【未完終了】魔法少女リリカルなのは ━三途川に落ちる少年━   作:針鼠

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※前話にて、一部シーンが不快だという意見を複数いただきましたので修正を加えております。本筋には影響ありません。


はじめてのでんしゃ

「というわけで合流してもいい?」

 

『ほんとっ!?』

 

 

 シャーリーとの問答の後、俺はすでに街に出てしまっているスバル達に連絡を取った。用事が早く終わったので合流しても良いか、と。画面越しのスバルは大袈裟なくらい大きなリアクションで首を縦に振った。

 

 

『もちろんいいよ!』

 

 

 小躍りするくらい喜ばれるとこっちが恥ずかしくなるな、これ。すると後ろにいたティアが意味深な笑みを浮かべながら、

 

 

『よかったわね、スバル。あんたアイス食べてる間もずっと――――』

 

『わー! わー!!』

 

「ずっと?」

 

『なんでもない! なんでもないよ! そういうティアだって出発するときあんなに――――』

 

『ぶっっ! なななな、なに言ってんのよあんたは!』

 

 

 なんか画面向こうで楽しそうだ。傍から見てる側は置いてけぼり感があってちょっと寂しい。

 

 兎にも角にもスバル達との合流地点を決めて、俺も出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お金は幸いにも給料が丸々口座に入っているので問題無い。生憎免許は生前も今も持っていないので移動は電車――――らしき乗り物――――。はやても持ってたし、暇が出来たら俺も車とかバイクの免許取りたいなあ。そんなことを考える俺は現在、

 

 

「迷った……」

 

 

 これは隊舎を出て僅か1時間たらずのセリフである。

 

 甘く見てた。異世界故に地理に疎いのは承知していたが、電車ならば目的地さえわかっていれば問題無いだろ、と思っていたのに。乗り換えに降りた途端、乗り換え先の駅に辿り着けない。挙句今自分がどこにいるのかもわからなくなった。

 

 ふと辺りを見回す。建物ひとつとってもそのデティールはアーティスティックで、まさに近未来都市といった感じだ。こうして眺めているだけでも俺的には充分満喫できる。

 だがひとりで満足してもいられない。スバル達と合流しなければならない。

 

 ここは恥を忍んで連絡取るのが最善か。この歳にして迷子宣言はなかなか心にくる。ティア辺りには馬鹿にされそうだ。いや絶対される。

 

 そんなことを考えていると、トントンと肩を叩かれた。思考が現実に戻り、振り返った先にいた人物の顔を見て驚いた。

 

 

「ギンガ!?」

 

「こんにちは、ユキカゼ」

 

 

 スバルの姉にして、現在六課と協力関係にある108部隊の隊員。思わぬ場所で思わぬ人物との遭遇だった。

 

 

「なんでこんなところに……って、その格好から察するに今日はお休みなのかしら?」

 

「まあな。ギンガは? そっちも休み?」

 

「この格好で?」

 

「……だよな」

 

 

 制服をつまんでみせたギンガ。休日に街に出るには無粋な格好過ぎる。

 

 

「ちょうどこの近くで事件があったのよ」

 

 

 厳しい顔つきでそう言うギンガ。あまり愉快な内容ではないらしい。それにすぐに解決出来るようなものでもないのだろう。

 

 

「そりゃ残念。スバル達と合流するから、一緒に遊べるかと思ったのに」

 

「へえ。あの子と、ねえ」

 

「なにニヤニヤしてんだ?」

 

「いえ別に」

 

 

 とかなんとか言ってるけど、これ絶対余計な勘ぐりしてやがるな。ティアも一緒だってば。

 

 

『全体通信です』

 

 

 と、そんなときルビーが赤く明滅する。キャロからの通信? ふと見れば同じタイミングでギンガもデバイスを通じてなにかやり取りをしている。

 目が合い、互いに頷く。

 通信を繋ぐと、どこか苦々しい声色でキャロが告げる。

 

 

『こちらライトニング4。緊急事態です』

 

 

 どうやら、初の休日はこれで終わりらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャロからの通信を受け、俺とギンガは地下水道を走っていた。途中途中に出現するガジェットをアーチャー・モードの双剣で斬り伏せながら、前を走る人物を見る。

 

 ローラーブーツのデバイス。左腕には回転駆動式のガントレット。一見してガントレットの装備が左右対称なスバルと似た姿。戦い方もウイングロードを駆使してシューティングアーツの近接戦闘と、流石姉妹と思わされるほどよく似ていた。

 しかし戦闘技術、特にシューティングアーツに関してはギンガの方が上らしく、素人の俺から見てもギンガの方が洗練された動きをしていた。なんというか動きに無駄が無い。

 

 まったく。これで俺と同い年というんだから、この世界の女の子は誰も彼も強すぎやしないか?

 

 

「ここら辺の敵はどうやらあらかた片付いたみたいね」

 

「だな」

 

 

 正直俺は彼女が撃ち漏らした数機を相手にしただけなのだが。大変楽をさせてもらっている。――――と、そんなことを考えている俺のことをギンガがまじまじと見ていた。

 

 

「それがユキカゼのバリアジャケット?」

 

「ああ、これがアーチャー。他にあと2つある」

 

「3つの形状を持つバリアジャケットなんて……それもレアスキルなのかしら?」

 

 

 不思議そうに首を傾げるギンガ。訊かれたところで俺も答えようがないけども。なにせこれは黄泉の世界の船頭が渡してきた能力であって、こちらの世界が如何に科学技術に優れ、魔法という不思議パワーがあろうとも説明出来るものとは限らないのだから。

 

 

『ギンガさん、ユキカゼ』

 

 

 ティアからの通信だ。

 

 

『二人共無事?』

 

「ギンガが頼りになり過ぎて俺のプライドがズタズタです。どうぞ」

 

『そんなちっぽけなプライドなんて捨てなさい』

 

 

 ばっさりだ。

 

 

『ギンガさん、一度合流しましょう。南西のF94区画はわかりますか?』

 

 

 俺とティアのやり取りにクスクス笑っていたギンガが、ティアに話を振られて真面目な顔に戻る。地図を展開し、数秒目をやった後頷いて応えた。

 

 

「大丈夫よ」

 

「おいおい、なんで俺じゃなくてギンガに言うんだよ?」

 

『電車使っても迷うような奴がこの地下道の道わかるわけ?』

 

 

 くっ、返す言葉も無い。まさかこの歳になって迷子で弄られるとは思わなかった。

 そんなやり取りをギンガに笑われながら、俺達は南西へと走り出す。そういえば、

 

 

「ギンガはスバルの格闘技の師匠なんだよな?」

 

「そうよ。もっとも私は母から教わったから、源流というわけではないけれど」

 

 

 遠い過去を振り返っているのか、ギンガの目が細められる。

 

 

「あの子は争いが大嫌いだったわ。昔なんて転んだだけでわんわん泣いてたっけ」

 

 

 へえ、意外だ。今のスバルがどちらかといえば活発な印象だから、昔から男の子に混じって遊ぶような子供なのかと思った。

 

 

「そういう子の方が良かった?」

 

 

 俺の表情から思っていたことを読み取ったらしくギンガがそう訊いてくる。俺は少し考えて答える。

 

 

「どっちでもいいかな」

 

「?」

 

「多分どっちでも、俺はあいつと友達になれたと思う」

 

 

 たとえ内気な性格だったとしても、俺は多分スバルと出会ったら良い友達になれたと思う。だってあいつは良い奴だから。だっていうのに、

 

 

「友達、ねえ……はぁ」

 

「おい、なんでそこでため息なんだよ」

 

 

 『別に』と言いながら、ギンガは俺を見るなりまたため息をついた。なんだってんだよ畜生。

 

 その後俺達は無事スバル達と合流する。




閲覧ありがとうございます!

>いやぁ、アプリゲームって怖い。初めてまともにやってますが時間を食い潰しますね。気を付けねば。てなわけで、短くて申し訳ないですが一先ず更新です!

>ユッキーはじめてのおつかいならぬ電車移動。ちなみに作者の私はドが付くほどの方向音痴&道が覚えられない人。異世界いったらなにつかっても元の場所に帰ってこられない自信があります。

>最近更新の度に書いてますが、あくまでもこれは微ハーレム。女子達はみんな『ちょっと良いなぁ』くらいにはユキカゼ君を想っております。まあ、六課のまともな男性職員(モブ除く)がヴァイスさんとユキカゼくんくらいですし。
でもお姉さんたるギンガさんはユキカゼとスバルがくっついてくれないかなぁ、とか思ってたりします。これもまた一種の親心。

さて次回は久方ぶりのバトルシーン!

ではではまた次回ー
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