ナツメの義兄へ転生   作:アステロイドベルト

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 感想等は励みになるので大歓迎です。

 旅をするならライターくらい持て。そんな回です。


十三話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふぶきって、ポケモンがポケモンにくりだす技だよな。

 ならそれに及ばないにしろ、吹雪く風の中を人が歩けばどうなるか。ロクな防寒具もない俺たちにとっては地獄絵図になるだろう。

 

「前が見えねえええええええええ!!」

 

 辺り一面真っ白。薄暗い曇り空と、純白のあられのおかげで視界はゼロ。

 もう叫ぶしかない訳である。

 いや、ついでに言えば聴覚も風が異様に吹いているから殆ど機能していない。

 

 頭に乗っているクチートも、ガタガタと震えているのが分かる。

 

「少し黙っていなさい」

 

「何してんだ?」

 

「どこか休める場所がないか探しているのよ。ロッジぐらいあるでしょう、普通」

 

 ああ、まあ確かにな。ほぼ登山状態だし、こんな辺境で遭難すれば間違いなくあの世行きだ。

 ナツメが「こっちよ」と足を進めていく。俺は震える足に鞭打ちながら、妹の後ろをついて行った。

 

 ナツメの言った通り、行く先には小さな木製の家があった。

 扉を開けると誰もおらず、完璧ご自由にお使いください状態らしい。

 

 ナツメは一息吐くと、首に巻いていた真っ白なマフラーをクチートに巻いて上げていた。

 

「優しいな、ナツメはやっぱり…………あ、また顔赤くした」

 

「い、一々言わないでちょうだい……」

 

 膝を抱え、体育座りになるナツメ。

 俺は薪を暖炉に放り込み、ジバコイルに頼んで火を付けてもらった。もちろん、ジバコイルは戦闘不能状態になる。

 

「ごめんなジバコイル。でもこれしか火つける方法無いんだわ」

 

「炎タイプの一匹くらい、手持ちに入れておけばいいのに……」

 

「出会うポケモンが全部鋼なんだから仕方ねーだろ。な、クチート?」

 

 こくこくと元気よく頷くと、俺の頭に再度飛び乗ってきた。

 

「…………いいな」

 

「ん? なんだって?」

 

「何でもないわよ」

 

「??」

 

 ス、と視線をそらされてしまった。

 にしても、体育座りとはまた無防備な。デルタゾーンが見えてしまいそうだ。

 

「っ?!」

 

「あ、隠した」

 

「あなたの視線と頭が卑猥な空気を纏っていたからよ!」

 

 顔を赤面しながらそう告げると、ぷいっ、と体まで背けてしまった。あーあ、すねちゃったよ。

 にしても、本当に俺の心読むの好きだね、この子。

 

「あなたの考えは……その…………無意識に拾ってしまうのよ……」

 

(デレたな)

 

「デレてない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 数十分後。一日待とうかなんて考え始めた矢先、外が静まりかえった。

 逆に不気味に感じたが、どうやら吹雪は止んだらしい。

 

「さてと……そろそろ行くか」

 

「ええ」

 

 ギギィ……と雪を押しのけながら扉が開く。

 結構積ってんな。

 

 頭に乗っかっているクチートと一緒に周辺を見渡し、安全確認をしたのちに歩き始めた。

 

「なあナツメ」

 

「なにかしら」

 

 ふと、横を歩く純白マフラーの義妹に声をかける。

 今話しとかないと、遅くなるかもしれないからな。

 

「オマエ、ジムリーダーになるんだよな?」

 

「そうよ。だってそうしないと、あなたは私を対等な存在として認めてくれないのでしょう?」

 

 そんなにこだわる必要があるのか?

 それが素直な感想だ。俺としても、歴史上の事柄にあまり変更点は加えたくない。

 

「そう、だよな。なら、一回カントーに帰るか? そんでジムリーダーを目指す。旅の事はその後で考えればいいだろう?」

 

 ナツメはしばらく考える素ぶりを見せたが、特に何の意見も出さずに「あなたがそういうのなら」とだけ告げ、足を速めた。

 もしかすると、俺が何を考えているのか分かっているのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 キッサキシティ。港のふなのりに次はいつ船が出るかと訊ねると、

 

「今日は天気が悪くてねぇ……明日なら多分出ると思うぜ」

 

 と言われ、渋々宿を探す羽目になった。

 ここまでの道のりと比べれば大したことはないが、雪が降り積もるだけあって都会のヤマブキより数段寒い。

 

「つか、こんな田舎に宿なんてあるもんなのか……?」

 

「田舎だからこそ、でしょう。旅館くらいあるわよ」

 

「そんなモンかねぇ」

 

 今振り返ってみれば、まだ数日しか経ってないのにもうこんなところまで来てしまったんだな。

 シンオウにはまだ行ってない見てない場所がいくつもあるけど、それはまた今度でいいだろう。

 

「ほら、あそこ。早く行くわよ」

 

「お、ちょいちょい、引っ張るなこけるぞ!」

 

 言わんこっちゃない、と言いたくなるようなタイミングで雪に足を取られ、俺を道連れにしながら盛大に雪の上に倒れ込んだ。

 

 こっちはなんとか片手で体を支えられたが、ナツメの方は顔から雪に突っ込んでいる。

 顔を羞恥に染めながら起き上がる。まだ顔に雪ついてんぞ、と指摘すると、ふるふると首を振って払った。 

 

「ドジっ子属性をお持ちですか?」

 

「雪がこんなに積っている場所を歩くのは初めてなんだから、仕方ないでしょう…………」

 

 何はともあれ、今日一晩過ごす宿は見つける事が出来た。

 今日は冗談抜きで体力的に疲れたから、本当にさっさと部屋に入って布団に転がりこみたい気分である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 キッサキ旅館の、二階にある階段から二つ目の一部屋を借りた俺たち。

 中々広い一室を眺める俺をよそに、ナツメの方は戸を開けて外の景色を眺めていた。

 

「ここ露天風呂が混浴なんだってさ」

 

「警察を呼ぶ準備ならできているわよ」

 

「なんで俺が襲う話になってんだ?」

 

 そうじゃなくて、と注意づけながら、荷物を部屋の隅の畳の上へ置く。

 

「気をつけろよ、って言いたい訳ですよ俺は。野獣なんてそこらへんに掃いて捨てるほどいるんだからな」

 

「心配してくれているのかしら?」

 

「……ま、そういうことだ。俺は先に温泉入ってくるぞ」

 

 手持ちを全てボールから出し、相変わらず頭に乗ったままのクチートも連れて一人と四匹で部屋を後にした。

 ジバコイルとメタングがフヨフヨとぶつからないように浮遊しており、ハッサムは物静かに俺の後ろを歩く。賑やかなのは好きだ。それとナツメが好きだ。

 

 最後に見た嬉しそうな笑顔が、頭にへばりついて離れない。

 

(無意識にああいう顔するなよ……ったく……)

 

 俺以外の男だったら、間違いなく襲われてたぞ。

 

 …………。

 

 こうして思っているということは、多分俺の中で答えは既に出ているのかもしれない。

 ナツメの笑顔を見れば嬉しくなるし、もっと見たいと思う。馬鹿みたいだけど、これも兄貴としての感情なのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レポート

 

 

 名前 アンバー

 

 

 手持ち

 

 ハッサム Lv43♂ 特性 テクニシャン

わざ メタルクロー シザークロス てっぺき バレットパンチ

 

 メタング Lv41 特性 クリアボディ

わざ メタルクロー サイコキネシス てっぺき どくどく

 

 ジバコイル Lv33 特性 じりょく

わざ だいばくはつ こらえる

 

 クチート Lv41♀ 特性 いかく

わざ かみくだく てっぺき バトンタッチ まもる

 

 

 名前 ナツメ

 

 

 手持ち

 

 ユンゲラー♂ Lv37 特性 シンクロ

わざ サイケこうせん かなしばり めいそう じこさいせい

 

 バリヤード♂ Lv35 特性 フィルター

わざ サイケこうせん リフレクター ひかりのかべ みがわり

 

 スリープ♂ Lv32 特性 よちむ

わざ さいみんじゅつ ねんりき サイケこうせん ずつき

 

 キルリア♀ Lv29 特性 トレース

わざ ねんりき しんぴのまもり おんがえし かげぶんしん

 

 ヒトデマン Lv33 特性 しぜんかいふく

わざ じこさいせい バブルこうせん こうそくスピン スピードスター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日記 アンバー

 

 ジバコイルに土下座した。以上。

 

 

日記 ナツメ

 

 彼が考えていることは分かるのだけれど、納得がいくかはまた別の話。

 夜に話してくれるつもりらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

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