ナツメの義兄へ転生   作:アステロイドベルト

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六話

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、コトブキシティだ。

 大きなあくびをする俺を、ナツメが呆れ顔で見ている。

 

 仕方ないだろう眠いんだから。そもそも、まだ旅を初めてそんなに経ってないのにイベント多すぎなんだよ。

 

「はいはーい! ここで突撃インタビュー! そこのバカップルさんたち、ちょこーっとお時間頂いてよろしいですかー?」

 

 よいしょよいしょの展開で大きな機具を持った集団が俺とナツメを取り囲む。

 ナツメの方はあまり気分が乗らないのか、不機嫌そうに両手を組んでいる。

 

 俺は妹の前に出ると、カメラから遮った。

 

「すんません、時間はありますけど俺ら兄妹でして……つか何でバカップル?」

 

「あらあら、そうでしたか。どうやら私の勘違いだったみたいです。では、お兄さんと妹さんにご質問してもよろしいですかー?」

 

「ええ、構いませんよ。何でしょう?」

 

 後ろから視線が突き刺さっている。恐らくいつもの情けなさとの変貌っぷりに呆れているのだろう。

 

(仕方ねーだろ、テレビの前でまでぐだぐだしてられん)

 

「では直球に本題! ずばり、現在シンオウで目撃されているという、宇宙から来たポケモンについてどう思いますか!?」

 

 元気だな。ていうか、今そんなのがこの辺うろついてんのか。初耳だぞ。

 

「そうですね……僕は好きですよ、そういうの。もしその宇宙から来たポケモンがどこから来たのか分かれば、そのポケモンの母星にもまだ多くのポケモンがいるかもしれないんですから」

 

「おおっ! これは好感触か?! ではでは次の質問!」

 

「どうぞ」

 

 ナツメがさっさと終わらせろと空気で語っている。怖い。

 いや、だってこれ地方で放送されるんだろ? 悪い顔してるところ見られると、始まったばかりの旅が再び船旅になってしまう。

 そうすると、オマエの眼の前でグロテスク吐瀉物放出するハメになるんだぞ。

 

 営業スマイルレッツ作り笑い。自分でも胡散臭い笑顔でカメラに微笑みつつ、次の質問とやらを待つ。

 

「トレーナー一個人として、ポケモンバトル! そこのカメラマンと私で、あなた方御兄妹とお願いできますか?!」

 

「なんだ、そんなことですか。構いませんよ」

 

「おい……」

 

(嫌なら俺一人でも構わん)

 

「…………チッ……仕方ない」

 

 珍しいな。

 バトルはあまり好きじゃない、やらなくてもいいバトルはしない。

 そう言っていたが。俺の意図が伝わったのかね。

 

「使用ポケモンは一体ずつ。では、スタート!」

 

 レポーターの女性がそう告げると同時に、カメラマンもボールを投げる。

 双方が出したのは、ルナトーンとソルロック。多分ナツメは初見か? でもエスパーだしな。もしかしたら知ってるかも。

 

「おいナツメ、あの二体のこと、知ってるか?」

 

「いや、始めて見たが……お前は?」

 

「お兄ちゃんを舐めるなよ。いや、舐めてもいいけど」

 

「またかなしばりに会いたいのか……」

 

「いやごめん。あれ怖いからホント」

 

 俺が出したのはメタング。ナツメはバリヤード。ああ、タッグを組むポケモンとしては有りがたいな。

 

「バリヤード、ひかりのかべ……」

 

 乗り気ではないが、どうやらやる事はやってくれるらしい。

 

 バリヤードが半透明の大きな壁を張ると、そこに相手の強力な攻撃が飛び込んでくる。

 ソルロックのかえんほうしゃだ。はがねのあるメタングでは、ひかりのかべ無しだとあっという間に落ちてしまっていたかもしれない。

 

「メタング、メタルクロー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バトルは俺たちの勝利という形で終わった。景品だとかキャンペーンだとかでポケッチという小型機械を貰ったが、今は時計以外に使えるような機能はない。

 あれはシンオウ地方中で放送されるらしく、一部地域でも流されるらしい。聞くところによると、カントーもそのうちに含まれるのだとか……。

 

「あんな媚び媚びの態度をとって恥ずかしくないのか?」

 

「体裁ってのを気にしないと、世の中渡り歩いていけないんだよ」

 

 よっぽど俺の態度が気に入らなかったのか、それともバトルの後だからなのか。まだしかめっつらをしている。

 

「お! トレーナーズスクールだってさ。寄ってくか?」

 

「今更何を学ぶつもりだ…………今さっきトレーナー二人倒してきたばかりだろうに」

 

「だって、学生さんとか見てみたいじゃん」

 

「直ぐに色目を使う奴は嫌いだ」

 

「ナツメが俺のことを嫌いでも、俺はナツメのことが大好きだからいいんだよ」

 

「だから、なぜお前はそんなことを平然と口に出来るんだ?!」

 

「お前の兄ちゃんだからだよ。ほら、さっさと行くぞー」

 

 ぐいぐいとナツメを引っ張りながら塾のような建物へ入っていく俺。

 傍から見れば怪しいやりとりに見えなくもない。傍から見たわけじゃないけど。

 

「おい! まだ行くと言ったわけでは……」

 

「そう言いながら着いて来てるくせに」

 

「そ、それはお前が引っ張るから…………ああもうっ!」

 

 観念したのか、渋々俺に引かれて足を進めていく。

 いやぁ、入ったは良いが、特にすることもないよな。

 

 すると、廊下の方でポケモンバトルをしている小学生くらいの子どもたちが目に入った。

 

「ビッパ! たいあたり!」

 

「ムックル! すなかけだ!」

 

 懐かしいやりとりを眺めながら、俺は無意識に笑っていた。

 ほほえましい光景だ。

 

 いつの間にか、ナツメも子どもたちのやりとりに目を奪われている。

 

「どうですか、我が校の生徒たちは」

 

 不意に、扉から髭を生やした後期高齢の男性が現れた。

 もうすでに退職していても不思議ではない見た目だが、自分の意思で職を離れないという人も時々見る。

 

 俺は子どもたちのバトルをじっ、と見つめているナツメの元を離れ、その男性の方へ歩み寄った。

 

「ここはやっぱり、ポケモンバトルを教えてらっしゃるので?」

 

「いや、きちんとしたポケモンとの接し方も学んでもらっているよ」

 

「そうですか」

 

 悪くない学校だな。

 そう感じた。

 

「お兄ちゃん、ぽけもんとれーなー?」

 

 ふと、手を引かれた。そこには無邪気な顔をした小さい女の子が、澄み切った瞳で俺を見ている姿が。

 俺は「そうだよ」と答えてやると、屈んで目の高さを同じにしてやる。

 子どもと接するには、まず同じ目線で会話をすべきだとどこかで聞いた。

 

「つよいの?」

 

「中の下かな」

 

「??」

 

「ふつう、ってことだよ」

 

「ぽけもん見せてくれない?」

 

「いいよ、ほら」

 

 二つのモンスターボールの開閉スイッチを押し、メタングとハッサムを出す。

 女の子は珍しい物でも見るような目で見とれており、ハッサムのハサミに触ったり、メタングの腕を叩いたりしていた。

 このあたりじゃ見れないポケモンだからな。

 

「何をしている」

 

「へ?」

 

 女の子をメタングに乗せたりして一緒に遊んでいると、威圧感たっぷりの目をしたナツメが俺をにらんでいた。

 何を怒っているか知らないが、今は刺激せぬよう言葉を選ぶべきだろう。

 

「女の子と遊んでます」

 

「…………」

 

「?」

 

「もう行くぞ。いつまでも一か所に留まるつもりはないからな」

 

「おおおお、おい?! どうしたんだよ?? てか痛いって!」

 

 さよーならー、と手を振る生徒たちと男性。俺は痛みに耐えながら笑顔で手を振り返し、無表情でもう一方の腕を引っ張るナツメに尋ねた。

 

「ちょちょちょちょ、痛いって! どうしたんだよ!?」

 

「私にはあんな笑顔……向けないくせに……」

 

「はい? なんて?」

 

「何でもないさ」

 

 もう何なんだホント。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レポート

 

 

 名前 アンバー

 

 

 手持ち

 

 ハッサム Lv32 特性 テクニシャン

わざ メタルクロー れんぞくぎり きりさく

 

 メタング Lv25 特性 クリアボディ

わざ メタルクロー ねんりき てっぺき どくどく

 

 

 名前 ナツメ

 

 

 手持ち

 

 ユンゲラー Lv28 特性 シンクロ

わざ サイケこうせん かなしばり めいそう

 

 バリヤード Lv24 特性 フィルター

わざ ねんりき リフレクター ひかりのかべ

 

 スリープ Lv23 特性 よちむ

わざ さいみんじゅつ ねんりき

 

 ラルトス Lv19 特性 トレース

わざ ねんりき しんぴのまもり おんがえし かげぶんしん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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