなかったら、もっと恥ずかしい目に合ってたぞ!それに、あのでかぶつ相手に非力な女の腕力じゃ、アッパー打っても一撃じゃ決められねえんだよ!脚力でも使ってカバーしねえと・・・・・

 

って、俺ばっかルール乱してるように書いてるが・・・・あの女はっ!

 

 

 

“てめえ、三葉、いったい何に使ったんだ?財布の中がすっからかんじゃねえか!”

                ▼

“ごめん!圭一君と瑠璃ちゃんに、カフェに誘われて・・・どれも、見たことも無い、美味しそうなメニューばかりだったから・・・・・でも、食べてんのは滝君の体なんだから、いいでしょ?”

                ▼

“いいわけねーだろっ!”

                ▼

“ちょっと、滝君、あんたが伸した不良、子分にしてくれって言って来たわよ!どうすんのよ!“あねさん!”って付きまとわれて、困るんですけど!“

                ▼

“三葉、てめえ、勝手に瑠璃のバックに、ハリネズミの刺繍なんかすんなよ!俺はそういうキャラじゃねえよ!”

 

 

 

状況報告というより、滝君とのスマホのやりとりは、文句の言い合いになっていた。

そんなある日、圭一君達とカフェに寄った帰り、またショッカーに襲われた。

2人と別れてひとりになったところで、いきなり物陰から、例の覆面軍団(ショッカーの戦闘員らしい)が現れた。

「イーッ!」

このパターンも、何回目だろうか?例によって私は、戦闘員達に背を向けて全速力で逃げる・・・・逃げながら、例の装置で猛さんに助けを求めた。

他人を巻き込まないよう、人気の無い方にわざと逃げ込む。すると、反対側からも戦闘員軍団が現れ、囲まれてしまう。見た目には、万事休すだが・・・・・そこに、凄まじい轟音と共に、猛さんのバイクが飛び込んで来る。

「イイーッ!」

数人の戦闘員を跳ね飛ばし、猛さんのバイクは私の前に止まる。

「イーッ!」

戦闘員軍団は、一斉に襲い掛かって来る。猛さんは、素早くバイクから降り・・・・

「とおっ!」

襲い来る戦闘員軍団を、瞬く間に掃除する。

「ギエエエエエエエエッ!」

そこに、お約束のように遅れて、怪人が現れる・・・・どうせ戦闘員じゃ適わないんだから、勿体付けずに最初から出て来ればいいのに・・・・・

「ライダー、変身!」

猛さんは、仮面ライダーに変身する。

「とおっ!」

強い、本当に強い仮面ライダー、怪人はボコボコにされる。

「ライダーキィィィック!」

そして、止めのライダーキック。

「イィィィィィッ!」

断末魔の叫びを上げ、怪人は木端微塵に砕け散る。私は、テレビのヒーロー番組でも見ているような感覚で、この戦いを見学していた。戦闘が終わり、猛さんは、変身を解いて私の方へ歩いて来る。

本当に、猛さんは頼りになる・・・なんせ、ヒーローだもんね・・・・・でも、恋愛の対象って感じにはならないかな?優しいお兄さんって感じ。恋愛対象っていうなら、滝君の方が・・・・・え?な・・・何で滝君が対象なのよ?何考えてんの?私・・・・・今の無し!絶対に無し!

「どうした?滝・・・いや、今日は三葉か?」

目をつぶって、顔の前で手を振る私を見て、不思議そうに猛さんが聞いて来る。

「え?・・・いえ、な・・・何でもないんです・・・・・」

 






今回は、糸守側にもオリジナルキャラを出しました。気付いている方もいると思いますが、“影月 = シャドームーン”です。だからといって、この後ショッカーに改造される訳では無いですが・・・・ただ、いろんな意味でキーになるキャラです。滝側のオリジナルキャラも、歴代仮面ライダーの登場人物を捩ってます。“緑川瑠璃 ← 緑川ルリ子”、“志度圭一 ← 志度敬太郎”ってな風に。
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