彼を一言で表すならオカン、だろう。
旅に出るときや、カルデアのシミュレーター訓練が終わった時、彼はいつもすました顔でそばにいる。
少し前に彼とマシュと一緒に特異点F 冬木に行った。彼に戦い方をレクチャーしてもらっていたのだ。彼は皮肉交じりに自分のすべき事、そしてマスターとしての戦い方を教えてくれた。それのおかげで今の自分は生きているのかもしれない。彼には教わってばかりだ。この前、ダ・ヴィンチちゃんに頼んで彼専用の包丁を作ってもらった。彼が好きそうな難しいと無骨なデザインのシンプルイズベストなものだ。ダ・ヴィンチちゃんが
「まあ、なかなか良さそうな包丁だ。ありがたく使わせてもらおう」
彼は、ふっ、と笑いながらそう言ってくれた。彼の笑った顔を久しぶりに見た気がした。いつも顰め面な表情をしている彼が笑っている姿を見て、包丁を作ってもらってよかったと思った。
「ねえ、アーチャー」
「なんだねマスター。他に何か用があるのか?」
「今度、料理を教えて欲しいんだ。いつも頑張ってるみんなにおいしいものを食べて欲しくて」
「そうか…
マスターついて来い」
「えっ、どこに行くの?」
「あいにく今日の私は機嫌が良い。お前に料理を教えてやろう」
彼が皮肉を混じらせずに言ってくれているのを感じた。やっぱり優しいんだなぁ。彼は自室から出るとキッチンへと向かっていった。急いで彼についていくと、
「ありがとう。エミヤ」
「ふっ、今日だけだがな」
カルデア一の頼れるアーチャー
彼の赤い背中は男らしいかっこよさがあった。