総合ptの理屈が一番訳ワカメ。
そんな訳で急展開の次話です。ナツメ可愛いよナツメ。
「あなたが他の女の子をお姫様抱っこしたり、楽しそうに会話したり、二人きりで笑い合ったり触れ合ったり守ってあげたり!!」
「優しく他の女の子の名前を呼ぶだけで、苦しいの…………あなたの笑顔が、私以外に向けられてるって思うだけで……嫌な感情が爆発してしまいそう……」
「もうずっと動きっぱなしだったから、疲れてるんだよ。もう休め……」
「違う。違うの。ずっと今日のあなた達を見ていて、狂ってしまいそうだった…………分かったのよ。私は、私はあなたの事が…………」
「ナツメッ!!」
思わず喉を鳴らす。
ビクッと震えるナツメの肩を抱きながら、俺は考えた。
考えて考えて考えても、思いはプラスへ動かない。
今回ばかりは都合の良いよう思考を巡らせる訳にはいかないのだ。
「オマエの思いに、俺は答えられない」
誰か一人を腕に止めて置けるほど、今の俺は強くない。
「俺もオマエのことは大好きだ。けど、それはどういう意味の"好き"なのかはまだ見当もつかん」
「どの好き……?」
「忘れたのか? 俺たちは男女である以前に兄妹だ。もしかすると、ここへ来てようやく義兄妹の俺たちにも兄妹愛ってやつが生まれたのかもしれない」
「この思いは、兄妹だからだって言いたいの……?」
「かもしれないって言ってるんだ。この先時間はいくらでもある。その先で探していけばいい」
俺も、オマエもな。
「でも、どっちの好きだとしても変わらない。私はこの思いを隠す気にはならない」
「デレるってこと?」
「もう少しオブラートに包んで欲しいわね……」
深々とため息を吐くと、ナツメは俺の体から離れていった。
「き、気が向いたときは…………でで、デレて上げてもいいわ……」
ああ、この先の人生で探せばいい。
俺とオマエの感情がどういう質を持った物体なのか。その答えを。
顔を爆発しそうなほど真っ赤にして両目を瞑っているナツメを眺めながら、俺はそんなことを考えていた。
ハクタイを出発した俺たちは、211ばんどうろを通り、テンガン山を突き抜けている真っ最中。
今は電気タイプのジバコイルのおかげで明かりがあるため、ナツメも前回の洞窟のように怯えていなかった。
明かりを少し灯すだけで、あとはこらえるか爆発するかしか出来ないんだけどねこの子。
「思ったより長いわね……」
「足場も悪いしな。ジバコイルがいなきゃ進めなかったよ。サンキューな」
はりきった様子でくるくる両腕を回すジバコイル。ぎゅいんぎゅいんと回転する磁石のせいか、辺りの鉱石がカタカタと震えている。
「あ、そうだ。メタングに乗って進めば良いか?」
「いつもいつも、タクシー代わりにするのはかわいそうよ。あなたもそう思うわよね?」
体ごと頷くジバコイル。昨日のハッサムといい、こいつら本当は俺のことあんま好きじゃないんじゃね?
小さいけど意義のある疑問を考えつつ、俺はナツメの手を引いて出口へと向かう。
「やっとでぐ――――――」
俺が言いかけた瞬間。出口手前五メートル。
駆け出そうとしたそのとき、目の前を大きな巨体が通り抜けた。
岩の塊が連なった姿は、おそらくイワークだろう。
いや違う。よく見ると、そのイワークの体は"鋼鉄"だった。
そしてトゲトゲしい体。コイツはイワークじゃなくて、その進化形のハガネール。
「グハハハハ! どうだ、わしのハガネールは! 硬そうだろう!!」
「そっすね」
突然俺たちの前に立ち塞がったのは、元気のよさそうなスコップを持ったオッサンだった。
ヒゲオヤジと名付けよう。
ナツメは特に反応せず、無表情のまま相手を見据えている。
「なんだ? 思ったより驚かないんだな、アンバーよ」
「何度も顔を合わせてたんだ。覚えてるさ、トウガンさん」
トウガン。ミオシティのジムリーダーで、俺の父さんの良き友人だ。
鋼タイプを好む者同士、互いに互いを高め合っていたと聞く。
地方を越えて家にも来た事があるほどに、二人の仲は良かった。
「何でこんな所に? ジムリーダーって忙しいんじゃないのか?」
「あいつの息子が来るんだ。一目見ておこうと思ったんだんだが、どうやら大分父親のようにたくましくなってきたようだな」
そこまで言うと、ヒゲオヤジは「ん?」とナツメの方へ目を向けた。
「そこの女の子は誰だ? ガールフレンドというやつか?!」
「義妹のナツメです……どうぞよろしく……」
「おお、君がナツメちゃんか! 話は聞いているぞ、ヤマブキジムリーダーの娘さんなんだって?」
どうやら再婚したことは知っているらしい。
家族ぐるみの付き合いだったからな。
「いやはや、アンバーのおふくろさんが言っていたが、想像以上の美人さんだな! ウチのヒョウタにも紹介したいくらいだ!」
「お断りします」
「え、お、ちょい待てって!」
ナツメがそそくさと足を進めると、ハガネールがその先にある自分の体をくねらせて道を開いた。
持ち主と違ってなんつー気のきいたポケモンだ。
「ナツメ! すんません今急いでて…………また今度!」
「待て待て待て、世間話をするためだけに来た訳じゃない。お前の父親からの預かり物を届けに来たのだ!」
またかよ。モンスターボール以外なら投げて下さい、と言い返す。
すると、ヒゲオヤジは開閉スイッチを押し、中身だけこちらへ向かって放り投げてきた。なんつー非常識。こんなんと意気投合できるって、父さんは一体どんな神経してたんだよ。
「どわっぷ?!」
デカいけど小さい。そんなポケモンが俺の顔面を強打し、そのままごろごろと雪の上を転がっていく。
気づくと、ナツメのすぐ後ろまで来ていた。
「そいつが持っているマフラーは土産だ! こっから先は防寒具がないと厳しいのでな! それでは、おふくろさんに宜しく言っておいてくれ!!」
それだけ言うと、ヒゲオヤジもといジムリーダーであり、父の親友であったトウガンは巨大な鉄蛇と共に洞窟の中へ戻って行った。
何だかんだ言って、きちんと人のことを思える男なのだ。息子との仲は良好ではないらしいが。
「これ、お前がつけてろよ」
「ダメよ。あなたが風邪を引くのも私が風邪を引くのも変わらないでしょう」
「関係ないって。妹ならお兄ちゃんの言うことは聞いておけよ」
トウガンさんから託されたポケモン。大きな頭……? 口?
名前は知ってる。クチートっていうポケモンだ。
抱きしめてみるとあったかい。クチートもきゃいきゃい言いながら、頭の後ろについている巨大な顎を動かしている。
「いつになったら、私はあなたにとっての"守るべき妹"から脱却できるのかしら?」
「無理だろ。俺にとって、お前は一生守るべき対象なんだからな」
「そうじゃなくて、どうしたらあなたは私を対等な存在として認めてくれるの?」
真剣な表情を向けるナツメ。対等もなにも、人として俺たちは相違ない。
ポケモンバトルの技量だって、何だって同じだ。
でも、もしこれに答えなきゃならないんだったら。
これに答えないと、俺たちに答えが出ないなら。
「ジムリーダーにでもなれれば、俺はお前を"強い"って認めるよ」
「ジムリーダー…………」
復唱するナツメ。俯き加減な義妹に、俺はクチートを頭に乗せつつジバコイルをボールに戻しながら口ずさんだ。
「ま、可愛いって言われただけで顔赤くするようじゃあ難しいだろうがな」
「し、仕方ないでしょう! そんなの、言われ慣れてないのだから……」
「そんなんじゃ、もしジムリーダーになったときどうするんだ? 挑戦者一人ひとりが「か、可愛い……」って言葉を無くす度に顔真っ赤にしてうつむくのか? いや、その反応も見てみたい気がせんでもないが」
「真剣な戦いの場でそんなことを口にするトレーナーはいないわよ!」
「どうだか」
レポート
名前 アンバー
手持ち
ハッサム Lv42♂ 特性 テクニシャン
わざ メタルクロー シザークロス てっぺき バレットパンチ
メタング Lv39 特性 クリアボディ
わざ メタルクロー サイコキネシス てっぺき どくどく
ジバコイル Lv33 特性 じりょく
わざ だいばくはつ こらえる
クチート Lv41♀ 特性 いかく
わざ かみくだく てっぺき バトンタッチ まもる
名前 ナツメ
手持ち
ユンゲラー♂ Lv36 特性 シンクロ
わざ サイケこうせん かなしばり めいそう じこさいせい
バリヤード♂ Lv33 特性 フィルター
わざ サイケこうせん リフレクター ひかりのかべ みがわり
スリープ♂ Lv32 特性 よちむ
わざ さいみんじゅつ ねんりき サイケこうせん ずつき
キルリア♀ Lv26 特性 トレース
わざ ねんりき しんぴのまもり おんがえし かげぶんしん
ヒトデマン Lv31 特性 しぜんかいふく
わざ じこさいせい バブルこうせん こうそくスピン スピードスター
日記 アンバー
何か変わるかと思ったが、別に何も変わらなかった。
でも、ナツメがジムリーダーを本格的に目指すのなら、俺は側にいない方がいいのかもしれない。
日記 ナツメ
言いたい事を全て吐きだして今までと違う接し方ができると思ったのだけれど、今までと何も変わらない……。
ラルトスがキルリアに進化した。か、かわいい。