ぐだとサヴァ   作:タクロス

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エミヤ〈アーチャー〉

彼を一言で表すならオカン、だろう。

旅に出るときや、カルデアのシミュレーター訓練が終わった時、彼はいつもすました顔でそばにいる。食料(弁当)は持ったか? これを使え、マスターに風邪などで倒れたらかなわん。 襟が崩れているぞ、もう少し身の周りに気を配ったらどうだ 今日の料理は…などなど皮肉屋を買って出ようとしてる割には少し心配性な部分があるようにも見える。彼は根底では優しいのだがそれを出そうとしない(本人は出しているつもりはないらしい)のだ。出会った時は少しいろいろと言われて嫌な気持ちにもなったけど、今ではカルデアの大事な仲間の一人である。

 

少し前に彼とマシュと一緒に特異点F 冬木に行った。彼に戦い方をレクチャーしてもらっていたのだ。彼は皮肉交じりに自分のすべき事、そしてマスターとしての戦い方を教えてくれた。それのおかげで今の自分は生きているのかもしれない。彼には教わってばかりだ。この前、ダ・ヴィンチちゃんに頼んで彼専用の包丁を作ってもらった。彼が好きそうな難しいと無骨なデザインのシンプルイズベストなものだ。ダ・ヴィンチちゃんが奇天烈(天才的な)デザインにしようとした時にはかなり慌てた。素材が少し持って行かれてしまったがこれは必要経費というやつだ。いつも頑張っている彼のためにお礼をしたかったのだ。完成した品を持って彼の部屋に入ると、どうしたマスター何か用か、と尋ねてきた。いつもお世話になっているから感謝の気持ち、そんな感じのことを言って彼に包丁を手渡すと、私には必要ないのだがね、と言われてしまった。しょんぼりした。が、

 

「まあ、なかなか良さそうな包丁だ。ありがたく使わせてもらおう」

 

彼は、ふっ、と笑いながらそう言ってくれた。彼の笑った顔を久しぶりに見た気がした。いつも顰め面な表情をしている彼が笑っている姿を見て、包丁を作ってもらってよかったと思った。

 

「ねえ、アーチャー」

「なんだねマスター。他に何か用があるのか?」

「今度、料理を教えて欲しいんだ。いつも頑張ってるみんなにおいしいものを食べて欲しくて」

「そうか…

マスターついて来い」

「えっ、どこに行くの?」

「あいにく今日の私は機嫌が良い。お前に料理を教えてやろう」

 

彼が皮肉を混じらせずに言ってくれているのを感じた。やっぱり優しいんだなぁ。彼は自室から出るとキッチンへと向かっていった。急いで彼についていくと、

 

「ありがとう。エミヤ」

「ふっ、今日だけだがな」

 

カルデア一の頼れるアーチャー

彼の赤い背中は男らしいかっこよさがあった。

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