アラクニド&パンツァー ~蜘蛛から戦車乗りになる話~   作:φζΩ

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初めまして、P40と申します。初作品ですので駄文ですがそれでも良いという方はよろしくお願いします。なお、1話目はガルパンのキャラはちょっとしか登場しません。


蜘蛛の始動
第1話 これが学園艦…


「これが学園艦…」

 

 藤井アリスは大洗港に停泊した学園艦を見て衝撃を受けていた。

 

「すっごいでかい…本当にあそこに学校や町があるのかな…?」

 

「はい、そーですわ~アリス様。私達はこれからあの船にある大洗女子学園で学校生活を過ごすんですのよ~」

 

 初めて見た学園艦に驚きを隠せないアリスの後ろへ入港手続きを終わらせた沖めぐみがやってきた。

 

「『組織』を壊滅させた私達が呑気に学校…しかも学園艦に転校だなんて『兜蟲』も面倒なことしますわー」

 

「学園艦の方が私達の存在を上手く隠せるしのびのびと過ごせるだろうって『兜蟲』さんは言ってましたが…」

 

「んなの絶対ウソですわー!単にアイツが私達の世話するのがめんどいから寮住まいできる学園艦を選んだに決まってますのよー!」

(まあこれでアリス様を襲いやすくなりましたが…)

 

「…だとしても私達を引き取ってくれただけですごくありがたいです…。私はもう普通の生活はできないと思っていたので…」

 

「うぐっ…!…まあ確かに『兜蟲』が私達の親になったお陰で助かる面も沢山ありますが…そもそも『組織』を潰した私達がなんで学校に行かにゃあならんのですか!日本救ったんですから国も私達に大金寄越すはずなのになんのお礼もないですし!」

 

「仕方ないですよ。『組織』のことを証明する方法が無いですし…。というか逆に『組織』の存在が明るみに出たら芋づる式で私達捕まっちゃいますよ」

 

「うぐぐっ!で、ですが…」

 

「それに、また日常に戻れるなんて思ってなかったので…『兜蟲』さんには感謝の気持ちしかないです…!」

 

「はぁー…アリス様がそう言うなら分かりましたわ…」

 

「はい!それでは乗ってみましょう!私初めて乗るので楽しみです!」

 

「なるほどアリス様…早く乗りたかったんですね…。まあ私も豪華客船には乗りましたが学園艦は初めてですわね~」

 

 アリスはめぐみの腕を引っ張り学園艦へと乗船した。

 

 ここで一つ補足しておくが彼女達の会話に出てきた『組織』とは日本の戦後に生まれた犯罪組織のことである。経済的弱者を殺し、奪った戸籍を売り捌く事を生業としていた。だが3ヶ月程前にアリス達によりボスは倒され、『組織』の構成員が引き起こしたパンデミックや新たに誕生したボスがアリス達を襲ったものの、1か月前に戦いは終結した。新たなボスは『兜蟲』に葬られ、パンデミックは海外の医療団体の協力によりワクチンが完成して感染者は続々と回復の兆しを見せている。

 

 そして二週間前、

 

 

「アリス、ゴキちゃん。学校に行きなさい」

 

「…えっ?」

 

「はぁ…?」

 

『兜蟲』が唐突にそれを言ったのだ。

 

「もう転校手続きとかしてるから。転校先は大洗学園艦ね」

 

「……え!?ちょっと待ってください!一体なんの話ですか!?」

 

「そーですわ!ワケわからないまま話を続けないでほしいですの!」

 

「だーかーらー、二人とも転校するの。色々と面倒だったわ、親権とかも関わってきたし」

 

 二人の意見を無視して『兜蟲』は話を続けた。

 

「転校…!?というか、し、しんけん…?まさか…しんけんって親権のことですか!?」

 

「そーよ。それ以外になにあんのよ」

 

「じゃ…じゃあ…つまり、」

 

「アンタは私達の親になったってことですの!!?」

 

「よく分かってんじゃないの。正確にはちょっと違うけどね。ま、その話はめんどいからあとにしてとにかくこれから制服とか準備するものあるから、ほら行くわよ」

 

『兜蟲』がアリスとめぐみを有無を言わさずに二人を掴んで車へと放り込む。そしてそれからの数日間『兜蟲』はろくな説明をせずに物事だけを進めていった。

 

 

 ここで話は現在へ戻す。

 

「今思い出しても腹立ちますわ~。次会ったら絶対ぶん殴ってやりますわ!」

 

「沖さん…まだ根に持ってるんですね…」

 

 艦内を抜けて甲板へ出た二人は自分達がこれから住む予定の寮へ歩いていた。

 

「当たり前ですわ!ちゃんとした説明もせずに制服とか教科書の準備とかさせて終いには転校先すら決めてるんですの!根に持つに決まってますわー!」

 

「まあ気持ちは分かりますね…でも私、ここの制服可愛くて好きですよ」

 

「それは同意ですわ!でも学校ぐらい決めさせてほしいですわ…!」

 

「はぁ…それなら沖さんはどこか行ってみたい学校があったんですか?」

 

「う~ん…そーですわね…。…強いて言うなら聖グロリアーナでしょうか」

 

「聖グロリアーナって…確か有名なお嬢様学校じゃありませんでしたか…?」

 

「その通りですわ!どうせならあそこへ行って優雅ぶっていい気になってる奴らをひどい目に合わせたいですの!」

 

「…でもあそこって優秀な成績が必要だったはずですが…私達、特にないですよね…」

 

「うっ…!それだけは言ってほしくなかったですわ…!だって…」

「だって『沖めぐみ』は潜むために目立っちゃいけなかったんですのー!」

 

「ご、ごめんなさい!元気出してください、沖さん!」

 

「いえいえ大丈夫ですわー…。それより私こそ愚痴ばかりで申し訳ないですわー…」

 

「気にしないでください沖さん。あ、見えましたよ!あれじゃないですか?学生寮って」

 

 アリスは『兜蟲』にパソコンで見せられた(既に入居は決まっていた)画像と同じ建物を見つけた。

 

「そーですわね。あそこですの」

 

 寮へ着いたアリス達は管理人に書類を渡して、少ししてから管理人からルームキーを貰った。それから二人は自分達の部屋へと階段を登っていった。

 

「…隣人の方に何か渡した方がいいでしょうか…?あ!引っ越しそばって用意した方がいいですか!?」

 

「…別にしなくていいですわー。挨拶ぐらいしとけばいいですの」

(プールの時みたいにテンション高いアリス様…レアですわー!!これは脳内で焼き付かねばっ!!)

 

「そうですか…。それでは荷解きが終わったら皆さんに挨拶しに行きましょう!」

 

「だから隣人だけでいいんですのよ!?」

 

「あ、そうでした。すみません浮かれてて…」

 

「気にしなくて良いんですの、私としてはアリス様が楽しんでるのを見てるだけで満足ですわ~」

 

「…それでは私はここの階なので荷解きが終わったら一緒にご飯でも食べましょう」

 

「分かりましたわ~」

 

 

 

「…ってあれ?この流れで離れ離れなんですの?同棲じゃないんですの!?これから待ってるアリス様との濃厚な時間は!?」

 

 めぐみが困惑しているとケータイの着信音がなった。

 

「誰ですの…?って!『兜蟲』!アイツに事情を聴かなくては!」

 

 来たのは電話ではなくメールだった。そして文面には

 

 《そうそう、言い忘れてたけどアリスとゴキちゃんが同じ部屋だとあの子危ないから別室にしといたわ。せめて上の部屋にしといてあげたから感謝しなさいよ》

 

 

 

「あんのクソババアァァァ!!!」

 

 後にこの怒号は沖めぐみの恐怖伝説の始まりと大洗生徒へ語られていくことをまだ誰も知らない……

 

 

 同日、大洗女子学園の生徒会室にて生徒会長の角谷杏は二つの書類を眺めていた。

 

「藤井アリスちゃんに…沖めぐみちゃんかー。今時珍しい陸上からの転校生ねー」

 

「はい、どうやら2ヶ月前に起こったパンデミックにて学校が事実上崩壊し、それで我が校へと転校するようです」

 

 片眼鏡をかけた書記、河嶋桃が別の仕事を作業しながら説明をした。

 

「だったらアフターケアとかしなきゃねー…。なんか良い方法あるかなー」

 

「いや、この場合はこちらから無理に関わるよりもそっとした方が良いんじゃないでしょうか?」

 

「それもそうだねー。まあ何か起こったら助け船を出すぐらいでいっか」

 

「そうですね、会長」

 

 副会長である小山柚子の提案に杏と桃の二人は納得した。

 

「来週の月曜から登校予定かー。上手く馴染んでくれれば良いけどねー」

 

 好物の干し芋を食べ、窓の外を眺めながらぼそりと言った。

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